2022.08.15

2022(令和4)年版夏休み特別編・読書感想文を書く-「楽しい読書」第324号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書-322号【別冊 編集後記】

2022(令和3)年8月15日号(No.323)
「夏休み特別編・読書感想文を書く
―2008(平成20)年8月15日号(No.8)―加筆再録」


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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2022(令和3)年8月15日号(No.323)
「夏休み特別編・読書感想文を書く
―2008(平成20)年8月15日号(No.8)―加筆再録」
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 今年も本来ですと、毎夏恒例の新潮・角川・集英社の
 <夏の文庫>フェア2022―
 第三回集英社文庫編をお送りするところですが、
 予定を変更して、昔配信しました第8号の、
 夏休み特別編の読書感想文の書き方に関する文章を再録します。

 夏休みと言えば、読書感想文の宿題が定番です。
 簡単なようで難しいのがこの宿題。

 私も小中高と苦労しました。
 その後左利きの活動を通して文章の書き方も少しは学びました。
 ブログやメルマガを書くことで実践も続けてきました。
 今では“それなりの書き方”は理解しているつもりです。

 再掲載に当たり、いくらか手を入れました。
 例文なども考えて、工夫してみました。

 元の文章は14年前のものですので、
 どこまでお役に立つか分かりませんが……。

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 「2008(平成20)年8月15日号(No.8)-080815-
  夏休み特別編2・読書感想文を書く」 より加筆再録

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 夏休み特別編・読書感想文を書く
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 夏休み特別編集でお送りしています。
 今回は感想文の書き方について書いてみます。

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 夏休み特別編・読書感想文を書く 2022(令和4)年版
 『レフティやすおの楽しい読書』流
  「読書報告書」的読書感想文の書き方
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

かつてこの「楽しい読書」の別冊編集後記を掲載していた
『作文工房』では、
過去に読書感想文の書き方といった記事を書いています。

・2005年02月16日(水) 読書感想文を書く(テーマ:作文と読書)
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10000797778.html
・2005年08月24日(水)
読書感想文の書き方―レフティやすおのアドバイス
(テーマ:作文と読書)
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10003729088.html

毎年かなりのアクセスを記録していました。

そこで、今回は、この夏休みのど真ん中の時期に、
私なりの読書感想文の書き方といったものを紹介してみましょう。


 ●「読書報告書」的な読書感想文の書き方

夏休みといえば、読書感想文―。

そんな決まりがあるかのように、読書感想文の宿題が出ます。
で、この感想文を書くと言うのが、結構苦痛だったものです。

普段から日常の授業のなかで
きちんとした読書指導と作文指導を受けている子供たちならば、
読書感想文の宿題など全く気にならないはずです。

それどころか大喜びしてもおかしくないでしょう。
なぜなら得意なことだからです。

そうではなく、読書感想文が苦手だ、苦になるというのは、
そういう適切な指導を受けていないからです。

ところがそういう学校や先生ほど、
この長期休暇中に読書感想文の宿題を出すようです。

せめてこんなときぐらい本を読まそう
という考えなのでしょうが、
それではかえって本嫌いを作りかねないように思うのですが…。

で、ここでは
本格的な正道の読書感想文の書き方というより、
邪道かもしれませんが、いってみれば、
本を読んだという事実を証明するための
「読書報告書」的なものの書き方を考えて見ましょう。


 ●基本的な設計図

本を読んで読書感想文を書きなさい、
自由に自分の好きなように書いていいのですよ、

といわれても、

普段から書きなれていない人、
初心者にはなかなか書けないものです。

でも、読書感想文には、実は一定の形式があるものなのです。
それを知っていれば、特に書くことに困ることはありません。

パターンはいくつかあると思います。
幸い昨今では「感想文のお手本」のような本も売っています。
パラパラッとそういう本を見てみるのもいいでしょう。


さて、実践―。

ではどうすればいいか、
まず一定の設計図を描いてみればよい、といいます。


【基本的な設計図】とは、

第一段階:導入部
・その本を選んだ理由―なぜこの本を読もうと思ったか、を書く。
・あらすじを書く―どんなお話か、何が書いてあるのか、
 大体のところを紹介する。

第二段階:内容
・具体的な例を挙げる―引用と感想。自分がどういう点に、
 何をどういうふうに感動したか、感心したか、興味を持ったか、
 面白いと思ったか、などを示す。

第三段階:まとめ
・著者の狙いは何か―著者は何を言いたかったのか、
 何を伝えようとしているのか。
・自分はどう感じたか、どう考えたか―本を読む前と比べて、
 読み終えて何がどう変ったか。

これで形はわかりました。


 ●報告者(あなた)の反応を記す

次に内容です。

簡潔な報告書を書くときの方法の一つに、
問いを設定し、それに答える、という方法があります。

適切な問いを発見できれば、それに答えるだけで、
必要なこと・重要なことが何であるかを導き出せるものです。


対象に対する具体的な質問を問い掛けてみる。

報告を受ける人が求めていること・知りたいと思うことは何か、
を考えながら、
その答えを導き出せるような問いを用意して、
それに答える形で、何を書けばよいかを見極めてゆくのです。


本の場合、何を読んだか、どんなお話だったか、これは基本です。
しかし、あらすじをだらだら書くのは無駄です。

報告を受ける人(先生)が本当に知りたい―伝えて欲しいのは、
報告者(あなた)の反応です。

この本を「なぜ選んだのか」であり、
この本の「どの点にどう反応したか」―「どう解釈したか」です。


 ●読むときにメモを取る

そこで、読むときはメモを取る準備をしておきます。
感想文を書くための「材料集め」です。

自分の本なら、鉛筆で線を引くなりしてもかまいません。
借りた本なら、短冊(付箋)をたくさん用意しておきます。

気になるところにはすべてマークします。

初心者は、線を引いて読むと、本が真っ黒になります。
付箋をつけて読むと、本が付箋だらけになります。

なぜなら、初めはどこが重要かの判断がつかないからです。

でも、それらのなかから、さらに絞ってゆけばいいのです。

そして、最終的には、あるポイントに絞って書くのです。
せいぜい二三点に絞って書くのです。

自分で「どうしてもこのことを伝えたい」、
と思うことだけに絞るのです。


長さに規定がある場合はそれにあわせなければなりません。

それでも、大体はそれで十分です。

では、始めてみましょう!


 ●例――森鴎外「最後の一句」

ここでは、弊誌

2022(令和3)年7月31日号(No.323)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から
(2)角川文庫『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』森鴎外」

で読みました『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』から
「最後の一句」を例に書いてみます。

角川文庫『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』森鴎外

220729sanshoudayuu-kadokawa

 ・・・

本編では、孝行娘が自分の命をなげうって
父を助けようとする行動が描かれています。

しかしその「献身」的行動ではなく、お白洲での取調で、
彼女が最後につけ加えた「最後の一句」――

 《「お上(かみ)の事には間違(まちがい)はございますまいから」》p.76

が、奉行所の役人たちに与えた影響が問題となっています。

 《白洲を下がる子供等を見送って、佐佐は太田と稲垣とに向いて、
  「生先(おいさき)の恐ろしいものでござりますな」と云った。
  心の中には、哀な孝行娘の影も残らず、
  人に教唆(きょうさ)せられた、おろかな子供の影も残らず、
  只(ただ)氷のように冷かに、刃のように鋭い、
  いちの最後の詞(ことば)の最後の一句が反響しているのである。》p.76

役人として、世の秩序を守ることを心掛けているはずの人々であっても、
現実の世では、実際には色々とお定め通りに事を行うことは難しいもの。

それを十分知っているからこその、
この一句に対しての反応だったでしょう。


 《献身の中に潜む反抗の鋒(ほこさき)は、
  いちと語(ことば)を交えた佐佐のみではなく、
  書院にいた役人一同の胸をも刺した。》p.76

というのも無理はないのです。


鴎外がこの小説に
「最後の一句」という作品名を与えた理由もそこにあるのでしょう。

娘いちの思い定めたような厳しい決意が感じられる一句で、
それを痛切に思い知らされた役人たちの物語でもあります。

私もこういう場で、確固たる一句を発言できるような
心の強さと自分への厳しさを持ちたいものですね。

 ・・・

――以上、感想文の例文として成り立っているかどうか、
  怪しいところもありますが、
  何かしらヒントにはなったのではないか、という気がします。

 ・・・

昨今では、
ネットで「読書感想文 書き方」といったキーワードで検索しますと、
いくつものレベルに合わせた参考書が見つかります。
それらを参考にするのもいいでしょう。


*(例)

・『ちびまる子ちゃんの読書感想文教室』貝田 桃子、さくら ももこ (著)
(ちびまる子ちゃん/満点ゲットシリーズ) 集英社 2017/7/14

・『ドラえもんの国語おもしろ攻略 読書感想文が書ける』藤子 F不二雄
(著), 宮川 俊彦 (監修)
(ドラえもんの学習シリーズ) 小学館 2013/7/11

・『小学1・2年生 スラスラ書ける読書感想文』永岡書店 2021/6/18
上條 晴夫 (監修)

・『脚本家が教える読書感想文教室』主婦の友社 2020/7/2
篠原明夫 (著)

 などなど……

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 ★創刊300号への道のり は、お休みします。
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本誌では、「夏休み特別編・読書感想文を書く―2008(平成20)年8月15日号(No.8)―加筆再録」と題して、全文紹介です。

以前からこの時期には、季節柄一度は書いておきたいと思っていたのが、「読書感想文の書き方」でした。

昔、書いたものがあり、結構アクセス数があったという記憶があり、またこちらのブログでも書いておきたいという気持ちがありました。

今回、もう一つの方のメルマガの8月13日の「国際左利きの日」の特別編のメルマガ原稿書きに追われてしまったこともあり、この際、昔の文章に一部手を入れてごまかしてやれという気になりました。

加筆もしているので、全くの再録ではなゐので、と言い訳しておきます。

本誌がおもしろいと思われた方は、ぜひこの機会に購読登録をよろしくお願いいたします。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
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『レフティやすおのお茶でっせ』
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2022.08.13

2022年8月13日左利きの日INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY合併号-週刊ヒッキイ第624号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』別冊編集後記

第624号(No.624) 2022/8/13
「2022年8月合併号―「8月13日は国際左利きの日」―」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第624号(No.624) 2022/8/13
「2022年8月合併号―「8月13日は国際左利きの日」―」
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 今月、8月13日(土)は、世界的な左利きの日
 「国際左利きの日」INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY です。

 毎年、この前後に、この「左利きの日」を記念した
 新たなブログ記事を書いてきました。

 今年も何か書く予定でいましたが、
 そうしますと、三週続けて左利きについて書くことになります。
 正直今の私には、その余力がありません。
 そこで、メルマガを一ヶ月通じての合併号とすることで、
 一つの記事で済ませることにしました。

 勝手ながらご容赦ください。

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
2022年8月合併号
―「8月13日は国際左利きの日(INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY)」― 
   左利きとアイデンティティ
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

 ●1976年から47回目の2022年8月13日「国際左利きの日」

今年も8月13日「国際左利きの日 INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」
が近づいています。

毎年毎年書いていることですが、
日本語で「左利きの日(8月13日)」とネット検索しますと、
難儀なほど、多数の
《1992年8月13日、イギリスにある「Left-Handers Club」により制定》
という記事が出てきます。

日本語版 Wikipedia「左利きの日」の受け売りが大半なのでしょう
けれど、困ったことです。
最も昔からやっているのですよ、といいたいのです。

なにしろ同じ「Wikipedia」でも英語版で
「INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」で検索しますと、

英語版Wikipedia「International Lefthanders Day」
https://en.wikipedia.org/wiki/International_Lefthanders_Day

冒頭に、
《International Left Handers Day is an international day
observed annually on August 13 to celebrate the uniqueness
and differences of left-handed individuals.
The day was first observed in 1976 by Dean R. Campbell,
founder of Lefthanders International, Inc.》
と出てきます。

210813international-lefthanders-daywikip

(画像:英語版ウィキペディアの「INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」の項目冒頭――下線部分の筆者訳:「国際左利きの日」は「レフトハンダー・インターナショナル」の創設者ディーン・R・キャンベルによって1976年に最初の祝祭が行われた)

それ以外にも、いくつものサイトで
この「1976年キャンベル起源説」が出てきます。

私自身、昔購読していたのが、
このキャンベルさんがチェアマンをしていた
「LEFTHANDERS INTERNATIONAL」という組織が発行する
「LEFTHANDER MAGAZIN」という左利きの人のための雑誌でした。

これは、1991(平成3)年3月発行の
『モノ・マガジン』1991年4月2日号 No.188
「特集/左を制するものは時代を制す/左利きの商品学」
(ワールド・フォトプレス)に掲載されていたもので、
1993(平成5)年に、英語を勉強して連絡を取り、
定期購読していたものでした(1993年11・12月号~1996年3・4月号)。

そこには、アメリカでのイベントのリポートなども掲載されていました。

ちなみに、雑誌で知ったイギリスの左利き用品専門店
「Anything Left-Handed」の顧客が参加できる、
前述の「Left-handers Club」の会員になり、
機関誌「The Left-hander」も定期購読していました
(1994(平成6)年No.16~1997年10月No.27)。

 

もちろん現在、世界的に唯一かもしれない、活動中の
「lefthandersday」サイト「https://www.lefthandersday.com/」では、
自身が始めた1992年を起源としています。

今年のサイトには、
《Welcome to the official site for the 30th annual Left Handers Day! August 13th is a chance to tell your family and friends how proud you are of being left-handed, and also raise awareness of the everyday issues that lefties face as we live in a world designed for right-handers.》
「30th」と書かれています。

これはあくまでも、先週の<号外>でも書きましたように、
そちら側の「主張」です。

本当の歴史的事実は、違います。

 

 ●記念日制定の趣旨は同じ――左利き生活向上のため

キャンベルさんもご自身左利きで、
アメリカのカンザス州トピカで左利き用品店を始め、
開店一周年のこの8月13日に、左利きの人のための会(前述の)
「LEFTHANDERS INTERNATIONAL」を開設、
左利きの人の生活向上のために左利き用品の普及を目指して、
この記念日を制定したわけです。

ですから、制定の趣旨は同じです。

 

この「国際左利きの日(INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY)」は、
本来外国の記念日ですから、日本語で調べるだけではなく、
英語で「INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」と調べれば、
より正確であろう情報に出会える、と考える方が自然でしょう。

と、私なら思うのですが、
大半の人は、日本語で調べただけで納得してしまうのでしょうか。

結果として、多くの人が間違った情報を広めています。
裏付けにこだわらない、という態度は、不思議です。

 

 ●私の左利きの活動のきっかけも……

上にも書きましたように、「左利きの日」制定の趣旨は、
左利きの人の生活向上を願って、左利き用品を普及させることでした。

そういう目的を持っています。
この日を機会に、左利きの人について、その生活について考えてもらう。

左利きの人の生活上の不便や困り事を解決する手段の一つとして、
道具を工夫すること、左利きの人に使いやすい道具を用意すること、
があげられます。

もちろん、そういう物理的な問題解決だけではなく、
といいますか、それ以前の問題として、
左利きについて知ってもらい、左利きに忌避感をもたないように、
という精神的な問題解決の面もあります。

また道具の開発や普及のためには、
多数派である右利きの人たちの協力や理解が必要です。
左利きの人だけで解決できる問題ではありません。

そういう意味からも、左利きの人のみならず、
右利きの人の側の意識改革が必要になります。

その機会としての「左利きの日」でもあるのです。

とはいえ、
まずは具体的な生活上の利便性の向上を図らねばなりません。

私が左利きの活動を始めたのも、左利きとして生きてきたなかで、
苦労したこと、不都合に感じたことなどの多くは、
道具を得ることで解決できるという意識があり、
上にも紹介しました1991年3月発行の
『モノ・マガジン』1991年4月2日号・左利き特集号 でみた
左利き用品の数々を集め、実際に使ってみて、
いいものはまわりの左利きの人に紹介しよう、と考えたからでした。

左手・左利き用品――道具から始まったのですね。

そういう意味では、「国際左利きの日」や
「左利きグッズの日」の制定の趣旨と同じ方向性ですね。

 

 ●左利きというコンプレックス

ただ、それ以前に、
精神性の問題も重要であることに変わりはありません。

私は「左利きである」ということにコンプレックスを持っていました。
「いました」と過去形で書きましたが、
本当は今でも根強く残っています。

それがそもそもの左利き活動の推進力であり、源泉でもあったわけです。

では、
そもそも左利きであることに関するコンプレックスとは何だったのか、
そして、
それはどういう形で現在の活動につながっているのでしょうか。

これを語り始めると長くなります。

今簡単に言えることは、
二十代に読んだ、箱崎総一先生の著書、
『左利きの秘密』(立風書房・マンボウブックス 1979)

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によって、
「間違っているのは自分ではなく社会の方だ」
と認識できたこと。

「変えるべきなのは、自分自身ではなく社会の方だ」ということ。

「右利き(偏重/優先)社会に順応できない左利きの自分自身ではなく、
 そういう左利きの人を容認できない――
 受け入れられない社会の方に問題があるのだ」
ということですね。

この社会の在り方を変えていかなければならない、
という思いが、左利き活動に進ませたのです。

 

