2018.06.15

の読書論107-私をつくった本・かえた本(6)高校時代後半・ミステリマガジン編

―第225号「レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
私の読書論107-私をつくった本・かえた本(6)
高校時代後半・ミステリマガジン編

本誌では、「私の読書論107-私をつくった本・かえた本」の6回目。
高校時代後半です。

『ミステリ・マガジン』を定期購読するようになった高校2年の夏休み以降のお話です。

この雑誌のお陰で、それまでの主に冒険・探検ものの小説を読むだけのお子ちゃま読書から、もう少し大人向けの幅広いエンタメ系の小説を読むようになりました。

また、単なるエンタメだけでなく、もう少し文学的な作品にも少しずつ幅を広げてゆくようになったのも、この雑誌の影響が大きかったように思います。

月間の文芸雑誌ですので、主に短編の小説が中心ですが、ときに長編小説の連載もありました。

それだけではなく、雑誌ならではの連載コラムというものがあり、色々な書き手のエッセイに触れることもできました。
“海外ミステリ専門誌”となってはいますが、海外ミステリの話題だけではなく、海外(特にアメリカ)の文化を紹介するようなコラムもあり、楽しめました。

総合的に「文化」というものを観察、考察する姿勢を教えられたような気がします。


 ●雑誌という書物、定期購読という行為

雑誌というものは、雑多な情報を掲載した書物という意味なのでしょうけれど、そこにこそ魅力があるのです。

思えば私は、小学生のころに『小学○年生』を買い続け、雑誌をとるという習慣を身に付け、中学生ごろから新聞を読むこととともに、『週刊少年マガジン』をとり、高校生で『ミステリ・マガジン』をとり、と雑誌購読を続けてきました。

この雑誌と新聞を読むこと――そこに書籍の読書も加わり、それらが自分を形作る大きな力になった、と思われます。


『(週刊・月刊)少年マガジン』は高校卒業まで。
『ミステリ・マガジン』は、80年代の前半ぐらいまで、定期購読。

その後は、仕事が忙しくなったこと、自分の小説の好みと世間の流行りが乖離し始めたこと等の理由で、定期購読する雑誌はなくなりました。

買わなくなっただけで、『ミステリ・マガジン』は、図書館で時おり借りて読んできました。
全ページ目を通すことはなくなりましたが、気になるところはつまみ読みして、即(つ)かず離れずの関係です。


NHKの英語・英会話講座のテキストを複数、数年間定期購読したことがあるように、他の雑誌(複数)を一時的に購読したこともありました。

プータロー時代は、父の取っていた『PHP』を読んでましたし、やなせたかしさん編集の『詩とメルヘン』もときに読んでいました(投稿もしました!)。
仕事に追われていたときは、アイドル系の『CM-NOW(ナウ)』で、目と心の保養?


書籍の読書も人間形成に大きな影響力を持っていますが、雑誌の力も大きなものがあると思います。

自分にふさわしい雑誌と出会えるかどうか、というのも、人生の大きな分岐点の一つでしょう。

 ・・・

詳細は本誌で!

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』
http://www.mag2.com/m/0000257388.html

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*参考:
【『ミステリ・マガジン』早川書房】

(最新号)―私の“読者欄”投稿「私の書評」掲載号―
ミステリマガジン 2018年 07 月号 2018/5/25

Hmmakachan

【創元推理文庫『怪奇小説傑作集』全5巻】

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『怪奇小説傑作集 1』ブラックウッド、他 平井呈一/訳 (1969)


『怪奇小説傑作集 1 英米編 1 [新版]』創元推理文庫 2006/1/31

『赤ちゃんはプロフェショナル!』レニー・エアース 宇野輝雄/訳
(ハヤカワ・ノヴェルズ 1970)


(ハヤカワ文庫 NV 114 1977/6)

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2018.05.26

『ミステリ・マガジン』7月号読者欄「読者の書評」に掲載される

5月25日発売の『ミステリ・マガジン』2018年7月号(729)(早川書房)の読者のお便り欄「響きと怒り」の<読書の書評>に、私の投稿が掲載されました。

「『アガサ・クリスティー完全攻略〔完全版〕』霜月蒼」

です。

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(画像:表紙と読者欄)

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(画像:私の投稿)

この本は、霜月蒼さんが<クリスティー文庫>に収録されたクリスティー全作品約100点を読んで採点した書評です。
今年4月に、クリスティーの全著作および関連書を収録する早川書房<クリスティー文庫>に収録されました。

その本を、半世紀にわたるクリスティー“半熟”ファンである私が、ファンの立場から見た評価を書いてみました。
元々の文章は2400字程度のものでしたが、読者欄向けに掲載可能な上限を1000字程度と推定、できる限り圧縮したショート・バージョン(最終1100字程度)を作成し、投稿しました。

