左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ―その2・左利きで困るのは…
*** 左利きで困るのは… ***
右利きに有利な社会だから、左手しか使えないと子供が苦労する、かわいそう。だから右手も使ってみましょうね、両手が使えると便利ですよ、カッコイイよ、といって右手使いを勧めるというのはどうかと思います。
特に右利きの親御さんには、左手しか使えないと困るから右手も使えるようにさせたい、という考えが強いように思います。
しかし、それはあくまで親御さんの個人的な見解―願望にすぎません。
本当に大事なのはお子さん自身です。
お子さんがどう思っているのか。
お子さんが幸せになるための方法を考えるべきでしょう。
親御さんが納得するためにお子さんは生きているのではありません。
親御さんの悩みは所詮一時のものですが、お子さんの悩みは一生付きまとうものです。
50年先も同じ気持ちでお子さんを心配してゆけますか。70年先は、100年先は? 貴方のお子さんは100歳まで生きるかもしれません。
親の喜ぶ顔を見たさに子供はがんばって右手を使って見せるかもしれません。それを見て親がほめてやればさらに得意になって右手を使って見せるでしょう。親の前ではそうかもしれません。
しかし心の中も幸せでしょうか。一人になってもその喜びは彼/彼女の中で消えることはないのでしょうか。真からのものでしょうか。
確かに、小さい頃に「矯正」してもらっておとなになってから大いに感謝している、という方もいます。
逆に、嫌な思いしか残っていない、思い出したくもない、という方もいます。
人それぞれです。才能も能力も性格も違います。子供にとっての幸せなど人にはわからないものかもしれません。
ただ、左利きの私には、左利きの子がたとえ一瞬でも左利きを否定されて幸せになれる、とは考えられません。
お子さんにとっての最善の方法とは何か、そのままの自然なあり方で生きることではないでしょうか。
右利きが右利きとして生きるように、左利きは左利きとして。
左利きではなぜ困るのでしょうか。
社会が右利きに有利にできているから、左利きには不便なことが出てくるのです。
私は左利きだからといってそれ自体で、苦労したことはありません。
左利きだからお箸が持てないわけではありません。三度三度ちゃんとご飯も食べられます。
鉛筆が持てないわけでもありません。そこそこの字を書くこともできます。
左利きだから自転車に乗れないわけでもありません。ベルも左手で鳴らします。
自動改札では一工夫しないとスムーズには通れませんが、電車に乗れないわけではありません。
クルマの運転はできませんが、これは左利きだからではありません。免許を取りに行く気がないからです。
問題が起こるのは、道具や機械、システムなどが左手用でなかったり、左利きに対応していない場合です。
右手用のはさみが左手では切りにくかったり、右手用の缶切が左手で使えなかったり、自動販売機のコインが左手では入れにくく、仕方なしに右手で入れようとしては入れ損ねたり、などなど。
あるいは、人間関係では左利きに偏見を持っていたり、無理解な人と接したとき、です。
左利きは頭がおかしいんやてェ、などなど。
解決方法はひとつです。
左利きにも優しい社会に変えてゆけば良いのです。
*(関連記事)
2004.12.08 左利きを右手使いに変えさせる理由
*
左利きの子の左手使いを右手使いに変えることを指して、「利き手(左利き)の矯正」といった呼び方があります。私はこの用法は誤りであると考え、左利きにおいて「矯正」という言葉を使用しないように皆様にお願いしています。
(参照)2004.11.26「利き手(左利き)の矯正」という言葉の使用について
※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載して、gooブログ◆左利き同盟◆に参加しています。
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