 ●ゼナ・ヘンダースン《同胞(ピープル)》シリーズ

ここで、すこし話題を変えましょう。

左利きとアイデンティティについて考えて見ます。

ゼナ・ヘンダースンというアメリカのSF作家さんがいました。
1950年代から60年代にかけて主に活躍した人といっていいかと思います。
実際には、70年代に入っても活躍していたようですが、
日本で知られる代表作は大半が1950~60年代の短編です。

いちばんの人気作であり代表作といえるのは、
<ピープル>シリーズと呼ばれる一連の短編シリーズで、
『果てしなき旅路』(短編をまとめて長編に仕立ててある)と
『血は異ならず』(短編集)の2冊が出ています。

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*ゼナ・ヘンダースン<ピープル>シリーズ
1.『果てしなき旅路』ゼナ・ヘンダースン/著 深町眞理子/訳
ハヤカワ文庫 SF ピープル・シリーズ 1978/7/1

2.『血は異ならず』ゼナ・ヘンダースン/著 宇佐川晶子, 深町眞理子/訳
ハヤカワ文庫 SF 500 ピープル・シリーズ) 1977/12/1

私がこの作品が好きなのは、ここに登場する人たちが、
みな、社会から疎外された「一人ぼっち」の孤独な存在で、
その理解者との出会いとそれによる、
精神的な「孤独からの解放」を描いたような作品だったから、でしょう。

自分でそういう理由を自覚できたのは、
図書館で見つけた赤木かん子さんの本を読んだからでした。

『こころの傷を読み解くための800冊の本 総解説』
赤木 かん子/著 自由國民社 2001/5/1

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この本の紹介文はこうなっています。

 《アダルト・チルドレン(AC)という言葉は
  90年代初めにブームになりましたが、
  今ひとつ、理解しづらいものでした。
  そのアダルト・チルドレンの理解に役に立つように、
  そしてその理解によって、
  本人もまわりの人も少し楽になれることを願って、
  小説やマンガや児童書やミステリや専門書など、
  幅広い分野から本を集めて紹介します。
  生きにくいと感じて、アルコール依存、虐待、共依存…など、
  さまざまな問題を抱えている、そんな人たちの、
  こころの傷を読み解くために―。》

 《「アダルト・チルドレン(AC)――
  子ども時代に必要な愛情と安らぎを得られずに育ち、
  傷ついた心を抱え、癒されぬまま大人になっている人たち」
  をテーマにしたブックガイド。》

220812kokoro-no-kizu-8002

この本の中の「第2章 アイデンティティ」<差別>で、
『果てしなき旅路』が取り上げられていました。

お話そのものは、《故郷》の星が破滅の危機に陥り、
宇宙船で脱出した異星人《同胞(ピープル)》たちが
新たな生活の場を求めて移動中、地球に突入する際に、宇宙船が壊れ、
散り散りになった彼らは、世界中(大半がアメリカの山中)に
ばらばらに住み着きます。

自分たちの優れた能力(人類から見れば超能力)を封印して、
地球人らしく振る舞うことで、地球人の社会に順応しようとするのです。

超能力の持ち主であることが分かれば――異星人という、
地球人とは違った存在だと分かれば――社会から排除されたり、
抹殺されたり、迫害されるという歴史があったからです。

しかし、真の自分を偽り、身を隠すような生き方は、
心が苦しむものです。

「人とは違う」という事実は、
特に大人の事情が理解できない子供には多大な影響を与えます。
結果的に様々な問題を引き起こすことになるのです。

この本に関する説明文を読んだ時、
初めて自分がどういう理由でこの本を好んでいたのか、
ということが理解できました。

 

 《数家族で放り出され、谷間に住みついた一族は
  自分のアイデンティティには悩まなくてすみました……
  でも子どものときに、一人ぼっちになり、
  つまり自分が何者なのか教えてもらえなかったために悩み、怯え、
  うっかり力をつかっては気味悪がられ、
  そのために州中の学校で拒否されて、
  自分は“違うのだ”ということで絶望してその谷へやってきて
  同朋とめぐりあった女教師のような人々の物語……、
  ピープルがピープルと出会い、自分は一人ではないということ、
  本当の自分をさらけだして生きてもいいのだということを知った時
  どんなに嬉しかったか、という話が、ある晩、ある山のふもとで
  交替で語られるのです。
  それは個人の歴史であると同時に一族の歴史であり、
  集まってきた人々すべてを共感で満たし、
  今までの傷を癒やす作業でもあるのでした――。》p.69

要するに、社会から受け入れられず、迫害を受けている人々が、
同じ立場の人や思いやりのある理解者という味方を得て、
精神的に立ち直り、新たな人生に取り組んでいく、という物語です。

こういう背景は、ある意味で左利きであること――
右利きの「普通の人」とは違うということで、
色々な嫌な思いを経験してきた私自身と重なるものがあったのです。

 

続けてこう書いています。

 《これって……そのまんま、ACの物語でしょう?/
  私はこれが、大好きでした。このテの話が……。
  自分はまわりと違う、という孤独感と孤立感に悩まされ、
  不安で不幸な人々が自分と同じ人々と出会い、救われ、解放され、
  幸福になる……そういう話が――。そうしてそのテの物語を、
  “ピープル・タイプ”と呼んでいました。それは今考えればみな、
  アダルト・チルドレンの物語だったのです。/
  当時のSF作家たちは超能力者だけではない
  いろいろなSF的手法を使って、
  ACの癒やしの物語を紡いでいたのでした。なぜか……?!
  彼ら自身がそうだったから……、そしてそうやって
  自分自身を癒やそうとしたのではないかと私は思います。》p.69

 

220812kokoro-no-kizu-8003-hatesinakitabi

《自分はまわりと違う、という孤独感と孤立感に悩まされ、
 不安で不幸な人々》

まさに、当時の私は、そういう「不幸な左利きの一人」だったのです。

そんな
《人々が自分と同じ人々と出会い、救われ、解放され、幸福になる》
としたら、どうでしょうか。

こんな素晴らしいお話は他にはありませんよね。

 ・・・

ここまで書いたところで、もうかなりの行数になりました。
本来は、
「左利きとアイデンティティ」について書くつもりだったのですが、
前半に少し行数をとられてしまったようです。

 

「国際左利きの日」について語ることも大事なのですが、
「なぜ制定されたのか?」という根本的な部分が
「左利きの人の生活向上には適切な道具は大事だよ」
だけで終わっています。

それ以前に、
「どうして左利きの人は必要な道具が手に入れにくいのか」
という部分が説明されていない、ように思います。

必要なのに、適切な道具が手に入れにくいのか、
それは、
「左利きの人の必要とする道具がどういうものかよく知られていない」
という理由が、一つあります。

それは、
「左利きの人の必要なものが右利きの人の必要なものとは違うのだ」
という事実が知られていないからでしょう。

それは、結局、右利きの人と左利きの人との「違い」の認識の問題です。

それが左利きとアイデンティティに関わることだと思うのです。
その辺をお話ししたかったのですけれど。

もう一度、来月の第一土曜日発行分で、
今回の続きを書きたいと思います。

ゼナ・ヘンダースンさんの<ピープル>シリーズと
赤木かん子さんの本の記述をもう少し紹介して、
作品を通して具体的な「疎外者」の意識を、
私のような左利きの人が感じていたであろうそれと比較して、
考えていただけるようにしようと思っています。

 ・・・

 要は、ゼナ・ヘンダースンさんの<ピープル>シリーズについて
 語りたいだけなのかもしれません……。

 

*参照:「レフティやすおのお茶でっせ」
 過去の「8月13日は<国際左利きの日>」の関連記事

カテゴリ:8月13日国際左利きの日

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 「★600号までの道のり」は、お休みです。

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本誌では、「2022年8月合併号―8月13日 国際左利きの日 INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY―」と題して、今回も全紹介です。

ゼナ・ヘンダースンについて少し書いておきます。

私の好きなSF作家の一人で、短編派の作家では、ロバート・F・ヤングと並ん部存在というところです。
以前、ハヤカワ文庫50周年の時に、もう一つのメルマガ『レフティやすおの楽しい読書』で「ハヤカワ文庫の50冊」という企画をやった際にあげた「【私のお気に入り7】」に、
ジャック・フィニイ『ゲイルズバーグの春を愛す』に次いで、
2.ゼナ・ヘンダースン『果しなき旅路』 3.ロバート・F・ヤング『ジョナサンと宇宙クジラ』 にあげています。
他には、
4.ロバート・ネイサン『ジェニーの肖像』 5.シャーリイ・ジャクスン『野蛮人との生活―スラップスティック式育児法』 6.クレイグ・ライス『スイート・ホーム殺人事件』 7.ルイス・ギルバート『フレンズ―ポールとミシェル』 です。

というように、非常に愛好する作家の一人で、世界的な大作家さんでもなければ、世界の名作文学というわけではないかもしれません。
しかし、単にお話がおもしろいとか、表現や文章がうまいとか、センス・オブ・ワンダーに優れているとか、なんやかんやといった小説のもつ面白さだけではなく、プラスアルファの部分が非常に心に響く作品を書く作家さんという印象です。

ぜひ、機会を作って読んでいただきたい作家さんの一人です。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

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2022.08.06

左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii(号外)8月13日合併号のお知らせ

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

(号外)8月13日合併号のお知らせ

「別冊編集後記」ではないのですが、次号への誘導といいますか、客引きの呼び込みのようなものです。

メルマガの号外を転載しておきます。

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【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(号外)8月13日合併号のお知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

弊紙は、<週刊hikkii>という名のとおり、
本来は毎週土曜日発行の週刊誌でした。

今年は、8月13日「国際左利きの日 INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」
が、土曜日に当たるということでもあり、
ちょっと疲れてきていることもあり、
今月は手抜きで、本日第一土曜と第三土曜の月二回発行を、
13日の月一発行で勘弁していただこうと思います。

8月13日に「2022年8月合併号―8月13日 国際左利きの日
 INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY―」をお送りします。

ちなみに、1976年の第1回から47回目の記念日になります!

毎年この日に関しては、ブログ等で書いていますように、

日本語版 Wikipedia「左利きの日」等で紹介されている、

《1992年8月13日、イギリスにある「Left-Handers Club」により制定》
という、1992年イギリス・レフトハンダーズクラブ説は、
この会の「主張」であって、真実ではありません。

(私の英語読解力に誤りなければ)正しくは、
アメリカのカンザス州の州都トピカの左利き用品店のオーナー、
ご自身左利きのキャンベルさん(Dean R. Campbell)が、
開店一周年を機に左利きの人の会(Lefthanders International)を始め、
左利きの人の生活向上のために左利き用品の普及を目指し、
開店記念日の8月13日を
「国際左利きの日」(INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY)という
記念日に制定したのです。

イギリスの「Left-Handers Club」は、
イギリスの左利き用品専門店「Anything Left-Handed」の顧客を
もとにした左利きの人の会です。
「Anything Left-Handed」は、2018年に開店50周年を迎えたという、
1968年創業の老舗ですが、
当初は右利きの人が始めた隙間狙いの業態でした。
その後、左利きの人がオーナーとなり現在に至るのでした。
ロンドンという大都会での営業ということで、
宣伝に知恵を絞らなくても、結構経営的には、そこそこだったのでしょうね。

一方、州都とはいえ、アメリカの田舎での営業ということで、
1975年に開業した後発のお店であるキャンベルさんちは、
色々な工夫と宣伝が必要だったのかもしれません。
そこで、こういうイベントを考案されたのでしょうか。

イギリスの方は、キャンベルさんちが一足先に始めた
この記念日にのっかったという形でしょうか。
(ほんとうのところは存知ませんが。)

また来週の合併号で、これらのことは書いてみる予定ですが、
とにかく、
日本での「1992年イギリス制定」説は、なんとかしたいものです。
読者の皆様もご協力いただけると幸いです。

別にイギリスの人がマネしたとかパクったとか非難するつもりはなく、
単純に「もっと長い歴史があるのですよ」と強調したいのです。

 

 

210813international-lefthanders-daywikip

(画像:英語版ウィキペディアの「INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」の項目冒頭――下線部分の筆者訳:「国際左利きの日」は「レフトハンダー・インターナショナル」の創設者ディーン・R・キャンベルによって1976年に最初の祝祭が行われた) 

 

*参照:「Anything Left-Handed」の歴史

左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
第525号(No.525) 2018/9/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その23―
左利き者の証言から~ (特別編)ALH50年史概略(前編)」

●2018.8.29
8月16日イギリスの左利き専門店“Anything Left-Handed”50周年
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2018/08/816anything-lef.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/78163f651ba5307f93c67fb4d0a40994

 

*参照:「レフティやすおのお茶でっせ」
 過去の「8月13日は<国際左利きの日>」の関連記事

カテゴリ:8月13日国際左利きの日

[29]・2021.8.12
8月13日「国際左利きの日」を前に、左利きメルマガ「週刊ヒッキイ」創刊600号達成
goo「新生活」版

[28]・2021.8.7
「左利き差別」問題と「みにくいアヒルの子」-週刊ヒッキイ創刊600号記念号
goo「新生活」版

[27]・2020.8.12
2020年8月13日は1976年の制定から45回目の国際左利きの日

[26]・2019.8.13
8月13日は国際左利きの日-1976年の制定より今年は44度目

[25]・2018.8.13
8月13日国際左利きの日ILHDとAKB48Team8左利き選抜のことなど

[24]・2017.8.13
8月13日はハッピーレフトハンダーズデー!

[23]・2016.9.1
8月13日は〈国際左利きの日〉特別編-左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii第474,475,476号

[22]・2016.8.14
昨日(8月13日)アメブロで「今日は左利きの日」をやってました

[21]・2016.8.10
今年もやります!8月13日レフチャス(LEFTEOUS)の日―国際左利きの日

[20]・2015.8.12
明日8月13日は1976年制定から40回目の国際左利きの日

[19]・2014.8.12
8月13日は39回目の国際的な<左利きの日>&LEFTEOUS2014年

[18]・2013.8.13
8月13日<国際左利きの日>企画「ヒダリキックマガジン」で始まる!

[17]・2013.9.2
『グリグリくりぃむ』左利き選手権:<国際左利きの日>情報5

[16]・2013.8.28
ブログネタ「両利きになる練習したことある?」:<国際左利きの日>情報4

[15]・2013.8.19
雑学フェアにて~渡瀬けん著『左利きの人々』:<国際左利きの日>情報3

[14]・2013.8.18
レフチャス(LEFTEOUS)day2013:<国際左利きの日>情報2

[13]・2013.8.13
8月13日<国際左利きの日>企画「ヒダリキックマガジン」で始まる!

[12]・2012.8.12
8月13日は37度目の“左利きの日”

[11]・2011.8.13
国際“左利きの日”を迎えて&週刊ヒッキイ273号特別編「個人モデル」から「社会モデル」へ

[10]・2010.8.21
今週の-週刊ヒッキイhikkii225名作の中の左利き(番外編)はさみ

[9]・2010.8.14
今週の-週刊ヒッキイhikkii224《矯正/直す》表現に思う(5)前編

[8]・2010.8.13
13日の金曜日はナント…左利きの日

[7]・2009.8.22
今週の週刊ヒッキイ―第193号「<左利きプチ・アンケート>再版第33回」

[6]・2008.8.13
33回目の8月13日国際左利きの日

[5]・2007.8.14
少数派の気持ち伝える「左利きの日」企画開催される

[4]・2006.8.13
きょう8月13日は≪国際≫左利きの日です

[3]・2005.8.13
今年も今日8月13日はINTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY

[2]・2004.8.13
きょう8月13日はINTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY 「左利きの日」

[1]・2004.8.12
明日8月13日は「左利きの日」 

 ・・・

ということで、合併号のお知らせでした。

ホント、お知らせだけとつもりでしたが、
ついつい何やかやと書いてしまいました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

ではまた。

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2022.07.31

新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から(2)角川文庫『山椒大夫~』森鴎外-「楽しい読書」第323号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書-322号【別冊 編集後記】

2022(令和3)年7月15日号(No.322)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から
(2)角川文庫『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』森鴎外」

※「森おう外」の「おう」は正確には「鷗」ですが、
 この文字は「環境依存文字」ですので、
 当メルマガでは、新字の「鴎」を代用しています。

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2022(令和3)年7月31日号(No.323)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から
(2)角川文庫『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』森鴎外」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今年も毎夏恒例の新潮・角川・集英社の
 <夏の文庫>フェア2022から――。

 当初は、年一回7月末に、
 三社の文庫フェアから一冊ずつ紹介していました。

 近年は、読書量の減少もあり、
 自分にとっての“新規の作家を発掘”しようという試みもあり、
 7月、8月の月末二回程度に分けて紹介してきました。
 
 で、今年は一号ごと三回続けて、一社に一冊を選んで紹介しよう
 と思います。

 二回目は、角川文庫です。

 

新潮文庫の100冊 2022
https://100satsu.com/

角川文庫 カドブン夏フェア2022
https://kadobun.jp/special/natsu-fair/

集英社文庫 ナツイチ2022
http://bunko.shueisha.co.jp/natsuichi/

 

 ~<夏の文庫>三社フェア2022・第一回~

2022(令和3)年7月15日号(No.322)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から(1)
新潮文庫『老人と海』ヘミングウェイ(高見浩訳)」
2022.7.15
新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から(1)新潮文庫『老人と海』
-「楽しい読書」第322号

「新生活」版 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ◆ 2022テーマ(2)森鴎外 没後100年・晩年の名作 ◆

