2009.07.04

7月3日発売『週刊ファミ通』7月17日号で左利き記事

昨日(7月3日)発売のゲーム雑誌『週刊ファミ通』2009年7月17日号(エンターブレイン発行)の「コンブちゃん&ワカメちゃんコーナー」で左利きの記事が出ています。

左利きで有利なこと不便なことやら、左利きのゲームキャラクターやら、左利きの有名人やらといった定番ネタが披露され、「左利きグッズ専門店を突撃取材」では菊屋浦上商事の浦上裕生氏が登場して左利きグッズを紹介(なかでも、地元の金物屋さんと組んで製作した左手用の「うどんお玉」が好評とのこと)、他に『左利きの人々』著者・渡瀬けん氏のコラム、などが見開き2ページに詰め込まれています。

この2ページのために、370円をつぎ込む気になれなかったので買ってません。(ごめんなさい!)
で、以上、立ち読み情報でした。

詳細をお知りになりたい方は、書店・コンビニでどうぞ。

早く行かないと週刊誌だからすぐに買えなくなりますよ…。

ファミWeb(注:会員登録しないと見られません―だから筆者は見てません!)

※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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2009.06.19

『落語の国からのぞいてみれば』から左利きを考える

以前、メルマガ『週刊ヒッキイ』の「おまけコーナー」でも少しふれていたのですが、このたび左利き仲間の間で話題に出ましたので、改めてここでもう少し詳しくふれておこうかと思います。

第143号(No.143) 2008/7/26「<左利きプチ・アンケート>第55回」


昨年2008年6月に出版された、江戸時代を背景にした落語から現代社会を考えるといった本『落語の国からのぞいてみれば』(堀井憲一郎/著 講談社現代新書1947)のなかに、落語のなかの左利き、江戸時代の左利きについて書かれた章がありました。

内容的には、面白い本です。
江戸時代と現代を見比べるといった趣向で、現代を別視点から捉えることで、明らかになる面があるだろう、ということでしょう。

こういう発想は、落語がブームになっているという背景も手伝ってのことだと思うのですが、なかなかタイムリーな企画でもあったと思います。


さて、この左利きに関する章は以下のような内容です。

第十四章 左利きのサムライはいない
 左で食べる落語家はいない/舞台のカミとシモ/左と右はどちらが偉いのか/刀を扱うときの左右のルール/社会コストの問題

昨年話題になった国分太一主演の落語の映画『しゃべれども しゃべれども』での右手箸遣いを枕に落語に登場する左利きを紹介しながら、サムライにおける刀の扱いなど、江戸時代と現代を比較し、社会的な話題を提供してゆきます。

特にこれといって私に異論はありません。
当時はそういうものだったのだろう、と思う程度です。

昔の社会では少数派の左利きの人に、それだけの配慮を示す余裕はなかった、ということも事実だったのでしょう。


ただ、一言いえば、だからといって、ただ今現在も昔同様の在り方を肯定するものではない、ということです。

社会コストの問題があるといっても、実際には色々と少数派に配慮した社会投資がなされるようになってきました。

これは、少数派への配慮を含む社会投資の必要性が、人権の問題もあり、社会的に見ても有効な投資に成り得る可能性があると判断する考え方も出てきて、誰もが無視できないと考えるようになったからでしょう。

例えば、歩道には点字ブロックが標準装備されるようになりました。
これによって、視覚に障碍のある人も外に出やすくなり、社会で活躍できる機会が増えたのではないでしょうか。
十全ではないにしても、一歩前進でしょう。


左利きの問題に関しても、単にいわゆる左利きの人(強度の左利きの人)だけでなく、左利きの要素を持つ人や右利きでも状況により左手や左体側を使う人、やむなく左手や左体側を使わざるを得ない人にとっても、福音となるのです。

左利きの人だけを優遇するのではなく、時と場合により左体側に重点を置く人にもプラスになるとわかれば、従来考えられていたような狭い範囲のニーズではなく、もっと有効性のある投資に成り得ると考えられるのではないでしょうか。

実際には、ちょっとした工夫で左右どちらでも使用可能となるものは、いくらでもあります。

そういう左右の共用性にも目を向ければ、もっと少ない費用で、右利き仕様に偏重した社会をもう少し緩和できるのではないでしょうか。

単にコストがかかるから、できなくても仕方がない、とはいえないような気がします。

左利きは少数派なのだから、それにちょっと頑張れば慣れることでもあるのだから、我慢しなさいよ、と言って済ませる時代ではなくなったように思います。

 ・・・

そして、実は私が一番気にかかったのは、巻末の参考資料編の中での発言です。

「参考文献的おもしろかった本解説」での大路直哉/著『見えざる左手』の感想がそれ。

これは左利きの人からの提言で、右利きが見落としそうな部分の指摘はおもしろかったが、読んでて、でも申し訳ないがおれは右利きなんで、と思ってしまったのも事実。

当然といえば当然の話ですが、いかにも左利きで困った経験を持たない右利きの人らしい意見?が読み取れ、<右利きだけでなく左利きにも優しい左右共存共生社会の実現を目指す>私にとっては、ちょっと残念な気がします。

右利きの人の素直な感想といえば、そうなのでしょう。
たぶん多くの右利きの人は、このような感想をお持ちなのかもしれません。

しかし、素直な意見なら良い、というものでもないでしょう。

本として公刊するということは、社会的な意見の表明でもあるわけで、当然その発言には、社会的な責任というものもついて回るはずです。

「申し訳ないがおれは右利きなんで」と締めてしまったのでは、世の中の大半の少数派や弱者といわれる人たちは浮かばれません。

たとえば、このを「申し訳ないがおれは右利きなんで」の「右利き」を他の言葉に置き換えて考えてみればどうなるでしょうか。

有色人種の苦難の歴史は知っているが「白人なんで」、障碍者の大変さも認めるが「健常者なんで」、高齢者の気持ちはわかるが「まだ青年なんで」、女性の立場も理解できるが「男性なんで」、云々。

今どきこんなことを発言をすれば、マスコミからも世間一般からも、袋叩きにあったり総スカンを食らってもおかしくないでしょう。
無責任な発言と、良識が疑われかねません。

でも、左利きのことだから、マスコミからも世間の誰からも非難されずに済んでいるのではないでしょうか。

いくら落語の話を扱っているからといって、何でもかんでも軽く冗談半分におもしろおかしく締めればいい、というものではありません。

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2009.06.06

お知らせ:左利きプチアンケート第61回左利きに関する本を読みますか?

Hidarikikinohon
わがホームページ『左利きを考える レフティやすおの左組通信』恒例<左利きプチ・アンケート>のお知らせです。

今年に入ってからは、二ヶ月に一回の更新になりました。

(ただし、今月末からは過去の受付停止したアンケートのなかから、これはというものを再発行(再版)という形で復活させることにしました。よろしく!)

 ・・・

<左利きプチ・アンケート>第61回左利きに関する本を読みますか?

昨年(2008)末あたりから、左利きに関する本があれこれと出ています。
書籍では、雑学系の何番目かのドジョウを狙った風の『左ききのトリセツ』や
左利きの不便さを描いた『左利きの人々』。
雑誌では『モノ・マガジン』の18年ぶりの左利き用品特集号。
最近では、左利きの子供を対象にした子育て、教育・保育のアドヴァイス本『左利きの子 右手社会で暮らしやすくするために』など。

左利きに関する活動を続けてきた私には、うれしいことです。

でも最近は、本を読む人が減っているともいいます。
一つは、テレビやネットなど情報源が多様化していること。
もう一つは、娯楽としても他に楽しみが増えているからです。

本好きには、ちょっと淋しい傾向ですが、
特に情報源として本を利用する人が確実に減っているように思います。

これは淋しいだけではなく、ものごとを理解する上では、多少問題があるかもしれません。

さて、そこで―

私は、もっぱら左利きの本というだけで読んでしまうほうです。

が実際には、内容によって興味が持てれば、信頼できそうなら、あるいは読みやすそうなら読むけれど、そうでなければ読まない、という人もいます。

信頼する友人や知人の薦めなら読むかも知れないが、そうでなければ読もうとは思わない、という人もいるでしょう。

いくら左利きの本だからといっても、本はほとんど読まないよ、という人も当然いるでしょう。

あなたは左利きの本を読みますか? 
以下の選択肢の中から最もふさわしいと思うものを一つ選んでください。

*投票者の利き手別で選択肢を用意しています。ご自身でご自分の利き手を右もしくは左と、どちらか判断した上で投票してください。

*一言言わせて、という方は投票後に表示されます一番下の「ご意見ボード」をご利用ください。
貴方のご意見ご感想をお聞かせください。

※ メルマガから投票できます。
 アンケートの該当選択肢の下のURLをクリックしてください。
 ぜひ、ふるって投票にご参加ください。
 (注意:誤ってクリックした場合、取り消しはできません。)


1(右利きの投票者)左利きの本というだけで読む
2( 〃 )内容によっては読む
3( 〃 )信頼する人の薦めなら読む
4( 〃 )左利きの本でも読まない 
5(左利きの投票者)左利きの本というだけで読む
6( 〃 )内容によっては読む
7( 〃 )信頼する人の薦めなら読む
8( 〃 )左利きの本でも読まない

 ※ お手数をおかけしますが、投票は『レフティやすおの左組通信』表紙<左利きプチ・アンケート>

 *このアンケートは、09.5.24-7.24まで9週間(予定)に渡って『左組通信』表紙で実施されます。

 ※ メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第181(No.181) 2009/5/23「<左利きプチ・アンケート>第61回」からも投票できます。(今回もメルマガからの先行投票を実施しました。)

 ※ 現在の結果を見るのは、こちら

 ※ 関連<左利きプチ・アンケート>:
第59回09.1.25 左利きの問題は左利きの人だけのものか?
第47回07.11.25 左利き(利き手)研究会は必要?参加協力する?
第45回07.9.23 左利きのための生活技術指導者・コーチは必要か?
第30回06.7.2 あなたの知りたい左利き情報はなんですか
第26回06.2.19 左利きの本を読んだことがありますか
第13回05.1.30 推理物のテレビ・ドラマの〈左利きが犯人〉をどう思いますか

  その他の<左利きプチアンケート>:目次

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2009.05.01

『左利きの子』教育保育ガイド本発売される

前回紹介しました本が発売されました。

連休の関係で入荷の日にちは書店によってまちまちだったかもしれません。
でも今頃は一巡していると思います。
入荷のない場合は、ぜひご注文をお願い致します。

 『左利きの子 右手社会で暮らしやすくするために』
  ローレン・ミルソム/著 笹山裕子/訳 東京書籍(2009.4)

まだパラパラと見ただけですが、思っていた以上に要点をついた内容で、「予想以上」の評価をつけていいと思います。

とにかく、いかにしてまわりのものが左利きの子供たちに配慮し支援して、右利き偏重の社会に順応させていくかについて、の方法を様々に解説しています。

「子供のころにこんな本があれば…」、という悔しい思いを抱かせられる人も多くなりそうな気がします。


ただ翻訳書なので、どうしても越えられない溝のような部分もあります。

日本的な事情もあります。

特に、箸使いや毛筆をどうするか、といった点です。
まだまだ根強い、変な「伝統主義」といったものがありますから。


できれば、この本を見て、日本人の手でこういう本をまとめよう、という人が現れて欲しいものです。

私も何とか自分の手で、子供のころ・若い頃にこんな本が欲しかった、というものを作りたいと考えていますので、大いに刺激になりました。


版元の本書紹介サイトの著者情報によりますと、訳者サンも左利きでお子さんも左利きの子がいらっしゃるそうです。

[ 笹山裕子 ]生まれつき左利きだが、就学前に鉛筆と箸を右手に持つよう「誘導」される。左利きの子どもと右利きの子どもの母親でもある。

そこで、さっそく「週刊ヒッキイ」向けにコメントをいただきました。

来週号の「左利きのお子さんをお持ちの親御さん」のコーナーで、またこの『左利きの子』を特集します。

読んでいますと、あれもこれも書きたいこと、伝えたいこと、紹介したいことがあります。
どこをどう取るか、難しいところです。

もう一度じっくり読んで考えてみます。

では、来週の「週刊ヒッキイ」をお楽しみに!

いつの間にかメルマガの宣伝になってしまいましたが、とにもかくにも、今までの日本になかった種類の左利きのための本です。

いつも言うことですが、この本は(特に!特に!)左利きの人はもちろん、一人でも多くの方に読んでいただきたい、特に右利きの方にこそお読みいただきたい、そういう本です

ちなみに、著者情報は、

[ ローレン・ミルソム ]
英国在住。夫のキースとともに左利きで、左利きの息子と右利きの娘がいる。「左利き協会」会員。世界初の左利き専門店を立ち上げたが、現在ではネットに移行し、「左利きクラブ」を運営し、左利きグッズのネットショップを経営している。世界中の左利きの仲間と情報交換を行い、左利きの人のニーズを把握し、啓蒙する活動を続けている。

*2009.04.23『左利きの子』(のための)教育・保育ガイド本
お茶でっせ版新生活版
*『左利きで生きるには週刊ヒッキイhikkii』
第175号(No.175) 2009/4/11「親御さんへ速報!『左利きの子』教育・保育ガイド本」

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2009.04.23

『左利きの子』(のための)教育・保育ガイド本

Hidarikikinoko
今度こんな本が出ます。

 『 左利きの子 右手社会で暮らしやすくするために
  ローレン・ミルソム/著 笹山裕子/訳 東京書籍(2009年4月)


これは、今まで日本にはなかった種類の左利きの本です。

どの点が、といいますとそれは、左利きの子供たちのための教育・保育に関するガイドブックだ、ということです。

左利きの子供を持つ親御さんだけでなく、教育や保育に携わる人にもぜひ読んで欲しい、という本です。


今まで、左利きの本といいますと、

脳神経系の利き手の科学研究書
(『左対右 きき手大研究』八田武志著、『非対称の起源 偶然か必然か』クリス・マクマナス著)、
左利きの人の手になる、左利きの謎に挑んだエッセイ
(『「左利き」は天才? ― 利き手をめぐる脳と進化の謎』デイヴィッド・ウォルマン著)、
左利きの不便にまつわる本
(『左利きの人々』渡瀬けん著、『左ききのたみやさん― 哀愁ただよう左きき爆笑エッセイ』たみやともか著)、
社会や文化の面から左利きを考える本
(『見えざる左手― ものいわぬ社会制度への提言』大路直哉著)などなど、でした。


しかし、今回の本はそういったものとは異なり、
左利きの子供の生活の向上のための教育の方法や様々な技術について書いたアドヴァイス本です。

原書は、世界的に有名なイギリスの左利き用品専門通販会社ANYTHING LEFT-HANDED(ALH)のスタッフであり、
顧客を中心にした左利きの会LEFT-HANDERS CLUBの機関紙“THE LEFT-HANDER”のエディターでもある女性で、
その経験を生かした内容といえると思います。

ALHのサイトでも紹介されています。
(私はそこでこの本 "Your Left-Handed Child" のことを知ったのです。)


実は私は、偶然、この本の巻末資料作成の一部お手伝いをさせていただきました。
(私自身のサイト情報、および私のオススメ本を追加したぐらいのことですが。)

とはいえ、実際に内容は見ていません。
(目次の紹介を受けた程度です。)

しかし、左利きの問題に取り組んできた私としては、日本初の試みでもあり、大いに期待しています


▼目次▼
 まえがき はじめに
 1 どのようにして左利きになるのか 17
 2 就学前の発達 31
 3 毎日の生活で役立つこと 51
 4 左利きの子どもの学校生活 75
 5 スポーツ 101
 6 音楽 113
 おわりに 参考資料 索引 謝辞

▼版元の東京書籍の情報▼
 左利きの子どもは,右手社会ではハンディがある。
 左利きの親でも気がつかなかった,子育て上の配慮や,
 学校生活上,先生方が配慮・支援すべきことなど,
 「眼からうろこ」のアドバイス満載の手引書。

 ISBN:978-4-487-80379-8, 本体予価:1900円, B5変型判 128頁

▼本書『左利きの子』「はじめに」の文章▼
 左利きは障害でも不利でもありません。ただ違う、それだけです。
 子どもの違いを尊重し、必要な時には配慮し、そしていつもほめる。
 左利きは、その子の人となりの一部なのです。

▼東京書籍・担当編集者Oさんからのメッセージ▼
 左利きの子どもと保護者や保育園~学校の先生のための本がないので、
 良い本をさがしておりましたが、この翻訳書を見つけ、刊行することに決めました。
 そう、編集の僕自身も、クロス・ラテラルでボールを投げるのは、左利きです!
 この本を読んだ親御さんや先生方が、適切な配慮・気配りをして、
 左利きの子たちがハンディを感じることが少なくなり、
 誇りと自信をもって毎日が送れるようになればうれしく思います。
 (刊行は4月末頃です!)

