アサガオの蔓と台風は左巻き? または左と右の概念
今年は台風の当たり年のようだ。
先日の16号ではや上陸台風は6個目。今も太平洋上には18号が北上中―。
というところで、こういうお話。
まずアサガオである。
アサガオは蔓を伸ばして支柱に巻きつき花を咲かせる。日本では江戸時代にその栽培が盛んに行われ、さまざまな色と柄の花の品種が作られた。
人により、アサガオの蔓は「右巻き」と呼ぶ人がいるが、一般には「左巻き」と呼ぶ。
上から見て根元から蔓がのびてくる回り方をたどると「左巻き」になる。
逆に上からたどると「右巻き」ということになる。
アサガオ自身は、支柱に対して左に回りこむように巻きついているので、やはり「左巻き」と呼ぶのが正しいように思われる。
一方台風は、上から見るとやはり反時計方向に渦を巻いている。「左巻き」である。
台風が「左巻き」になるのは、地球の自転の影響による。
大気もまた地球とともに回転しているので、赤道付近と北側でスピードに差が生まれ、赤道側がより早く、北側は遅くなる。結果として台風は自然に「左巻き」になる。
これは北半球での話で、台風と同様の現象が南半球で起こった場合は、逆の「右巻き」になる。これは赤道側が速く、その南側が遅くなるからである。
しかし、アサガオの場合もそうであるように、台風全体を地上側から見ることができれば、巨大な「右巻き」の渦であろう。
もちろんこれも、どちらからたどるかによって右左の呼び方が変わってしまう事になる。
*
要するに、右と左というものは相対的なものであって絶対的な呼び方とはいえないということだ。
自分の左手(側)は向かい合う人から見れば、右手(側)である。
バスガイドさんは職業病として右手(側)と左手(側)を間違うようになるという。「右手をご覧ください」といいながら左手をかざす、という職業柄のせいだと言う。
「UDスプーン左利き用」(正確には「UDソフトスプーン大/小 左利き」)なるものがある。これは左手で食べやすいように、スプーンの形状が左右対称でなく、左手に持ったとき手前に出っ張っているものである。これは左利き用であり、かつ右利きの人が人に食べさせる際に便利なものでもある。右手に持つと向こう側が出っ張っており、食べさせやすいというわけだ。
こう考えると左手用右手用の道具というものも、あるいは左利き用右利き用の道具というものも、それぞれ左手用右手用もしくは左利き用右利き用と一概に決め付けることはできないのかもしれない。
アガサ・クリスティーの創造した名探偵エルキュール・ポアロのように、左右対称形を最も安定し完成された秩序正しいデザインとして、好む人は多い。
なるほど左右というものが不確かなものであるとしても、この左右対称形が左右共用品となることだけは確かであろう。
―きょうの結論―
左と右は絶対的な概念でなく相対的なものである。また、左と右は対立する概念ではなく互いに補完しあう、ひとつの対である。
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