  新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から

  (2)角川文庫『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』森鴎外

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●森鴎外、没後100年

角川文庫からは、森鴎外の没後100年ということで、
(1862年2月17日(文久2年1月19日)-1922年(大正11年)7月9日)
鴎外を取り上げてみることにしました。

角川文庫のこの本を読むのは初めてですが、
以前、弊誌で森鴎外の「舞姫」を取り上げた際に、
他社文庫(岩波文庫、文春文庫)で、
これらの収録作品を読んでいました。


2011(平成23)年2月28日号(No.53)-110228-
人知らぬ恨「舞姫」森[鴎おう]外

※「別冊 編集後記」~『レフティやすおの作文工房』~
2.28
森[鴎]外を読む:「舞姫」人知らぬ恨
―第53号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」

 

ちなみに、鴎外の「鴎(おう)」は、正しくは、偏の「区」の部分が旧字、
囲いの中の「メ」の部分が「口」3つです。
メルマガではこの漢字は使用できない(「×」になってしまう)ので、
便宜上、新字で紹介しています。

 ・・・

角川文庫『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』森鴎外
https://www.kadokawa.co.jp/product/201202000090/

角川文庫『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』森鴎外

220729sanshoudayuu-kadokawa

目次:(o:私のお気に入り)

o「山椒大夫」
o「じいさんばあさん」
o「最後の一句」
o「高瀬舟」
 「附高瀬舟縁起」
「魚玄機」
「寒山拾得」
 「寒山拾得縁起」
「興津弥五右衛門の遺書」
o「阿部一族」
「佐橋甚五郎」

 ・・・

ちなみに、「新潮文庫の100冊 2022」からも、
森鴎外の後期の作品集が選ばれています。

『山椒大夫・高瀬舟』新潮文庫‎ 改版 2006/6/1

220729sanshoudayuu

 

全12編収録で、共通するのは、
「興津弥五右衛門の遺書」「山椒大夫」「最後の一句」
「高瀬舟」「高瀬舟縁起」の5作。

個人的には、角川文庫版の方が、
後期の名作中の名作とも言うべき作品を集めていて「買い」でしょう。

 

 ●「山椒大夫」

まずはそれぞれの作品について軽くふれておきましょう。

「山椒大夫」は、安寿と厨子王の物語として有名でしょう。

私は子供の頃に東映動画のアニメ『安寿と厨子王』として親しみました。

父を訪ねて西国へ向かう安寿と厨子王とその母と女中の四人旅。
人買いの山岡大夫に騙されて、母は佐渡への船に売られ、
女中はこれまでと身を投げて死ぬ。
一方、子供二人は富山からさらに西へ向かう船に売られます。
で、題名となっている山椒大夫のもとに。
安寿は潮汲みで、厨子王は柴刈り。
で、心定めた安寿は、ある日、弟の厨子王を都に逃げろと教え、
自分は入水自殺します。
近くの寺に逃げ込み、都へ逃げ延びた厨子王は、
清水寺で関白師実(もろざね)と出会い、守り本尊の仏像のお陰もあって、
出世し、丹後の国守となって人買いをやめさせ、
佐渡に渡り、母とも出会い、めでたしめでたし――。

安寿の思い定めた心の強さが心に残る作品です。

「じいさんばあさん」は、仲のよい老夫婦のお話。
これはあとでふれます。

 

 ●「最後の一句」

「最後の一句」は、大阪の町奉行に直訴した少女のお話。
高校時代の教科書で初めて読んだ、鴎外作品。

 《「お上(かみ)の事には間違(まちがい)はございますまいから」》p.76

という当年16歳の長女いちが、
西町奉行所の白洲での取り調べで最後につけ加えた、
この<最後の一句>が厳しく心に残ります。

 《白洲を下がる子供等を見送って、佐佐は太田と稲垣とに向いて、
  「生先(おいさき)の恐ろしいものでござりますな」と云った。
  心の中には、哀な孝行娘の影も残らず、
  人に教唆(きょうさ)せられた、おろかな子供の影も残らず、
  只(ただ)氷のように冷かに、刃のように鋭い、
  いちの最後の詞(ことば)の最後の一句が反響しているのである。
  元文(げんぶん)頃の徳川家の役人は、
  固(もと)より「マルチリウム」という洋語も知らず、
  又当時の辞書には献身と云う訳語もなかったので、
  人間の精神に、老若男女の別なく、
  罪人太郎兵衞の娘に現れたような作用があることを、
  知らなかつたのは無理もない。
  しかし献身の中に潜む反抗の鋒(ほこさき)は、
  いちと語(ことば)を交えた佐佐のみではなく、
  書院にいた役人一同の胸をも刺した。》p.76

安寿の思い定めたような心と同じような厳しい決意が感じられます。

 

 ●「高瀬舟」

弟殺しの罪で島流しになる罪人を護送する
京都の高瀬川を行く高瀬舟の役人が、その罪人喜助の態度が
今までの罪人たちと異なる様子に思わず事情を聴くというお話。

身寄りのない兄弟二人だけで生活におわれていたが、
弟が病気になり、兄貴助の負担になるのを嫌い、
自殺を図るが、死にきれずにいる。帰った喜助に殺してくれと言う。
仕方なくカミソリを引いたとき、近所の女が現れ……。
罪人となり遠島になるにあたって、ただ飯を食わせてもらった上、
二百文のお金までもらえたことに、素直に喜んでいるのです。
今までまじめに働いていてもこのような大金を手にしたことはない、
というのです。
役人は、この弟殺しというものが本当に罪なことだったのか、
と考え込んでしまいます。

 《これが果して弟殺しというものだろうか、
  人殺しと云うものだろうかという疑(うたがい)が、
  話を半分聞いた時から起(おこ)って来て、聞いてしまっても、
  其(その)疑を解くことが出来なかった。(略)
  喜助はその苦(く)を見ているに忍びなかった。
  苦から救って遣(や)ろうと思って命を絶った。
  それが罪であろうか。殺したのは罪に相違ない。
  しかしそれが苦から救うためであったと思うと、
  そこに疑が生じて、どうしても解けぬのである。》p.92

役人は、上のものの判断に任せるしかない、と思う。
お奉行さまの判断を自分の判断にしようと思うのでした。

安楽死問題を扱った医師らしいとも言えるお話です。
文豪ミステリ的な意味合いもあり、有名な作品です。

「附高瀬舟縁起」は、作品の背景を語るもの。

 

 ●「魚玄機」「寒山拾得」

この二つは、中国ものの歴史物です。
「魚玄機」は、詩の才能を持った女性(名前がタイトル)のお話。
漢詩が出てきます。

「寒山拾得」は、仏教もののユーモア編という感じです。
(「寒山拾得縁起」は、その背景を語るもの。)

 

 ●「興津弥五右衛門の遺書」「阿部一族」

江戸時代の殉死もの二編。
「興津弥五右衛門の遺書」は、殉死の覚悟を決めた男の遺書。

「阿部一族」は、この短篇集中ももっとも長い短編
(といっても50ページほど)。
殉死を許されなかった侍が追い腹を切るが認められず、討手を出され、
阿部一族は閉じこもり対抗するが……。

「武士道とは死ぬことと見つけたり」の世界の物語。
殉死の範囲というものも規定があるわけではなし、
追い腹を認められる場合もあり、
討手となっても死をもって奉公の態度を示さねばならなかったり、
武士の道とは死ぬことという言葉を文字通り示すお話。
名誉を重んずる故の行動とはいえ、
理不尽でもあり、悲劇でもあるという、
何かしら割り切れない気持ちになります。

「佐橋甚五郎」は、逆に生きのびることにつくした男のお話。

 

 ●「じいさんばあさん」

本書はまさに、鴎外の晩年の名作を集めた一冊です。

その中で、最後に、今年の私のこの企画のテーマともいうべき、
老人問題から、「じいさんばあさん」を取り上げましょう。

非常に仲のよい老夫婦の謎とは?

江戸時代の話です。
武家屋敷の一角の離れに引っ越してきた老夫婦は、非常に仲がよい。
近所のものの話では、
もしこれが若い男女だったら平気で見ていられないというほど。
なかには、夫婦ではない、兄弟だろうという人も。
なぜなら
 《隔てのない中(うち)に礼儀があって、夫婦にしては、
  少し遠慮をし過ぎているようだと云うのであった。》p.50

 《二人の生活はいかにも隠居らしい、気楽な生活である。
  爺いさんは眼鏡を掛けて本を読む。細字で日記を附ける。
  毎日同じ時刻に刀剣に打粉(うちこ)を打って拭(ふ)く。
  体(たい)を極(き)めて木刀を揮(ふ)る。
  婆あさんは例のまま事の真似をして、
  その隙(すき)には爺いさんの傍(そば)に来て団扇(うちわ)であおぐ。
  もう時候がそろそろ暑くなる頃だからである。
  婆あさんが暫しばらくあおぐうちに、
  爺いさんは読みさした本を置いて話をし出す。
  二人はさも楽しそうに話すのである。》pp.50-51

 《どうかすると二人で朝早くから出掛けることがある。(略)
  二人が出歩くのは、最初のその日に限らず、過ぎ去った昔の
  夢の迹(あと)を辿(たど)るのであろうと察した。》p.51

男のほうは伊織という武家だが、癇癪持ちが玉に瑕という。
嫁のるんは、決して美人ではないが、
長年、屋敷奉公をしていて行き遅れたが、押し出しが立派で賢く、
才気にあふれている、良き嫁であった。

新婚間もなく、伊織は京に出向くことになる。
無事に任務を終えるが、良い刀の出物があり、同役に借金をして買う。
そのお披露目会で招かれていない借金の主が現れ、言い争いになり、
かんしゃくを破裂させた伊織は相手を切りつけ殺してしまう。

その結果、よそへお預けの身となり、二人は離ればなれに。
夫の祖母も息子も亡くしたるんは、武家に奉公に出る。

そしてようやく夫がお預け御免となり、
こうして、37年ぶりに二人は夫婦として暮らすことになったのでした。

 

こういう事実が明らかになりますと、
この老夫婦お二人の仲の良さというものも理解できるように思います。

凍結されていた新婚時代が、時を超えて復活した、というわけですね。
とてもいいお話だと感じました。

ということで今回はおしまいです。

 

 ●鴎外と漱石

森鴎外という人は、明治の文豪としては、
夏目漱石(1867年2月9日〈慶応3年1月5日〉-1916年〈大正5年〉12月9日)
と並ぶ二大文豪とされています。

私自身は、夏目漱石よりは、鴎外の短編の方が好き
という印象があります。

今回紹介しましたような一連の短編ですね。
他にも、処女作の「舞姫」のような作品ですね。

ちなみに、「新潮文庫の100冊 2022」に選ばれている
森鴎外『山椒大夫・高瀬舟』に収録されている「普請中」は、
この「舞姫」のモデルとされる外国人の女性が
日本にやってきたというお話で、興味深いものがあります。

仕事を持っていたということもあるのでしょうが、
夏目漱石が長編が多いのに対して、鴎外は短編が多い、
という違いがあります。

一つは、鴎外が軍医であったという兼業作家だったのに対して、
漱石は東京帝大の先生を辞めてから
(漱石はラフカディオ・ハーンに代わって日本人の文学部講師になった
 ――余談ですが、ハーンの研究もある、
 比較文学研究家の平川祐弘(ひらかわすけひろ)さんの説では、
 ハーン同様、熊本の第五高等学校の先生をやり、イギリス留学後、
 ハーンの後釜として、東京帝大文学部の講師になった、そして、
 ハーンの「怪談」に対抗して「夢十夜」を書いた、といいます。)、
朝日新聞に入社、新聞に小説を連載する仕事を始めた、
という専業作家だったという事実もあります。
鴎外は、時間的に長いものを書く余裕がなかった、というわけですね。

しかし、基本的にはその人の作家としての資質の問題でもあるのでしょう。
長編作家と短編作家という違いがあります。

同じ小説でも、やはりワン・アイデアでも書ける短編に対し、
ある程度の構想が必要な長編という違いがありそうです。

読む場合でも、私のように体力に自信のない人は、
一気に読める短編を好み、
体力のある人はじっくり長編に取り組めるのではないでしょうか。

まあ、そんな気がします。

漱石の印象が悪いのは、
高校時代に国語の宿題で『こころ』を読まされた
という経験がマイナスになっています。

その後、漱石も自主的に明治の文豪ということで、
『こころ』の再読のほか、『坊ちゃん』や『吾輩は猫である』『草枕』
『三四郎』などを読みました。
マイナスな印象はあまり変わっていません。

『坊ちゃん』などはもう一度きちんと読んでみたいものです。

ほかの作品も読み進めれば、
また違ってくるのかもしれませんけれど……。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ★創刊300号への道のり は、お休みします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から (2)角川文庫『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』森鴎外」と題して、全文紹介です。

明治の文豪で、今年没後100年になる森鴎外の晩年の名作集を取り上げました。

本文中にも書いていますように、印象に残っている作品がいくつもあります。
東映動画の「安寿と厨子王」でよく知られた物語「山椒大夫」、高校の教科書で読んだ作品で、この一言は現代でも大きな意味を持つ「最後の一句」、安楽死問題、下層階級の経済問題など多くの社会性を持つ「高瀬舟」、武士道とは死ぬことと見つけたりという殉死問題を扱う「阿部一族」などなど。

なかでも、若夫婦のように仲のよい老夫婦の謎の真相を描く「じいさんばあさん」は、今年のこの夏の三社フェアの私のテーマ<老人>問題に関連して取り上げてみました。
正直、仲のよい老夫婦をみますと、あこがれますよね。

 

[追記] 本文中、「山椒大夫」に関連して、

 《私は子供の頃に東映動画のアニメ『安寿と厨子王』として親しみました。》

と記載しましたが、調べてみますと、『安寿と厨子王丸』が正しい題名でした。
1961年7月19日公開作品。

 

*『安寿と厨子王丸』DVD
 

220729anju-to-zusioumaru

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2022.07.16

『左組通信』復活計画<左利きプチ・アンケート>(15)利き手調査(3-2)第37回H.N.きき手テスト-週刊ヒッキイ第623号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第623号 別冊編集後記

第623号(No.623) 2022/7/16
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [15]
<左利きプチ・アンケート> 全公開(15)「利き手調査」その3-2
 第37回新版・利き手調査第3回―H.N.きき手テスト」

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【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第623号(No.623) 2022/7/16
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [15]
<左利きプチ・アンケート> 全公開(15)「利き手調査」その3-2
 第37回新版・利き手調査第3回―H.N.きき手テスト」
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 <利き手調査アンケート>編の3種類目の利き手テストを紹介します。

 H.N.きき手テストのアンケートの新版の紹介です。

 このテストは、日本人の利き手を正しく判断する上で、
 「日本人による日本人のための利き手テスト」
 とでもいうべきものになっています。

 日本では、長年左利きが忌避され、
 右手使いが正しい作法という考えから、「矯正」と呼んで、
 特に箸使いと字を書くことに関して、
 無理矢理、左利きの子供を右手使いに転換させることが
 行われてきました。
 
 その影響から、
 エディンバラ利き手テストの項目の「字を書く」等の項目が
 真の「利き手」を判断する指標にはなりにくい
 という事実がありました。

 その欠点を補正するために調査項目の変更が為されたのです。

 前回の「第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト」アンケートは、
 テスト結果からご自身の利き手の傾向を判断する、
 という形になっていました。

 今回は、
 アンケート結果を「右利きの投票者」と「左利きの投票者」と、
 投票者ご自身の自己申告の利き手別に集計する形にしました。

 本人の意識と実態の間にギャップがあるのかどうかを確認する、
 といったところでしょうか。

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年(その22)
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [15]
  <左利きプチ・アンケート> 全公開(15)
  「利き手調査」アンケート編・その3-2
  第37回新版・利き手調査第3回―H.N.きき手テスト
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 ●第37回 新版・利き手調査3回目―H.N.きき手テスト

220709-enq37

 

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左利きを考える レフティやすおの左組通信
 Lefty Yasuo's HIDARIGUMI Announcement
 
  <左利きプチ・アンケート>
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<左利きプチ・アンケート>
第37回新版・利き手調査第3回―H.N.きき手テスト 
 2007.1.28-2.24(4weeks)

(初出)2007.2.25(最終)
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<左利きプチ・アンケート>
第37回新版・利き手調査第3回―H.N.きき手テスト

「第33回新版・利き手調査第1回―利き手テスト側性係数を調べる」
「第35回新版・利き手調査第2回―エディンバラ利き手調査」に続く、
利き手別に投票する新版利き手調査アンケートの第三弾!
「第23回利き手調査3回目―H.N.きき手テスト」の新版です。

・・・

H.N. きき手テスト

これは、エディンバラ利き手調査や
アネット尺度(イギリスの利き手研究家の使用した利き手テスト)では、
社会的文化的影響を強く受けている日本人の利き手を正しく判断できない
という考えによって作成されています。

文字や絵を書/描く動作、およびナイフやスプーンあるいは箸を使う
といった摂食に関わる動作を割愛して、
いわゆる「矯正」の影響を省こうとしています。
(八田武志・中塚善次郎氏によって作成された故、
 その頭文字をとってこう呼ばれているようです。)

※参照―八田武志『左ききの神経心理学』医歯薬出版 1996.11

220412hidarikiki-no-sinkeisinrigaku

 

以下の動作においてあなたはどちらの手を使いますか。

▼調査項目:

1・消しゴムはどちらの手に持って消しますか?
2・マッチをするのに軸はどちらの手に持ちますか?
3・ハサミはどちらの手に持って使いますか?
4・押しピンはどちらの手に持って押しますか?
5・果物の皮をむくときナイフはどちらの手に持ちますか?
6・ネジまわしはどちらの手に持って使いますか?
7・クギを打つときカナヅチはどちらの手に持ちますか?
8・カミソリ、または口紅はどちらの手に持って使いますか? 
9・歯をみがくとき歯ブラシはどちらの手に持って使いますか?
10・ボールを投げるのはどちらの手ですか?  