掲載にあたり、さらに150字程度カットされましたが、一部のカットと細部の変更のみで、ほぼ全面採用でした。

採用される自信はありましたが、やっぱり「うれしい!」ですね。


【掲載文】

「読者の書評」

□『アガサ・クリスティー完全攻略〔決定版〕』/霜月蒼

 作品評価に関しては、ウェストマコット名義その他を含めて、おおむね妥当な線で信頼できる印象ですが、半世紀に渡るクリスティー“半熟”ファンとしては不満が残ります。
 まずは5段階評価☆〇・五点『ビッグ4』。氏の論評は《「こどもむけ冒険ものがたり」みたいなもの》で、短篇連作の個々のパートも《ミステリとしても見るべきところがまったくない。トリックは、「トリック」というのも気の引ける程度のものだ》。結論は、エンタテインメント小説の研究者以外は読む必要なし。出来が悪いのみならず消費期限切れ、というもの。リアルでシリアスな名作スリラーを知る現代人には鑑賞に絶えない、という点は納得できますが、クリスティーの「初期冒険ものファン」、「ポアロ・ファン」 ――特に「ポアロ&ヘイスティングズ・ファン」 にとっては、楽しめる「必読の一冊」「ビッグ・ボーナス」以外の何ものでもありません。
 なぜなら(1)ポアロ&ヘイスティングズのやりとりの妙、再三にわたる窮地からの脱出劇。(2)ポアロの兄や愛しの君の登場というサービスぶり。(3)個々の短篇ネタに関しても、チェスのエピソードでは、自称“左利きミステリ研究家”の私も納得の左利きトリックを扱い、偶然に頼るのではなく蓋然性の高いトリックを仕掛けています。
 次に『マギンティ夫人は死んだ』では《ハードボイルド・ミステリみたいな読み心地》等高い評価の中、《玉に瑕》としてオリヴァ夫人の登場を《必然性もまるでない》読者サービスとして批判されています。しかし必然性を指摘するなら、高名な探偵として乗り込みながら見事に空振りするポアロを探偵役に据えなくてもいいのです。探偵役は、地元の警視の尊敬する、引退した几帳面な性格の先輩刑事でいい。それでこそハードボイルド・ミステリ的な展開になります。クリスティーは、私生活を語らなかった人で、作中のオリヴァ夫人を介して創作作法や作家としての裏話をファンにサービスしているのです。中期以降の重要なお楽しみの一つで『ポアロとグリーンショアの阿房宮』でもそうでした。
 最後に、『茶色の服の男』について、ある名作の先駆である点を指摘していないので、クリスティー・ファンのみならずミステリ・ファンに対しても、この作品を読む楽しみを伝えきれていない、と言えます。
 霜月氏の仕事は貴重なものですが、<クリスティー文庫>入りする上では、今一つ、というのが私の評価です。


【注】
◆ウェストマコット名義 ⇒ クリスティーがミステリではない普通の小説――恋愛ものや親娘もの等――を刊行する際に使用した名義
◆クリスティー“半熟”ファン ⇒ 霜月さんのように、全作完全攻略していない、完熟ではないという私の読者としての立場を表す
◆5段階評価☆〇・五点 ⇒ 霜月さんの評価は★一つの場合「アガサを愛する貴方むけ」としており、要するに作品の出来は良くないがファンなら楽しめるという意味で、0.5点はそのような「クリスティー・ファンでも読む必要なしの駄作」という意味になる
◆“左利きミステリ研究家” ⇒ <左利き>にまつわるミステリについて、メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』で「名作の中の左利き~推理小説編」として、文学作品を扱った「名作編」に引き続き、2011年から2017年まで27回に渡って紹介したほか、ブログでも取り上げた
*参照:
第278号(No.278) 2011/9/17「名作の中の左利き~推理小説編-1-推理小説と左利きについて」


『アガサ・クリスティー完全攻略〔決定版〕』霜月蒼 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫 2018/4/18)

『ハヤカワ・ミステリ・マガジン』2018年7月号(729) 早川書房 2018/5/25


『レフティやすおのお茶でっせ』
★カテゴリ : 左利きミステリ
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★カテゴリ : 国内ミステリ

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2018.01.31

私の読書論102-私の年間ベスト2017(後編)フィクション系

―第216号「レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2018(平成30)年1月31日号(No.216)-180131-
「私の読書論102-私の年間ベスト2017(後編)フィクション系」

本誌では、「私の読書論102-私の年間ベスト2017(後編)フィクション系」と題して、昨年読んだ本のうち、フィクション系の55冊の中からおススメの一冊を選んでいます。

前回同様、内要は、本誌を見てのひ・み・つ――ということですが、サービスで「ベスト3ぐらい」をネタばらししておきましょう。


『高慢と偏見(上下)』オースティン 小尾芙佐訳
 光文社古典新訳文庫
―唯一の女性訳者の手になる翻訳。19世紀初頭の女性たちの身分(階級)違いの恋愛と結婚を鮮やかに描いた物語。