 ・・・

ぜひ、一読を!

そして、本書を参考にして、左利きの子供への理解と対応の仕方を、もう一度考え直していただきたい、と思います。

何度も書きますが、本書が、左利きの子供をお持ちの親御さんだけでなく、教育・保育の関係者、その他多くの人たちの間で大いに話題の書となることを期待しています。


上にダイジェストしました、本書の著者について、目次、出版意図などの情報は、以下のメルマガ『左利きで生きるには週刊ヒッキイhikkii』より抜粋しました。

第175号(No.175) 2009/4/11「親御さんへ速報!『左利きの子』教育・保育ガイド本」

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2009.01.22

早朝テレビ「ズームイン!!SUPER」で左利き特集

本日1月22日、早朝のテレビ、「ズームイン!!SUPER」(日本テレビ)で、左利きの特集が「週刊パラパラマガジン」のコーナーで放映された、そうです。

私は見ていないのですが、そういう情報をいただきました。


情報によりますと、オバマ新大統領の就任に当たって、近年のアメリカ大統領には左利きの人が多いといわれており、それに絡めて左利きの特集を、ということだったようです。

オバマ新大統領関連報道の目新しい切り口のひとつというところでしょうか。

まあ、きっかけはともあれ、左利きに関する情報がこうして、広く報道されるのはとてもよいことだと思います。

ズームイン!!SUPER・週刊パラパラマガジン

昨日アメリカの大統領に就任したオバマさん。
オバマさんは実は左利きなんです!
そこで、週刊パラパラマガジンは“左利き専用グッズ”を紹介します!

紹介されたのは、先日こちらでも速報しました『モノ・マガジン』2月2日号(ワールドフォトプレス発行)特集・左利きグッズ大図鑑がひとつと、この雑誌でも紹介されていました、左利きグッズをリアル展示販売している「菊屋浦上商事」さんの提供になるグッズだそうです。

急須の実演が行われた、と聞いています。

*2009.01.15「速報!『モノ・マガジン』2009年2月2日号左利きグッズ大図鑑」
お茶でっせ版新生活版

昨年12月から左利き関連の書籍(『左ききのトリセツ』實吉達郎/著 グラフ社、『左利きの人々』渡瀬けん/著 中経の文庫)や特集を組んだ雑誌が出版されるなど、たとえ一部ではあっても、このように左利きに注目が集まることは、長年左利きの問題に取り組んできた者にとっては、うれしいことです。

この機会に更なる左利きに関する認知を広げたいものです。

*2008.12.29「左利き本の新刊『左利きの人々』渡瀬けん著」
お茶でっせ版新生活版

『モノマガジン』の特集には、私のこのブログ「お茶でっせ」も紹介の栄に浴しているのですが、その中にも書かれていることですが、私は「左利きは他の多様性を理解する入り口となる、身近な多様性のひとつ」ではないかと思っています。

左利きについて考えることが、他の多様性を考えることに繋がり、それが回りまわって終には右利きの人にとっても役に立つことになるのではないか、と考えています。


せっかくの機会ですので、ぜひ身近にあるものの左右性に注意を向けて見てください。
何かしら新鮮な驚きに出合うことができるのではないでしょうか。


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2009.01.15

速報!『モノ・マガジン』2009年2月2日号左利きグッズ大図鑑

Monomagazine090202no598

もの情報誌の老舗、ワールドフォトプレス発行『モノ・マガジン』2009年2月2日号(NO.598)で、18年ぶりに左利き特集が組まれました。

●あの名特集が帰って来た! 左利きグッズ大図鑑●
人口の10%、いや最近ではそれ以上と言われる左利き。1991年の「あの特集」から18年を経て、改めて左利きグッズをドーンと大紹介するぞ。文房具から工具やパソコン周辺機器まで、左利きのための「神器」は増えているぞ!

今回は10ページ。

アレッと思わせるのは、ページの進行が逆になっていることでしょう。

通常の日本の雑誌(本も同じですが)は、右から左へとページを進みます。

ところが、この左利き特集のページだけが、横書き本のように左から右へと読み進みます

「左手でめくってね!」の意とのこと。

内容はまあ見てのお楽しみ!

Monohidariochadesse

ネットの左利きの世界の一つとして、私のこのブログ『お茶でっせ』も紹介されています

前回は30ページを超える総力特集でしたので、規模では下回りますが、
久々の左利き特集に感激しているオールド・ファンも少なくないと思います。

私もそんな一人です。

当時の雑誌は今も大切な宝物となっています。

当時私は、数か月前に左手用のカメラ「京セラ・サムライ」を手に入れ、左利きはやはり自分に合った道具を使うのが一番と実感し、左利きの活動を始めていました。

そんなときに(まさに「天の時」)この特集号に出会い、それはバイブルとなりました。

今回また私のような人が現れるのでしょうか。
それとも…。

では、詳しい紹介はまたいずれということに。

おっと一言。

残念ながら、表紙に左利き特集の文字はありません。
お見逃しのないように。

前回の『モノ・マガジン』<左利きの商品学>の詳細はこちらで
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第78号(No.78) 2007/4/21「私にとっての左利き活動(12)」
レフティやすおの左利き活動万歳/私にとっての左利き活動(12)/『モノ・マガジン』左利きの商品学

前回の表紙と目次の画像はこちらで
『レフティやすおの左組通信』「左利きphoto gallery〈HPG2〉左利きの本だなぁ」

※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。

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*『R25』2007.12.06(No.170)"ランキンレビュー"「右利きが左利きより多いのはなぜ?」で紹介されました! 

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2008.12.29

左利き本の新刊『左利きの人々』渡瀬けん著

Hidarikikinohitobitoranking
左利き仲間の友人で左利きメルマガ発行の先輩でもある、ビジネス・ライター渡瀬謙こと「渡瀬けん」さんが、とうとう左利きメルマガ『左利きからみた気づきのエッセイ「レフティサーブ」』ここで「まえがき」が読めます。)を本にしました。

それがこれです。

 左利きの人々 悲しくも笑える
  渡瀬けん/著 中経出版 中経の文庫

文庫の「雑学その他」の分類になっているようです。

7&Yの仮想ネット書店/みんなの書店『レフティやすおの本屋』「左利きの本棚/研究書・実用書」でも、紹介しています。
そこでも書いていますように、

右利きの人に都合よくなっている今の世の中は、左利きの人にとっては逆に都合の悪いことがいかに多いか、を語るエッセイで ... 一項目見開き2ページ(文章1ページの短文)で構成されているので、非常に読みやすく、左利きの人には共感を呼び、右利きの人にも嫌味ならない程度のユーモア感覚で描かれている。

表紙の絵を見てもわかりますように、軽い感じの気軽に手に取ってもらえる本です。

寝正月の友に、帰省ラッシュの暇つぶしにも最適です。

しいて言えば、それぞれの項目の右側ページに説明的なイラスト、もしくは簡単なカットでもいいですから、入っていたらベストだったかもしれません。

巻末、参考サイト欄に他の著名な左利き系サイトといっしょに、私のサイト「レフティやすおの左組通信」やメルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」が上っているところがうれしいですね。
(それがいいたかったのかよぉ!)


もしまだお買い求めでない方は、ぜひ、12月30日お昼頃にAmzonで買ってやってください。

左利きの社会的認知の為に、目立ってみようというキャンペーンです。

その際は、以下↓の「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」のバックナンバーからどうぞ。
第160号(No.160) 2008/12/27「<左利きプチ・アンケート>特別編<LYGP2009>」

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2007.11.20

「ミシュラン」三つ星に左利きのすし職人小野二郎

11月19日に発表された「ミシュランガイド東京2008」の三つ星店8店の一つに、左利きのすし職人で有名な小野二郎さん(82歳)の銀座「すきやばし次郎」が選ばれました。

小野二郎氏については、今までにも何度も書いてきました。

左利きらしい左勝手の握り方、左利きのお客様に対しても食べやすいように向きを工夫してすしを出す気配りなど紹介してきました。

和食の料理人に対して、左利きはどうこうという人はまだまだ少なくありません。
小野二郎氏も庖丁は十代に入ってから右手で修行したといいます。

しかし、それは戦前のお話(70年ほど昔)。
今や左手庖丁の職人も増えています。

盛り付け方に難をつける人もいますが、すべては工夫でしょう。
第一、右利きのお客様はそれでいいでしょうが、左利きの客もいます

食べる人の身になって提供できるのが真の職人ではないでしょうか。


話が横道にそれました。

小野二郎さん、ミシュラン三つ星店おめでとうございました。
まさに左利きの星です。

調べてみれば、他のお店の店主やシェフにも左利きの方がきっといらっしゃるかも…。

(※参照)「左利きのすし職人小野二郎」に関する記事:
・2005.5.20 左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」・その一
 お茶でっせ版新生活版
・2005.5.23 <左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」・その二>左利きのすし職人『すきやばし次郎 旬を握る』
 お茶でっせ版新生活版
・2005.7.17 <左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」・その三>『至福のすし―「すきやばし次郎」の職人芸術』山本益博
お茶でっせ版新生活版
・2007.5.9 新潮文庫 鮨に生きる男たち―左利きのすし職人もいます
 お茶でっせ版新生活版
・2005.6.8「TOKIMEKIママ倶楽部」のママのお悩み
 お茶でっせ版新生活版

※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。

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2007.10.25

左ききでは書道は無理ですか?:武田双雲『書愉道 双雲流自由書入門』から

左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
第31号(No.31) 2006/5/27「<字は右手で書くもの>を検証する《3》脳の働きと漢字」
 左手で字を書く・実践編 4:毛筆編―書家から見た左手書き
第51号(No.51) 2006/10/14「左手で字を書くために(7)」
 左手で字を書くために(7)左手書きの研究<1>/書(道)家の意見

で紹介しました書道家・武田双雲氏の左手書字に関する追加情報です。


武田双雲/著『書愉道 双雲流自由書入門』池田書店 2005年5月30日発行
 ここが知りたい! 双雲流「書道Q&A」119p

テレビで両手を使って大きな書を書いている双雲さんを見た人からの質問です。

Q5 ... ふだんも両手で書くんですか? また左ききでは書道は無理ですか?
双雲氏は「両手を使うのは舞台の上だけ」ですが、「もともと左利きなのでどちらも使えます」という。
「臨書や普通の作品を書くときは右手ですが、創作のときは左手で書くこともありますね。」

左利きでの書道については、

左ではだめなの? とよく左利きの人から質問されますが、実際に左利きの書道家もいますから、全然無理なことではないですよ。僕自身は小さい頃に母親から直されて、字を書くのだけは右手なんです。無理に矯正する必要はないし、練習して両手で書けるようになったら楽しいのではないでしょうか。ただ道具や指導書もすべて右利きが前提なので、その辺の苦労はあると思います。
という答えです。

<追記:2007.10.26>
双雲氏は、3歳で書道家である母、武田双葉に師事し、書の道に入ったという経歴の持ち主です。
弟さんも武田双龍という書道家です。


ちなみに、メルマガ『左利きで生きるには 週間ヒッキイ』
第31号で、紹介したご意見は、以下のようなものです。

●武田双雲氏の意見:

まったく気にする必要はありません。左利きの方は左手で書いていいんです。片岡鶴太郎さんは右利きなのに左手で書いています。右手で練習することも楽しめれば、なおよいでしょう。
ホットインタビューズ INDEX [vol.08]書道家:武田双雲氏
『感動を与え続ける若き書の魔術師 書道家・武田双雲 筆と墨で世界平和を目指したい!』


また、武田双雲氏の公式ブログ『書の力』に、興味深い記事がありました。

2006-10-14 たくさんの苦難を乗り越えた花

「書道の先生も長年やって」いた、事故で半身不随となったという83歳の尼さん、月心寺の村瀬明道さんの話題です。

「事故後は、教えることはなくなりましたが、左手でスラスラと書」かれるそうです。

僕は左利きなので作品のいくつかは左手で書いているということもあって
妙な親近感が生まれました。
「明道さんが僕にプレゼントとしてその場で書いてくれた」という書の画像も紹介されています。

いわゆるお習字的な書ではないので、左手書きのお手本とはいえませんが、一度ご覧になってください。
特に、「字は右手で書くものだ」といった固定観念にとらわれている方は、是非。

(私に言わせれば、当たり前のことなのですが、)毛筆であれ硬筆であれ、字は左手で書いてもよいのです。

*参照:『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―

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2007.05.09

新潮文庫 鮨に生きる男たち―左利きのすし職人もいます

先日、本屋をのぞいたところ、新潮文庫の5月の新刊が出ていました。

見た名前があるなあと思って、その中の一冊を手に取りました。

それは、講談社(2003年刊)『鮨を極める』の文庫化されたもの―『鮨に生きる男たち』でした。

原著は、すし好きの著者が通いつめ、名人級と認める全国の16人のすし職人たちのお店紹介と職人伝レポートでした。

本書は、その後の経過を踏まえて、一軒一人削除の上、新たに二軒二人が収録され、一部新たに書き足したり、差し替えられたものもあり、改訂版となっています。

冒頭いきなり、「左利きで人一倍の苦労も」という「油井隆一 [き]寿司主人」
そして、ラストを飾るのが、左利きのすし職人として有名な「小野二郎 すきばやし次郎主人」です。
左利きの職人さんでサンドイッチされた本になっています。

ただし、この小野二郎編は、原著の文章ではなく、『小説新潮』平成17年7月号に掲載された「銀座」を舞台にした達人達の一連のシリーズ中の一編に差し替えられて、より現状に近いレポートになっています。

反面、左利きの観点からいうと、若い頃の話がカットされているようで、興味半減ですが。

すし(寿司・鮨)が好きな人、左利きの“和食”の職人さんに興味のある人は、ぜひご一読を。

新潮文庫 鮨に生きる男たち 早瀬圭一/著
心意気で客を呼ぶ。東京・名古屋・京都・金沢……17の鮨屋の主人たち。美味しい人物列伝。

*関連:左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」の記事*
・2005.5.20 左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」・その一 お茶でっせ版新生活版
・2005.5.23 <左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」・その二>左利きのすし職人『すきやばし次郎 旬を握る』 お茶でっせ版新生活版
・2005.7.17 <左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」・その三>『至福のすし―「すきやばし次郎」の職人芸術』山本益博 お茶でっせ版新生活版

※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。

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2007.04.02

利き手の進化の歴史:『なぜヒトの脳だけが大きくなったのか』から

またしても旧聞です。

この件に関しましては、以前、わが左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii 第66号(No.66) 2007/1/27「<左利きプチ・アンケート>第37回」』の「◎左利きニュース◎ 『AERA』連載記事&『なぜヒトの脳だ~』」で、簡単に紹介しました。

が、今回改めて通読しましたので、こちらにも書いておきます。

* 『なぜヒトの脳だけが大きくなったのか―人類進化最大の謎に挑む』 *
 濱田穣/著 講談社ブルーバックス(2007.1.20刊)

京都大学霊長類研究所形態進化分野助教授で、霊長類の形態比較を研究する(ニホンザルなどの身体形態と成長・加齢を比較し、ヒトの進化を考察する)著者が、ヒトの脳がなぜこれほどまでに大きく発達してきたのかの謎に、新たな視点から迫ります。

脳の進化を保障したのは、脂肪であり、脂肪をためることが可能になったことが、人類の脳を大きく発達させたのだというのが結論です。
この結びつきがおもしろく、かつユニークな視点です。

まず、ヒトの進化について語られ、脳の発達を促した要因を探ります。
言語コミュニケーションを成り立たせた発声器官の発達から、さらなる脳の拡大へと、話が続きます。

本書のそういう流れの中で、脳の進化のもうひとつの大きな原動力となった手の発達、そして利き手の進化について検討されます。

「第4章 脳の拡大は、なぜ、どのように起こったのか?」に、「利き手と言葉と脳の発達」(117-122p)という項目があり、そのなかで、霊長類における利き手の進化の歴史を説明しています。