▼判定基準:

左手の場合には、-1点、
どちらでもないとき(どちらともいえない場合)は、0点、
右手の場合は、+1点、
 を配点する。

その合計点数が、
-4点以下は、左利き、
+8点以上は、右利き、
それ以外(-3~+7)は、両手利き、
 とします。

さて、あなたは右利き、それとも左利き、あるいは両利き、
いずれに判定されましたか。
以下の中で当てはまる番号に投票してください。

*投票者の利き手別で選択肢を用意しています。
ご自身でご自分の利き手を右もしくは左と、
どちらか判断した上で投票してください。

*一言言わせて、という方は投票後に表示されます一番下の
「ご意見ボード」をご利用ください。
もっと言わせて、という方は掲示板もご利用ください。
貴方のご意見ご感想をお聞かせください

1 (右利きの投票者)+10~+8
2 ( 〃 )+7~+4
3 ( 〃 )+3~-3
4 ( 〃 )-4~-10
5 (左利きの投票者)+10~+8
6 ( 〃 )+7~-3
7 ( 〃 )-4~-7
8 ( 〃 )-8~-10

現在の結果を見る(ご意見ボードはこちら)

------------------------------------------------------------------
初出締め切り時(2007.2.25)の投票結果

実施期間2007.1.28-2.24(4週間・総数t33/R8:L25)
------------------------------------------------------------------

1 (右利きの投票者) +10~+8 1
2 (   〃   ) +7~+4 5
3 (   〃   ) +3~-3 1
4 (   〃   ) -4~-10 1
5 (左利きの投票者) +10~+8 8
6 (   〃   ) +7~-3 4
7 (   〃   ) -4~-7 2
8 (   〃   ) -8~-10 11

ご意見ボードへの書き込み
(ご意見はありません)

------------------------------------------------------------------

 ★ ★ ★

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途中経過(2007/12/22 t=278, R=125, L=153)
------------------------------------------------------------------

1 (右利きの投票者) +10~+8  30
2 (   〃   ) +7~+4   33
3 (   〃   ) +3~-3   34
4 (   〃   ) -4~-10  28
5 (左利きの投票者) +10~+8  36
6 (   〃   ) +7~-3   30
7 (   〃   ) -4~-7   31
8 (   〃   ) -8~-10  56

------------------------------------------------------------------
途中経過(2009/01/22 t=573, R=267, L=306)
------------------------------------------------------------------

1 (右利きの投票者) +10~+8  73
2 (   〃   ) +7~+4   72
3 (   〃   ) +3~-3   56
4 (   〃   ) -4~-10  66
5 (左利きの投票者) +10~+8  76
6 (   〃   ) +7~-3   73
7 (   〃   ) -4~-7   66
8 (   〃   ) -8~-10  91

------------------------------------------------------------------
途中経過(2009/06/26 t=783, R=365, L=418)
------------------------------------------------------------------

1 (右利きの投票者) +10~+8  103
2 (   〃   ) +7~+4   90
3 (   〃   ) +3~-3   77
4 (   〃   ) -4~-10  95
5 (左利きの投票者) +10~+8  102
6 (   〃   ) +7~-3   102
7 (   〃   ) -4~-7   92
8 (   〃   ) -8~-10  122

------------------------------------------------------------------
途中経過(2016.9.19 t=1108, R=518, L=590)
------------------------------------------------------------------

1 (右利きの投票者) +10~+8 145
2 (   〃   ) +7~+4 124
3 (   〃   ) +3~-3 117
4 (   〃   ) -4~-10 132
5 (左利きの投票者) +10~+8 156
6 (   〃   ) +7~-3 139
7 (   〃   ) -4~-7 135
8 (   〃   ) -8~-10 160

ご意見ボードへの書き込み(ご意見はありません)
------------------------------------------------------------------

 ★ ★ ★

------------------------------------------------------------------
最終結果( t=1170, R=544, L=626)
------------------------------------------------------------------

1 (右利きの投票者) +10~+8 152
2 (   〃   ) +7~+4 132
3 (   〃   ) +3~-3 122
4 (   〃   ) -4~-10 138
5 (左利きの投票者) +10~+8 164
6 (   〃   ) +7~-3 150
7 (   〃   ) -4~-7 143
8 (   〃   ) -8~-10 169

ご意見ボードへの書き込み(ご意見はありません)

Enq37-37hn

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~過去に実施した主な<左利きプチ・アンケート>~

第1回 左利きイメージ調査
第2回 左利きで困ったこと(物理的バリア編)
第3回 左利きの子に右手使いを試みるか否か
第5回 左利き?と思うのはどんな仕草ですか
第7回 左利きでも字は右手で書くべきか
第11回 「利き手(左利き)の矯正」という言葉をどう思いますか
第17回 学校での配膳は左利きの子も伝統的ルールに従うべきか
第29回 左手での毛筆(習字/書道)は是か非か?
第32回 非利き手使い指導を受けたことがありますか

●利き手調査テスト関連アンケート
第14回 貴方の利き目は右左どちらですか
第20回 利き手調査1回目―側性係数を調べてみよう
第22回 エディンバラ利き手調査
第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト
第24回 利き手調査第4回chapman利き手テスト
第28回 利き足を調べてみよう・チャップマン利き足テスト

(自己申告による利き手別の投票アンケート)
第33回 新版・利き手調査第1回―利き手テスト側性係数を調べる
第35回 新版・利き手調査第2回―エディンバラ利き手調査
第37回 新版・利き手調査第3回―H.N.きき手テスト
第39回 新版・利き手調査第4回-chapman利き手テスト
第41回 新版・利き手調査第5回 マクマナスの利き手テスト
第46回 利き手テストと意識の一致度は?
第49回 新版・利き目は右左どちらですか?
第51回 新版・利き足は右左どちらですか―利き足テスト

○最近のアンケート
第34回 あなたの父母は右利きor左利き?
第36回 利き手は変えられると思いますか
第38回 LYグランプリ2006 があったら…
第40回 スポーツで左利きは有利だと思いますか
第42回 左利きの日はどっちがいい?
第43回 タレントさんの左手使いは気になりますか
第44回 じゃんけん、ポン!はどっち?
第45回 左利きのための生活技術指導者・コーチは必要か?
第47回 左利き(利き手)研究会は必要?参加協力する?
第48回 「ぎっちょ」は差別的な言葉だと思いますか?
第52回 利き手をケガしたとき不便を感じましたか?

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↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2022.7.7 (追記)

初出締め切り時(2007.2.25)の投票結果をみますと、
右利きの投票者に関しては、
8人中5人が右利きより(+7~+4)で、
私自身、違和感はありませんでした。

ところが、左利きの投票者の結果を見ますと、8,4,2,11で、
「右利き」に分類される人(8+4)と
「左利き」に分類される人(11+2)で、ほぼ拮抗しています。

この傾向はどういうところにあるのでしょうか。

私の考えでは、俗に「左利き」といわれる人は、
何かしら一つの動作が左使いであれば、
「あなた、左利き?」と訊かれたりする、
という経験があるように思います。

例えば、TOKIOの国分太一さんのように、
食事の際のみ左(箸使いやスプーンが左)という人でも、
世間的には「左利き」の人と認識する人がいる、ようなものです。

そういう風に見ていきますと、大半の動作が右であっても、
何か一つでも左使いであれば、自分は「左利き」と考える、
というケースもあるのかな、ということですね。

 ・・・

最終結果をみますと、右利き・左利きそれぞれの投票者で、
それぞれの両端に当たる人が一番多くなっています。

1 (右利きの投票者) +10~+8 152
4 (   〃   ) -4~-10 138

5 (左利きの投票者) +10~+8 164
8 (   〃   ) -8~-10 169

といいましても、その実数は、逆の投票者とあまり大差がありません。
特に左利きの投票者で、ほぼ同数(164:169)といってもいいほどです。

右利きの投票者にしろ左利きの投票者にしろ、
その中間の人が少なめになっています。「( 」こんな感じです。

両極端がほぼ同数というアンケート結果については、
正直、私には、どう解釈すればいいのかよくわかりません。

先ほども書きましたように、「左利きの人」の場合には、
「あなた、左利き?」認識の問題があるのかもしれません。

それにしても、うーん、やっぱり、
もう一つ理解しがたいものがあります。

このアンケートが成功なのかどうかも、本当のところわかりません。
そういう意味では残念な結果になっているともいえそうな気がします。

 ・・・

 次回は、新たに「第24回 利き手調査第4回 chapman利き手テスト」
 を紹介します。
 アンケート投票者の利き手別に投票するタイプの新版を紹介します。

 <左利きプチ・アンケート>
  第24回 利き手調査第4回 chapman利き手テスト

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<左利きプチ・アンケート>
●利き手調査テスト関連アンケート
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第14回 貴方の利き目は右左どちらですか
第20回 利き手調査1回目―側性係数を調べてみよう
第22回 エディンバラ利き手調査
第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト
第24回 利き手調査第4回chapman利き手テスト
第28回 利き足を調べてみよう・チャップマン利き足テスト

(自己申告による利き手別の投票アンケート)
第33回 新版・利き手調査第1回―利き手テスト側性係数を調べる
第35回 新版・利き手調査第2回―エディンバラ利き手調査
第37回 新版・利き手調査第3回―H.N.きき手テスト
第39回 新版・利き手調査第4回-chapman利き手テスト
第41回 新版・利き手調査第5回 マクマナスの利き手テスト
第46回 利き手テストと意識の一致度は?
第49回 新版・利き目は右左どちらですか?
第51回 新版・利き足は右左どちらですか―利き足テスト

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 「★600号までの道のり」は、お休みです。

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [15] <左利きプチ・アンケート> 全公開(15)「利き手調査」その3-2 第37回新版・利き手調査第3回―H.N.きき手テスト」と題して、今回も全紹介です。

利き手調査のアンケートの3種類目のその2回目です。

今回は、投票者の自己申告による利き手別に投票していただいたものです。
自己認識と実際の結果とのあいだに違いがあるのかどうかを確認しようという試みです。

最終的には、私自身、どう考えればよいのかよくわからない結果になっています。
どのように判断すればよいのでしょうか。
おわかりの方、教えてください。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

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2022.07.15

新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から(1)新潮文庫『老人と海』-「楽しい読書」第322号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書-322号【別冊 編集後記】

2022(令和3)年7月15日号(No.322)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から(1)
新潮文庫『老人と海』ヘミングウェイ(高見浩訳)」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2022(令和3)年7月15日号(No.322)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から(1)
新潮文庫『老人と海』ヘミングウェイ(高見浩訳)」
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 今年も毎夏恒例の新潮・角川・集英社の
 <夏の文庫>フェア2022から――。

 当初は、年一回7月末に、
 三社の文庫フェアから一冊ずつ紹介していました。

 近年は、読書量の減少もあり、
 自分にとっての“新規の作家を発掘”しようという試みもあり、
 7月、8月の月末二回程度に分けて紹介してきました。
 
 で、今年は一号ごと三回続けて、一社に一冊を選んで紹介しよう
 と思います。

新潮文庫の100冊 2022
https://100satsu.com/

角川文庫 カドブン夏フェア2022
https://kadobun.jp/special/natsu-fair/

集英社文庫 ナツイチ2022
http://bunko.shueisha.co.jp/natsuichi/

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 ◆ 2022年テーマ(1)「老人の戦い」 ◆
  新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から(1)
  新潮文庫『老人と海』ヘミングウェイ(高見浩訳)
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 ●「新潮文庫の100冊 2022」から古典的な「名作」

新潮文庫は、三社のなかでは文庫の老舗でもあり、
海外文学から日本文学まで、
古典的な名作から現代の人気作家の作品まで、
また、小説やエッセイなどの文芸作品からノンフィクションまで、と
かなり幅広いジャンルから作品が選ばれています。

なかでも内外の古典的な名作――
特に、三社のなかでは際だって多くの海外作品を広く集めている、
という点が特徴でしょう。

 

まずは、「新潮文庫の100冊 2022」から
主な「古典的な名作」っぽい作品をピックアップしてみましょう。

(海外)
赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ1―
ルーシー・モード・モンゴメリ/著 村岡 花子/訳

あしながおじさん ジーン・ウェブスター/著 岩本 正恵/訳

異邦人 カミュ/著 窪田 啓作/訳

悲しみよ こんにちは フランソワーズ・サガン/著 河野 万里子/訳

グレート・ギャツビー フィツジェラルド/著 野崎 孝/訳

ジキルとハイド ロバート・L・スティーヴンソン/著 田口 俊樹/訳

シャーロック・ホームズの冒険 コナン・ドイル/著 延原 謙/訳

車輪の下 ヘッセ/著 高橋 健二/訳

十五少年漂流記 ジュール・ヴェルヌ/著 波多野 完治/訳

月と六ペンス サマセット・モーム/著 金原 瑞人/訳

罪と罰〔上〕 ドストエフスキー/著 工藤 精一郎/訳
罪と罰〔下〕 ドストエフスキー/著 工藤 精一郎/訳

変身 フランツ・カフカ/著 高橋 義孝/訳

星の王子さま サン=テグジュペリ/著 河野 万里子/訳

老人と海 ヘミングウェイ/著 高見 浩/訳

ロミオとジュリエット ウィリアム・シェイクスピア/著
 中野 好夫/訳

若きウェルテルの悩み ゲーテ/著 高橋 義孝/訳

(国内)
伊豆の踊子 川端 康成

海と毒薬 遠藤 周作

江戸川乱歩傑作選 江戸川 乱歩

金閣寺 三島 由紀夫

新編 銀河鉄道の夜 宮沢 賢治

黒い雨 井伏 鱒二

こころ 夏目 漱石

山椒大夫・高瀬舟 森 鴎外

塩狩峠 三浦 綾子

砂の女 安部 公房

痴人の愛 谷崎 潤一郎

人間失格 太宰 治

燃えよ剣〔上〕 司馬 遼太郎
燃えよ剣〔下〕 司馬 遼太郎

羅生門・鼻 芥川 龍之介

檸檬 梶井 基次郎

 

 ●新潮文庫『老人と海』ヘミングウェイ(高見浩訳)

ということで、例年のことなのですが、
新潮文庫では主に古典的な名作、
それも海外の作品を取り上げてきました。
今回もそういう作品を取り上げてみます。

それが、このヘミングウェイの晩年の作品といっていい、
『老人の海』です。

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アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)は、
1899(明治32)年7月21日、アメリカ・イリノイ州オークパークに、
医師の父と芸術家肌の母の長男に生まれる。

(この年には、彼同様ノーベル賞を受賞し、その後自殺した小説家、
 川端康成さんが6月14日に生まれています。)

1961(昭和36)年7月2日、猟銃により自殺、享年61歳。

 

『老人の海』(The Old Man and The Sea)発表は、1952(昭和27)年9月、
アメリカの「ライフ」誌の特別号に一挙掲載。

直後に出版され、翌53年5月、ピューリッツァー賞を受賞。
1954年10月、ノーベル文学賞を受賞。

51歳当時に書かれた作品で、
70年ほど前とはいえ、決して老齢とはいいがたい年齢です。

その辺はやはり作家なのでしょう、
しっかりと老人の漁師の肉体の状態や心情などを描いています。

 

 ●ストーリー

84日間不漁続きのキューバの老漁師が、85日目、一人で海に出る。
一気に挽回しようと沖まで出て大物を狙う。
その甲斐あって大物に出会い、二晩の格闘の末、仕留めるものの、
あまりの大きさに舟の横にくくりつけることしかできず、
港に戻るまでに次々と鮫に襲われ、ほとんど骨ばかりにされてしまう。
夜、疲労困憊の身体で帰り着いたものの、収穫は無し。
帆を巻き付けたマストを担いで、一人自分の小屋に戻り付く。

 ・・・

初めのうちの40日目まで、老人とともに漁に出ていた少年が、
翌朝老人の家を訪問する。
他の漁師が魚の骨の全長を測っている。

 《「鼻から尻尾まで十八フィート」》

 《「たいした代物だな」店主は言った。
  「初めてお目にかかったよ、あんな魚には。
   おまえが昨日釣り上げた二匹も、立派なものだったが」/
  「ぼくのなんか、どうでもいいよ」少年は言って、
  また泣き出した。》p.130
 
少年はこの老人から漁師としての仕事を教えられたのだった。
今でも本当は、一緒に漁にで出たかったのだが、
漁の運に見放された老人の舟に乗るのを辞め、ほかの舟に乗るように、
親からいわれていたのでした。

 《「(略)サンチアゴをそっとしておきたいんだ。
   みんなにそう言っといて。ぼく、また来るから」/
  「残念だったな、と言っといてくれ」/「ありがとう」》p.130