『アーサー王宮のヤンキ―』マーク・トウェイン 大久保博訳
 角川文庫-トウェイン完訳コレクション-
―現代(19世紀)のアメリカ人がアーサー王の時代のイギリスにタイムスリップ、科学力で民主主義の国を建設しようするが……。SF的設定で描く風刺小説。


『緑衣の女』アーナルデュル・インドリダソン 柳沢由実子訳
 東京創元社
―家族の問題をテーマにした、重く暗く陰湿な犯罪を描く、ラストに少し明るさを感じさせるアイスランドの警察小説。

<巨匠の最期の名人芸>
『最後の旋律』エド・マクベイン 山本博訳
 ハヤカワ・ミステリ
―一つの犯罪を追う複数の刑事たちがそれぞれのアプローチから犯人にたどり着く名人芸の警察捜査小説。

さて、「ベスト1」は?

 ・・・

分量的にはかなり長くなり、二回に分けたい気分ですけれど、中身は少ないので、一回で行きました。
ご容赦ください。

 ・・・

詳細は本誌で!

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2017.03.26

アーナルデュル・インドリダソン『緑衣の女』を読む

前作『湿地』につづき、二年連続で北欧ミステリの“ガラスの鍵”賞を受賞し、さらにミステリの本場イギリスの“CWAゴールドダガー”賞を受賞したという名作で、『湿地』は日本でも好評を博し、期待値が上がっての登場です。
私も前作は大いに楽しみました。

2017.3.22
アーナルデュル・インドリダソン『湿地』を読む


期待を持って臨んだこの作品も、期待以上、といっていい出来でした。

『緑衣の女』アーナルデュル・インドリダソン 柳沢由実子訳 創元推理文庫 2016/7/11

地元のパーティで赤ちゃんがしゃぶっていたものを人骨(肋骨の一部)と医学生が見抜く、という発端がなかなかです。
それは、子供が工事中の新興住宅地で見つけ、宝物としていたものだった。
アイスランド・レイキャヴィクの警察のベテラン犯罪捜査官エーレンデュルと、前作でも登場した二人の同僚、シグルデュル=オーリとエリンボルクが捜査を担当する。
かなりの年代物(戦前のものか?)と判明し、考古学者による発掘が行われる。
手を挙げた状態で埋められていたことから、被害者は埋められた時点ではまだ生きていたと考えられる、という。

かつてこの場所の近くにはサマーハウスが建てられていて、イギリスやアメリカ軍のキャンプのバラックも設置されていた。
当時の生存者から、この地のそばにあるスグリの木立の辺りでよく“いびつ”な“緑衣の女”の姿が見られたという証言を得る。
さらに、サマーハウスの持ち主の婚約者が失踪していること、どうやら子を身ごもっていたらしいことも判明します。
はたして遺骨の主は誰なのか、また犯人はいかなる人物なのか……。

事件?の捜査と並行して、悲惨なDV(家庭内暴力)の様子が語られます。
妻の連れ子の娘と夫との男兄弟二人の目の前で、夫は妻を言葉と肉体で暴行します。

それに加えて、捜査官エーレンデュルの麻薬中毒の妊娠中の娘から救助の要請の電話が入り、彼は探索の結果、血まみれの姿の娘で発見します。
生死の境をさまよう娘に付き添い、忌わしい記憶となっている少年時代の思い出を語るエーレンデュル……。

この三つの話を交えて語られるのは、家族とは、家族の絆とは何か、愛とは、人と人との関係とは何かといったことであり、子育てや教育の力とは、といった人生の疑問の数々です。


救いのないDV描写は苛烈ですが、ミッケリーナという女性の存在が救いになっているように感じました。
ラストも悲劇的な中に何かしらホッとするところもあるように思います。

こういうDVを受け入れてしまう女性に関して、色々な意見があるかもしれませんが、私には理解できるところがあります。
ある種の人たちにとって人生というものは、受け入れるしかないものであり、ただ耐え忍ぶしかないものなのです。
嵐がゆきすぎるのを身を低くして、ただただ我慢して時がたつのを待つだけ、なのです。

人をして、そういう人生を送らせてはいけないのだ、ということです。
そのためには子供のころの育て方が重要なのだ、ということです。


前作では強姦事件、今回はDVとかなり厳しい状況を取り上げていますが、その根底にあるこの作家の家族の在り方をテーマにする姿勢にとてもいい印象を持っています。

ミステリ的にも、冒頭の謎といい、中盤の展開といい、ラストの意外性(謎の解決そのものというよりそれ以外の面で)といい、非常によくできた作品でした。

エーレンデュル自身に関しても、次作への興味を持たせるラストでもありました。

*次作:
『声』柳沢由実子訳 東京創元社 2015/7/29


*前作:
『湿地』柳沢由実子訳 創元推理文庫 2015/5/29

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2017.03.22

アーナルデュル・インドリダソン『湿地』を読む

『湿地』アーナルデュル・インドリダソン 柳沢由実子訳 創元推理文庫 2015/5/29


北欧ミステリの“ガラスの鍵”賞を受賞した、アイスランドの作家によるレイキャヴィクの捜査官エーレンデュル・シリーズ第三作(2000)で、アイスランド語ではなく、比較的近いというスウェーデン語からの重訳による、2012年本邦初紹介作。

