左利きに関して最近腹が立ったこと:きれいな字を書く
怒りのままに書いてみます。
あるメルマガのうたい文句
「文字は練習すれば必ず上達します。小さいうちにきちんとした基本を身につけましょう。」
なかなか気を惹く文章です。誰でもきれいな字を書いてみたいもの。そこで内容をのぞいてみると…。
このメルマガの「お便り質問コーナー」での左利きのママさんからの質問とそれに対する回答が出ています。
〈娘は左利きなのです。二年生になり字を書く事も多くなってきたのですが、やはり書きずらそうにしておりますので、なにか左利きの人へのアドバイスなどありましたら〉
「ご質問の左利きですが、最近は矯正しないほうがいいという意見が多いようです。ただきれいに書くという点では左手ではむずかしいでしょう。文字は軽い「右上がり」に書くと安定しますのできれいに見えます。左手ではどうしても右が下がってしまうのです。私は教室で幼児も教えていますが小さいうちでしたら抵抗なく右に変えられると思います。無理強いするのではなく、字は右手で、絵は左手でとするとストレスも少ないようです。左利きはとても有利なことが多いので、その特徴は伸ばしてあげましょう。文字だけ右手で書いてみたらいいと思います。両手が使えるようになり便利ですよ。」
〈徐々に変えていけるものなのか、ぱっと変えて頑張った方が良いのか悩んでおります。〉
「これはとても難しい問題です。お子さんの性格によるという事でしょうか。書き始めるときは右手で。いつの間にか左手になっていたら気付いた時にまた右手に。こんな感じで十分だと思います。無理強いするとストレスになり逆効果です。文字を書くのが嫌になってしまうと大変です。」
=私からの反論=
>ただきれいに書くという点では左手ではむずかしいでしょう。文字は軽い「右上がり」に書くと安定しますのできれいに見えます。左手ではどうしても右が下がってしまうのです。
貴方が、左手書きできれいに字を書く正しい方法を知らないだけなのではないでしょうか。そういう教え方を研究してこなかったという怠慢振りを言い逃れしているだけのように感じました。
貴方は精神科医箱崎総一氏が主宰した左利き友の会が開発した左きき筆法をご存じでしょうか。
また最近出版された『左利き用ボールペン字練習帳』という本のことはご存知でしょうか。
お習字の先生方の間でも左手書きを容認される方が増えています。生徒さんと共に書き方を工夫されている先生もおられるそうです。
(左手書きの場合は、少し右下がりで用紙を置きます。そして普通に書いてゆく。できたものを真っ直ぐに見ると、自然と右上がりの文字になります。右利きの人では普通逆に左を少し下げておきます、ちょうどその反対ですね。
こちらでは紙は真っ直ぐ体の中心に置く、と指導されています。そのほうが真っ直ぐに見えるから小さい子や、字を習いたての人にはわかりやすいという判断でしょう。
しかし、ハンデのある人がちょっとした工夫を入れるのは決して邪道ではないと思います。)
いかにも左利きのことは知っているようなお言葉で説明されていますが、何のことはない単なる右手使いへの変更を強要しているだけの旧態依然の教育方法とお見受けします。
右手で書くことできれいな字が書けるのなら、どうしてこれほど右利きの多い世の中であるにもかかわらず、きれいな字を書きたいと悩む方が多いのでしょう。右利きの人が右手できれいな字を書くだけでも大変なことなのに、左利きの子に利き手でもない右手で字を書くことを強要するような態度は納得がいきません。
両手が使えるようになり便利ですよ、とも書いておられますが貴方ご自身は左手でも右手でもお書きになれるのでしょうか。左手でも書けるが、よりきれいな字を書くためには右手の方が良いので右手で書いておられるのでしょうか。
本当に利き手について、左利きの人について勉強されたことがあるのでしょうか。
単に何例かの経験からのお言葉に過ぎないのではないでしょうか。またその子たちがその後どのような生活をしているのか追跡調査などされているのでしょうか。 また本当にその子たちが左利きであったのか、いわゆる両利きではなかったのか、あるいは一時的に左利きに見えるだけだったのではないでしょうか。
無理にさせるのではないとおっしゃるかもしれませんが、子供は親やまわりの大人が喜ぶ顔を見たい一心で努力するのではないでしょうか。それをいいことに自分たちの思うように不当に子供に圧力をかけるのはどうかと思います。
さらにいうと、右手が不自由な人は一生きれいな字は書けないということでしょうか。強度の左利きの人の場合もそうです。いくら努力してもやはりできない人がいるでしょう。そういう人は一生その不幸を背負って行けということでしょうか。
私は間違っていると思います。誰でもきれいな字が書けるそういう方法を研究する努力をしていただきたいものです。
もし貴方が看板を上げるとするなら、右手できれいに字を書く方法を教えます、と書くべきです。
それなら私も納得いたします。
私は謙遜していうのですが、決して美しい字を書くとは言えません。しかし、小学生のときに先生から字がきれいだから書記をやって、と言われた事があります。左利きで人前で字を書くことが嫌だったので、結局この役は逃れましたが、ひそかな自慢でした。(ひょっとしたら、うまく先生に乗せられただけかもしれません。自信を持たせてあげようという作戦だったのかもしれません。もしそうなら素晴らしい先生ですよね。立派な教育です、貴方の方法とは違って。)
気を入れて書けば、かなり見栄えのする字を書けると思っています。ただし、鉛筆もしくはボールペンといった筆記具に限るようです。筆はもちろん筆ペンは今ひとつです。左手用の万年筆を使っているのでこちらはかなりいいかもしれません。
きれいな字を書くコツは確かにあります、それをうまく習得すれば、右利きであろうと、左利きであろうと、右手であろうと左手であろうと、いえ足であろうとなんであろうと、書けるのです。
そういう書を教えてくださる先生になって頂きたいものです。
人にものを教える立場の方には、それに応じた社会的責任というものがあると思います。それを十分自覚して、発言していただきたい、指導に当たっていただきたい、と心から願っています。
何人も不幸にすることのない、立派な教育を考えてください。単に字を書くことを教えるだけであっても、です。
*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
・『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)
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