小屋に少年が戻ると、
舟や漁の後始末をしてくれている男に、頭は漁の仕掛けにでも、と老人。

「あの槍みたいな嘴は?」と少年が問うと、
「ほしけりゃ、おまえのものにするさ」と老人。

 《「(略)また一緒に漁に出ようよ。
   もっともっと、教えてもらいたいんだ」》p.132

老人は、漁の間、何度も「あの子がいてくれたら」と思いつつ、
一人奮闘するのです。
その独り言が、小説の軸になっていると言ってもいいでしょう。

双方が相思相愛といってもいい、すばらしい師匠と弟子の関係、
という感じでしょうか。

早くケガを治して、と色々と世話を焼く少年。
老人はまた眠りにつき、ライオンの夢を見る……。
(老人は少年くらいの年ごろ、アフリカ通いの船に乗っていて、
 夜になると砂浜を歩くライオンをよく見た、という。)

*新潮文庫
『老人と海』ヘミングウェイ 高見浩訳 2020/6/24

*参考:光文社古典新訳文庫
『老人と海』アーネスト ヘミングウェイ 小川 高義/訳 2014/9/11

220711roujin-to-umi

 

 ●この「老人」と「海」の関わりについて

私もいつしか老人の仲間入りをしていました。
特に昨年、腰を痛めてそれが左足に来て、
一か月、杖をついて歩いていた時期があったのですが、
それ以来、一気に自分が老人になったな、と自覚させられたものでした。

 

この小説の主人公の老人は、腕相撲のチャンピオンになったり、
漁師として長年漁獲を出してきたベテラン漁師。
愛する妻を亡くし、今は一人暮らし、
小屋には妻の形見のイエスとマリアの絵を飾っている。
かつては色づけした妻の写真を飾っていたが、
見ているとさびしくなるのでしまってある、という。

「老人」と「海」との交流――仕留めるまでの大魚との戦い、
シイラ、マグロ、トビウオ等の魚や鳥たち、そしてサメとの戦い、
海流や風など――孤独な戦いですけれど、何かしら読んでいると、
ジーンとくるものがあります。
そして幾度も少年がいたら、という繰り返す老人。

遅くなった長い漁の帰りに、村人のことを気遣う老人。

 《(略)村のだれにも心配をかけていなければいいが。
  もちろん、あの子だけは気を揉んでいるだろう。
  だが、おれの力はわかっているはずだ。年をくった漁師たちは、
  気を揉んでいるのが多いかもしれん。他にもたくさんいるかもな。
  おれはつくづくいい村に住んでいるんだ。》p.121

と。

釣り上げた大魚に対しても、サメに襲われたときには、
自分の身が襲われたように感じ、
サメを銛で突き、倒したときには、仇は取ってやった、と。

大魚にもかわいそうなことをした、
よっぽど、家で寝転んでいた方がよかったとも思いつつも
彼は思います。

《「だが、人間ってやつ、負けるようにはできちゃいない」(略)
 「叩きつぶされることはあっても、負けはせん」》p.109

漁の技のみならず、不屈の精神と、他を思う心情の深さが――
いってみれば、人生への<こだわり>の強さを持っている人、
ともいえそうです。
その辺が、この老人が愛されている理由なのではないでしょうか。

 

茂木健一郎さんの英語の著書
『生きがい ―世界が驚く日本人の幸せの秘訣―』
(邦訳版 恩蔵詢子訳 新潮文庫 令和4(2022)/05/01)

に、<こだわり>についてこう書かれています。

 《<こだわり>は本質的に私的なものであり、
  自分がやっていることへのプライドの表明である。
  要は、<こだわり>は、
  ものすごく小さな細部を尋常でなく気にする、
  その方法のことなのだ。》p.49

また、こうも書いています。

 《<こだわり>は本質的に、
  他人に合わせるという可能性を一切排除するくらいに、
  頑固で、自己中心的な得失であるように見える。》p.51

例として、こだわりのラーメンを出す店主をあげています。

 《しかし、実際には<こだわり>が目指すゴールは、
  つまるところコミュニケーションの成立である。》p.51

といいます。
店主で言えば、<こだわり>の先にある“報酬”は、客の笑顔だ、と。

さらに、

 《<こだわり>の重要な点の一つは、
  市場原理に基づいた常識的予測のはるか上を行くところに、
  自分自身の目標をおくことである。》p.52

と。

この老人の場合も、漁のやり方はもちろん、
人生の様々な場面での<こだわり>のあれこれが
この小説の中心に描かれているように思います。

 

私も老人となり、
色々と身体の不調や精神的に落ち込むこともあります。

しかし、この老人のように、
なにかしら「これは」という<こだわり>を、
心の強さを持って生きていきたい、と思いました。

 

 ●左利きの観点から

まあ、これ以下は余談になりますが――。

『老人と海』は、
私のライフワークと呼んでいる左利きライフ研究の方面で、
一度取り上げています。

『レフティやすおのお茶でっせ』2005.5.26
『老人と海』に見る右利きの人の左手観 「新生活」版

 

--
 八十四日も不漁続きの老人が
 ついに大きなカジキマグロを二昼夜かけて釣り上げたものの、
 帰る途中でサメに食われ、港に持ち帰ったのは骨だけだった、
 という短いけれどドラマティックな名作です。

 今回は作品についてどうこう言うつもりはありません。
 このなかで
  主人公が左手について色々と述べている部分
 が気になりました。その辺を紹介してみましょう。
 右利きの人の非利き手である左手に対する考え、
 左手観といったものが垣間見れそうです。
--

新潮文庫の福田恆存訳の旧訳版から――

 《その気になれば、どんなやつだってやっつけられる。
  だが漁には右手が大切だ、かれはそう思った。
  そして左手で二、三度勝負をこころみたことがある。
  しかし、かれの左手はいつも裏切者だった。
  自分の思いどおりには動かない。
  それからというもの、かれは左手を信用しなくなった。》

--
 …私は、若い頃、
 右手で書字や箸使いを幾度となくこころみたことがある。
 しかし、私の右手はいつも裏切者だった。
 自分の思い通りには動かない。それからというもの、
 私は右手のみならず自分のすべての能力を信用しなくなった。…
--

というように、
この作品のなかで老人が示す左手に対する考えを紹介しながら、
右手観と左手観の違いについて書いています。

 

*参考:
新潮文庫 福田恆存訳の旧訳版『老人と海』2003/5/1

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本誌では、「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から(1) 新潮文庫『老人と海』ヘミングウェイ(高見浩訳)」と題して、全文紹介です。

 

本文にも書きましたが、私もいつしか老人の仲間入りしてしまいました。
いつの間にか、もう戻れないぐらいのところまで来ています。
棺桶の方が近い、というところでしょう。

でも、この老人のように、精一杯大魚に挑んでみたい、という気持ちは残っています。
結果はどうあれ、そのチャレンジ精神というのは、大事です。
そして、単にチャレンジするだけでなく、実際にそれなりの成果をあげる、ということはなんとか実現したいものです。

AmazonのKindleという電子書籍も、著者が友人への贈答用などに使える紙版が出せるようになったそうです。
左利きの本を出すというのは、自費出版ならいざ知らず、現実にはなかなか難しいものです。

Kindleなら自分の力で出せるので、チャレンジしてみたいと思ってはいたのですが、友人に贈れないなあ、と躊躇する部分がありました。
こういうサービスが始まれば、そういう友人にも贈れれるし、チャレンジのハードルも下がりそうです。

「老人力」という言葉があるようです。
『老人と海』の主人公のように、最後まで諦めることなく、死ぬまでに何か一つでも「これは」というものを残すべく、奮闘してみたいものです。

 ・・・

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2022.07.02

左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ(25)楽器における左利きの世界(5)フルート-週刊ヒッキイ第622号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第622号 別冊編集後記

第622号(No.622) 2022/7/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(5)フルート演奏の右左」

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第622号(No.622) 2022/7/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(5)フルート演奏の右左」
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 「左手・左利き用楽器」による左利き楽器演奏について考える、
 の5回目です。

 前回に引き続き、フルートのお話を。

 今回は、思うようにお勉強が進んでいないので、
 以前見つけたサイトの記事から、フルート演奏の右左について。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界 (5)
  ◆ フルート演奏の右左 ◆
   ~ 右と左が逆になるだけで…… ~  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●フルートの左演奏

前回、オランダの画家、ユディト・レイステル
(Judith Jans Leyster:1609ー1660) 描くところの
絵画「フルートを吹く少年」を紹介しました。

昔のこのように人により、「左演奏」で吹く人もあった
という事実を紹介しました。

実は、現代においてもこの少年のように左演奏で吹く人ともいるのだ、
という事実を紹介しましょう。

 

20141119hidarikiki-flute

(画像:左利き用のフルートって右手すごい疲れそう...(<フルート 吹奏楽垢> 2014.11.19twitter より))

 

 ●その1「左利き用フルート」

「フルートと音楽の日々」というサイトの記事

Aihara 左利き用フルート:Yamano Flute World '14 [楽器]

「左利き用フルート」が紹介されています。

相原さんという人が作ってしまった、といいます。

201489hidarikikiflute

(画像:左利き用フルートの構え(『フルートと音楽の日々』「Aihara 左利き用フルート:Yamano Flute World '14」より))

 

201489flute-hidari-migi

(画像:左利き用(左)と右利き用(右)のフルート(『フルートと音楽の日々』「Aihara 左利き用フルート:Yamano Flute World '14」より))

普通のフルートと左利き用フルートの写真が見れます。

左利き用フルートは、

 《鏡に映したようです。/
  リッププレートも反対です。/
  実際に構えるとこんな感じです。》

 《左利きの方がフルートを習い始めるには良いかもしれませんね。》

 《例えば普通のフルートを構える先生と向き合って
  レッスンを受けると、まるで鏡に向かっているようで、
  考えようによってはやりやすいかもしれません。》

これは、大いにありではないでしょうか。

今でも右利きの親御さんが、左利きのお子さんに何かしら教える際に、
どうすればいいですか、という問いには、
私は「向き合って教えるのがよいでしょう」とお答えしてきました。

それと全く同じですね。

 

「リハビリ用にも良いかも」という意見もあったそうです。

 《フルートやヴァイオリンは非常に不自然で
  体に無理がある姿勢を取り続けます。/
  反対に構えることによって体のバランスを取る
  という意味だそうです。》

右投げのダルビッシュ投手が、
試合前の練習で左投げするようなものですね。

身体の左右のバランスを取るために、よいそうです。

整体の先生も、こういう助言をしているとききました。
右利きの人は、ふだん右手だけでたいていのことはできてしまうので、
意識して左手・左側を使うようにした方がいいそうです。

 

 《吹いてみましたが、いや吹こうとしてみましたが、
  まずいちいち考えないと持つ事さえできません。/
  なんとか構えて息を吹込みましたが、
  いつもの音とは全然違うただのボーッという音が出るのみで、
  キーを間違いなく押さえる事に気を取られて、
  正しい指使いをするどころではありません。》

単に左右が入れ替わっただけで思うように吹けないというのは、
「慣れ」という力のせいなのか、「利き手」の違いの問題なのか、
おもしろいと思います。

最後に、こうあります。

 《面白い試みですが、何本売れるかは想像するのも難しいですね。》

この辺が、左手・左利き用品を作る際の問題なのですね。

単純に、使ってくれる人(左利きの人)の絶対数が少ない上に、
そのうち、習慣に逆らってあえて左用を使ってみよう、
と試みてくれる人が何人いるのか、という問題です。

左利きの人の場合、一般的な製品が本来右利き用のものであっても
「右利き用」と認識できておらず、
「こういうものだ」という思い込みがあり、
改めて「左利き用」がありますよ、といわれても、
素直に「そうなんだ、使ってみよう!」とはならないものなのです。

左利きの人は、とにかく生まれたときから
右利き仕様の社会にどっぷりつかって生活してきたので、
右利き仕様が一般的になっている、その習慣に逆らう、常識を覆す、
慣れた道を外れるというのは、なかなかできないものです。

私のように一旦、違和感に目覚めてしまった人でもない限り、です。

 

 ●その2・特別注文の「左利き用フルート体験」

「ThinkingCatHouse」というサイトには、
2013年9月 2日 (月)
左利き用フルート体験

という記事がありました。

左利き用フルートの初体験の感想です。
特別注文のフルートだそうです。

 《ただ単に、左側に構えるだけなんですが。。。》

結構大変だったそうです。
みなさんフルートの先生だった、というのですが。

 《まず、唇と手で楽器がうまく安定しない!
  日頃と逆に指を使わないといけないため、もーぐちゃぐちゃです。》

 

 《フルート、初めての時にどんなに大変だったか、
  思い出した〜/
  生徒さんの気持ちがよくわかるようになったかも。

  当たり前にできてることを、ちょっと反対にしただけで、
  こんなにできないとは。/

  できない時のあせり、緊張感。/
  脳にとっては、とても刺激的な体験をすることができました。》

左右が逆になるだけで、「脳が混乱する」んですね。

この左利き用フルートを右利きの人たちに体験してもらうと、
左利きの苦労というものが少しは実感してもらえるのかもしれません。

とはいえ、こういう感想もありますので、
本当のところはどうなのか分かりませんけれど……。

 《(フルートやってない方には、
  どっちでも同じかもしれませんね。。。》)

しかし、ということはですね、
初心者なら右利き用も左利き用も関係ない、
ということかもしれませんね。

初心者は、自分の好きな方で演奏すればいい、ということです。

ただし、教えてくれる人の問題があるかもしれません。
先生はみな、
右用しか練習してこなかった人ばかりでしょうから。

 

 ●「両手を使うので……左右は関係ない」のウソ

左手・左利き用品について何か話そうとすると
よく言われることの一つに、

 「○○は両手を使うので、利き手の左右は関係ないのでは?」

という言葉があります。

この場合の「両手を使う」とされる動作の場合、
たいていは本当に左右差のない動作なのかどうか、
という点は無視されています。

たとえば、字を書く動作にしても、実際には「両手」を使っています。
字を書くために「筆記具を持つ手」がある一方、
反対の手では字を書こうとする「用紙を押さえている」ものです。

この場合も「両手を使っている」という表現は無効ではないでしょう。

 

「楽器は両手で演奏するものが多いので左右はあまり関係ないのでは?」
という意見があります。

これもよく考えればわかると思いますが、
実態を無視した言葉といえるのではないでしょうか。

 

一眼カメラの時にも書きましたが、
「両手を使う」といいましても、
それぞれの手には役割分担というものがあります。

一眼カメラの場合は、「シャッターを切る」のが右手、
「絞りやピントを合わせる」のが、左手。
写真はシャッターを切らないと写りません。
一番大事な動作は、(シャッターを切る)右手で行います。

パソコンのタイピングなどもそうです。
両手の作業量だけをみれは、
若干右手側が多い(エンターキーやカーソルキー等で)
だけかもしれません。
反面、AやE、便利なタブTabといった
比較的使用頻度の高そうなキーが左手側に割り振られています。

タイピングの回数のみでは左右差は少ないかもしれません。

しかし、それぞれのキーの重要度ではどうでしょうか。
エンターEnterキーやカーソルキー、バックスペースBackSpaceや
デリートDeleleteキーなど、重要度の高いものはみな右手側にあります。
さらにいえば、
両側にあるキー(シフトShiftキーなど)でも
その面積が左右で違っていたりします。
当然のように、
右利きの人にとって不自由な筈の左手側のキーのほうが大きいのです。

 

楽器に話を戻しましょう。

楽器でもギターやバイオリンを例に取れば、
よくおわかりになると思います。

通常のこれらの楽器は、
弦を弾いて音を出す方の手は右手。
弦を押さえて音の調整をするのが左手。

このシリーズの初回にも書きましたように、
楽器で一番大事なことは、まずは「音を出す」ことです。

これらの楽器では、右手で音を出します。

「両手を使う」といっても主体は「右手」です。
極言すれば、左手はなくても音は出せます。

それが何を意味するか、言葉は不要でしょう。

「両手を使っているから、利き手の左右は関係ない」は、
まったくのウソです。

 ・・・

今回は、簡単ですがこの辺で。

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 「★600号までの道のり」は、お休みです。

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本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(5)フルート演奏の右左」と題して、今回も全紹介です。

前回に引き続き、フルートの左利き用についてのネット情報の紹介です。

 ・・・

フルートに関しましては、結構左利き用の記事があり、それだけ「左利き用フルート」という楽器そのものがある、ということなんですね。
この事実は、全く知りませんでした。

探せば、結構いろんな楽器で左利き用があるのかもしれません。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

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2022.06.30

中国の古典編―漢詩を読んでみよう(17)漢代(8)古詩十九首(2)-楽しい読書321号

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2022(令和4)年6月30日号(No.321)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(17)漢代(8)古詩十九首から(2)」
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 しばらくあきましたが、久しぶりに漢詩を読んでみましょう。

 「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」の17回目です。

 後漢末期、五言詩が中国の詩の中心となるきっかけとなった
 作品群の一部が、後世「古詩十九詩」としてまとめられました。
 今回も引き続き、そのなかから<妻の悲しみ>についての詩を――。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆ 知識人の悲しみ ◆
 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(16)漢代(6)
  後漢末期・古詩十九首 から(2)妻の悲しみ
  ~ 其の二/其の十九/古詩 ~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回の参考文献――

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
「五、知識人の挫折――古詩十九首」より

 