<ヒトはいかにして利き手を獲得したか>についての説です。

1.それは左利きから始まった
 霊長類の進化史の中で「左利き」が最初にあった。
 キツネザルのような原猿類の「利き手」は左手―右手で木の幹にしがみついて身体を支え、食物に左手を伸ばす。
 霊長類では、三次元の樹上空間での運動性が適応に必要な条件で、視覚・空間定位感覚と身体定位能力という、これらの機能を持つ右半球が発達した。
 その影響を受けて、同じく右半球のコントロールする左手が、より精密な運動を必要とする食物採取に使われ、利き手となった。
 
2.「右利き」の進化
 第二段階は、生活の場所が地上に移行してから始まった。
 しがみつきの必要がなくなり、利き手の偏りがなくなる。
 地上生活に伴い、集団での社会生活に必要な音声が発達した。
 脳におけるこの聴覚・発声領域が右手の運動コントロール部分と近接しており、影響を与え、「右利き」が発生した。
 原猿類の「左手伸ばし」より精密な手指使い(マニュピレーション)が発達した。
 
3.「右利き」から言葉が進化した
 第三段階は、人類進化の過程で起こった。
 「利き手」のマニュピレーションが精巧になり、言語コミュニケーションが発展し、手が物を、発声器官が音声(言葉)を操作する。
 これらは、大脳左半球が関与する。
 そして、言葉を操る専門の領域(ブローカ野、ウェルニッケ野)も生まれた。
 

しかし、右利きであっても、「左手がどうしようもなく不器用というわけではない」とあります。
「左手は左手らしい動作を担当している」、「とくに対象物を保持すること」で「右手の及ばない能力だ」といいます。

同じように音声でも、「左半球の言語中枢だけが重要なのではない」という。歌や言葉に情感を与えるには、右半球や脳の奥にある辺縁系の働きが重要だ、といいます。


もうひとつ、気になる点を書いておきますと、ヒトの幼児が発達する間にも、左半球の「言語野が右手の動きにも関係していることがわかってきた」といいます。

「どちらかの中枢に障害があって、その機能発達が損なわれると、もう一つの機能発達も遅れがちとなる」とあります。

言語と手の精緻な運動との発達は相互に乗り合わせしているのだ、と。

これは、発達障害の子に左利きが多いなどといわれることと何か関係があるのでしょうか。


…まだまだ分からないことばかりです。

・・・

以前『お茶でっせ』の記事:2004.9.19「ヒトにはなぜ利き手ができたか」で、利き手の発生のメカニズムについて、同じく京都大学霊長類研究所の元所長、久保田競/著『脳を探検する』(講談社 1998年刊)の説を紹介しました。


原始的なサルでは左利きで、類人猿のチンパンジーになると、親指を使う高度なつまみ方では右手だ、という。
どうやら、道具を使うという要素が取り入れられたときから、右利きの要素が現れたと考えられる。

利き手だった左手でしっかりと保持し、自由になったあいている右手で細かい作業をするようになった。
こうして右手と左脳が発達して来たと考えられる。


------
※ 参照:『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
第66号(No.66) 2007/1/27「<左利きプチ・アンケート>第37回」』
 ◎左利きニュース◎ 『AERA』連載記事&『なぜヒトの脳だ~』

※ 参照:『お茶でっせ』記事
・2004.9.19 ヒトにはなぜ利き手ができたか

※ 参照:『レフティやすおの本屋』左利きの本棚/研究書2
・『なぜヒトの脳だけが大きくなったのか 人類進化最大の謎に挑む』
 濱田穣/著 講談社ブルーバックス(2007.1.20刊)

※ 参照:
・『脳を探検する』久保田競/著(講談社 1998年刊)

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2006.11.22

『左ききの人の本』の著者、斎藤茂太氏死去

11月21日の夕刊に斎藤茂太氏の訃報が出ていました。

「モタさん」の愛称で親しまれたエッセイストで、精神科医(日本精神科病院協会名誉会長)。歌人で精神科医、斎藤病院院長でもあった斎藤茂吉氏の長男、小説家北杜夫氏の実兄。
昭和55年出版の『長男の本』がベストセラーとなるなど著書多数。
享年90歳。

なかでも1987(昭和52)年、MG出版より発行された『左ききの人の本』は、数少ない左利き応援本のひとつです。

先の第56号(No.56) 2006/11/18で、次回の「レフティやすおの左利き活動万歳 私にとっての左利き活動(8)」において、この本の文庫版『「左きき」の性格分析 左ききの人はなぜ才能があるのか』を紹介すると告知したばかりでしたので、非常にショックを受けています。

第43号(No.43) 2006/8/12 の「レフティやすおの左利き活動万歳 私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代」で、こんなふうに書いています。

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『LL』No.5で取り上げた『左ききの人の本』の文庫化『左ききの人はなぜ才能があるのか―左ききの性格分析』の著者、斎藤茂太さんから激励のお葉書をいただいたりもしました。(自慢!)
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このときのお葉書は今でも私の宝物のひとつです。

『左組通信』「左利き自分史年表/1995 平成7 41歳」の欄に、
---
4/3『LL』No.5で『左ききの人はなぜ才能があるのか―左ききの性格分析』を取り上げることを報告したところ斎藤茂太さんからお葉書をいただく。

7/31斎藤茂太さんに『LL』No.5を送るとまたお葉書をいただく。
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と記載してあります。

今このようにネットで左利き活動を再開していることをお知らせしようと思いつつ、そのままになってしまったことが悔やまれてなりません。

ご冥福をお祈りいたします。



・『左ききの人の本 右にでるモノがない!』斎藤茂太/著 エムジー 1987刊
『レフティやすおの本屋』左利きの本棚/研究書・実用書

・『左ききの人はなぜ才能があるのか―左ききの性格分析』KKベストセラーズ・ワニ文庫 1993刊
―『左組通信』
左利きの本だなぁ/左利きphoto gallery<HPG2>/LL版
レフティーズ・ライフLL再録5/LL5 1995(平成7)年夏号 左利きの本だなぁ その2 激励編

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2006.11.03

利き手と左利きの科学の本『非対称の起源』

先にメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』第53号(No.53) 2006/10/28「<左利きプチ・アンケート>第34回」で、新刊ニュースとして取り上げた、10月20日に講談社ブルーバックスより発売された『非対称の起源』を紹介しておきます。

450ページを越えるブルーバックスの中でも分厚い本ので、まだパラパラ読みしただけですので、簡単な紹介だけです。

『非対称の起源』クリス・マクマナス/著 大貫昌子/訳 講談社ブルーバックス

タイトルから、分子の非対称性に関する本か何かだろうと素通りした方もいらっしゃるかもしれませんが、この本は原題を"RIGHT HAND, LEFT HAND"という、2002年発行の比較的新しい利き手、および左利きに関する研究書です。

そうです、7月末に日本経済新聞社より出版された、デイヴィッド・ウォルマン『「左利き」は天才!』梶山あゆみ訳 の「第4章 左利きは遺伝するのか?」のなかで紹介されている、『右手、左手』のことです。

ここに、本書の著者クリス・マクマナスは、「利き手と左右差の研究をしている」ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジの心理学部の教授として登場しています。

本書に関しては、「手のことにとどまらず原子核からブラックホールまで、ありとあらゆるものの非対称性を取り上げた素晴らしい本」とあります。

著者マクマナスは、1970年代から30年以上に渡って「利き手」の傾向と大脳の側方性に関する研究を続け、分子の非対称性から宇宙物理学に至るまでの諸分野の進歩にも目を配って来た、という人物です。

本書は、その集大成です。

目次を見てもわかるように、第2章 右手は左手より優れているのか、第7章 右と左を決める遺伝子、第10章 利き手と社会、第11章 左利きの苦悩 …等、左利きの人には興味深い見出しが並んでいます。

利き手や左利きに興味のある方は必読です。

こういう研究書の類を読むときの楽しみの一つ、参考文献のリストがページ数の関係からか省かれている(ネット参照=ブルーバックスシリーズのサポートページ、となっています)のが少し残念です。

最後に、目次を紹介しておきます。

第1章 ワトソン博士の難問題
第2章 右手は左手より優れているのか
第3章 右と左の意味論
第4章 右と左の起源
第5章 心臓はなぜ左にあるのか
第6章 アミノ酸は左利き
第7章 右と左を決める遺伝子
第8章 脳の非対称性
第9章 言語に特化した左脳
第10章 利き手と社会
第11章 左利きの苦悩
第12章 人すべて対称なり
第13章 壮大にして微小なる我が宇宙

その他の詳細情報は、下の講談社ブルーバックスのページからどうぞ。

※ 参照:
講談社BOOK倶楽部TOP > 詳細検索
『非対称の起源』クリス・マクマナス

『レフティやすおの本屋』
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2006.06.14

左利きの人には嘘をつくな―『うぬぼれる脳』

毎週毎週メルマガ制作に追われています。
でも、たまにはブログの更新もしなければいけません。
4月以降書き残している左利きの話題がいくつかあります。
旧聞になってしまうのですが、少しずつ書いてゆきましょう。

3月に出た本、『うぬぼれる脳―「鏡のなかの顔」と自己意識』を立ち読みしていますと、「第8章 私とあなたが出会うところ」に、左利きの人には嘘をつくな、といった項目がありました。

右半球が欺瞞の検知に関わっている(だったかなあ?)、というような研究結果が発表されているとやらで、左利き(右半球優位になる機会が多い人)は、右利きの人より嘘を見破る可能性が高い、というのです。
ですから、うそをつく人は相手が右利きか左利きかをよく確かめてからにしろ、というのですが…。

くわしくは本をお読みください。

この本は、従来いわれている言語能力と結びついた左脳を重視する左脳優位説ではなく、自己意識が右脳にあるという「自己の右脳局在説」をとる学者による右脳優位を説く、衝撃の書だそうです。

そのうちじっくりと読んでみたいものです。


『うぬぼれる脳―「鏡のなかの顔」と自己意識』ジュリアン・ポール・キーナン/編著 ゴードン・ギャラップ・ジュニア、ディーン・フォーク/著 山下篤子/訳 日本放送出版協会 NHKブックス1054 2006年3月刊

※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載して、gooブログ・テーマサロン◆左利き同盟◆に参加しています。

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2006.04.02

アサガオの蔓と左利き―『左右/みぎひだり』から

Migihidari
3月末に出たほやほやの本から。

『左右/みぎひだり あらゆるものは「左右」に通ず!』國文學編集部/編、學燈社 別冊國文學(2006・2)改装版
(目次:視界、脳、衣食住、言葉、芸術、伝統、生物、イラスト、地球、宇宙、時間。全22ジャンル)

こちら(「お茶でっせ」2004.02.17『横書き登場』屋内池誠)で紹介した、『横書き登場―日本語表記の近代―』岩波新書(2003)の著者屋内池誠や、『もし「右」や「左」がなかったら―言語人類学への招待』大修館書店(1998)の著者井上京子など、各分野の専門家が、左右・右左について書いた文章を集めた本です。
左利きには直接関係のないことがほとんどですが、左右(さゆう)や右左(みぎひだり)に関心のある人は一度読んで見てください。

*
まだ全部読んでいないのですが、私はアサガオを植えてるせいもあって、アサガオの蔓の右巻き左巻き説に大いに関心があります。

これは結局、何を主体にものを見るか、だと思うのです。

アサガオの身になって考えると、アサガオは左へ左へと巻きついているわけで、これは左巻きなんですね。
植物学者は植物の側から考えるのでしょう。すると、やはりこれは左巻きです。

向かって右側の手をよく使う人がいたとして、その人を右利きと呼ぶでしょうか。
当人は自分のことを左利きというのじゃないか。

ネジだって、本人に聞けば、俺は左巻きさ、って答えるんじゃないか。
人が右回りにねじ込んで行くからといって、ネジの螺旋を勝手に右巻きと呼んでいいのか。

物理学者や工学系の人は、「神」の視点から考えるんでしょうね。外側から。すると、これは右巻きってことになるのでしょう。

―って、ね。

で、左利きの私は、利き手の問題は本人に任せて欲しいと思うわけで…。
人からの指図はいらないよ、という立場なのです。

だからアサガオだって、オレの思うように、俺の立場で見てくれよ、って思ってるんじゃないかと考えるわけでして…。

だから、アサガオの蔓は左巻きなんです!

●参照―
・レフティやすおの本屋
本店「左利きの本棚/右と左に関する本」
・「レフティやすおの本屋」店長日記
2006.3.30左右/みぎひだり あらゆるものは「左右」に通ず! 本店左利きの本棚に追加

●「お茶でっせ」アサガオの記事
・2005.10.04アサガオのいない秋
・2004.09.02アサガオの蔓と台風は左巻き? または左と右の概念
・2004.08.30夏の花といえば:アサガオ

※今回は、mixi日記に書いたものを一部加筆修正しました。
いつもmixi日記はサイトの更新情報として書いているのですが、これは少し書き方を変えたので、"逆輸入"してみました。

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2006.02.22

左利きアンケートのお知らせ:第26回左利きの本を読んだことがありますか

予定より一ヶ月遅れですが、改めて実施します。よろしく!

本の価値

本の力を過小評価する人もいるようです。
情報だけやったら本読まんでも本持ってへんでもネットで調べられるやん、という人もいます。
そっちの方が最新の情報集められるやん、と。

確かに、自分の求める、集めるべき情報や調べるべき情報について熟知している人は、その通りでしょう。

よく言われるようにネットの情報は玉石混淆です。
本の情報にもそういうものがないとはいいませんが、少なくとも公刊される本には、一定の関門があり、ある程度の基準をクリアしたものとなっています。

めざす情報に関する基礎知識のない人には、ネットの情報はあまりに細切れであったり、その確度について疑問であったりします。
また、情報の鮮度も必ずしも鮮明ではない場合があります。さらに著者による偏向が非常に強く出ているものもあります。

その点、基本的に本の情報は、いつでもどこでも機械の手を借りずに確認できますし、ある程度の確度のある情報をまとまった形で提供してくれます。
初心者にはとても優しい情報源となります。

問題は、本選びの基準とその入手方法です。

本選びのコツは、一番確かな方法は頼れる人に聞くこと。
図書館で尋ねてみる
というも、いい方法です。

次に自分の手で実物に当たる。
ここでネットを活用してもいいでしょう。どういうものがあるのか、一通りリスト・アップしてみる。そして実際にひとつずつ当たってみればよいのです。

入手に関しては、図書館や古書店を活用すれば、かなりクリアできます。本はこういう保存とリサイクルのシステムができ上がっています。

次の問題は、情報の鮮度と著者による偏向でしょう。
ただし、これはネット情報にもあることです。
情報の鮮度に関しては、かなり特定できるので、いかに利用するかというほうに比重がかかります。
偏向の度合は、本のほうが編集者の手を経ているのである程度は緩和されているように考えられます。

この辺をうまく調整できれば、非常に便利で有効なものとなります。
本を読みましょう。そして、活用しましょう。

*
<左利きプチ・アンケート> 第26回 左利きの本を読んだことがありますか

昨年12月に『左ききのたみやさん』という左利きのイラストレーター・たみやともか氏の手になる左利きエッセイ本が出版されました。
左利きの生態をイラストとともに綴った"爆笑エッセイ"に仕立てられています。

今までにも色々な左利き関連本が出版されています。
脳神経系の利き手に関する研究本、左利きに関する社会学的な考察本、左利きにまつわる精神科医による左利き応援本などなど。あるいは左と右に関する雑学本、左右学に関する本なども色々出ています。

以下にその代表的なものをあげておきますが、これらの本をあなたはお読みになったことがありますか。
あるいは、書名だけでもご存知でしょうか。
以下の選択肢のなかから一番ふさわしいと思うものをひとつ選んで投票してください。

*投票者の利き手別で選択肢を用意しています。ご自身でご自分の利き手を右もしくは左と、どちらか判断した上で投票してください。(どちらかの手が不自由等で必ずしも利き手を使っていない人は、実際に使っている手の方で投票にご参加ください。)

*一言言わせて、という方は投票後に表示されます一番下の「ご意見ボード」をご利用ください。もっと言わせて、という方は掲示板もご利用ください。貴方のご意見ご感想をお聞かせください。