レイキャヴィクの湿地地帯の集合住宅の地下室の貸し部屋で殺された老人。
明らかに突発的な殺人と思われるのだが、犯人は三語からなる書き置きを残していた。

捜査に当たるエーレンデュルは、被害者がかつて強姦の疑いで、女性から訴えられたが無罪となっていたことを探り出す。
その時の女性はその後、四歳で子供を亡くし、自殺していた。

子供の墓碑に刻まれていた言葉は、《邪悪なものの脅威からわたしの命をお守りください》であり、聖書をよく読んでいるエーレンデュルにはその出典がすぐに分かった。
それは、聖書詩篇第六十四篇の言葉であり、彼女の墓碑のために遺したのかもしれない言葉は、それに先立つ《神よ、悩み訴えるわたしの声をお聞きください》だった。

子供の死因は、今回の被害者の姪と同じ遺伝性の病気だったかもしれない、という。

隠せるものも隠さず、不器用で“典型的なアイスランドの殺人”だというのですが……。


アイスランドの北の湿地のジメッとした風土と連日の雨のなかの捜査を背景に、強姦魔と遺伝性の病気、家族(血筋)の絆と悲惨な運命、それを乗り越えようとする思いと現実のつらさ。
しかし、エーレンデュルの棄てた家族――中でもヤク中の娘エヴァ=リンドとの関係を交えたストーリーが悲しくも温かい。

我慢を続けていたエーレンデュルが思わず、エヴァ=リンドに怒りをぶつけるシーンは、巻末の川出正樹さんの解説にもあるように、一つのクライマックスでした。

犯罪といい、エーレンデュルの私生活といい、悲惨な状況の中にも事件解決に至るなかで、人間への信頼や家族の絆に関して、ある種一抹の救いが感じられる物語です。


ミステリ的には、特別に仕掛けがあるわけでもなく、純粋な警察捜査小説。
アナログなベテラン刑事とアメリカで犯罪学を学んだアメリカかぶれ?の若手刑事と中間世代の女性刑事の取り合わせもよく、ストーリーの展開も鮮やかに、短い章立てで一気にページを進めさせます。

トレヴェニアン『夢果つる街』や、警察小説ではないけれどデニス・ルヘイン『ミスティック・リバー』等を思い起こしました。

評判は聞いていたので、いつか読もうと思いつつ、つい最近まで読まずにいました。
タイトルからしても、ストーリーの紹介など見ても、なんとなく重い感じがして。

女性には辛い部分もあるかと思いますけれど(男性でもね)、著者も発言されているように、現実をしっかり見つめ、描く必要があると思います。

CWAゴールドダガー賞受賞という次作が楽しみです。


*他のアーナルデュル・インドリダソンの作品
『緑衣の女』柳沢由実子訳 創元推理文庫 2016/7/11

『声』柳沢由実子訳 東京創元社 2015/7/29


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2017.01.22

ヴェルヌ『名を捨てた家族 1837-38年ケベックの叛乱』を読む

昨年、出版予定の紹介をしました↓ジュール・ヴェルヌの新刊を読みました。

2016.10.8 待望のヴェルヌ新刊『名を捨てた家族1837-38年ケベックの叛乱』

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(画像:ヴェルヌ『名を捨てた家族』表紙と扉)

ジュール・ヴェルヌ『名を捨てた家族: 1837 ― 38 年 ケベックの叛乱』大矢タカヤス訳 彩流社 2016.10

1889年刊、本邦初訳(ただし、明治時代に翻訳あり、との情報も)。

従来紹介されてきたヴェルヌの作品と言えば、主にSFの祖としての科学冒険小説の類でした。
三大名作『地底旅行』『海底二万里』『八十日間世界一周』、あるいは『月世界旅行』(及び『月世界へ行く』)や『十五少年漂流記』(『二年間の休暇』)といった作品群です。
あるいは、文遊社から復刊された一連の短篇と冒険ものの作品――『永遠のアダム』『ジャンガダ』『黒いダイヤモンド』『緑の光線』――とも少し違います。

今回は、イギリスの植民地となった19世紀前半のカナダを舞台にした、フランス系カナダ人の独立のための武装蜂起を描く歴史的な物語です。

 ・・・

イギリスとの争いに敗れた結果、フランス王ルイ十五世によってイギリスに割譲された旧フランス植民地のフランス系住民が、イギリス政府の植民地支配の圧政に対抗するべく立ち上がった改革派の1825年のクーデターは、金で情報を売った賭け事好きの弁護士シモン・モルガスの密告によって全員が逮捕され、処刑あるいは懲役刑となり、制圧される。
裁判の途中で彼が密告者であることが判明、裏切者の正体が知られ、約束通り釈放されたものの、もはや彼とその一家に居場所はなく、僻地を転々とする日々。
彼を信じる妻ブリジェットと二人の息子ジョアンとジャンだったが、シモンが自殺し、そのポケットから札束が見つかり、真実が知らされ彼らを打ちのめす。