 ●古詩十九首 其の二

漢詩の伝統の中には、妻の悲しみをテーマにする系譜があるそうで、
その出発点となったのが、この「古詩十九首」あたりで、
今回はそういう詩を紹介しましょう。

 ・・・

 其二  其の二  無名氏

青青河畔艸  青青(せいせい)たる河畔(かはん)の草(くさ)
鬱鬱園中柳  鬱鬱(うつうつ)たる園中(えんちゅう)の柳(やなぎ)

盈盈楼上女  盈盈(えいえい)楼上(ろうじょう)の女(じょ)
皎皎当窓牅  皎皎(きょうきょう)として窓牅(そうゆう)に当(あた)る

 青々(あおあお)と萌(も)え出(い)でる河辺(かわべ)の若草
 鬱蒼(うっそう)と茂っている庭の柳

 満ちあふれるような美しさを発散させている高楼(たかどの)の上の女性
 輝くように色白のその姿が、窓辺に寄り添っている

 

娥娥紅紛粧  娥娥(がが)たる紅紛(こうふん)の粧(よそほひ) 
繊繊出素手  繊繊(せんせん)として素手(そしゆ)を出(いだ)す

昔為倡家女  昔(むかし)は倡家(しようか)の女(じょ)に当(あた)る
今為蕩子婦  今(いま)は蕩子(とうし)の婦(つま)為(た)り

 なおやかに美しいその姿を
  紅おしろいのお化粧がさらに引き立てている
 彼女はほっそりとした白い手を見せている

 彼女は以前、演芸場に勤める娘であった
 今では旅ばかりしている夫の妻になっている

 

蕩子行不帰  蕩子(とうし) 行(ゆ)きて帰(かえ)らず
空床難独守  空床(くうしよう) 独(ひと)り守(まも)ること難(かた)し

 夫は家を出たままずっと帰って来ない
 さだめし彼女は、夫のいない寝床で独り過ごすことがつらいんだろう

 ・・・

行商人なのか、旅に出ている夫の妻となった歎きを詠う詩ですが、
その裏に暗号が隠されているといいます。

 《旅する夫と別れている若妻に託して、当時の知識人の、
  仲間と会えない、
  朝廷の天子さまに会えない歎きが表現されています。》p.179

第二句の「鬱」という字、これが植物を形容することは、めずらしく、
『詩経』の歌に
(秦風―晨風)――
 「鴥(いつ)たる彼の晨風/鬱たる彼の北林/未だ君子を見ず/
  憂いの心 欽欽たり」
 「さっと激しく吹く朝風、うっそうと茂る北の森。
  そちらの森の方角にいる賢者に会えない、私の心は悩んでばかり」
とあり、

 《“鬱蒼と茂る樹木”というのは、立派な人、
  慕わしい人に会えないことを言う枕詞のようになっている》p.179

そこがこの詩とダブる、といいます。

『詩経』の知識がないと分からないのですが、そこで、
『詩経』が広く定着した後漢以後に作られた詩だと推測できるわけです。

こういうダブルミーニングな部分が、「古詩十九首」の特徴です。

主人公が女性で、
その裏に作者である知識人層の悲しみが込められている、といいます。

 

 ●「閨怨詩(けいえんし)」

漢詩の大きなジャンルの一つ「閨怨詩(けいえんし)」――
「閨」は、“女性が部屋で歎くことを歌う歌”の意味。

 《表面的には男性の愛が得られない女性の歎きを歌いながら、
  その裏に、才能があるのに君主に用いられない作者の歎きを
  重ねるわけです。》p.180

女性の姿を美しく表現することで、
作者の才能が優れていることを示すので、
そういう詩が清朝末期まで脈々と作られたのだそうです。

これは、中国の多くの詩人たちが
役人だったことに関係するのではないでしょうか。
これは女心なんだと言い逃れしやすかったから。

 

 ●古詩十九首 其の十九

次に、「閨怨」のテーマとして有名な歌を紹介しましょう。

 ・・・

 其十九  其の十九  無名氏

明月何皎皎  明月(めいげつ) 何(なん)ぞ皎皎(きょうきょう)たる
照我羅牀幃  我(わ)が羅(うすぎぬ)の牀幃(しようい)を照(てら)す
憂愁不能寐  憂愁(ゆうしゅう)して寐(い)ぬる能(あた)はず
攬衣起徘徊  衣(ころも)を攬(と)りて 起(た)ちて徘徊(はいかい)す
客行雖雲楽  客行(かくこう) 楽(たの)しと云(い)ふと雖(いへど)も
不如早旋帰  早(はや)く旋帰(せんき)するに如(し)かじ
出戸獨彷徨  戸(こ)を出(い)でて独(ひと)り彷徨(ほうこう)し
愁思当告誰  愁思(しゅうし) 当(まさ)に誰(たれ)にか告(つ)ぐべき
引領還入房  領(うなじ)を引(ひ)いて
        還(かえ)りて房(へや)に入(い)れば
涙下沾裳衣  涙(なんだ)下(くだ)つて裳衣(しょうい)を沾(うるは)す

 ・・・

遠く旅に出た夫を待つ妻のようすを歌うものです。

 《彼女は月の明るい晩、眠れぬまま外へ出てゆきます。
  しかしなすすべもなくまた部屋に戻り、涙にくれてしまう……。
  この詩の“夜中の不眠→不安のため歩き回る”という設定は
  ひろく支持されまして、後漢から三国時代にかけて、
  同じような詩がたくさんが作られています。》p.181

 

 ●古詩

次に、「古詩十九首」に収められていない当時の古詩を紹介します。

 ・・・

 古詩  古詩  無名氏

上山採蘼蕪  山(やま)に上(のぼ)つて蘼蕪(びぶ)を採(と)り
下山逢故夫  山(やま)より下(くだ)つて故夫(こふ)を逢(あ)う
長跪問故夫  長跪(ちようき)して故夫(こふ)に問(と)ふ
新人復何如  新人(しんじん) 復(ま)た如何(いかん)と

 山に登って蘼蕪(おんなかずら)という草をつみとり、
 山から降りたところで元の夫に出会った
 丁寧にお辞儀をして尋ねた
 “今度の奥さんはいかがですか”

新人雖言好  新人(しんじん) 好(よ)しと言(い)ふと雖(いへど)も
未若故人姝  未(いま)だ故人(こじん)の姝(しゆ)なるに若(し)かず
顏色類相似  顔色(がんしよく)は類(おほむ)ね相(あひ)似(に)たるも
手爪不相如  手爪(しゆそう)は相(あひ)如(し)かずと

 新しい妻はいい人ではあるが
 君の美貌には敵わない
 容貌が要望がだいたい同じだとしても
 手芸の腕前は君に敵わないよ

新人従門入  新人(しんじん) 門(もん)より入(い)り
故人従閣去  故人(こじん) 閣(かく)より去(さ)る
新人工織縑  新人(しんじん)は縑(けん)を織(お)るに工(たくみ)にして
故人工織素  故人(こじん)は素(す)を織(お)るに工(たくみ)なり

 新しい妻が表門から入った時
 元の妻は台所から去って行った
 新しい妻は手の込んだ[かとり](傍点)絹を織るのが上手で
 元の妻は[しろ](傍点)絹を織るのが上手だった

織縑日一匹  縑(けん)を織(お)ること日(ひ)に一匹(いつぴき)
織素五丈余  素(そ)を織(お)ること五丈(ごじよう)余(よ)  
将縑來比素  縑(けん)を将(もつ)て
        来(きた)つて素(そ)に比(ひ)すれば
新人不如故  新人(しんじん)は故(こ)に如(し)かず

 新しい妻がかとり絹を織るのは一日に四丈で
 元の妻がしろ絹をおるのは一日に五丈を超えていた
 かとり絹をしろ絹に比べて見ると
 新しい妻は元の妻には敵わない

 ・・・

久しぶりに出会った元の妻と夫、
妻は今も夫を思い、夫も元の妻の方がみばもよければ、
織物の仕事の腕も優れていると、未練も残っている様子。

解説の宇野さんは、
当時の手工業者の集りの余興に歌われたものではないか、
と想像されています。

 《内容面では、今なお愛情を抱いている二人が、
  何かやむを得ない事情のために離別している感じがあって、
  後漢後半の非常に過酷な世の中で懸命に生きる民衆の姿が見えます》
   p.184
と。

『詩経』の草つみのたとえ――妻が離れている夫や恋人の健康や
再会を祈ることを表す――を受け継いでいるように、
《たいへん素朴で暗号もなく》、
《後漢に流行していたオリジナルに近い》もので、
当時歌われていたそのままの姿で伝わったのではないかといいます。

「古詩十九首」は、すべて暗号が入り、起承転結もきちんとして、
完成度が高い。

それは、『文選』によって表面に出るまで300年間、
《宦官の勢力を恐れながら密かに歌い継がれるうちに
 いろんな人の知恵が入ってアレンジされ、完成度が高くなった》p.184
と考えられると言います。

 ・・・

歌というものは、その時々の人々の様々な思いが込められ、
歌い継がれてきた、といいますが、
まさにそういう人々の思い、ときに男女の思いが歌われているのは、
いつの世も変わらぬもののようです。

個人の思いよりも、世の中の、社会の圧力といったもののなかで、
生きてゆかねばならなかったということでしょう。

戦後の日本では、かなり個人の思いが叶う可能性が高くなっています。
そういう時代に生きている喜びというものを
もう一度大事にしたいものです。

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 ★創刊300号への道のり は、お休みします。

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(17)漢代(8)古詩十九首から(2)」をお届けしています。

今回もまた全文転載です。

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2022.06.18

『左組通信』復活計画<左利きプチ・アンケート>(14)利き手調査(3)第23回H.N.きき手テスト-週刊ヒッキイ第621号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第621号 別冊編集後記

第621号(No.621) 2022/6/18
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [14]
<左利きプチ・アンケート> 全公開(14)「利き手調査」その3-1
 第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト」

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第621号(No.621) 2022/6/18
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [14]
<左利きプチ・アンケート> 全公開(14)「利き手調査」その3-1
 第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト」
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 <利き手調査アンケート>編の6回目です。

 3種類目の利き手テストを紹介します。

 H.N.きき手テストがそれ。
 これは、前回紹介しましたエディンバラ利き手テストが
 西洋のテストということで、日本人の利き手を正しく判断する上で、
 不都合な点があるとされ、一部の項目が変更された、
 「日本人による日本人のための利き手テスト」
 とでもいうべきものになっています。

 日本では、長年左利きが忌避され、
 右手使いが正しい作法という考えから、「矯正」と呼んで、
 特に箸使いと字を書くことに関して、
 無理矢理、左利きの子供を右手使いに転換させることが
 行われてきました。
 
 その影響から、「字を書く」という項目が
 真の「利き手」を判断する指標にはなりにくい
 という事実がありました。

 その欠点を補正するために調査項目の変更が為されたのです。

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2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年(その22)
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [14]
  <左利きプチ・アンケート> 全公開(14)
  「利き手調査」アンケート編・その3-1
  第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト
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 ●第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト

220618enq23

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左利きを考える レフティやすおの左組通信
 Lefty Yasuo's HIDARIGUMI Announcement
 
  <左利きプチ・アンケート>
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<左利きプチ・アンケート>

第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト 

(初出)2005.12.24(最終)2007.04.29

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<左利きプチ・アンケート>
第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト 
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前原勝矢著『右利き・左利きの科学』に紹介されていた
側性係数(LQ)に始まり、
前回は、エディンバラ利き手調査を紹介しました。
そして、今回は利き手調査第三弾です。 

H.N. きき手テスト

これは、エディンバラ利き手調査や
アネット尺度(イギリスの利き手研究家の使用した利き手テスト)では、
社会的文化的影響を強く受けている日本人の利き手を
正しく判断できないという考えによって作成されています。

文字や絵を書/描く動作、およびナイフやスプーンあるいは箸を使う
といった摂食に関わる動作を割愛して、
いわゆる「矯正」の影響を省こうとしています。
(八田武志・中塚善次郎氏によって作成された故、
その頭文字をとってこう呼ばれているようです。)

※参照―八田武志『左ききの神経心理学』医歯薬出版 1996.11

 

以下の動作においてあなたはどちらの手を使いますか。

▼調査項目:

1・消しゴムはどちらの手に持って消しますか?
2・マッチをするのに軸はどちらの手に持ちますか?
3・ハサミはどちらの手に持って使いますか?
4・押しピンはどちらの手に持って押しますか?
5・果物の皮をむくときナイフはどちらの手に持ちますか?
6・ネジまわしはどちらの手に持って使いますか?
7・クギを打つときカナヅチはどちらの手に持ちますか?
8・カミソリ、または口紅はどちらの手に持って使いますか? 
9・歯をみがくとき歯ブラシはどちらの手に持って使いますか?
10・ボールを投げるのはどちらの手ですか?  

▼判定基準:

左手の場合には、-1点、
どちらでもないとき(どちらともいえない場合)は、0点、
右手の場合は、+1点、
 を配点する。

その合計点数が、
-4点以下は、左利き、
+8点以上は、右利き、
それ以外(-3~+7)は、両手利き、
 とします。

 

さて、あなたは右利き、それとも左利き、あるいは両利き、
いずれに判定されましたか。
以下の中で当てはまる番号に投票してください。

*今回は利き手調査のため、利き手別投票ではありません。
(手の不自由な方は、それぞれの判断で考慮の上、
投票に参加不参加を決定してください。)

*一言言わせて、という方は投票後に表示されます
一番下の「ご意見ボード」をご利用ください。
もっと言わせて、という方は掲示板もご利用ください。
貴方のご意見ご感想をお聞かせください

 

1 +9以上~10
2 +8以上
3 +5以上
4 +1以上
5 0
6 -1以下
7 -4以下
8 -8以下
9 -9以下~-10

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●利き手調査テスト関連アンケート
第14回 貴方の利き目は右左どちらですか
第20回 利き手調査1回目―側性係数を調べてみよう
第22回 エディンバラ利き手調査
第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト
第24回 利き手調査第4回chapman利き手テスト
第28回 利き足を調べてみよう・チャップマン利き足テスト

(自己申告による利き手別の投票アンケート)
第33回 新版・利き手調査第1回―利き手テスト側性係数を調べる
第35回 新版・利き手調査第2回―エディンバラ利き手調査
第37回 新版・利き手調査第3回―H.N.きき手テスト
第39回 新版・利き手調査第4回-chapman利き手テスト
第41回 新版・利き手調査第5回 マクマナスの利き手テスト
第46回 利き手テストと意識の一致度は?
第49回 新版・利き目は右左どちらですか?
第51回 新版・利き足は右左どちらですか―利き足テスト

 

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投票結果

実施期間2005.11.27-12.24(総数:28)
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1 右利き  +9以上~10 3
2  〃   +8以上   1
3 両手利き +5以上   2
4  〃   +1以上   2
5  〃    0     1
6  〃   -1以下   2
7 左利き  -4以下   3
8  〃   -8以下   5
9  〃   -9以下~-10 9

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投票結果について

初出締め切り時(2005.12.24)の結果
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*投票総数:28

・右利き(+8以上):4
・両手利き(+7~-3):7
・左利き(-4以下):17

 

今回の投票結果について、思うところを述べて見ます。

グラフの分布を見ていただくと、ちょうど「J」の字を右に倒した
(90度回転させた)ような形になっています。
これは一般的な利き手分布曲線の裏返しになっています。

一般的な利き手分布グラフの曲線は、右端に右利き100%、
左端に左利き100%を置くと、ちょうど「J」の字型になります。

すなわち右利き100%に近い人が最も多く、
その割合が低くなるにつれて次第に減少し、
左端の左利き100パーセントに近いところで少し盛り上がりを見せます
(「J」の字の尻尾の部分)。

ところが、このアンケートではその逆の結果になっています。
これは左利きの読者の多いサイトのアンケート結果であるための偏向で、
いってみればこの曲線は、途中図といったものと考えられます。
このまま総数を伸ばしてゆくと本来の「J」の字になるのでしょう。

一番の特徴として感じることは、
左利きの度合いの強い人がやはり多いということ。

もうひとつの特徴としては、
中間的な人―両手利き―も意外に多くいる、ということでしょう。

従来は書字や箸使いが右なので
単純に「右利き」と思い込んでいた人の中にも、
実はこういう「非右利き」の要素を持った人がいる、
ということが明らかになったのではないでしょうか。

メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
「左利き講座」でも書いていることですが、左利きの人だけでなく、
このような「非右利き」の人たちの存在を考えると、
左利きの問題を解決する新たな糸口になるような気がします。

 

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投票結果 2007.04.29
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1 右利き  +9以上~10 37
2  〃   +8以上   39
3 両手利き +5以上   33
4  〃   +1以上   68
5  〃    0     72
6  〃   -1以下   26
7 左利き  -4以下   58
8  〃   -8以下   41
9  〃   -9以下~-10 66

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~過去に実施した主な<左利きプチ・アンケート>~

第1回 左利きイメージ調査
第2回 左利きで困ったこと(物理的バリア編)
第3回 左利きの子に右手使いを試みるか否か
第5回 左利き?と思うのはどんな仕草ですか
第7回 左利きでも字は右手で書くべきか
第11回 「利き手(左利き)の矯正」という言葉をどう思いますか
第17回 学校での配膳は左利きの子も伝統的ルールに従うべきか
第29回 左手での毛筆(習字/書道)は是か非か?
第32回 非利き手使い指導を受けたことがありますか

●利き手調査テスト関連アンケート
第14回 貴方の利き目は右左どちらですか
第20回 利き手調査1回目―側性係数を調べてみよう
第22回 エディンバラ利き手調査
第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト
第24回 利き手調査第4回chapman利き手テスト
第28回 利き足を調べてみよう・チャップマン利き足テスト

(自己申告による利き手別の投票アンケート)
第33回 新版・利き手調査第1回―利き手テスト側性係数を調べる
第35回 新版・利き手調査第2回―エディンバラ利き手調査
第37回 新版・利き手調査第3回―H.N.きき手テスト
第39回 新版・利き手調査第4回-chapman利き手テスト
第41回 新版・利き手調査第5回 マクマナスの利き手テスト
第46回 利き手テストと意識の一致度は?
第49回 新版・利き目は右左どちらですか?
第51回 新版・利き足は右左どちらですか―利き足テスト

○最近のアンケート
第34回 あなたの父母は右利きor左利き?
第36回 利き手は変えられると思いますか
第38回 LYグランプリ2006 があったら…
第40回 スポーツで左利きは有利だと思いますか
第42回 左利きの日はどっちがいい?
第43回 タレントさんの左手使いは気になりますか
第44回 じゃんけん、ポン!はどっち?
第45回 左利きのための生活技術指導者・コーチは必要か?
第47回 左利き(利き手)研究会は必要?参加協力する?
第48回 「ぎっちょ」は差別的な言葉だと思いますか?
第52回 利き手をケガしたとき不便を感じましたか?