<主な左利き関連書一覧>
・『左利きの世界』箱崎総一 読売新聞社 昭和43(1968)
・『右きき世界と左きき人間』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳 TBS出版会(発売・産学社)昭和47(1972)
・『左ききの本』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳 TBS出版会(発売・産学社)昭和48(1973)年発行
・『左利きの秘密』箱崎総一 立風書房マンボウブックス 昭和54(1979) 
・『左利きの本―右利き社会への挑戦状』ジェームス・ブリス/ジョセフ・モレラ 草壁焔太訳 講談社 昭和55(1980)
・『左きき学 その脳と心のメカニズム』ジーニー・ヘロン編集 近藤喜代太郎 杉下守弘監訳 西村書店 昭和58(1983)
・『右利き・左利きの科学 利き手・利き足・利き耳…』前原勝矢 講談社 ブルーバックス 昭和61(1986)
・『左利きの人の本』斎藤茂太 エムジー 昭和62(1987)
(文庫化『左ききの人はなぜ才能があるのか―左ききの性格分析』KKベストセラーズ/ワニ文庫 平成6(1994))
・『左利きは危険がいっぱい』スタンレー・コレン 石山鈴子訳 文藝春秋 平成6(1994)
・『左ききの神経心理学』八田武志 医歯薬出版 平成8(1996)
・『見えざる左手―ものいわぬ社会制度への提案』大路直哉 三五館 平成10(1998)
・『おいしい左きき』造事務所編著 イーハトーヴ出版 平成11(1999年)
・『左ききでいこう!―愛すべき二一世紀の個性のために―』フェリシモ左利き友の会、大路直哉 フェリシモ出版 平成12(2000)
・『左利きで行こう! 目からウロコの左利きツアー』リー・W・ラトリッジ、リチャード・ダンリー 丸橋良雄、尾島真奈美訳 北星堂書店 平成14(2002)
・『左ききのたみやさん。 哀愁ただよう左きき爆笑エッセイ』たみやともか 宝島社 平成18(2006)
・『新版・自然界における左と右』M・ガードナー 坪井忠二、児島弘訳 紀伊国屋書店 平成4(1992)
・『左右学への招待―自然・生命・文化』西山賢一 風濤社平成7(1995)
(文庫化・新版『左右学への招待 世界は「左と右」であふれている』光文社文庫 平成17(2005))

※参照:『レフティやすおの左組通信』
「左利きphoto gallery〈HPG2〉左利きの本だなぁ」
「レフティやすおの左利き自分史年表」
『レフティやすおのお茶でっせ』
・カテゴリ:左利き関連本
『レフティやすおの本屋』
・「左利きの本棚/研究書・実用書」
・「左利きの本棚/右と左に関する本」など


1 (右利きの人)何冊か読んだことがある
2 ( 〃 )一冊ぐらいは読んだことがある
3 ( 〃 )読んだことはないが、書名ぐらいは知っている
4 ( 〃 )読んだこともないし、書名も知らない
5 (左利きの人)何冊か読んだことがある
6 ( 〃 )一冊ぐらいは読んだことがある
7 ( 〃 )読んだことはないが、書名ぐらいは知っている
8 ( 〃 )読んだこともないし、書名も知らない


 ※ メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』第20号から投票できます。(今回もメルマガからの先行投票を実施しました。)

 ※ お手数をおかけしますが、投票は『レフティやすおの左組通信』表紙<左利きプチ・アンケート>

 ※ 現在の結果を見るのは、こちら

*このアンケートは、2006.2.19-3.18まで(4週間)に渡って実施されます。(その後は、表紙からそれぞれのページに移動します。すべて投票できます。)

今までに実施した利き手調査の結果を見る場合は、お手数ですが以下のページから、それぞれのページへお進みください。↓
『レフティやすおの左組通信』<左利きプチ・アンケート>目次

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2006.01.31

PHP研究所「右と左」の不思議がわかる絵事典

児童書―児童向け絵事典です。

『レフティやすおの本屋』の本店「左利きの本棚/子供達へ」の紹介文や、ヤプログ『「レフティやすおの本屋」店長日記』の記事「『「右と左」の不思議がわかる絵事典』を追加」にも書きましたように、子供向けの「右」と「左」について解説本で、自然科学から日常の生活まで広く扱っています。

特に第3章で、左利きにふれています。右でも左でも同じものとそうでないものを比較して、左利きに不便なものを上げているページもあります。

また、今では右手書きに不便な書き方になっている、日本語のような右縦書きやアラビア語の右横書きが、実は昔はそのほうが右利きには都合が良かったことなど、興味深い話が載っています。

右利きが多い理由に関しては、ちょっと簡単すぎて、どうかという気がします。わからないことはわからないときっちり書くことも大事ではないかと思いました。

「右と左」の不思議がわかる絵事典 自然界は謎だらけ! 鏡のしくみから宇宙の誕生まで
著者名 : 富永裕久/著
出版社名 : PHP研究所 (ISBN:4-569-68586-2)
発行年月 : 2006年01月  サイズ : 79P 29cm 価格 : 2,940円(税込)

第1章 右と左の不思議な話(鏡のなかをのぞいてみよう;右と左について考えてみよう ほか)
第2章 右左、裏を返せば、左右(あらためて右左を定義してみる;右回りと左回り ほか)
第3章 人の体と文化の右左(人の体の右左;きき手、きき足の不思議 ほか)
第4章 鏡に映った像の不思議(鏡に映った像をよく見てみよう;『鏡像は左右が逆』は思いこみだ ほか)
試してみよう、調べてみよう(回文をつくってみよう;右左を使わず、東西南北で考えてみよう ほか)

*
全体に、左利きへのやさしい視点を感じさせる内容に仕上がっている、と感じました。
左利きのお子さんをお持ちの方はもちろん、そうでない人もぜひお子さんといっしょに、左と右について勉強してみましょう。
そして、左利きの存在を一例に、人間の多様性についても考えが向くようになるといいな、と思います。

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2005.10.26

そして誰もが左利きだった?「停電にご用心」鮎川哲也

左利きを扱ったミステリ(推理小説)について書くのも、何本目かになります。

早くあれについて書けよ、とわれながら思うのですが、まだふれていない小説があります。実は、まだ真犯人がわからなくて…。
まあ、書いていない本についてあれこれ言うのも変ですので、この辺にして、本題です。

* 左利きとミステリ(推理小説) *

「(略)たまたま来合わせた客の全員が左ギッチョだなんて、そんな偶然があると、主張するのかい? それともきみは、全員が左ききで、この店が彼らの全国大会の会場ででもあったという気かね?」

容疑者のアリバイを立証する一枚の写真には、時刻を示す時計の上半分と右手で給仕する店員、和服やシャツ姿のお客など、喫茶店内の様子が写っている。
しかし、写真の裏焼きトリックなら、全員が左利きということになる? しかし、そんな偶然がありうるだろうか?

大胆なトリックを使い、見事に決める本格謎解き短編です。
さすが鮎川というところ。

こういう大仕掛けの謎は大仕掛けでなくてはならないわけで、その点、納得できうる解決を用意しています。
長編でこれをやろうとするとあちこちぼろが出てくるでしょう。短編ならではの、という言い方もできるかもしれません。

日本を代表する本格推理小説作家の一人、今は亡き鮎川哲也の晩年の代表作、東京銀座数寄屋橋の会員制バー「三番館」のバーテンダーが、元刑事の私立探偵の持ち込む事件の謎を解く、安楽椅子探偵もののシリーズの一編です。

* 左利きにはちょっと? *

(略)ふと思いついてNHKに電話をかけてみた。(略)日本左利き協会とかいう団体だった。現在デパートなんかで見かける左ギッチョ専用のハサミ、ドビン、電話機などはこの協会の提案によって製作された。そんな噂を耳にしたからだった。(略)

編中ひとつだけ、左利きの私が納得できなかったのが、次に掲げる箇所です。

右胸ポケットのついたシャツについて発売されているかどうかたずねるのですが、もちろん、ないという答え。

左利きの人にとってポケットが左胸についていようが右胸についていようが、格別不便には感じないというのがその理由であった。まあ、そんなものかもしれない。

私は右胸にもポケットのあるシャツを愛好しています。
普通のシャツではまずありませんが、カジュアル系のシャツやワーク・シャツには両側にポケットのついたものがあり、こういうものをさがして着ています。
ペンとかメモ用紙を入れることが多いのですが、ちょっとしたものを入れておくには、利き手でさっと取り出せる右胸ポケットが便利です。
左胸だと手や腕が吊りそうになります。

左利きの人なら、同感してもらえるでしょう。
この作品で唯一の欠点といえそうです。

* 左ギッチョは差別用語? *

「左ギッチョ」という言葉が気にかかるという人もいるかもしれません。
私は、特に気にはなりません。
語源のひとつに、左器用がなまったものという説もあるように、この言葉自体に偏見や差別的な色合いはありません。
たしかに私も子供の頃、「ギッチョ、ギッチョ」とはやし立てられた嫌な記憶があります。
しかし、今ではまるで死語であるかのごとく、マスコミに登場することがなくなりました。そうなると、ちょっとさびしいような気もします。

たとえば「(左利きの)矯正」や「(左利きを)直す」のような、明らかに時代の常識から外れてしまった、誤った用法になってしまった言葉は正すべきですが、「ぎっちょ」のような言葉は、特に問題とすべきではないと思います。
ただ、嫌な人もいるという認識は持つべきでしょう。その程度でよいと思います。

この作品のなかでも、単に左利きの別表現として使っているだけで、偏見や差別といった意識は見当たりません。


「停電にご注意」鮎川哲也 『小説推理』昭和57年10月 
『クライン氏の肖像―三番館の全事件Ⅲ』<鮎川哲也名探偵全集>出版芸術社(平成15年4月刊)収録。

* 左利きとミステリ(推理小説):過去の記事 *
2005.9.17 依頼人は左利き―ホームズの名推理「黄いろい顔」より お茶でっせ版新生活版
2005.6.14 左投手は危険がいっぱい―『サウスポー・キラー』水原秀策 お茶でっせ版新生活版
2005.5.18 左手が大活躍?する映画「ボーン・コレクター」 お茶でっせ版新生活版
2005.4.4 左利きが手掛かりになる推理小説―クリスティー「厩舎街(ミューズ)の殺人」 お茶でっせ版新生活版
2004.9.24 『男たちの絆』マイクル・Z・リューイン お茶でっせ版

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2005.09.17

依頼人は左利き―ホームズの名推理「黄いろい顔」より

* 推理小説(ミステリ)と左利き―名探偵ホームズの場合 *

めずらしくホームズとワトスンが散歩に出ていた間に依頼人が訪問していました。その依頼人が忘れていったのがひとつのパイプです。
そのパイプの特徴からホームズは依頼人のことを色々と推理してゆきます。

「 … ほかにも何か変わったところがあるのかい?」私はホームズがまだパイプをひねくりまわしては、例によって考えこんでいるので尋いてみた。すると彼はパイプを持ちなおし、医学の教授が骨の講義でもするように、細長いひとさし指でコツコツたたいてみながら、「パイプというものは、時々きわめて面白いことを教えてくれる。懐中時計とくつひもを除けば、おそらくこれほど個性を現わすものはあるまい。もっとも今の場合は、そう大して重要な特徴も現われてはいないが、それでもこのパイプの持主が筋骨たくましい男で、左ききで、歯なみが丈夫で、ものごとに無頓着な性癖があり、経済上の苦労のない男だくらいのことはわかる」

いつもながらのホームズの名推理をワトスンが聞き出します。

「この男はランプやガスの火でパイプを吸いつける癖がある。 … ランプで吸いつければ、どうしたってガン首が焦げるに決ってる。そしてこのパイプでは右がわが焦げているところから、持主が左ききだと推定したわけさ。君のパイプをランプで吸いつけてみたまえ。右ききの君には左がわへ火をもってゆくのがいかに自然だか、よくわかるから。
 むろん右ききだって左の手で吸いつけることがないとはいえないが、それはときたまのことだ。ふだんは右手を使うにきまっている。このパイプなんか、もっぱら左手ばかり使ってある。それからこの吸口は歯でかんであるが、これは筋骨たくましい精力家で、丈夫な歯をもっている証拠だ。 … 」

さすが、名探偵、お見事な推理です。
かくして依頼人の登場と続くのですが、あとは本を読んでのお楽しみということで…。

この事件ではめずらしくホームズの推理もはずれ、以後彼がその力を過信したときの戒めの言葉とせよとワトスンに言います。時代背景をたくみに取り入れた一編で、ラストほろりとさせる夫婦愛に満ちた素敵な依頼人のお話でした。

「黄いろい顔」The Yellow Face(『ストランド』誌1893年2月発表)コナン・ドイル 延原謙訳 新潮文庫『シャーロック・ホームズの思い出』より

* 本書は、左利きがからむ推理小説『左ききの名画』R・オームロッド、『どちらかが彼女を殺した』東野圭吾 とともに、レフティやすおの本屋・左利きの本棚/小説で読む左利きで紹介しています。

* 推理小説(ミステリ)と左利き に関する記事 *
・2005.6.14 左投手は危険がいっぱい―『サウスポー・キラー』水原秀策 お茶でっせ版新生活版
・2005.5.18 左手が大活躍?する映画「ボーン・コレクター」お茶でっせ版新生活版
・2005.4.4 左利きが手掛かりになる推理小説―クリスティー「厩舎街(ミューズ)の殺人」 お茶でっせ版新生活版
・2005.1.30 左利きアンケート13回推理物のテレビ・ドラマの〈左利きが犯人〉をどう思いますか、のお知らせ お茶でっせ版新生活版
・2004.9.24 『男たちの絆』マイクル・Z・リューインお茶でっせ版

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2005.08.12

左利きの質を持つ片岡鶴太郎の半生記『筆のゆくまま、心のままに』から

 片岡鶴太郎さんの本が出ています。『筆のゆくまま、心のままに―片岡鶴太郎半生記』生活情報センター刊
 この本を見て思うところを書いてみます。

* 片岡鶴太郎の左手で描く絵と書 *
 氏の幼少時代から、お笑い芸人、役者、ボクサー、そして画家としての半生記+絵の実作の様子をまじえた「実践!鶴太郎流墨彩画講座」が巻末に付いているもので、少し大判のものになっています。懐かしい写真も掲載されています。(いやぁ、若かったねえ。今や巨匠の風格が出てきましたからね。私と同い年とは思えません!)