本書は、それから12年後のお話です。

生き残りの改革派は、あらたに武力闘争を開始する。
その中心に立ち、改革派を鼓舞する人物こそ、抵抗運動の先頭に立つ本書の主人公〈名なしのジャン〉であり、教会を通じて抵抗するべく宣教を続ける神父ジョアンでした。

各地で一斉蜂起すれば勝算あり、と考えていた彼ら改革派でしたが、最初のサン=ドゥニで勝利を得るも、翌日そのすぐ南のサン=シャルルでは敗走。
かろうじて逃げ出したものの幹部級の多くは、負傷し散り散りとなる。

捲土重来を図るべく、アメリカ国境にほど近い、ナイアガラ瀑布へつづく川にあるナヴィ島に逃げ込むが、そこにも政府軍が押し寄せる。

裏切者の妻であり息子であることが暴露された母子は、非難する人々に追われるように島を去ってゆく。

「息子よ」と彼女は言った。「赦してあげなさい!……私たちに赦さない権利はないのです!」/「赦せですって!」とジャンは叫んだがその不当さに抗って彼の存在全体が憤っていた。「私たちがやったのではない罪を私たちのせいにする者たちを赦すのですか、それを償おうと私たちができる限りのことをやったのに! 裏切りの罪を妻にまで、子供たちにまで追いまわす者たちをゆるすのですか、子供の一人はすでに彼らにその血を与えました、もう一人にも自分たちのために血を流せと要求する者たちを赦すのですか! いやです!……絶対にいやです! 私たちに触れると汚れるというこの愛国者たちとはこちらから一緒にはいられません! 行きましょう、お母さん、行きましょう!」/「息子よ」とブリジェットは言った、「苦しまなくてはならないのです!……それがこの世での私たちの取り分なのです!……贖罪なのです!……」》p.329「第二部 第十一章 贖罪」

政府の攻撃軍が渡河を始めるとき、守備陣にジャンが戻ってくる。
母の死に際の言葉に、父の罪を償う任務に返ってきたのだったが……。

 ・・・

後半、砦に監禁された〈名なしのジャン〉を奪回すべく、ジョアン神父が死刑を宣告されたジャンに面会を求め、ついに脱走を敢行し、成功します!
さらに、主人公たちを乗せた船がナイアガラ瀑布にのまれてゆく、衝撃のラスト。
これらの場面は、さすがヴェルヌという感じです。

また、原住民(インデアン)のヒューロンのマホガニス族の血を引く公証人とその第二書記のコンビは、ヴェルヌの作品でときに登場する狂言回しで、お笑いコンビになっています。

ヴェルヌの作品では、『海底二万里』の主人公ネモ艦長(船長)は、インドの独立派の人間と設定され、植民地解放派の物語として共通するものでしょうか。
今回ヴェルヌは、フランス愛国者として、フランス系住民の植民地解放物語の悲劇を描いています。

なかなかの感動編です。

ヴェルヌの新たな面が見られたかも、という作品でした。
既紹介作品の新訳もよいのですが、こういう新しい出会いを期待しています。

ぜひ、これを機に、ヴェルヌの未紹介作品を次々と邦訳していただければ、と思います。


☆★彡
ちなみに、ヴェルヌ本の新企画本が出ています。(うれしいけれど、内容もお値段も素晴らしい!)

*【ヴェルヌ本の新企画】:
『ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション II 地球から月へ 月を回って 上も下もなく』
石橋正孝/訳 インスクリプト 2017/1/20
―「ガン・クラブ三部作」(旧訳題名『月世界旅行』『月世界探検』(『月世界へ行く』創元SF文庫)『地軸変更計画』創元SF文庫)の世界初の合本。砲弾による月探検二部作とその後のプロジェクト。

〈全巻構成〉
第I巻(第4回配本)ハテラス船長の航海と冒険 荒原邦博・荒原由紀子訳(18年春刊) 予価:5,500円 [新訳]
第II巻(第1回配本)地球から月へ 月を回って 上も下もなく 石橋正孝訳(17年1月刊) 特大巻:5,800円 [完訳 世界初の合本]
第III巻(第5回配本)エクトール・セルヴァダック 石橋正孝訳(18年秋刊) 予価:5,000円 [本邦初の完訳]
第IV巻(第2回配本)蒸気で動く家 荒原邦博・三枝大修訳(17年5月刊) 予価:5,500円 [本邦初の完訳]
第V巻(第3回配本)カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密 新島進訳(17年11月刊) 予価4200円 [新訳、本邦初訳]


