左利きのオフ会に参加して考えたこと
1月16日(日曜日)、利き手と左利きに関するホームページ、『クラブレフティ』」管理人、大路さん主宰のオフ会の昼の部に参加しました。お昼の部には、他に左利きに関するメールマガジン『レフティサーブ』発行人渡瀬さん、私など都合6名が参加しました。(夜の部にはさらに何人かの参加者があり、大いに盛り上がったようです。くわしくは『千晴的猫目公司』>lefty「オフ会に参加してみる。」、および『クラブレフティ』のオフ会報告をご覧ください。)
二時間あまりの間それぞれの左利きとの関わりなど、いろいろと楽しくもあり、悲しくもありのお話が続きました。
途中、私が一番気になったことは、それぞれの人の前に置かれたコーヒー・カップの取っ手の向きが奇しくも向かって左側になっていたことでした。
こういうことは日常(左利きの人と右利きの人とがいっしょの場合)では非常に稀なことです。
右利きの人では取っ手を右に置く方が多く、すべての人のそれが一定の方向に揃うことはまずないといっていいでしょう。
*
さて、ささいなことはさておき、私が最終的に感じたことは「知識の共有」の大切さでした。
昨年末のインド洋大津波の際にも、津波についての知識を持っている人は、潮が引いたとき山に逃げて助かった人がいるそうです。一方、津波の知識のない人は、潮が引いた後に取り残された魚を取っていて、波にのまれたと言います。
津波に関する知識の有無が人の生死を分けた一つの例でした。
このような極端な例はともかく、知識のあるなしが人の関係でも大きな問題になってくることがあります。
左利きの場合もそうです。
現実に身の回りに左利きの人がいる場合といない場合とでは、左利きに対する理解度、認知度はまったく違ったものになってきます。
左利きの人がいる場合は、存在そのものを認め、肯定的に捉える傾向が強いのに対して、逆にいない場合は存在そのものを認めなかったり、否定的に捉える傾向が強いように思われます。
これはある意味では致し方のない部分があります。
人間の限界といっても良いかと思います。
見たことのないものを信じろというのはむずかしいものです。教えてもらわなければ知らないことはたくさんあります。
学校の教科書にでも載っていて、習ったことならともかく、まったくそういうものにふれあう機会を持たないままに育ってきた場合では、否定的になるのも無理からぬところがあります。
そういう人たちにとっての知識といえば、古くからの言い伝え的な、昔の常識に則った否定的な解釈に陥るのも当然です。
また、左利きの人の間でも、大きな差が生れます。
まわりに左利きの人がいる場合とそうでない場合、左利きに理解のある人がいる場合とそうでない場合とではまた違ってくるでしょう。
左利き用の道具についても、その知識の有無によって違いが出てきます。
どんなにいいものがあったとしても、その存在が知られていなければ、ないのと同じです。
結局、大切なことは左利きあるいは利き手の違いというものに関する様々な知識をみんなが持つ必要がある、ということだと思います。
左利きの存在とは、左利きとはどういうものか、左利きは右利きとどこが違い、どこが変わらないのか、左利きで生きてゆくということは具体的にどういうことなのか、左利き用品とはどういうものなのか、なぜ必要なのか、どういう点が右利き用と違うのか、…などなどの、左利きに関する基礎的な知識を各人が共有することで、初めて異なる立場の人への理解が深まり、信頼関係というものが確立され、問題点の改善への道筋が作られるようになるのだと考えます。
一番良いのはやはり、教育の現場で、そういうことがひとつの知識として与えられるようになればいいのではないかと思います。
福祉の立場で障害者に対する教育が行われるように。あるいは社会や道徳、倫理の教育で人権について学ぶように。
※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載して、gooブログ・テーマサロン◆左利き同盟◆に参加しています。
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