 絵の実作のページでは、テレビの趣味の番組などで披露されていたように、左手に筆を持って描いておられます。もちろん文字も左手です!
 あとがきなどもみな左手の書です。字としては、正直ちょっと読みにくいのですが、味わいがあります。

 おじいさんが羽子板の絵を描く職人さんだったそうで、元々そういう絵心が氏の中にも遺伝していたようです。
 ブログでも書いておられるように、今では絵を描いている時が何より楽しいそうです。
「2005年08月07日 今日は蜻蛉の絵を…」片岡鶴太郎日記

 この本の絵の講座の末尾にも書いておられるように、鶴太郎さんはボクシングを始めてから、自身に「左利きの質」があることに気づいたそうです。右構えができず、始めからサウスポーだった。そして絵を描くようになっても、右手では筆が先走りすぎてダメだったそうです。ところが左手で描くようになって、魂がこもるようになった、と書いておられます。
 私なりに解釈すると、右手だと使い慣れた器用さからつい小手先の技法に頼ってしまうのではないでしょうか。それがふだん使い慣れぬ左手だと、一筆一筆描くことに神経が集中して、今まで気づかなかった自分らしさが発揮されて良い結果につながったのかもしれません。

 とにかく、右手を使うか左手を使うか、制約はない、と書いておられます。絵の描き方にも基本はある、しかし自分にあったやり方で描けばいい、と書いておられます。

* 右手でも左手でも本人しだい *
 もちろん絵や書は芸術ですから、それでいいのだ、でも実用は違うという見方もあるでしょう。
 字を書くときや箸を使うとか、基本のお作法は右手で行うものだ、という考えを持つ人はまだまだ少なくはありません。
 しかし、本当にそうでしょうか。ホントは右手でも左手でもいっしょじゃないのか。最低限守るべき基本はあるでしょう。しかし、自分にあったそれぞれのやり方で自分の力を最大限に発揮できれば、それが一番いいのではないでしょうか。

 形はいいが中身が足りないというのでは、生きている値打ちがないように思います。
 充実した人生こそ大切なのではないでしょうか。
 それには借り物でない、本来の自分らしい自分でいることが大事な気がします。

* ホントの自分とは? *
 そして、ボクシングを始めて自分の中にある左利きの質に気付いたという片岡鶴太郎氏のように、ホントの自分というものは、案外自分の知らないところにあるのかもしれません。
 右利きと思っていても左利きが隠れていたり、逆に左利きと思っていたら右利きが隠れていたり、etc。
 だからこそ、人生はいくつになっても色々と楽しめるのでしょう。

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*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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2005.07.17

『至福のすし―「すきやばし次郎」の職人芸術』山本益博

*左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」・その三*
過去に二度記事にした、左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」こと、小野二郎氏についての三番目の記事となります。

・2005.5.20<左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」・その一> お茶でっせ版新生活版
・2005.5.23<左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」・その二>左利きのすし職人『すきやばし次郎 旬を握る』 お茶でっせ版新生活版

『至福のすし―「すきやばし次郎」の職人芸術』山本益博・著 (新潮社・新潮新書 2003年12月発行)を手に入れ、そこで二郎氏の左利きに関する疑問が解決されました、と前回書きました。
その疑問とは、氏の包丁使いは右か左かということでした。既に<その一>でも書いているように、氏は包丁を右手で使っています。
その辺の事情をこの本から拾ってみましょう。

氏は、小学校二年生(八歳)のときに地元天竜市の割烹旅館に奉公に出され、小学校卒業後、昭和十六年(1941年、十六歳)で軍需工場に徴用されるまで料理人として働く。

「十六歳で、庖丁はもう一人前に持てました。刺身の盛り込みだって出来ました。いまから思えば、庖丁の腕前なんか、十六の頃からあまり進歩してないと思えるくらい使えていましたね。わたしは左利きでしたから、箸は小学一、二年で右に直しましたし、庖丁も十三歳のときに右で使えるようにしました。十代のうちに身体に覚え込ませた技術というのは、一生の財産になるもので、腕前だって本当はその頃が一番なんじゃないですか……」

明くる昭和二十年に徴兵され、終戦後、浜松の料理屋で働くうちに「自分でやるなら、料理屋よりすし屋がいい」と思うようになり、東京へ出てすし屋の職人への道を進む。昭和二十六年、二十六歳という遅いスタートであった。

*
ここで注目しておくべきことは、当時の風潮からいって箸使いを右手に変えさせられるのは当然のことだった、と考えられるということです。それが二郎氏の場合は小学校一、二年とのこと。左右の脳の成長のバランスもあり、潜在的な利き手が誰の目にも明らかになるのが、だいたい七、八歳といわれていますので、ほぼその時期にあたるかと思われます。

さらに、二郎氏が包丁使いを非利き手の右手に変えた時期を十三歳と発言されています。これは、物心ついて、自ら料理人として生きることを決心してからのことと考えられます。即ち自らの意志で自ら進んで行った変更で、当然問題なく身に付けることができたのでしょう。
「十代のうちに身体に覚え込ませた技術というのは、一生の財産になる」という言葉どおり、その技術が必要でかつその意志があれば、十代以降に身に付けても遅くないということです。

*
昔(いつ頃まで、と特定するのは難しいことです。なぜなら、今でも皆無ではないので)は、「矯正」と呼んで、左利きの子は左手使いを右手使いに変えるように躾されていました。ごく稀に左手使いのままの子がいると、親の躾がなっていない、と批判されたといいます。利き手というものが何であるかという、科学的な認識がないままに、右手使いこそ正しい作法と考え、左利きであっても左手使いを戒め、右手を使うように指導するのが当たり前のこととして行われていました。

今でも、このように左利きの子に右手使いをさせようと考える人がいます。現在ではもっと早い段階で、小学校入学以前になんとかしようという考えがあるようです。これは、かなり危険なリスクを背負う行為であると考えられています。利き手の確立以前に利き手を使わせないで非利き手を使わせていると、利き手の神経が発達せず、どちらの手もうまく使えない"非利き手"状態になってしまうといいます。

どうしても非利き手使いをさせたいと望むなら、二郎氏のように、利き手が確立してのちに本人を納得させた上で、本人の意志で自ら進んで非利き手を使うように指導すべきでしょう。これなら強制的な変更ではないので、利き手の変更による弊害(ストレスから来る吃音やチック症状等)の心配も少なくなると考えられます。

*
左利きに関して、もうひとつこの本でふれられているのは、二郎氏の接客の際の利き手対応です。お客様の様子を見て左利きとわかったら、その後は必ず左手で取りやすいように出す、というのです。

山本:(略)真っ直ぐに置かずに、客が手でつまみやすいように、ちょっと角度をつけて置かれます。(略)あれは意識して置かれているんですよね。
二郎:はい。
山本:その最初の一個を左利きで召し上がるお客様だったら、すかさず二個目からは……。
二郎:左に向けます。
山本:(略)どういうタイミングでどっちの方の手ですしをつまむ方なのか、さらに、手でつまむのか箸で召し上がるのかもはかってらっしゃいますよね。
二郎:はい、全部やります。手でつまむ方と箸を使われる方ではにぎりのかたさをわずかに変えます。箸の方のほうはちょっとですが堅めににぎります。それをやるのが、こちらの仕事です。(略)

この話は、2005.06.04記事「左利きの子にやさしい環境を整えよう―左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ―その6」お茶でっせ版新生活版左組通信・左利き私論3―左利きのお子さんをお持ちの親御さんへのなかでも配膳に関するくだりで利き手への気配りの例として紹介していますが、さすがに左利きの人らしい、非常に優しい心遣いだと感じました。

初めから聞けばいいじゃないか、という意見もあるかもしれません。しかし、これはあくまでカウンターを挟んですしを握る、対面で接する職人ならではの奥ゆかしさではないでしょうか。
専門の接客係がいて作り手は陰に隠れているレストランなどと違い、カウンターのすし屋では、あらかじめ利き手の確認を取って給仕するというのもちょっとよそよそしい感じがします。ここは黙って相手の様子をうかがって気を配るというやり方がふさわしいように思われます。

一方、レストランなどではやはりあらかじめお客さんの利き手―あるいは実際に使う手がどちらかを確認した上で、それに応じた給仕をして欲しいものです。
分煙の進んだ今日、喫煙するのか否かを尋ねるのと同じことです。サービスの一環として、標準化されるべきではないでしょうか。

*
私は、氏は職人として仕事のためにすべてに気を使って生きている、という感じを受けました。たとえば、お客さんが口に入れるものを直接素手で扱っているので、夏でも手袋をして手のケアを心がけている、と。これは握りすし職人なら当然の心がけかもしれません。しかし、徐々にそういう職人気質を持った人が減り、皆良くも悪くもサラリーマン化してきているように感じます。反面、最近また、こういう古風ともいうべき職人のあり方が見直されつつあるように思います。
ぜひ良い面は残して、今様の現代版職人さんが増えてゆくことを祈っています。

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2005.06.14

左投手は危険がいっぱい―『サウスポー・キラー』水原秀策

ダブルプレイ―おお、なんという美しい響きの言葉だろう。私は思わずぽんと左手でグラヴを叩いた。

『サウスポー・キラー』水原秀策 宝島社(2005年)を紹介しましょう。
2004年度第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作です。
もちろん私が興味を持ったのは、このタイトルでした。しかし、それだけではありません。
巻末選評によりますと、内容はディック・フランシス・タイプのハードボイルド野球ミステリーだというのです。
これはフランシス・ファンとしては見逃せません。

期待にたがわず、フランシスの主人公張りのクールで頭脳派のサウスポー、左ピッチャー沢村が主役です。彼の一人称で綴られる物語です。時にちょっとくさいせりふもありますが…。ロマンスも盛り込まれ、まずまず心地よい読後感です。

ストーリイは―
プロ入り二年目のローテーション投手の沢村は何者かに襲われます。そのとき男は約束を守れという謎の言葉を残します。さらに後日、チームの先輩で同じく左投手三浦の百五十勝達成記念パーティで再び暴行事件に巻き込まれます。幸い、同席していた女優黒坂美鈴や三浦に発見され、事なきを得ますが…。

なんとその後、球団やマスコミに沢村は八百長をやっているという怪文書がメールで送られ、その添付ファイルには、最初の暴行事件の際のビデオが添えられています。そこには確かに約束を守れの一言が。
彼は自宅謹慎処分に―。
その後、何とか解除され二軍で投げることになり、また彼の無実を叫ぶ声を支持するマスコミも現れ、無事一軍に復帰します。

しかし、彼はこの疑惑を晴らすべく事件解決に努めます。そして浮かび上がってきたのは、彼のチームでは左投手ばかりがトレードされているという事実でした。
さらに暴行事件の被害者で選手生命を失くした左投手の存在も浮かんできます。
一体このサウスポー・キラーの正体は?

途中で予想は付きますが、黒坂美鈴の謎の行動はなかなかでした。
ラストの犯人との出会いと別れも意外でした。
将来が楽しみな新人作家の登場です。

*
この記事のタイトルを見て、ニヤッとした人は正解です。
わからない人は、少し勉強してください。左利きの勉強を。

最後に一言、私は登場人物の名前が少しひっかかりました。ちょっとね。
まあ、近鉄バファローズ・ファンだから、というわけではありませんが、ね。
もうひとつ。
言い忘れていましたが、この球団やある人物はあのチームとあの人がモデルのようです。

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2005.05.23

左利きのすし職人『すきやばし次郎 旬を握る』

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*左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」・その二*

今回紹介するのは、見ているだけで生唾が湧いて来るという、江戸前握り鮨の名店「すきやばし次郎」の主人、小野二郎が一年間に供する握り鮨、酒肴、小鉢などの全点を網羅した、"江戸前握り鮨技術教本"、里見真三著・丸山洋平写真『すきやばし次郎 旬を握る』文春文庫(2001)です。元の本は1997年文藝春秋から出版されています。

これ一冊読めば鮨通になれるといったものでしょう。仕込から作り方から一切合財が図入り、写真入りで紹介されています。

62pの写真や、274-5pにかけて見開き二ページを使って連続写真で紹介している「鮨の握り方」(画像参照)をご覧になればわかるように、ここに登場するすし職人、小野二郎氏は左利きです。

右手で包み込むようにすしを持ち、左手の指で上から押さえるように整えてゆく、という左構えで鮨を握る左利きのすし職人です。

とはいえ、残念ながら左利きに関する記述は、この「鮨の握り方」のページの「(小野二郎は左利きである)」という注釈だけのようです。
左利きのすし職人の苦労を聞きたいという興味は満たされませんでした。
しかし握り方はよくわかります。右利きの人との違いがわからないのが、残念ですが…。

私は以前、左利きのすし職人さんと少しお話したことがあります。ネタを切る包丁だけは左利き用の片刃を使っておられました。
また、左利きではすしの並べる方向が逆になるそうです。
右利きの人のものと並ぶと一目で違いがわかります。
反面、それだけで出されると気付かぬ人も少なくないそうで、おもしろいものです。食べるのに夢中になるのでしょうか。

小野二郎氏は、大正生れで、元は板前さんで後にすし職人になったという方です。
そのせいか包丁はみな右手使いになっています。あるいは何本もの腕が写っているシーンもありますので、握る場面以外は他の職人さんが仕事されているのかもしれません。その辺は確認できません。

左利きの興味だけで見ると今ひとつ面白味に欠けますが、なかなかよくできた本です。
改めて料理は、すしは芸術だな、と感嘆します。
スーパーや回転寿司も悪くありませんが、一生に一度ぐらいはこういうところで心ゆくまで舌鼓を打ってみたいものです。

そういえば、小学校時代の級友もすし職人です。もう一度自分のお店を持てるよう、捲土重来を心から祈っています。がんばってね!

*
以上の文章は、4月の初めに書いたものです。
その後、『至福のすし―「すきやばし次郎」の職人芸術』山本益博・著 (新潮新書) を手に入れ、そこで二郎氏の左利きに関する疑問が解決されました。それはまた次回―。

*左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」の記事*
・2005.5.20<左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」・その一> お茶でっせ版新生活版
・2005.7.17<左利きの握りすし職人「すきやばし次郎」・その三>『至福のすし―「すきやばし次郎」の職人芸術』山本益博 お茶でっせ版新生活版

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2005.04.17

左利きにも公平な学研「自在プリント」に『本屋』が…

こちらでも紹介しました左利き対応百マス計算プリントが作れる 学研『プリント自在 小学1年さんすう』の「プリント自在」シリーズの宣伝ページあの百ます計算もおまかせ,左ききにもやさしい 学研の「プリント自在」新発売!のニュース欄で、うちの『本屋』が紹介されました。

・「レフティやすおの本屋」さんで,★★★いただきました!

いやぁ、うれしいですね。光栄です!
こちらこそ、このような左利きに優しい学参を出版していただき、お礼を言わなければいけない立場です。

『店長日記』「学研「プリント自在さんすう」編集者さんからのメッセージ」にも書きましたが、学研さんは立派です。

学研さんは、この「プリント自在」でもそうですが、先の杉淵鉄良先生の『10マス計算ドリルたし算ひき算左利き用』、 同『かけ算わり算』といい、左利きに優しい左手書きに配慮した学習参考書を出している、公平かつ良心的な出版社です。

教育の分野こそ、公平というものが重んじられるべきだと私は思います。
単に利き手が違うというだけで、不利な条件に甘んじなければならないというのは理不尽です。それでなくとも左手書きには若干の不都合が生じます。さらに右手書きに便利な条件での練習を強いられては、ますます不便さがいや増します。勉強嫌いにならないとも限りません。
不要な障壁を設けないように気を配るのは、教育者として当然の義務だと思います。

学研さんにはこれからも、このような少数派にも配慮した、公平を重んずる教育的な出版をお願いしたいものです。
また、他社の学参編集に携わる方々にもご検討いただきたいものです。

※学研「プリント自在小学1年さんすう」は左利きの本棚/子供達への棚で紹介しています。
※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載して、gooブログ・テーマサロン◆左利き同盟◆に参加しています。

*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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2005.04.04

左利きが手掛かりになる推理小説―クリスティー「厩舎街(ミューズ)の殺人」

最近読んだ本の中から、左利きが重要な手掛かりになっている推理小説を紹介しておきましょう。

今NHKでテレビアニメにもなっている、あのミステリの女王と呼ばれたアガサ・クリスティー名探偵ポアロものの中編に、「厩舎街(ミューズ)の殺人」(早川書房 クリスティー文庫『死人の鏡』(1937)収録)があります。
これには原型ともいうべき短編もあるのですが、こちらの方がうまく左利きを扱っています。枚数的に書き込む余裕があるので、当然といえば当然かもしれませんが。そして、最後の謎解きも見事です。この辺がミステリの女王と呼ばれるゆえんでしょうね。

爆竹が鳴り花火が打ち上げられるガイ・フォークス・デイの喧騒の中、ジャップ主任警部はポアロに「殺人にもってこいの夜だ」と話していた。その翌日、密室状況で発見された若きの女性の射殺死体には、不審な点が…。
一見は自殺と見られるが、右手にある拳銃で左側頭部を撃ち抜くことはできないと医者は言う。自殺に偽装した殺人事件なのか。
ポアロは被害者の様子を丹念に検分する。右手首の腕時計、机の左側に置かれたペン皿…。
左利きを示す証拠を次々と挙げてゆき、事件が実は他殺に見せかけた自殺であったことを突き止めます。
で、もうひとつの謎解きは、読んでからのお楽しみです。その名も<アタッシェケースの謎>!