*【ヴェルヌの参考書】:『ジュール・ヴェルヌ伝』フォルカー・デース 石橋正孝訳 水声社 (2014/05)
―本邦初のヴェルヌの評伝。力作です。ヴェルヌの伝記のなかで最も信頼に足ると言われるものです。
 当時の社会状況を知っていれば、また彼の作品をより多く読んでいれば、楽しさも増します。

『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険 ジュール・ヴェルヌとピエール=ジュール・エッツェル』石橋正孝 左右社 (2013/3/25)
―これも力作。元は学術論文ということで、ちょっと読みづらく感じたり、ヴェルヌの原稿をまな板に載せているため、それらを(邦訳がない、もしくは手に入りにくいため)未読の人には分かりにくかったりします。
 小説家ヴェルヌと編集者エッツェル、二人のジュールのあいだを巡る出版の秘密をめぐる“冒険”です。

『ジュール・ヴェルヌの世紀―科学・冒険・“驚異の旅”』東洋書林 (2009/03)
―これは見て楽しい本です。図版で見るヴェルヌの世界といってもいいかもしれません。

『文明の帝国 ジュール・ヴェルヌとフランス帝国主義文化』杉本淑彦 山川出版社(1995)
―ヴェルヌの小説の表現を通して当時のフランス帝国主義を考えるという論文。原書からの挿絵も多数収録。
 巻末100ページを費やし、ヴェルヌの〈驚異の旅〉シリーズ全作品及び初期作品のあらすじを紹介。
 本書『名を捨てた家族』の解説でも触れられています。

『水声通信 no.27(2008年11/12月号) 特集 ジュール・ヴェルヌ』水声社 2009/1/6
―1977年『ユリイカ』以来の雑誌特集。本邦初訳短編「ごごおっ・ざざあっ」、ル・クレジオ他エッセイ、年譜、《驚異の旅》書誌、主要研究書誌。


*『お茶でっせ』記事:
【文遊社<ヴェルヌ>の過去の記事】
・2014.7.19 文遊社ジュール・ヴェルヌ復刊第四弾『緑の光線』7月30日発売
・2014.1.13 文遊社ヴェルヌ復刊シリーズ第3弾『黒いダイヤモンド』年末に発売 
・2013.10.17 ジュール・ヴェルヌ『ジャンガダ』を読む
・2013.8.6 ジュール・ヴェルヌ『永遠のアダム』を読む&『ジャンガダ』出版
【その他の<ヴェルヌ>の過去の記事】
・2016.7.25 角川文庫から新訳ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』(上下)7月23日発売
・2015.8.10 ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』椎名誠、渡辺葉・父娘共訳31日発売
・2013.6.2 ジュール・ヴェルヌの本2点『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』『永遠のアダム』
・2012.10.25 テレビの威力か?HPジュール・ヴェルヌ・コレクションにアクセス急増!
・2007.8.24 ジュール・ヴェルヌ『海底二万里(上)』岩波文庫
・2004.10.18 偕成社文庫版ジュール・ヴェルヌ『神秘の島』と映画『80デイズ』
・2004.7.2 復刊された『グラント船長の子供たち』

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2017.01.15

私の読書論89-私の年間ベスト2016(後編)フィクション系

―第191号「#レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2017(平成29)年1月15日号(No.191)-170115-
「私の読書論89-私の年間ベスト2016(後編)フィクション系」


本誌では、今年読んだ本100冊あまりのうち、フィクション系の本約50冊足らずの中から今年のベストを選んで紹介しています。

思いのほかダラダラとした内容になってしまい、申し訳ありません。
もう少しコンパクトにまとめたかったのですが、時間的に難しくなってしまいました。


今年はミステリだけでなく、SFを久しぶりに読みました。
他にも怪奇と幻想系のものも。

なかでも今年の一番のお気に入りの作家は、フェルディナント・フォン・シーラッハでした。

三冊の短篇集と二冊の長編を読みました。

刑事弁護士としての体験を基にした法廷小説、犯罪ものの小説を記録でも読んでいるかのごとくに、淡々と簡潔に短い文章で綴っています。
内容が凄いのです。

こんな人生があるのだ、という驚き。

ぜひ読んで頂きたいものです。

 ・・・

 ●私の2016年〈フィクション系〉ベスト3ぐらい

『ミスティック・リバー』デニス・ルヘイン 加賀山卓朗訳 ハヤカワミステリ文庫


『火星の人〔新版〕上下』アンディ・ウィアー 小野田和子訳 ハヤカワ文庫SF

そして、フェルディナント・フォン・シーラッハの3作―

『犯罪』酒寄進一訳 創元推理文庫


『罪悪』酒寄進一訳 創元推理文庫


『コリーニ事件』酒寄進一訳 東京創元社 2013/4/11


さて、以上から私のベスト1は?