 

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投票結果 2012/06/21
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1 右利き  +9以上~10 132
2  〃   +8以上   122
3 両手利き +5以上   119
4  〃   +1以上   191
5  〃    0     180
6  〃   -1以下   126
7 左利き  -4以下   148
8  〃   -8以下   121
9  〃   -9以下~-10 186

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<左利きプチ・アンケート>
第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト

http://personal-dictionary.com/enq/view/view.asp?EID=38207

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2022.6.16(追記)

「ご意見ボード」の書き込みなど見ましても、
結構「両利き」の人が多いのがわかります。

○○は右で××が左といったご意見があります。

また教えてもらう人により使う手(利き)が異なるというケースも。
ある意味では「左利きの人あるある」かもしれません。

毎回書くことですが、この手の利き手テストをしますと、
どうしても自分の利き手が定かではないという人が、
多く参加されるようです。

その結果、このアンケートでは
こういう中間の人が多数になるケースが多くなります。

 

 ●「エディンバラ利き手テスト」と「H.N.利き手テスト」との比較

ここでもう一度、「エディンバラ利き手テスト」と
「H.N.利き手テスト」との違いを確認しておきましょう。

(八田武志『左対右 きき手大研究』DOJIN文庫 2022/5/16 より

 以下、表記は同書に従う。)

220518hattatakesi-hidarikiki

「エディンバラきき手テスト」
1 文字を書く 
2 ボールを投げる 
3 ハサミを使う
4 歯ブラシを使う 
5 絵を描く
6 マッチをする
7 箒をもつとき上になる
8 フォークをもたないときにナイフをもつ 
9 箱の蓋を開ける
10 スプーンをもつ

 
「H.N.きき手テスト」
1・消しゴムはどちらの手にもって消しますか?
2・マッチをするのに軸はどちらの手にもちますか?
3・ハサミはどちらの手にもって使いますか?
4・押しピンはどちらの手にもって押しますか?
5・果物の皮をむくときナイフはどちらの手にもちますか?
6・ネジまわしはどちらの手にもって使いますか?
7・クギを打つときカナヅチはどちらの手に持ちますか?
8・カミソリ、または口紅はどちらの手にもって使いますか? 
9・歯をみがくとき歯ブラシはどちらの手にもって使いますか?
10・ボールを投げるのはどちらの手ですか?  

それぞれ10項目の片手動作をあげています。
共通するのは、
ボール(2と10)、ハサミ(3と3)、歯ブラシ(4と9)、
マッチ(6と2)、ナイフ(8と5)の5項目。

いちばんの違いは、書字動作と摂食動作をあげるか省くかです。
「H.N.」ではこられを排除しています。
日本では従来これらの動作は、
左利きの子供の場合、右使いに変更させることが多かったからです。
利き手を判断する動作にはなり得なかったからです。

 

このアンケートの参考文献である、
八田武志さんの『左ききの神経心理学』(医歯薬出版 1996年刊)の
その後の研究をまとめた『左対右 きき手大研究』の文庫増補版が
今年発行されましたが、この本で追加された文章に、
「日本人のきき手検査」があります。

そこに「エディンバラ利き手テスト」と
「H.N.利き手テスト」との比較について書かれています。

前者は、

 《1970年当時のイギリス人の日常生活で使う片手動作項目の
  母集団から統計学的な手続きを経て作成されたもの》

で、後者は、

 《日本人のきき手を調べるために、
  1970年ごろの日本人の生活での片手動作項目から作成されたもの》
で、

国別のきき手の割合を調べたいのなら、
多数の国で共通する動作項目を探さねばならない。

しかし、その国の左利きの人の諸特性を検討するためには、
そのいう共通的なテストでは感受性が低くなる。

両者を比較した研究では、両テスト結果の相関関係は、
「右利きと左利き」の区別では、r=0.96と極めて高いものでしたが、
「両手利き」を考慮した分類を行うと、
エディンバラきき手テストでは、12.1%
H.N.きき手テストでは、20.0%が「非右利き」となり、
かならずしも一致しない。

 《手前味噌といわれそうだが、エヴィデンスは日本人対象の研究では
  H.N.きき手テストの使用が望ましいことを指摘し、
  使用するテストの選択は研究目的に応じて行うことが大切
  と考えている。》

とあります。

現代ではかなり左利きを取り巻く状況に変化が見られます。
「左利きの子は左利きのままで」という風潮が広がっています。
しかし、今でも一部にはこれらの動作に関して、
「作法として右使いが正しい」と主張する人もいます。

あるいは、
「日本の字は右手で書くように作られていて、
 きれいな字を書きたければ右手で」
と主張する習字教室の先生もいます。

そういう状況を考えますと、まだまだ日本においては、
「H.N.きき手テスト」の利き手テストしての存在感は大きい、
と判断できそうです。

 ・・・

 次回は、引き続き、「H.N.きき手テスト」を、
 アンケート投票者の利き手別に投票するタイプの新版を紹介します。

 <左利きプチ・アンケート>
  第37回 新版・利き手調査第3回―H.N.きき手テスト

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<左利きプチ・アンケート>
●利き手調査テスト関連アンケート
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第14回 貴方の利き目は右左どちらですか
第20回 利き手調査1回目―側性係数を調べてみよう
第22回 エディンバラ利き手調査
第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト
第24回 利き手調査第4回chapman利き手テスト
第28回 利き足を調べてみよう・チャップマン利き足テスト

(自己申告による利き手別の投票アンケート)
第33回 新版・利き手調査第1回―利き手テスト側性係数を調べる
第35回 新版・利き手調査第2回―エディンバラ利き手調査
第37回 新版・利き手調査第3回―H.N.きき手テスト
第39回 新版・利き手調査第4回-chapman利き手テスト
第41回 新版・利き手調査第5回 マクマナスの利き手テスト
第46回 利き手テストと意識の一致度は?
第49回 新版・利き目は右左どちらですか?
第51回 新版・利き足は右左どちらですか―利き足テスト

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 「★600号までの道のり」は、お休みです。

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [14] <左利きプチ・アンケート> 全公開(14)「利き手調査」その3-1 第23回 利き手調査3回目―H.N.きき手テスト」と題して、今回も全紹介です。

利き手調査のアンケートの3種類目のその1回目です。

1970年当時のイギリス人のための利き手判定テスト「エディンバラ利き手テスト」に対して、1970年頃の日本人の生活に準じた、日本人による日本人のための改良版の利き手判定テストとして考えられた「H.N.利き手テスト」の紹介です。

当時の日本の風潮は、以前にも弊誌やブログでも紹介しましたように、1970年代を一つの境に左利きが徐々に容認されるようになる時期でした。

 

・1971(昭和46)年、私が17歳の時に、箱崎総一先生による「左利きの友の会」が誕生(1975年に解散)

・1973(昭和48)年、19歳のとき、麻丘めぐみさんの歌う「わたしの彼は左きき」(作詞・千家和也 作編曲・筒美京平)がヒット

・1973年、74年と二年連続でプロ野球・巨人軍の王貞治選手が三冠王

・1977年頃、「日清食品・どん兵衛」のテレビCMで、左手箸でうどんを食べる左利きの山城新吾さん、川谷拓三さんが登場

・1978(昭和53)年には、ピンクレディーさんの歌う「サウスポー」(作詞・阿久悠 作曲・都倉俊一)がヒット

・1979(昭和54)年、(25歳のときに地元の図書館で見つけて読み、左利きであることに自信を持たせてくれた、箱崎総一さんの著書『左利きの秘密』出版

*参照:
第601号(No.601) 2021/8/21
「創刊600号突破記念―私が影響を受けた左利き研究家・活動家(1)第一期・箱崎総一」

2021.8.21
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(1)第一期・箱崎総一(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第601号 (「新生活」版)

 

そういう時期ですので、書字描画や摂食行為における左手使いに否定的な傾向が残る当時の状況では、それらの片手動作を利き手テストの項目に含めるのは、正確な利き手の判定に取ってマイナスとなるとされるのは、当然のことだったでしょう。

そして、現状でもまだまだ高齢者を中心に、周りに左利きの人がいない環境にある人たちなどでは、左利きを忌避する人もいます。

本質的な真の意味での利き手動作を項目にあげている、という見方ができるといってよいかと思います。。
そのいう観点からいいますと、現状でも、かなり有効な利き手テストであるといえそうです。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

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2022.06.15

私の読書論159-エピクテトス『人生談義』―<2022年岩波文庫フェア>から-楽しい読書320号

 ―第320号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★ 2022(令和4)年6月15日号(No.320)
「私の読書論159-エピクテトス『人生談義』―『語録』『要録』
―<2022年岩波文庫フェア>名著・名作再発見!から」

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         ― 読書で豊かな人生を! ―
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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2022(令和4)年6月15日号(No.320)
「私の読書論159-エピクテトス『人生談義』―『語録』『要録』
―<2022年岩波文庫フェア>名著・名作再発見!から」
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 今回は、久しぶりに<岩波文庫フェア>を取り上げます。
 2019年以来の<岩波文庫フェア「名著・名作再発見!」>です。

2022年岩波文庫フェア
「名著・名作再発見! 小さな一冊をたのしもう」
https://www.iwanami.co.jp/news/n46643.html

 毎年夏休みに恒例の新潮文庫・角川文庫・集英社文庫の
 三社夏の文庫フェアは、
 こちらでも私のお気に入りを紹介してきました。

 それに引き比べ岩波文庫の方は、一時期扱っていただけ。
 どうしても一社のみのフェアですので、
 扱える範囲が限られるということもあり、

 毎年は取り上げにくいものがあります。

 また近年は、フェアの特集冊子が発行されなくなり、
 それもさびしく、取り上げにくくなっています。

 無料であれだけ有意義な内容の冊子を作っていたのですから、
 「スゴイ」の一語でした。

 もちろん、のちにまとめて一冊の文庫本に仕立てて、
 ラインアップにくわえてはいましたけれど。

 

<過去に扱った岩波文庫フェア>

2019(令和元)年6月30日号(No.250)-190630-
「2019年岩波文庫フェア「名著・名作再発見!」小さな一冊...」

2019年岩波文庫フェア「名著・名作再発見!」小さな一冊...
―第250号 別冊 編集後記
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2019/06/post-b015ac.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e3a5116ac2b0a7abfec291e180ec97ce

 

2016(平成28)年8月31日号(No.182)-160831-
「2016年岩波文庫フェア-名著名作再発見から―森の生活、論語」

2016年岩波文庫フェア-名著名作再発見から―森の生活、論語
―第182号 別冊 編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-12194826487.html
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2016/08/2016--3cd9.html

 

2015(平成27)年7月15日号(No.155)-150715-
「私の読書論-69- 2015年岩波文庫フェア-名著名作再発見」

持ち時間別に読む本~私の読書論69-2015年岩波文庫フェア
-名著名作再発見 ―第155号 別冊 編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-12048469836.html
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2015/07/69-2015--b3c3.html

 

2014(平成26)年10月15日号(No.137)-141015-
「私の読書論-61- -古典を考える-
 岩波文庫フェア 小冊子から(4) その他あれこれ」

古典を考える-岩波文庫フェア小冊子から(4) その他:私の読書論61
―第137号 別冊 編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-11938507746.html
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2014/10/-461-255f.html

 

2014(平成26)年9月15日号(No.135)-140915-
「私の読書論-60- -古典を考える-
 岩波文庫フェア 小冊子から(3) 外岡秀俊」

古典を考える-岩波文庫フェア小冊子から(3):私の読書論60
―第135号 別冊 編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-11924535782.html
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2014/09/-360-4a5d.html

 

2014(平成26)年8月15日号(No.133)-140815-
「私の読書論-59- -古典を考える-
 岩波文庫フェア 小冊子から(2) 伊藤真」

古典を考える-岩波文庫フェア小冊子から(2):私の読書論59
 ―第133号 別冊 編集後記
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2014/08/-259-04f9.html
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-11909797601.html

 

2014(平成26)年7月15日号(No.131)-140715-
「私の読書論-58- -古典を考える-
 岩波文庫フェア 小冊子から(1) 安藤元雄」

古典を考える 岩波文庫フェア/名著・名作再発見! 小冊子から
 ―第131号 別冊 編集後記
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2014/07/post-2f48.html
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-11893553438.html

 

2012(平成24)年8月31日号(No.88)-120831-
2012年岩波文庫フェアから
<名著・名作再発見! 小さな一冊をたのしもう> 

2012年岩波文庫フェアからの古典のおススメ ―第88号 別冊 編集後記
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2012/08/2012-fcb9.html
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-11341482084.html

 

2011(平成23)年6月15日号(No.59)-110615-
私の読書論-22-初心者のための読書の仕方を考える
 (4)最初の一冊の選び方

岩波文庫<名著・名作再発見!>最初の一冊の選び方:
「原典」から入ろう! ―第59号 別冊 編集後記
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/06/post-1678.html
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10922640244.html

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 - 私の読書論159 -
  ◆ 精神の自由と幸福に生きる方法 ◆
  ~ 元奴隷の哲学者の人生哲学 ~
  エピクトテス『人生談義』―『語録』『要録』
   <2022年岩波文庫フェア>名著・名作再発見!――から
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 ●2022年岩波文庫フェア「名著・名作再発見!」

まずは、そのラインアップから紹介しましょう。

 

2022年岩波文庫フェア
「名著・名作再発見! 小さな一冊をたのしもう」

▼1.五輪書【青2-1】  宮本 武蔵/渡辺 一郎 校注
▲2.学問のすゝめ【青102-3】  福沢 諭吉
3.善の研究【青124-1】  西田 幾多郎
▲4.遠野物語・山の人生【青138-1】  柳田 国男
5.新版 きけ わだつみのこえ【青157-1】
 日本戦没学生記念会 編
6.君たちはどう生きるか【青158-1】  吉野 源三郎
7.意識と本質【青185-2】  井筒 俊彦
▲8.論語【青202-1】   金谷 治 訳注
9.北斎 富嶽三十六景【青581-1】  日野原 健司 編
▼10.エピクテトス 人生談義(上)【青608-1】  國方 栄二 訳
▼ エピクテトス 人生談義(下)【青608-2】  國方 栄二 訳
▼11.マルクス・アウレーリウス 自省録【青610-1】  神谷 美恵子 訳
12.永遠平和のために【青625-9】  カント/宇都宮 芳明 訳
▼13.読書について  他二篇【青632-2】
 ショウペンハウエル/斎藤 忍随 訳
▲14.死に至る病【青635-3】  キェルケゴール/斎藤 信治 訳
▼15.ラッセル 幸福論【青649-3】  安藤 貞雄 訳
▼16.ロウソクの科学【青909-1】  ファラデー/竹内 敬人 訳
17.生命とは何か【青946-1】
 シュレーディンガー/岡 小天,鎮目 恭夫 訳
18.何が私をこうさせたか【青N123-1】  金子 文子
・19.古事記【黄1-1】   倉野 憲司 校注
▲20.源氏物語(一) 桐壺―末摘花【黄15-10】 柳井 滋,室伏 信助,
 大朝 雄二,鈴木 日出男,藤井 貞和,今西 祐一郎 校注
21.西行全歌集【黄23-2】  久保田 淳,吉野 朋美 校注
▼22.新訂 方丈記【黄100-1】  鴨 長明/市古 貞次 校注
・23.新訂 徒然草【黄112-1】  西尾 実,安良岡 康作 校注
24.芭蕉 おくのほそ道【黄206-2】  末尾 芭蕉/ 萩原 恭男 校注
▲25.こころ【緑11-1】  夏目 漱石
▲26.夢十夜 他二篇【緑11-9】  夏目 漱石
27.柿の種【緑37-7】  寺田 寅彦
▼28.濹東綺譚【緑41-5】  永井 荷風
29.銀の匙【緑51-1】  中 勘助
30.萩原朔太郎詩集【緑62-1】  三好 達治 選
▲31.蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇【緑70-7】 芥川 竜之介
▲32.童話集 銀河鉄道の夜 他十四篇【緑76-3】
 宮沢 賢治/谷川 徹三 編
・33.江戸川乱歩短篇集【緑181-1】 千葉 俊二 編
・34.桜の森の満開の下・白痴 他十二篇【緑182-2】 坂口 安吾
35.自選 谷川俊太郎詩集【緑192-1】  谷川 俊太郎
36.茨木のり子詩集【緑195-1】  谷川 俊太郎 選
37.危機の二十年【白22-1】  E.H.カー/原 彬久 訳
▲38.日本国憲法【白33-1】  長谷部 恭男 解説
39.民主体制の崩壊【白34-1】   フアン・リンス/ 横田 正顕 訳
▲40.自由論【白116-6】  J.S.ミル/関口 正司 訳
41.マルクス エンゲルス 共産党宣言【白124-5】
 大内 兵衛,向坂 逸郎 訳
42.プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神【白209-3】
 マックス・ヴェーバー/大塚 久雄 訳
43.職業としての政治【白209-7】
 マックス・ヴェーバー/ 脇 圭平 訳
44.アイヌ神謡集【赤80-1】  知里 幸惠 編訳
▲45.ソポクレス オイディプス王【赤105-2】  藤沢 令夫 訳
▲46.動物農場【赤262-4】  ジョージ・オーウェル/川端 康雄 訳
47.対訳  ディキンソン詩集【赤310-1】  亀井 俊介 編
▲48.人間とは何か【赤311-3】  マーク・トウェイン/ 中野 好夫 訳
▲49.新編 悪魔の辞典【赤312-2】  ビアス/ 西川 正身 編訳
▲50.若きウェルテルの悩み【赤405-1】  ゲーテ/竹山 道雄 訳
52.バウドリーノ(上)【赤718-2】 ウンベルト・エーコ/堤 康徳 訳
 バウドリーノ(下)【赤718-3】 ウンベルト・エーコ/堤 康徳 訳
53.白い病【赤774-3】  カレル・チャペック/阿部 賢一 訳
54.伝奇集【赤792-1】  J.L. ボルヘス/鼓 直 訳
55.20世紀ラテンアメリカ短篇選【赤793-1】  野谷 文昭 編訳
56.やし酒飲み【赤801-1】  エイモス・チュツオーラ/ 土屋 哲 訳
57.失われた時を求めて1 スワン家のほうへI【赤N511-1】
 プルースト/吉川 一義 訳
▼58.星の王子さま【赤N516-1】  サン=テグジュペリ/内藤 濯 訳
59.声でたのしむ 美しい日本の詩【別冊25】
  大岡 信,谷川 俊太郎 編