ところで、ポアロといえば、ちょっとした左右のずれも気になるという左右対称、シンメトリーを好むことで有名です。
私もポアロほどではありませんが、左右対称の右利きにも左利きにも優しい道具が好きです。

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4.7 追記=gooブログがうまく投稿できず、同盟にTBできていません。

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2005.03.31

左利き対応百マス計算プリントが作れる 学研『プリント自在 小学1年さんすう』

『レフティやすおの本屋』来店者の「左利きは天才?」さんからの左利き情報です。

左利きに対応した100マス計算のプリントも作れる機能がついた、小学一年生向けの算数のCD-ROMソフトです。

通常の100マス計算の問題は、問題の列が上段と左端の列にあり、左手で字を書く場合、問題列がその手で隠れるという難点がありました。しかし、これは 左利き/左手書きの人でも不都合のない、問題の列が右側にあるプリントが作れるという優れものです。

学研「プリント自在 小学1年さんすう」清水静海監修 学研CD-ROM プリント∞(無限大)シリーズがそれです。

対象読者:小学1年生(百ます計算は大人でも使えます。
A4版 本文36ページ ISBNコード : 4-05-700156-5 (4057001565)
本体価格(税別) 880円 一般定価(税込) 924円

●「百ます計算プリント」「計算トレーニングプリント」「教科書対応まんてんプリント」の3種類がプリントできます。
●「百ます計算プリント」では 4ますから144ますまで問題量を変えて出題 左利きのお子さまにも対応しています。
●「計算トレーニングプリント」では たし算,ひき算,3つの数の計算を出題 10問,20問と問題数を変えられます。
●1年生の範囲を超えた発展問題も出題されます。

詳細情報のページには、「左ききの方のために,問題を右側に出すことも可能。」と明記されています。

この「学研CD-ROM プリント∞(無限大)シリーズ」には、他に『プリント自在 入学準備・小学1年ひらがな・カタカナ』『プリント自在 小学1年かんじ』(ともに小森茂監修)もあります。どれもみな、パソコンとプリンタがあれば、すぐに使えます。この二つは基本的に、日本語の伝統に沿った右からの縦書きになっています。『ひらがな・カタカナ』はお手本の字も上、もしくは右側に配置されていますので、左利き/左手書きのお子さんの方が使い勝手がいいかもしれません。

※注意 一部の文字練習帳の中には、右利き/右手書きの子に便利なように、左側にお手本の文字を配置したものもあります。これは、左利きのお子さんには使いづらいものになりますので、お買い上げの際は十分ご注意ください。
 ―例:小学館『陰山メソッド 徹底反復「書き順プリント」<小学校1・2・3年>』など―)

※『レフティやすおの本屋』本店「左利きの本棚/子供達へ」で紹介しています。

※『「レフティやすおの本屋」店長日記』での紹介記事来店者のおすすめ:左利きにやさしい学研『プリント自在 小学1年さんすう』

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*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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2005.03.10

学研 10マス計算ドリル 左利き用 二種・たし算ひき算/かけ算わり算 発売中

10masu以前こちらでも3月発売予定と紹介した、杉渕鐵良(東京都板橋区立新河岸小学校教諭)先生の『10マス計算ドリル 左利き用』「たし算ひき算」「かけ算わり算」の二種類が、学研より発売されています。
(2.9「10マス計算ドリル 左利き用2種 3月8日発売予定」参照)

上記記事中にも書いていますように、10マス計算とは、100マス計算の縦一列分だけを取り出したものです。
100マスはつらいというお子さんでも気軽に取り組める利点があります。
順に消化すれば、100マス計算にチャレンジするページもあります。(画像左下)

「「レフティやすおの本屋」店長日記」2.11「左利きの本棚・子供達へ『10マス計算ドリル』二点追加」に以下のように書きました。

「左利きの子に配慮したマス計算ドリルです。左手で書いても問題が隠れて見えなくなるということがない、という形式になっているものと思われます。/ひょっとすると、本の開きも、右利き用と左利き用とでは逆になっているかもしれません。/右手書きには左綴じ左開きが便利です。が、左手書きには右綴じ右開きが便利です。/ 未見ですので、実際のものがどうなっているかは確認できていません。/しかし、こういう風に「左利き用」と銘打っているドリルは初めてでしょう。/利き手の違いに配慮したものを作ろうという著者、版元の姿勢に大いに感謝いたします。/教育者なら当たり前のようなことですが、実際には無視されてきた、といってよいでしょう。/ 現物を見るのが楽しみです。」

この予想通り、右利き用は、右手で書きやすいように左側に開いて書き込む左開きで、答えの記入欄も右側にあります。
一方こちらの左利き用は、左手で書きやすいように右側に開いて書き込む右開きで、答えの記入欄も左側になっています。(画像右下)

表紙もそれぞれ右手と左手で鉛筆を持っており、一目で違いがわかります。(画像左上)
裏表紙に、「学習参考書で初めての利き腕対応ドリル」と明記されています。(画像右上)

実用書でこのタイプは、これも以前何度か紹介した日本文芸社・刊『左利き用 ボールペン字練習帳』があります。
(6.16「『左利き用ボールペン字練習帳』再び参照)
これは、本の開きがこのドリル同様、右利き用は左開き、左利き用は右開きになっています。ただ、残念ながら内容は、左利き用といいながら右利き用と同種のものを使っていました。

このドリルでは、その点も考慮して本の開きも内容も、完全な左利き(左手筆記)対応のものになっています。
巻頭の使い方の説明欄でも、左利き用の図を入れています。

これからも、こういう筆記する人の身になった、利き手対応商品が数多く出回ることを願っています。

また一方、専用品のみでなく、『文字がうかぶ100マス計算プリント 小学( )年生』三木俊一/著 清風堂書店出版部のような、両用あるいは共用のユニバーサル・デザイン・タイプも増えて欲しいものです。
(8.3左利き対応100マス計算ドリル「文字がうかぶ100マス計算プリント 小学( )年生」参照)



10マス計算ドリルたし算ひき算 左利き用

著者名 : 杉渕 鐵良 著
出版社名 : 学習研究社 (ISBN:4-05-301944-3)
発行年月 : 2005年03月 価格 : 525円(税込)

10マス計算ドリルかけ算わり算 左利き用

著者名 : 杉渕 鐵良 著
出版社名 : 学習研究社 (ISBN:4-05-301991-5)
発行年月 : 2005年03月 価格 : 525円(税込)

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*2008.4.30追記* 左手書字について―
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2005.02.09

10マス計算ドリル 左利き用2種 3月8日発売予定

PHP研究所『子どもの学力がぐんぐん伸びる家庭楽習』、学習研究社『家庭楽習でわが子は変わる―鉄人の学力向上法』の著者、杉渕 鐵良氏の『10マス計算ドリル』が学習研究社(学研)から3月に発売されるというニュースは昨秋から聞いていました。
どうやら予約受付が始まったようです。
『右利き用』と『左利き用』とが、それぞれ「たし算ひき算」と「かけ算わり算」の2種類ずつ用意されるようです。

10マス計算ドリル 左利き用たし算ひき算
10マス計算ドリル 左利き用かけ算わり算

ともに、著者名:杉渕鉄良 出版社名:学研 発売予定日:2005年3月8日 予定価格:525円(税込) ただ今 予約受付中
本の内容

計算力アップの魔法の練習問題がこの「10マス計算ドリル」。本書はたし算ひき算/かけ算わり算の左利き用。100ます計算まで手が届かない子だけでなく、100ます計算で1分を切れない子もこの10マス計算で訓練すると確実に計算力が伸びる。杉渕先生オリジナル教材。

杉渕氏は、いきなり100マス計算はつらい、というお子さんでも気軽に取り組めるということで、「10マス計算」を提唱されています。

10マス計算は、100マス計算の縦一列分だけとお考えください。基本的には同じ方法で行います。
簡単すぎるようですが、説明を読んでみますとなかなか応用も利くようで、奥深いものがあります。

100マス計算のときにも書きましたように、10マス計算でも、筆記する手の違いがハンディキャップになる、使いにくいものになるわけで、このような利き手別のドリルを用意する配慮は必要でしょう。

初めからこういう利き手を配慮されたものが出版されて標準化されるのは、非常に良いことです。
杉淵氏の教育者としての細かな目配りに信頼感を厚くしました。を感じました。

ただ私としては、ムダは覚悟の上で「左右共用」のものを作り、その意味をも子供たちに教えるようなものにすれば、また違う次元の教育にもつながり、より有用な教材になるのでは、という気がします。

その点はともかく、左利きにとってまた画期的な出版物が現れるようで、うれしく思います。

* 10マス計算 (教育の鉄人 保護者 編)
** 杉渕鉄良氏のホームページ「教育の鉄人 ねっけつ教師 編」

*** 100マス計算に関する「―お茶でっせ」記事
2004.6.16左手書き(左利き)に優しい改良版「ユニバーサル百マス計算」のすすめ
2004.6.16改良版「UD百マス計算」が紹介されました
2004.8.3左利き対応100マス計算ドリル「文字がうかぶ100マス計算プリント 小学( )年生」

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2005.01.31

左手書きの書『月人石』-乾千恵の書の絵本

1月27日夕、ふらりと入った本屋で平積みされていた一冊の本に目が留まりました。
「確かにそうだ、左手に持っている、筆を。」

およそA4ぐらいの大きさの横組の本でした。なんと言ってもその表紙です。
床に膝をつくようにすわり、左手に太い大筆を持ち、左から右へと書をしたためている人物を向かい側から撮っている写真です。
「左手で字ィ書いたはる!」
もうそれだけで感動ものです!
 

本を手に取ってみました。
『月人石』乾千恵 福音館書店〈こどものとも傑作集〉 ―サイドバー:左利き関連本 参照―

パラパラとのぞいて見ました。
まだ半信半疑でいましたが、確かにその筆の運び具合も、墨のかすれ具合も左から右に筆を押し付けているような感じに見えます。
横棒が左から右へ少し右下がりになっているものもあります。
トメやハネの具合も微妙に右手書きの書とは違い、明らかに左手書きしているように見えます。
昔子供の頃に左手でお習字したときのことを思い出させます。
写真のミスでも、トリックでもなく、正真正銘左手書きの書です!

大阪在住とあるのが、余計に親近感をそそります。
家に帰って「乾千恵」について調べたいところでしたが、前日からネット接続がうまく行かない状態だったので、あきらめました。
昨日30日から色々調べてみました。

福音館書店|くわしいないよう|月 人 石
「著者紹介」より

乾 千恵(いぬい ちえ)
1970年、大阪に生まれる。1990年から各地で、図書館、お寺、学校、美術館、野外(森や畑)などを会場に、書展と語りの場が開かれてきた。作品集『雲きれて陽のひかり』(雄飛企画)、作品・エッセイ集『『風」といる人、「樹」のそばのひと』(野草社)、『もじと絵』(アートン)がある。大阪在住。

脳性マヒのため身体が不自由で、左手しか使えない、という車椅子の書家さんでした。
ということで、左利きゆえに左手で書いていると言うわけではないようです。
しかし、左手書きをこうして前面に出していただけると、私たち左手書きの者はとてもうれしいものがあります。

もっと日本人は、文字の左手書きを認めて欲しいと思います。
まだまだ、世間一般に、字は右手で書くものといった一方的な思い込みがあります。きれいな字を書きたければ、左利きでも右手で書きましょうといった指導が幅を利かせていたりします。
実際には、右手書きでも、貧相な字を書く人は少なくないし、字に自信のない人も大勢います。(だからこそ、きれいな字の書き方の本や講座が人気を呼んでいます。)
逆に、左手書きでもきちんとした字を書く人もいます。
乾さんのように、迫力と味わいのある書を書く方もいます。

実際は、右利きの人が多いから右手で書くのが一見当たり前のように思えるだけです。右手で書く人が多いから右手で書きやすくしたり、右手で書いた書き方が美しいとか正しいとしているだけです。
ホントのところは、右手で書きやすい人は右手で書けばいいし、左手で書きやすい人は左手で書けばいいのです。

この本を見てもっと自由な発想のできる人間になりたいものです。

少なくともこの絵本を見た子供たちが、左利きの子は左手で字を書いていいんだ、と考えるようになってくれれば、うれしいです。
逆に、大人の方には、この人は右手で書けないから左手を使っているだけなんだよ、ホントは…式の指導だけはして欲しくはないですね。

私も、墨と筆で何か書いてみたくなりました。とりあえず、手元にある筆ペンでやってみましょうか。

*
月人石-乾千恵の書の絵本
乾 千恵 <書> 谷川 俊太郎 <文> 川島 敏生 <写真> 福音館書店 版
定価840円(本体価格800円) ページ数:28 サイズ:19X27cm
初版年月日:2005年01月20日 ISBNコード:4-8340-2028-2
読んであげるなら 3才から 自分で読むなら 小学低学年から
いのちを感じる文字! 初めて出会う「書の絵本」
この絵本は字を覚える絵本ではなく、字を感じ楽しむ絵本です。筆で書かれた「書」のもつ生命力が写真と言葉とともに、生き生きと感じられます。初めて出会う「書の絵本」です。

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*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
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2004.12.30

小説「わたしの彼は左きき」ははずれ?

古本屋で見かけた本です。
タイトルに惹かれて手にしたのですが、ちょっと私の好みとは違い、また興味のある左利きの範囲からも外れているようで、残念でした。

パラパラとのぞいただけですので、間違っている部分もあるかもしれませんが、簡単に紹介してみましょう。

表紙にマンガ風のイラストを配して、同じく挿絵を何ページか入れた、いわゆるヤング・アダルト向けの新書判のライト・ノヴェルです。
ゴルフを扱ったもので、ミケルソン選手のように右利きだけど、教えてもらった人の打ち方を向かい合ってまねて覚えたために左打ちになったという主人公と、野球選手でこれも右利きだけど右投げ左打ちの選手とが、恋愛関係になるという、ボーイズ・ラブといわれる種類のお話のようです。

ともに右利きで、スポーツの関係で左打ちしているという、真性の左利きの人のお話ではないので、私の興味の範囲とは少しずれています。
より左打ちを強化するため、意識的具体的に左手・左側を使う訓練をしているという場面があればまた別なのですが…。
実は、そこまで確認は取れていません。くわしく読む気になれなかったからです。

私はどうもこういうお話は読む気になれないのです。
偏見を持たないようにとは思うのですが、どうも受け付けません。

というわけで、魅惑的なタイトルでしたが、残念ながら今のところ私の左利きの本棚には収録される予定はありません。

※レフティという言葉は、ゴルフの世界では左利きあるいは左打ちのプレイヤーを指す言葉としてかなり前から定着しているようです。私はゴルフをやらないので、気付きませんでした。

※『わたしの彼は左きき』長谷川忍・著 内田一菜・イラスト ワニブックス KIRARAノベルズ 平成10(1998)年6月刊 ISBN:4847032845

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2004.11.08

「左利き関連本」@niftyBOOKSアフィリエイトを付けてみる

「ココログアフィリエイト」というのをやっているというので、案内にそって「@niftyBOOKS」のアフィリエイトを設定してみました。
ISBN 番号を調べて「クイック追加」すればいいだけなので、簡単に紹介してゆけます。

せっかく左利き関係の本について書いているので、自分がいいと思う本については紹介の機会を増やしたいと思います。
金儲けはさておき、お気に入りの本の書影も入るので殺風景なわがココログも少しは見栄えが増すように思います。その分表示に多少余計な時間がかかるかもしれませんが…。

「左利き関連本」として、「左利きの本」としてサイドバーで紹介していた『左ききでいこう』『見えざる左手』『左ききの神経心理学』、11.5の「左利きの本だなぁ:児童文学編『すえっ子のルーファス』は左利き」、何度も記事で取り上げた『左利き用ボールペン字練習帳』(6.18)、8.3の「左利き対応100マス計算ドリル「文字がうかぶ100マス計算プリント 小学( )年生」」の本等を掲げてみました。

「ジュール・ヴェルヌが好き!」もつけて見ました。
10.18の記事「偕成社文庫版ジュール・ヴェルヌ『神秘の島』と映画『80デイズ』」で紹介した本と映画の原作本等です。

元街の本屋さんで働いていた身としては、本を買う時は、ちょっとした質問なら即座に答えられるようにちゃんと勉強している店員さんがいる本屋さんに直接行って、実物を見てから買って欲しいものです。
街の本屋さんだってちゃんと勉強している人はいます。都会の大きな本屋さんだけでなく、地元の街の本屋さんも頼りにしてやってください。

とはいえ諸般の事情で本屋さんに出かけられない人もいますし、そういう時もあります。そんなときはネットの本屋さんは便利です。。

11月9日で読書週間は終わりますが、ふだんは本を読まない人もこの機会に、これらを参考にして何か読んでみて欲しいと思います。

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2004.11.05

左利きの本だなぁ:児童文学編『すえっ子のルーファス』は左利き

エレナー・エスティス『すえっ子のルーファス』(1943年・1971年) 渡辺茂男訳 岩波少年文庫117 1995.6.8 第1刷発行 2004.7.16 新版第1刷発行 (小学5・6年以上)さし絵:ルイス・スロボドキン
[岩波ブックサーチャー]

『元気なモファットきょうだい』『ジェーンはまんなかさん』に続く"モファットきょうだい物語"三部作の末尾を飾る一冊。

第一次世界大戦(1914-1918)下のアメリカ、コネティカット州クランブリーに住むモファット家の四人きょうだい(シルビー、ジョーイ、ジェール、ルーファス)とお母さんの一家の13のエピソードからなる物語。
今回の中心人物は末っ子のルーファス。
rufusm.jpg

モファット家のすえっ子ルーファスは、いつも元気いっぱい。左利きなので草野球で思いがけない大活躍をしたり、腹話術の練習をしてみんなをびっくりさせたり……。無邪気でいちずな男の子の奮闘ぶりをあたたかく描きます。

家庭でも学校のクラスでもただ一人左利きのルーファス。
家では誰も彼の左利きを右利きに変えさせようとしませんでした。家で食事するときは母親と向かい合ってテーブルの端に座って食べました。そうすれば右利きの人と肘をぶつけることがないからです。
しかし学校では、受け持ちの先生たちがルーファスの扱い方をはっきり決めることができず、ルーファスは自分が左利きか右利きかよくわかりませんでした。

彼は右手でも左手でも字を書くことができます。
一年生のときの先生は彼を左利きと考えて直そうとはしませんでした。二年生の時の受け持ちの先生は、ルーファスの左手で字を書く習慣をやめさせることが教師の義務だと考えました。
先生は彼の右手で書いたへたなペン習字に金星をつけてくれました。なにしろ彼は大変な努力をしているのですからその価値があるというわけです。ただその金星の上には「ルーファスはこのペン習字を右手で書きました」と書き加えられていました。他の生徒が不思議がらないように。
三年生になったときの受け持ちの先生は、彼はまちがいなく左利きなのだから、ルーファス自身もまわりの人もそれに慣れたほうがいいと考えました。
やっと問題が解決したルーファスはとてもしあわせでした。
先生は編み物を二度教えます。一度は右利きの生徒のために、二度目は左利きのルーファスのために―。

ルーファスは左利きであろうがなかろうが、普段はまったく何の差しさわりもありません。それに今では受け持ちの先生がルーファスの動作は左利きと認めているので、左利きで不便なのは誰かが握手しようとするときだけです。いつか左利きの人と合って、左手で握手してみたいものだと、ルーファスは思いました。

そんなルーファスの左利きが長所になるときが来ました。ジェーンの女の子だけの野球チーム「運命の四」のキャッチャーの"外野"に参加できることになったのです。そして初めての試合で彼は無事ピッチャーの暴投を左手にはめたグローブで好捕します。さらにホームランまで!