 ・・・

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2016.11.04

BBC版クリスティー「そして誰もいなくなった」11月27日放送開始

アガサ・クリスティーの代表作のひとつ、名探偵ポアロもミス・マープルも登場しない、ノン・シリーズの長編「そして誰もいなくなった」のドラマが日本初放映されます。

いつも通りのNHK・BSプレミアムで、全3回の放送です。

そして誰もいなくなった

BSプレミアム 11月27日(日)放送スタート 毎週日曜 午後9時

アガサ・クリスティーの名作、日本初放送!!/謎の人物から小さな無人島の邸宅に招かれた10人の男女。次々と人が消えていく衝撃のミステリー! イギリスで放送され大絶賛された新作ドラマ。

原題:And Then There Were None
制作:2015年 イギリス


離れ島に集められた10人の男女が一人一人と殺されてゆきます。
状況は、有名なわらべ歌に則ったもので、見立て殺人です。
集められた人々はみな、その過去に殺人の罪を犯した人々だったのです。
報復のための殺人か? それとも、神になり変わった制裁なのか? ……

超有名な名作をいかに料理しているのか、楽しみです。


原作:「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティー 青木久惠/訳 ハヤカワ文庫―クリスティー文庫 2010/11/10


*過去のクリスティー記事:
2015.10.17
クリスティー原作ドラマ「トミーとタペンス」NHKテレビで放送
2013.3.20
名作~推理編14クリスティー“自殺偽装”事件~左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii355号
2012.12.20
名作~推理編『検察側の証人』クリスティー~左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii343号
2012.6.27
私とクリスティ:『七つの時計』-ファンクラブ機関誌から

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2016.10.08

待望のヴェルヌ新刊『名を捨てた家族1837-38年ケベックの叛乱』

私の知っている限りでは、ソローの日記などを出している彩流社から10月18日発売予定です。

念願の未訳の、過去の復刊/改訳等でなく、全く知られていなかった作品の登場です。
嬉しいの一言です。

『地底旅行』『海底二万里』『悪魔の発明』といったSFの祖といわれるヴェルヌらしい名作というより、冒険小説作家的な面が前面に出た作品のようです。

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(書影画像:出版社サイトより)

ジュール・ヴェルヌ『名を捨てた家族: 1837 ― 38 年 ケベックの叛乱』大矢タカヤス訳 彩流社


文遊社同様、ちょっとお値段がお高いのですが、仕方ないのでしょう。
昨今の翻訳小説冬の時代では。

出版社の同書宣伝文によりますと、

SFの先駆者ジュール・ヴェルヌの知られざる
歴史小説!
虐げられたフランス系カナダ人の闘いと誇りを描く
異色作!!/
19世紀前半カナダ、フランス系住民は大英帝国政府の
圧政に苦しんでいた。
民族の自由と尊厳を守るため立ち上がる住民たち。
そんな彼らの希望となっていたのは、カリスマ性をそなえ、
颯爽と現れ民衆を導く青年「名なしのジャン」だった。
しかし、彼にはけっして明かしてはならない
過去があった……。/
史実をもとに描かれる、恋、スリル、闘い、そして
裏切りと真の絆。
先住民を含む多彩な登場人物が躍動する、
歴史小説にして冒険活劇。
本邦初訳!!

訳者は、デュマ『モンテ= クリスト伯爵』の新訳を果たした「大矢 タカヤス」さん。

1889年の作、本邦初訳(ただし、明治時代に翻訳あり、との情報も)。

版元の紹介文にもありましたが、手持ちの巻末100ページを費やし、ヴェルヌの〈驚異の旅〉シリーズ全作品及び初期作品のあらすじを紹介している、杉本淑彦さんの『文明の帝国』「主要小説のあらすじ」によりますと、フランスからイギリスに委譲されたカナダを舞台にした、イギリスからの独立を目指す人々の冒険物語です。
もっと詳しく書かれていますが、読む楽しみを残しておきましょう。


*【ヴェルヌの参考書】:
『ジュール・ヴェルヌ伝』フォルカー・デース 石橋正孝訳 水声社 (2014/05)
―本邦初のヴェルヌの評伝。力作です。ヴェルヌの伝記のなかで最も信頼に足ると言われるものです。
 当時の社会状況を知っていれば、また彼の作品をより多く読んでいれば、楽しさも増します。

『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険 ジュール・ヴェルヌとピエール=ジュール・エッツェル』石橋正孝 左右社 (2013/3/25)
―これも力作。元は学術論文ということで、ちょっと読みづらく感じたり、ヴェルヌの原稿をまな板に載せているため、それらを(邦訳がない、もしくは手に入りにくいため)未読の人には分かりにくかったりします。
 小説家ヴェルヌと編集者エッツェル、二人のジュールのあいだを巡る出版の秘密をめぐる“冒険”です。

『ジュール・ヴェルヌの世紀―科学・冒険・“驚異の旅”』東洋書林 (2009/03)
―これは見て楽しい本です。図版で見るヴェルヌの世界といってもいいかもしれません。