(全59点61冊)※2022年5月27日発売(小社出庫日)

 ▼ 岩波文庫版で読んだもの
 ▲ 他社版で読んだもの
 ・ 一部読んでいるもの

私の読んだ本、一部読んだ本など25点。

弊誌で取り上げた作品も『論語』や『星の王子さま』など、
いくつもあります。

 

 ●私のオススメの名著・名作

どれも読んでおいて損はない名著名作揃いなのですが、
比較的最近、私が読んだものの中から、
私のお気に入りのオススメ本をあげますと――

名著(リアル系)では、

 エピクテトス 人生談義
 ロウソクの科学  ファラデー
 死に至る病  キェルケゴール
 人間とは何か  マーク・トウェイン

名作(小説・フィクション系)では、

 濹東綺譚  永井 荷風

あたりでしょうか。

『死に至る病』は、実は途中までしか読んでいません。
もう一度機会を見て読んでみようと思います。
途中まではいいんですがね、なんといえばいいのか……。

『ロウソク――』と『人間――』は、
ともに読み応えのある小著(「小さな一冊」)といっていいでしょう。

 

その他の定番中の定番ともいうべきもののうち、
私の既読のものから、特にここに書き出しておきたい作品として
あげておきますと――

名著では

 五輪書  宮本 武蔵
 学問のすゝめ  福沢 諭吉
 論語
 読書について  ショウペンハウエル

など。

フィクション系では、

 ソポクレス オイディプス王
――現存するギリシア悲劇三大詩人の作品中の最高裁大の傑作
 蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 芥川 竜之介
――芥川龍之介の児童ものの名作集
 星の王子さま  サン=テグジュペリ
――『トム・ソーヤーの冒険』と並ぶ私のベスト・ワンを争う双璧

それぞれ「小さな一冊」と呼んでいいでしょう。
でも中身は読み応え十分です。

 

 ●本年第一位――『エピクテトス 人生談義』

今年の59点から私の選ぶ一点は、『エピクテトス 人生談義』です。

*(新訳)
『エピクテトス 人生談義(上)』國方 栄二 訳 岩波文庫【青608-1】 2020/12/17

『エピクテトス 人生談義(下)』國方 栄二 訳 岩波文庫【青608-2】‎ 2021/2/18 

 

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元奴隷の哲学者エピクテトスの
奴隷という立場からの生き方を反映したと思わせる人生哲学です。

『エピクテトス 人生談義』は、
古代ローマ時代の元奴隷の哲学者エピクテトスの講義録のようなもので、
弟子のアリアノスという人がまとめた『語録』
(現存するのは全八巻中の四巻のみ)と、その『要録』(抄録作品)と、
「断片」からなる。

タイトルの『人生談義』は、
旧訳の鹿野治助訳(1958年)の書名を継承したもの。

*(旧訳)
『人生談義〈上〉〈下〉』エピクテートス/著 鹿野 治助/訳 岩波文庫 1958/7/5

 

エピクテトスは、
ローマ皇帝で『自省録』の著者マルクス・アウレーリウスや
セネカと並ぶ古代ローマの後期ストア派の哲学者で、
奴隷の子に産まれ、奴隷として長年暮らし、哲学を学び、
解放後は学校を開き、哲学の講義を行った。
アリアノスはその弟子の一人。

近代以降の哲学は、学者のための学問のようになって、
一般人には縁遠い高邁なものになってしまった印象があります。

しかし、古代の哲学は、まさに「よく生きる」ための学問で、
人生とは何か、どうすればしあわせに生きることができるのかを問う
人生論・幸福論のような一般人にもなじみ深いものになっています。

『エピクテトス 人生談義』は、
まさにそういう生き方論の考え方を教えてくれる
教科書のようなものではないでしょうか。

前回の「私の読書論158」では、
アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を取り上げましたが、
それにも似た、幸福論の一冊として読めるものです。

アリストテレスのような理詰めの論文調とは違い、
講義録といっても、『論語』に近いものかもしれません。
しかも内容的には、『老子』のような逆説に満ちています。
しかし一見逆説に見えますが、
よくよくきいてみるとなるほどと納得できる転回があります。

この『要録』を自身の『幸福論』の中で紹介している
スイスの哲学者カール・ヒルティは、こう書いています。

 《この書物は、現在そうであるよりも一層広く読まれる価値があり、
  ことに学校でもっと多く読まれてよいものである。
  まさにストア主義は、向上の精神にもえて修業の道にいそしむ
  青年の魂と性格とに、
  非常な魅力と、鼓舞の力とを与えるものである……》p.43

   ――ヒルティ『幸福論(第一部)』草間平作訳 岩波文庫

*『幸福論(第一部)』ヒルティ/著 草間 平作/訳 岩波文庫 1961/01)

 

日本では、このヒルティの『幸福論 第一部』中の「要録」が
最もよく読まれたエピクテトスでしょう。

旧訳の『人生談義』はあまり読まれてはいなかったように思います。
抄訳の方は、
『世界の名著(13) キケロ エピクテトス マルクス・アウレリウス』
 (責任編集/鹿野治助 中央公論社 1968)に収録され、
これは今も読まれているようですけれど。

今度の新訳はもっと読まれてほしいと思っています。

訳者の國方栄二さんの著作

『ギリシア・ローマ ストア派の哲人たち』
(中央公論新社 2019――ストア派哲学の初期から後期まで、
特に後期のエピクテトス、セネカ、アウレリウスについての著作)

で、この新訳が出るという話を知り、出るや早々購入したものでした。

本書の上巻の巻末解説「エピクテトスの生涯と著作」の末尾に、
<幸福論・人生論として>と書かれているように、
そういう読み方をしていただきたいものです。

 

 ●われわれの力の及ぶものとわれわれの力の及ばないもの

具体的に内容に触れておきましょう。

いちばん衝撃的といいますか、感銘を受けたのは、冒頭のこの一節です。

『語録』「第一巻/第一章
 われわれの力の及ぶものとわれわれの力の及ばないもの」より

 《われわれの力の及ぶものは、
  最も善いように処理しなければならないが、
  力の及ばないものは自然のままに扱うようにしなければならない
  ということだ。/「自然のままにとはどういうことだ」/
  神がのぞむままにということだ。》『上巻』p.23

 《(略)何が自分の手元にあるだろうか。何が私のものであり、
  何が私のものではないのか、何が私に許されており、
  何が許されていないのかを知ること、
  これ以外に何があるだろうか。》同 p.24

 《(略)私を縛るのか。君は私の足を縛るだろう。
  だが、私の意志はゼウスだって支配することはできない。》同 p.25

 

次に長いですが、『要録』の「一」の冒頭部分を。

 《物事のうちで、あるものはわれわれの力の及ぶものであり、
  あるものはわれわれの力の及ばないものである。
  「判断、衝動、欲望、忌避」など、一言でいえば、
  われわれの働きによるものはわれわれの力の及ぶものであるが、
  「肉体、財産、評判、官職」など、一言でいえば、
  われわれの働きによらないものは、
  われわれの力の及ばないものである。
  そして、われわれの力の及ぶものは本性上自由であり、
  妨げられも邪魔されもしないが、
  われわれの力の及ばないものは脆弱で隷属的で妨げられるものであり、
  本来は自分のものではない。
  そこで次のことを心に留めておくがいい。
  本性上隷属的であるものを自由なものと考え、
  自分のものでないものを自分のものと考えるならば、
  君は妨げられ、苦しみ、神々や人びとを非難するだろう。
  だが、君のものだけを君のものと考え、自分のものでないものは、
  実際そうであるように、自分のものでないものと考えるならば、
  だれもけっして君を強制したりしないし、邪魔したりもしないし、
  君はだれをも非難したりせず、だれかを咎めることもなく、
  なにひとつとして不本意におこなうようなこともなく、
  だれも君を害することはないし、敵をもつこともないだろう。
  なにか害を受けることもないからだ。》『下巻』p.360

 

要するに、
「われわれの力の及ぶもの」と
「われわれの力の及ばないもの」とを分けて考えよ、
という教えです。

「われわれの力の及ぶもの」――自分の意志で変えられるもの、と
「われわれの力の及ばないもの」――
自分の意志でどうにかできるとは限らないもの、
とをごっちゃに考えるから、事態が難しくなるというのです。

いい成績を取ろうと思い、一所懸命勉強することはできますが、
結果としていい成績を残せるかどうかは、なんともいえません。

自分の評判を上げようと、
人の気に入られるような行動を取ることはできますが、
それで評判が上がるかどうかは分かりません。

しかし「私は努力した」と、自分の気持ちを満たすことはできます。
人の心というものは、自分の力ではどうにもできませんが、
自分の心は自分の力でどうにかできる、自分の力の及ぶ範囲です。

究極ともいうべきは、
「君は私の足を縛れるが、私の意志は縛れない」というのがそれですね。

精神の自由を奪うことはできない、という宣言です。

奴隷の子に産まれ奴隷として過ごしてきた人、
エピクテトスらしい発想といえましょう。

 

 ●松井秀喜さんの『不動心』にも……

この「われわれの力の及ぶもの」と
「われわれの力の及ばないもの」を分けて考えよ、という教えは、
日本のプロ野球やアメリカの大リーグでも活躍した
松井秀喜さんも、その著書『不動心』(新潮新書 2007/2/16)の中で、

「自分のコントロールできることとできないことを分ける」

という言葉で表現されています。

左手のケガで試合に出場できなくなったとき、出場に向けてケガを治し、
無事な部分の体力筋力を維持するという、最善の準備をした、と。

最善の準備は、自分の力の及ぶ範囲のことですが、
結果は、自分の力の圏外のことです。

*『不動心』松井秀喜 新潮新書 2007/2/16

 

 ●私たちは劇の俳優だ、選ぶのは他の人

もうひとつ書いておきたいことがあります。

それは、『要録』の「一七」――。

 《次のことを心に留めておくがいい。
  君は劇作家がのぞむような俳優なのだ。
  劇作家が短いものを望めば短い劇の俳優になるし、
  長いものを欲するなら長い劇の俳優になるのだ。
  もし君に物乞いを演じることを望めば、
  それを上手く演じるようにせよ。(略)
  というのは、君の仕事は、
  あたえられた役を立派に演じることだが、
  どの役を選ぶのかは、他の人の仕事であるから。》『下巻』p.372

 

『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業
――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために』
(荻野弘之 かおり&ゆかり[漫画] ダイヤモンド社 2019)

というエピクテトスの本をもとに、
一般向けに人生訓・幸福論として
漫画と解説でわかりやすく紹介する本があります。

この最終話「さよなら、エピさん」(漫画)にこうあります。

 《どんな国に生まれ/どんな身体/どんな両親や兄弟を持ち/
  そして/どのような環境や立場に/置かれるかは/
  すべて神次第じゃ/
  しかし/神の仕事は/そこまでじゃ/
  そこからは/我々の仕事じゃ/
  神に与えられた場で/どのように/生きるかは/
  「我々次第」で/あるからな》

いま「親ガチャ」という言葉があるそうです。
俗に「ガチャガチャ」と呼ばれる
お金を入れてダイヤルを回すと丸い透明ケースに入った景品が出てくる
というヤツ、ですね。
あれのようにどんな親に生まれるかは当て物のようなものだ、
というわけです。

確かに経済力のある家に生まれれば、有利に人生を始められます。
あるいは遺伝的に優位の親の下に生まれれば――
例えば、頭がいいとか運動能力に優れているとか、であれば――
その素質を受け継いで、優良な人間になれるかもしれません。

しかし、神様の仕事はそこまでで、そこからは自分の努力次第です。
優れた素質を活かせるかどうかは、本人次第なのですから。

エピクトテスは、それを俳優に例えています。
私たちは、雇われた俳優で与えられた自分の役を精一杯演じるのみです。
勝手に主役を演じたりはできません。
たとえ端役でも腐ったりしないで、今自分の持てる力を精一杯ぶつける。
そうした努力を続けていれば、いつかは実力が正当に認められ、
自分にふさわしい役どころを得る日も来るかもしれません。

人生というものもそうで、与えられた場所で、
精一杯自分を活かすように努力するしかないのです。

渡辺和子さんの『置かれた場所で咲きなさい』というのも同じですね。

*『置かれた場所で咲きなさい』渡辺 和子 幻冬舎文庫 2017/4/11

 

そここそが自分の力の及ぶ範囲なのですから。

そして、自分の力の及ばないものに関しては、煩わされないようにする。

この二つの違いをしっかり見極めて自分らしく生きていきましょう!
――というお話でした。

220614jinseidangi

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 ★創刊300号への道のり は、お休みします。

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本誌では、「私の読書論159-エピクテトス『人生談義』―『語録』『要録』―<2022年岩波文庫フェア>名著・名作再発見!から」をお届けしています。

今回も全文紹介です。

前回同様長くなっていますが、ご容赦のほどを!

まあ、毎度のことで驚きはないでしょうけれど。

今回紹介した『エピクトテス 人生談義』は、プラトンの『クリトン』(ただ生きるのではなく「よく生きる」云々)などの<ソクラテス対話篇>の諸編、アランの『幸福論』、最近では前号でも紹介しましたアリストテレスの『ニコマコス倫理学』などとともに、私の気になる哲学書の一つです。
冗長な部分もありますが、『語録』『要録』を並べて読んでみれば、何かしら感じるところがあるかと思います。

なかでも冒頭の「われわれの力の及ぶものとわれわれの力の及ばないもの」をしっかり見極めて分けて考えよ、の教えは、非常に有効なものだと思います。

努力には、有効な努力とムダな努力があると思います。
自分の力の及ぶ範囲を見極めることで、ムダな努力を減らし、有効な努力に注力する。
人生は短い、そういう努力が必要だと思います。

「ムダな努力」が不要だとは思いません。
「努力することにムダはない」という考え方もあります。

しかし、物事には明らかに「ムダな努力」としかいえないものもあります。
そういうものを減らし、有効な努力に変えてゆく。
自分の力の及ぶ範囲のこと、自分がコントロールできることに注力する。

自分の力の範囲で生きるということは、人生の舞台で与えられた役回りを精一杯演じること。

それが大切なことで、<よく生きる>ことにつながるものでしょう。

 

[追記 2022.6.17]

私のもう一つのメルマガ、左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』の2021年の新春号で、2021年末に出た『人生談義(上巻)』をもとにした文章を書いていました。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

第586号(No.586) 2021/1/2
「2021(令和3)年 新春放談 自分の力の及ぶものと及ばないもの」

<別冊編集後記>
2021.1.2
2021(令和3)年 新春放談 自分の力の及ぶものと及ばないもの-週刊ヒッキイhikkii第586号

(「新生活」版)

 

当時は、(下巻)はまだ出ていなくて、待ち遠しく感じたものでした。

すっかり忘れていましたが、結構エピクテトスの『人生談義』(『語録』と『要録』)について書いていたのですね。
別のメルマガの方だったので、チェックもれしていました。

私にとってそれだけ強烈な印象を持っている著作だった、ということです。

 ・・・

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