*
第一次大戦下の生活を描いたエピソードがいくつかあります。この作品が発表されたのも1943年、第二次大戦の真っ只中です。そういうことを考慮して読めばまた違った印象があります。

しかし、それ以前に子供たちのいかにも子供らしい日々の冒険があたたかく描かれていて楽しい読み物になっています。
種をまいたその夜にさっそく芽が出ていないかと掘り出して見る兄弟たちの姿や、先生の家を訪問しながら何も話せないで帰ってくるジョーイとジェーン、土管の中に光る動物の目に想像力を広げるジョーイとルーファスなどなど…。

なかでも私は、巻頭のエピソード、まだ学校に上る前のルーファスが図書館で本を借り出すまでのエピソードを描いた「ルーファス・モ」や、次のエピソード、戦場に向かう兵隊さんに自分で編んだ手編みの洗顔タオルをプレゼントして、御礼のハガキをもらう「列車いっぱいの兵隊さんたち」がお気に入りです。
特にこの「列車いっぱいの兵隊さんたち」は、感動しました。この話を私は昔どこかで見るか聞くかしたことがあるのです。記憶が定かではありませんが。そのときもいいお話だなぁと思ったものでした。

ルーファスもこのときに兵隊さんのアルからもらったハガキをいつもポケットに入れて持ち歩いています。もうひとつ「運命の四」でホームランを打ったときに氷屋のおじさんからもらったきざみタバコのからぶくろといっしょに。ルーファスの宝物であり、お守りとして。

ラスト「やっといい日がくるわ」では11月11日、やっと戦争が終わります。町中に鐘が鳴り渡り、新聞は号外を発行します。
一番上のシルビーの結婚が決まり、一家の新しい未来が始まる予感。
それぞれの思いを胸に、たきつけに使った号外の見出しの「平和」の文字が炎の中に浮かぶストーブを見つめあう家族…。
ママが言います。「そうね、みんな、あのことばが何を意味するか、わかるわね? やっと、みんなにいい日がきます、ということよ。」

それでは、左ききのルーファスの活躍をお楽しみください。


モファットきょうだい物語シリーズは、「レフティやすおの本屋」支店「こどもたちの世界」本棚「アメリカのこどもたち」で紹介しています。
第一作・2004.11.28 ほのぼの児童文学『元気なモファットきょうだい』
第二作・『ジェーンはまんなかさん』
第三作・2004.11.05 左利きの本だなぁ:児童文学編『すえっ子のルーファス』は左利き
第四作・2005.02.22 エレナー・エスティス『モファット博物館』

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2004.09.27

古本屋めぐりは楽し

最近は暇があると古本屋めぐりをしています。
近頃多い新古書店、リサイクル本屋―いわゆるブック○○や古本××といった古本屋でなく、昔からある□□堂とか△△書房という古書店です。
もちろん通り道にあるそういう古本屋さんも見ておきます。意外な本が意外にお安く手に入ることもあります。
しかし一番の目的は昔風のお店にある専門書です。特に左利き関係の本を探します。他にもうひとつの興味のある古典ものを探します。

左利きの関係の本は、左利きの活動を始めた当初は、左利き用品共々あれこれ探してはお小遣いに見合う範囲のものを買っていました。(『レフティやすおの左組通信』「左利きphoto gallery 左利きの本だなぁ」参照)
その後、近くに図書館ができたのでもっぱらそちらで借りて読む状況でした。
ところがホームページ活動を始めてからは資料として必要になることが増え、できる範囲で手に入れておきたいと思うようになりました。

というわけで、あれこれいい本屋を探していたところ一軒見つけることができました。
『左利きは危険がいっぱい』や『自然界における左と右』など色々ありました。既に持っているものは別として、お小遣いと相談しながらぼちぼち買っていこうかと思っています。

先日来、再三ネタ本として利用している『脳を探検する』も最初は図書館で見つけて読んだものでした。今回、同じ久保田競の旧著『手と脳』共々購入しました。

古書は店により同じ本(同じようなコンディション)でも値段が違っていて、よりやすく買うという楽しみがあります。逆にあわててかって高く買うこともあり、もう一軒当たってみようかと思っているうちに、欲しかった本が売れてしまっているケースもあります。後日別の店で見つけたものの方がコンディションが良かったり悪かったり、あるいは安かったり高かったりすると己の先見の明のなさに情けなくなります。

古書、古本について書いた本も色々出ていて楽しめます。私は文庫本のファン―小遣いが少ないだけ?―なので、絶版文庫についての本など読むのも好きです。そういう本を読んでると自分でもつい買い集めてみたくなるので、困ったものです。

新しい本のインクの匂いは新鮮で良いものですが、古本ならではの匂いも慣れるとまた乙なもの…。

*
今後も引き続き、最近手に入れた左利き関係の本を色々紹介してゆきたいと思っています。
本の良い所は、特別な再生用の機械を必要としない点、図書館や古書店のようなリサイクルのシステムができていて古いものでも手に入るというところです。
その点ウェブサイトはいつの間にか消えていたり、URLが変更されてリンク切れになっていたりと、過去の情報が検索不能になることがあリ、厄介です。進歩しているのか、退歩しているのか…。まあ、更新されていれば常に「最新版」にふれることができるわけですから、一長一短でしょうか。

では、乞うご期待!

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2004.09.24

『男たちの絆』マイクル・Z・リューイン

マイクル・Z・リューイン『男たちの絆』LATE PAYMENTS (1986) 田口俊樹訳 早川書房ハヤカワ・ミステリ 1988年刊。 

<パウダー警部補シリーズ>第3作。失踪人課に移ってから2作目。
前作『刑事の誇り』当時は、彼リーロイ・パウダーと車椅子の女性部長刑事キャロリー・フリートウッド以外には半日勤務のパートのコンピューター係しかいなかったインディアナポリス市警失踪人課も彼らの精力的な活躍で飛躍的に所属刑事が増えた。

そんな一人、新米刑事ハワード・ハディックスが「左利き」です。
彼は、"立派な口髭をたくわえ、赤毛をクルー・カットにした健康気ちがいの二十五歳の青年"。

パウダーは彼のところまで行くと、肩越しにその仕事ぶりを眺めた。そして首を横に振り、口をすぼめて息を吸ってから言った。「駄目だな。おまえさんも右利きならなあ。左ぎっちょは字を書くのが遅くていかん」

パウダーは部下の車椅子の女性部長刑事に対しても、面と向かって「かたわ」といった言葉を使う男。
これだけ読むとなんと言う無礼な男と思われる方もおられるだろう。その傍若無人な態度は、確かに署内でも嫌われ者で評判は芳しくない、一部の上司の受けも良くない。しかしそれは彼の歯に絹着せぬ言動がいかに真実をついているかにある。人柄も実際は違う。

たとえば、「かたわの部長刑事」という上司の言葉に、「あの"かたわ"の部長刑事」は有能で、あんたにも引けをとらぬ、今みたいな不愉快な呼び方をしたら正式に苦情を申し立てるときっぱり言う。

「他意があって言ったんじゃないよ、パウダー」
「他意がなけりゃ初めから何も言わないほうがいい」

実は、彼自身非常に稀なある肉体的特徴を持っているのだ。(34章参照)

それが彼のひねくれた物言いや態度の原因となっているのかどうかはわからない。しかしそういう自分に与えられたもの故に、肉体的な特徴を持つ人に対する親愛の情というものがああいう物言いにつながっているように、私は感じる。

さて、事件は毎度のように多くの失踪人の相談者の訪問から始まる。
ある少年の父親が行方不明だ、いつも出かける時には書置きを置いてゆくのに今回はそれもないという。このインディアナ州では身障者の寿命がよそに比べて短いというデータが出ている、これは大量殺人事件のせいという車椅子のコンピューター技師の青年。新興宗教に娘がはまって戻らない、面会もできないという夫婦。などなど…。

気になることはどんなささいなことまでも、徹底的に調べるパウダーは自分の時間も惜しまず、事件の解決にあたる。
暇を見て一人暮らす少年の家を訪ねる。父の帰りを待って電話から離れない、学校にも行かない少年。保護センターに相談すればすぐに保護されてしまうだろう…。

一方、彼の息子の事もあった。前作で犯罪に加担しているらしいと知った彼は息子を告発し刑務所送りにしていたのだ。刑務所帰りで保護観察官の下に顔を出さないリッキー。わかれた妻は息子のかたを持つが…。「あなたは芯の芯までお巡りなのね。人間の心なんてこれぽっちも残ってないのね」

彼は「人は自分が最善と思ったことをするのさ」「ほかにどんな指針があるというんだね?」と言いつつも、おれは間違っていたかもしれないと息子とガールフレンドに和解を申し出る。そして事件の捜査に協力してもらう…。

こうした「男たちの絆」をバックに話は意外な方向に進み、謎は見事に解決される―という読み応えのある警察小説であった。

*
ところで、マイクル・Z・リューインは私の好きな作家である。
前に『のら犬ローヴァー町を行く』(3.25付記事)を紹介している。
一番好きなのが心優しい知性派私立探偵アルバート・サムスンのシリーズ。
そしてそれとこのパウダー・シリーズとがインディアナポリスを舞台にしたお話。前作ではサムスンの手を借りるシーンもある。でも、私はこのシリーズの肝心の第1作をまだ読んでいないので、その辺が残念だ。
今、ハヤカワ・ミステリから『探偵学入門』と言う初の短編集が出ている。ローヴァーものも含まれているし、初めてのかたにはリューイン入門書として最適かもしれない。
―と、付け加えておこう。

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2004.09.19

ヒトにはなぜ利き手ができたか

9.9の記事「脳の性差と非利き手使い」、9.15「『脳を探検する』久保田競」に続いて、三たび久保田競『脳を探検する』(講談社 1998年刊)からの記事です。
今回は「ヒトにはなぜ利き手ができたか」というくだりを紹介します。

第2章 記憶の仕組みと創造の秘密 > ②右脳と左脳の独自性と共働のシステム > ★左右の脳と利き手の関係 > ヒトにはなぜ利き手ができたか

ヒトと利き手の関係はまだはっきりとはいえませんが、利き手が進化の過程でどう形成されたかはわかりつつあります。

京都大学霊長類研究所でのサルの観察による利き手の現れ方の調査の結果から、原猿という原始的なサルの仲間、ツパイやギャラゴでは、餌をとったり、木に登るのに左を使うことが統計的に多い。つまり左利きらしい。

少し高等なニホンザルでは、圧倒的多数が左利きで、8歳以上のサルの多くは左手を使う。8歳は野性では大人になる時期で、この頃に利き手が決定されるのだろうとわかった。

次に、類人猿のチンパンジーでは、一組の石をハンマーと台に使ってヤシの実を割る。すなわち道具を使う。ハンマーを持つ手はばらばらでも、割れた実のかけらを指でつまむときに、つまみ方で使う手がはっきり分かれる。ニホンザルがするように、人差し指と中指でつまむのは多く左手なのに、親指を使う高度なつまみ方をするときは右だった。

サルと類人猿の左利きの歴史のなかに、道具を使うという要素が取り入れられたときから、右利きの要素が現れたと考えられる。

これを脳の発達から言うと、餌をつかむ行為から左利きのサルの左手がうまく使えるようになり、それに対応する右脳が発達した。しかしサルは餌を食べるだけで加工もしない、道具も使わない。
一方、類人猿は食べ物を道具で割ったり、種を取ったり、皮をむいたりする。その時に、利き手だった左手でしっかりと保持し、自由になったあいている右手で細かい作業をするようになった。こうして右手と左脳が発達して来たと考えられる。

実際に古い化石などからそのことが裏付けられる。チョッパーというナイフの用をする石器時代の道具は右手で使いやすいように刃が付けられている。猿人が動物を右手で攻撃したことを示す化石もある。クロマニヨン人が残した洞窟画には左手の絵が多く発見されている。つまり右手で描いたものが多い。

このように、

人間ははるか昔の誕生時には既に右利きとしてこの世界に登場したようです。

***
人類(ヒト)は、種として発生したとき既に右手を利き手とする性質を持っていたということです。
決して、向かって右側にある対戦相手の心臓を突きやすいように右手に武器を持つようになり、右手が利き手になったわけではないのです。

人類は右利きとして生れた、のです。ということは右利きの人は平均的な人間ということなのでしょう。では、左利きの人は…?