『文明の帝国 ジュール・ヴェルヌとフランス帝国主義文化』杉本淑彦 山川出版社(1995)
―ヴェルヌの小説の表現を通して当時のフランス帝国主義を考えるという論文。原書からの挿絵も多数収録。
 巻末100ページを費やし、ヴェルヌの〈驚異の旅〉シリーズ全作品及び初期作品のあらすじを紹介。


*『お茶でっせ』記事:
【文遊社<ヴェルヌ>の過去の記事】:
・2014.7.19 文遊社ジュール・ヴェルヌ復刊第四弾『緑の光線』7月30日発売
・2014.1.13 文遊社ヴェルヌ復刊シリーズ第3弾『黒いダイヤモンド』年末に発売 
・2013.10.17 ジュール・ヴェルヌ『ジャンガダ』を読む
・2013.8.6 ジュール・ヴェルヌ『永遠のアダム』を読む&『ジャンガダ』出版
【その他の<ヴェルヌ>の過去の記事】:
・201607.25 角川文庫から新訳ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』(上下)7月23日発売
・2015.08.10 ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』椎名誠、渡辺葉・父娘共訳31日発売
・2013.6.2 ジュール・ヴェルヌの本2点『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』『永遠のアダム』
・2012.10.25 テレビの威力か?HPジュール・ヴェルヌ・コレクションにアクセス急増!
・2007.8.24 ジュール・ヴェルヌ『海底二万里(上)』岩波文庫
・2004.10.18 偕成社文庫版ジュール・ヴェルヌ『神秘の島』と映画『80デイズ』
・2004.7.2 復刊された『グラント船長の子供たち』

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2016.06.07

『ミステリマガジン』2016年7月号創刊60周年記念号を読む

前回の『ミステリマガジン』の記事:
2016.6.6 『ミステリマガジン』2016年7月号創刊60周年記念号を買う

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(画像:「創刊60周年記念号」を手にニッコリの筆者)

特集は、「創刊60周年記念号」です。

本誌にゆかりの内外著名作家の再録や新訳の〈短編競作〉、人気コラムニストによる選りすぐりの名編を再録した〈コラム・アンコール〉、本誌にまつわるミステリ史と人物ファイルで綴る「60年史」松阪健さんの選んだ年間この一冊「60年60冊」〈資料と研究〉

〈短編競作〉では、久しぶり?に海外作家の作品4作を交えて。
〈コラム・アンコール〉では、都筑道夫さん、田中小実昌さん、青木雨彦さん、瀬戸川猛資さん、児玉清さん、そして小鷹信光船長といった今や伝説になってしまった人々と現役組と。
〈資料と研究〉の「60年史」はもう少し詳しくてもよかったのでは? 「60年60冊」も力作。

これから二カ月かけてじっくり読ませてもらおうと思います。

とにかく、おめでとうございます。


 ●『ミステリマガジン』の思い出、イラストレーター編

今回、私は『ミステリマガジン』の思い出として、イラストレーターさんのことを書いてみましょう。

一番始めに挙げるべきは、やはり真鍋博さんです。70年代からの表紙他。
次に、ユーモアスケッチ等の畑農照雄さん。
幻想と怪奇等の楢喜八さん。
ハードボイルドやクライム系?等の山野辺進さん。

最後に私の一番好きだった人を挙げますと、それは怪盗ニックやイラストマップ等の桜井一さんです。
小説家に転身されたと思ったら、突然亡くなられて……。

この辺の方々が記憶に残るベスト5でしょうか。

またHMM回顧の機会がございましたら、ぜひともイラストレーターさんの特集をお願い致します。

『ミステリマガジン』2016年7月号創刊60周年記念号

Hayakawa Online News【通巻717号】より

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ミステリマガジンが創刊60周年を迎えました
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アメリカのミステリ専門誌「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」の
日本版として、1956年に誕生したミステリマガジンが
今月25日発売の2016年7月号をもって、創刊60周年を迎えました。

今回の記念特集号では60年の歴史を振り返る年表に加え、
名作家たちによる短篇やコラムの再録をお届けします。
ロス・マクドナルド、トマス・H・クックの初訳、
ジョン・チーヴァー、片岡義男、皆川博子の再録のほか、
田口俊樹によるコーネル・ウールリッチの新訳を収録。
どれも60年という節目を飾るに相応しい内容となっています。

特集のほかに、今年来日した北欧作家
『猟犬』のヨルン・リーエル・ホルスト氏のインタビューと
〈エーランド島四部作〉のヨハン・テオリン氏による
特別講演の誌上再現記事にもご注目下さい。

ついに還暦を迎えたミステリマガジン。
これもひとえに読者の皆様のおかげです。
次の70年、80年、そして100年と
これからのミステリマガジンをどうぞよろしくお願いいたします。


*過去の『ミステリマガジン』の記事:
・2014.5.7 『ミステリマガジン』2014年6月号創刊700号と思い出のコラム
・2014.5.26 私の投書が『ミステリ・マガジン』読者欄に掲載されました


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