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2004.09.15

『脳を探検する』久保田競

最近、本屋さんに行くと脳を鍛える大人のドリルといったものが色々並んでいます。
やれ計算が良いとか音読が良いとか、なかなかにぎやかです。

私は人間が古いので、そんな最新流行のものではなく、ちょっと前の本を紹介しましょう。

9.9の記事「脳の性差と非利き手使い」でもふれた久保田競『脳を探検する』(講談社 1998年刊)です。
脳を鍛えて、うまく使い、うまく生きてゆこう、という本です。

著者は、東大医学部、同大学院を経て、京大霊長類研究所所長をつとめ、サルの利き手なども研究された方で、著書には『手と脳』他、脳に関するものがいくつもあります。ブルーバックスのフロイド・E・ブーム他著『新・脳の探検』の監修にも関わっておられる学者です。

「新しい生き方をするのに脳をどう使えばよいか、その時に脳がどのように働いているかを書いたものです。新しい生き方を模索する時に、今までなら、人生読本、哲学書、宗教書、文学書を読むのが普通でした。今は、脳の本を読む時代なのだと、脳の研究をしてきた者として、確信しています。」

専門用語を極力減らした記述で読みやすく、楽しめました。


前半は、脳の働き、記憶のシステム、感情や心の発生など脳についての勉強。
そしていよいよ第4章「脳を鍛えれば老いや病に勝てる」が、気になります。
五感を使うことで脳を強くすることができるそうです。

まず一番は手。手は運動器官であるだけでなく感覚器官でもあるという。

「遊びながらできる手の訓練法」として、子供の場合は楽器のキーボード、組立ブロック、ジグソー・パズル、テレビ・ゲーム(特にテトリスは図形を扱うので良いという)、キャッチボールなど。

音楽は太鼓でリズムを作るなど、楽器を使うことで運動を通じて感情を表現するので脳をよく使うことになるそうです。

もちろん大人でもそうで、ダンスなどは、異性との会話も必要なので楽器の演奏だけよりもっと脳を使うことになり、ぼけ防止にも良いようです。

50歳を越えると男女ともに手の筋力の衰えが著しくなるそうで、これを鍛える必要があるそうです。ものをつかむ力、握力を鍛えることが大事だそうです。

そして両手を使う。両手を使うといっても、どちらの手でもお箸が使える、字が書けるということではなく、利き手は利き手らしく器用に、そうでない手もそれなりに使うということ。

現代は便利になって、片手だけ使って片手を遊ばせていることが多い。つとめて利き手でないほうの手を使うようにしましょう、という。

右利きの人は左手を補助として使うだけでなく、絵を書くなど頭の中の像を表現するときは左手を使う。また、感覚器官として左手を使う。大工さんがかんなかけをするときは、右手でかんなを使い、左手で削った面を触って確認する、というように。あるいは寄席の「紙きり」のように、両手をたくみに動かす芸など。


また脳力は体力が支えるという。
足元から鍛える。ジョギングやエクササイズ・ウォーキングなど。
さらに、五感のうち、目耳鼻、そして口(歯)を鍛える。意識してものを見る、聞く、嗅ぐ、そしてしゃべる(会話)。

からだに入ってくる外界の感覚情報を減らさないこと、外の世界への働きかけを減らさないこと、手も足も使う。筋力もスピードも落ちるがその分時間をかけて補う。

脳細胞は年々減ってゆくかもしれないが、細胞と細胞をつなぐシナプスは使えば使うほど増える、太くなる。より連絡の良い脳に変えることができる。

もう年だからと運動を減らしたり脳を使わないようにするのが「老化」の第一歩。「老け込み」気分を一掃するのが脳の活性に有効だそうです。

また、物忘れについては、「物事は忘れやすいものだ」ということを忘れないこと、忘れて失敗したことを必要以上に悔やまないことが、大事。名まえなどは大声に出して覚える、字に書いて、右脳と左脳を使って覚えるなど工夫すると良いそうです。


実行できることから始めたいものです。

私が気に入ったのは、目の見る運動として、スピードリーディングというもの。
「黙読で字面を追うだけでなく、読みすすめる行に指を当てて一定のスピードで動かしていき、その指先の字を目で追う方法」。
これだと目がギクシャクせず、直線を滑らかに追うことができ、スムース追跡トラッキングができるという。



―利き手に関する記述―
第2章 記憶の仕組みと創造の秘密
②右脳と左脳の独自性と共働のシステム
★左右の脳と利き手の関係 (ヒトにはなぜ利き手ができたか)

第4章 脳を鍛えれば老いや病に勝てる
①五感を使えば脳は強くなる
★遊びながらできる手の訓練法 (両手使いのすすめ)

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2004.09.09

脳の性差と非利き手使い

* 私は脳や神経科学について研究している学者ではないので、これから述べる事柄については、あくまで素人の個人的な勝手な解釈であるとお考えください。

男性の脳と女性の脳との違いを脳の性差と呼びます。いくつかのことがいわれてはいますが、統計的に見て平均値で差がある、傾向が見られるということで、明確に何かが違うというものではないようです。

ただ、左右の脳の連絡機能は女性の方が優れているのではないかと考えられているそうです。
大脳の働きではっきりと男女で差があるのは言語機能で、男性が左脳を使っているのに対し、女性では左脳と右脳を使っている。女性は左右の脳をうまく連絡させて使っているらしい、というのです。
(ここで言う「男性・女性」とは基本的に右利きの人のことのようです。和田テストでは、右利きの人で男性は99パーセントが、左利きでも70パーセントの人が左脳に言語機能があり、残りの人は右脳にあるというデータがあるそうです。脳の対側支配―右脳が体の左側の運動を、左脳が右側の運動をコントロールしていること―と利き手の違いは関係があるが、かならずしも一致しない、ということです。)

さてここで(運動機能の問題は別にして)、女性の場合、言語機能が両側の脳にあるとすれば、非利き手で言語活動である書字を行う(字を書く)ことは必ずしも不自然な行為ではない、ということになるのかもしれません。

今、私のサイトで行っているアンケートで、「左利きでも字は右手で書くべきか」というものがあります。この中の選択肢に「女の子は右手で」という項目を用意しています。
これはそのような意見の親御さんが現実にいらっしゃるということで設定したのですが、この考えもあながちおかしいとは言えないかも知れません。
(実際の理由は、まったく異なるもので、見栄えがどうのこうのといったもののようです。この項目に関して、性差別ではないかと言う意見もありましたが、その点に関してはサイト「レフティやすおの左組通信」「左組通信4」をご覧ください。)

もちろん、運動機能についてはまったく無視されているので、その点は大いに問題があります。
また昨今、手で字を書くことが少なくなっている状況下で、運動機能に劣る方の手で微妙な動きを必要とする書字を行おうと訓練するのは、それだけの労力に匹敵する価値があるのか大いに疑問でもあります。

しかし、ひとつの仮説として、女性においては非利き手で書字という作業を行うことは言語機能の面から言うと必ずしも不自然ではないかもしれないと考えられる、ということは知っておいても良いかもしれません。
現実に右手使いにした人も大勢おられるわけで、そういう人でうまく適応しているという方は、そういう理由によるのかもしれません。

もちろん、何度も言うようですが、それだけの理由で非利き手使いを行うのは、やはり不自然な行為であるというべきでしょう。
書字のような複雑な作業は、言語機能のみならず運動機能をも制御する側の脳で行うのがやはりベストと考えられます。

今回参考にした本『脳を探検する』のなかで、著者は「脳を鍛えるために両手を使おう」と提案されていますが、両手を使うとは、

右も左も同じように使えるようにという意味ではありません。食事のときに左右どちらの手でもお箸が使えるとか、どちらの手でも字が書けるということではありません。つまり「利き手は利き手らしく、そうでない手は、そうでない手のように左右どちらも使いなさい」ということです。脳に左右で分業があるのですから、手の使い方も脳の分業と直結した使い方をしなければならない―両手をそのように使い分けねばならないのです。

と、書かれています。

* 参考文献 *
『脳を探検する』久保田競 講談社 1998年刊

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2004.08.27

左利きの本だなぁ『左きき学 その脳と心のメカニズム』ジーニー・ヘロン編

ジーニー・ヘロン編集『左きき学 その脳と心のメカニズム』近藤喜代太郎 杉下守弘監訳(西村書店)昭和58(1983)年6月6日 第一版第一刷
NEUROPSYCHOLOGY OF LEFT-HANDEDNESS(1980)

~左利き研究の歴史を知ろう~

左利きの神経心理学の専門書です。序文にもあるように、二十数年前の「1980年当時の左利きに関する最新の研究成果の集大成」です。
残念ながら門外漢である私には充分理解の及ばない内容が多く、結局、左利きの問題の難しさを再認識するにとどまりました。
第15章の結びの言葉にあるように〈多くの場合にそうであるように、左利き者は、理解するのがより難しいのである。〉342p
ただ、第一部第一章「初期の学説、事実、空想」は左利き研究の歴史を知る上において役に立つものです。

・・・・・・

「まえがき」近藤喜代太郎

ⅰp〈利き手も脳の左右分化のひとつの表現であり、その研究を通して脳の神秘に迫るひとつの手掛かりでもあります。/左利きは古くから人々の注意を引き、それぞれの国や時代の水準を反映して種々の憶測が加えられ、また、少数者への寛容度を反映してさまざまに処遇されてきました。その意味で、左利きの問題は文化史の一側面ですし、それが脳機能の左右分化という立場から理解されるようになったのは、決してそう古いことではありません。〉

〈近藤は自身が左利きで、それぞれ深い関心と同感をこめて本書の翻訳に当たりました。〉

「序」J・へロン

ⅳp〈嘲笑され、叱られ、物差しで打たれ、後ろ手に縛られもした悪い手。左利き者は辱められ、非難され、悪意に満ちた攻撃を受けた。こうした歴史にもかかわらず、左利き者は静かに朽ち果てるどころか、生き残っている。ではなぜか? それは、本書が示すように、彼らが好んでではなく、“神経学的命令”によって左手を用いているからである。〉

ⅴp〈原理の解明は例外を通じて行われることが多いので、左利き者の研究はこれら脳研究で重大な役割を果たしている。左利き者の仲には脳の非対称性の様相の異なる集団があり、様々の左利きの類型を調べ、個々の検討を加えて脳の機構について多くを学ぶことができる。/これらの研究の対象が左利き者であっても、真の設問は左利きそれ自体ではなく、ヒトの脳がどのように機能するかに向けられている。/本書を左利き者にささげる。ヒトの脳の神秘への疑問に回答をもたらす、最も重要な手掛かりになる近代的研究によって、ついには左利き者のユニークな特性が見出されるだろう。〉

「第1章 左利き:初期の学説、事実、空想」ローレン・ユリウス・ハリス
4p(欄外注釈)

〈“サウスポー”は侮辱用語ではないが、少数者を差別する用語には相違ない。右きき党首は決して“northpow”とよばれるわけではない。〉

―〈高名な左利き者である〉マイケル・バースレイ「右利き世界のなかの左利き」についてふれている。(*邦訳書『右きき世界と左きき人間』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳 TBS出版会/発売・産学社、他に『左ききの本』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳 TBS出版会/発売・産学社)


・・・・・・
~本書を読んで、自分なりに考えたこと~

一般人である私にとって一番知りたいことは、左利きにとっての自然な姿とはどういうことか、ということであり、幼児期に特定の作業について右手使いに変更すること(昔の本であるため本書では「矯正」という言葉で表現している)により書字の手を変えることがその後の脳機能の発達に及ぼす影響について、であります。

右利きの人にとって左脳は、右手の運動をつかさどる側であり、言語を扱う側でもあるといわれています。すなわち脳の機能として、字を書くという運動と言語を操るということとの両方を同じ半球で同時に行えるということで、非常に効率がよいと思われます。

それに対して、左利きの場合は、反対の右脳側に言語機能を持っている人がいるといいます。そこで、その人が矯正の結果右手で字を書くとなると、手を動かす運動は左脳、言語を考えるのは右脳とてんでんばらばらに作業を進めなくてはならず、常識的に考えて非常に効率が悪いと思われます。両半球の間の連絡のいかんにその作業の成果がかかってくることになるのではないでしょうか。

純粋な?―ほとんどの右利きの人とは反対に右脳に言語機能を持っている―左利きの場合はやはり、書字は左手で行い、言語をつかさどる半球と同じ側で作業できるようにする方が効率的なのではないでしょうか。
そういう意味でも書字などの特定の作業について右手使いに変更することはよくないのではないでしょうか。
実際のところはどうなのでしょう?

また、左利きの程度がさほど強くない、一般に両手利きといわれている人でも、厳密に言うと、「両手使い右利き」と「両手使い左利き」があり、細かい作業に向いている方がその人の利き手といえるようです。それらの人では、言語の機能も両半球に存在し、脳の半球偏側化が比較的緩やかな人であるようです。これらの人たちにおいては特定の作業について右手使いに変更すること(昔の本であるため本書では「矯正」という言葉で表現している)も比較的受け入れやすいのでしょう。

とにかく、大半の「右利き」が画一的な存在であるのに比べ、「左利き」の場合は、「両手利き」の存在を含めて、生来のもののみならず、環境の因子も絡んで、非常にさまざまな要素を持ち、幅があるようです。

・・・・・・

 近年の脳・神経科学の発達は著しく、個別にそれぞれの範囲で研究されているため、総合的に判断することが非常に難しい状況にあるようです。
一般向けに平易に解説されたものも少なく、ましてや左利きに特化した啓蒙書を見ることはさらに稀です。
一般の素人には、数年前のものを自分なりに消化して読み取る以外に、適切な方法が見当たらないというのが正直な感想です。

比較的最近のもので左利きを正面から扱ったものとしては、八田武志『左利きの神経心理学』医歯薬出版(1996)があります。
もっとも簡単に、左利きのちょっとした脳神経学的観点からの知識を手に入れるなら、今年発行された『新・脳の探検』下巻(フロイド・E・ブーム他著 中村克樹/久保田競監訳 講談社ブルーバックス)に「利き手と大脳半球」というコラムがあります。


~過去の<左利きの本だなぁ>の記事~
2004.04.04『左利きの秘密』箱崎総一
2004.05.10『左利きの本―右利き社会への挑戦状』ブリス、モレラ
2004.07.07『左ききの本』マイケル・バーズリー

*参照―『レフティやすおの左組通信』「左利きphoto gallery〈HPG2〉左利きの本だなぁ」

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2004.08.24

続報『左利き用ボールペン字練習帳』

さて、以前紹介した『左利き用ボールペン字練習帳』の続報です。
版元の日本文芸社、編集担当YK氏によると、

1『右利き用~』の再版に『左利き用~』の社告を入れることに成功した
2イーエスブックスの生活>手紙、文書のカテゴリーで「この1週間で人気の商品」に『左利き用~』が掲載された

1の社告とは、『左利き用~』の元になった『右利き用~』の本が今回再版されることが決まり、その際に『左利き用~』の広告を載せるということです。
ここでは便宜上『右利き用~』と呼んでいますが、実際には「右利き用」と明記されているわけではないので、左利きの人でこれを手に取った人が、『左利き用~』があるんだと知る機会ができたということになります。

「この1週間で人気の商品」
『左利き用ボールペン字練習帳 きれいな字が書ける』 日本文芸社 819円(税込)

"実は先週はトップに載っていたのですが、今週はランクが落ちたのでしょうね。"

"売上は相変わらずですが、気長にやっていくつもりです。"(2004.8.24)

ということです。

売れ行きも、私の予想からいえば、『右利き用~』の何分の一かあれば、それなりに売れているといってよいと思います。

この『左利き用ボールペン字練習帳』、まだお手にとっておられない方はぜひ一度本屋さんでお確かめください。


―過去の記事―
2004.06.18『左利き用ボールペン字練習帳』再び
2004.06.03『左利き用ボールペン字練習帳』岡田崇花  
2004.06.26『左利き用ボールペン字練習帳』「レフティサーブ」で紹介

*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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2004.08.03

左利き対応100マス計算ドリル「文字がうかぶ100マス計算プリント 小学( )年生」

以前私は、6月16日付の記事「左手書き(左利き)に優しい改良版「ユニバーサル百マス計算」のすすめ」
「改良版「UD百マス計算」が紹介されました」
という、100マス計算に関する2本の記事を書きました。

これは従来の100マス計算が右手書きの子には問題ないが左手書きの子には不利なものになっていたので、その点を改良し、誰にも不利でないユニバーサルデザインのものに改良しようと訴えたものでした。

私が最初にこの文を書いたのは、5月の連休のころでした。
左利き児童に対する配慮に欠けている100マス計算に対し、危機感を持つようになり、それなりに色々調べていましたが、これというものは見つかりませんでした。そこで現役の小学校教師の親野先生に目を通していただき、賛同をえて、この文章を発表することにしました。

ところが実際には、そのころ既に左右に問題の数字の列が書き込まれた、ユニバーサルデザインの100マス計算ドリルが市販されていたのです。
それがここに紹介する『文字がうかぶ100マス計算プリント 小学( )年生』三木俊一/著 清風堂書店出版部 

31363046.jpg
「1年生」用の表紙

です。それぞれ「1年生」から「6年生」まで出ています。
奥付によると、2004年の5月1日となっています。

100hidari.jpg

表紙にも、両サイドに問題の数字の列が書き込まれた100マス計算問題用紙の絵が描かれ、「左ききにも 右ききにも 使いやすい!」とうたっています。

表紙を開くと「特色」と題した説明のページがあります。
そこには「えんぴつを持つ手の下に数字がかくれても、右か左の数字が見えます」という文の下に、右と左の両側に問題となる数字の列が配された、本書で使われているマス計算の見本が示され、それぞれ左ききの場合と右ききの場合の二つの使用例の絵を入れて、本書の特徴がわかりやすく説明されています。

内容は、計算結果を利用して、その問題用紙の上にマスをたどってひとつの文字が浮かび上がるという趣向が凝らされていて、子供が楽しみながら練習できるようになっています。
楽しく計算の練習をしながら字の勉強にもなるという、一石二鳥の優れものです。

左利きのお子さんをお持ちの親御さん、もう100マス計算での左手書きに対する心配は要らなくなりました。
このドリルで楽しく勉強させてあげてください。

*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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2004.07.07

左利きの本だなぁ『左ききの本』マイケル・バーズリー

~歴史的社会学的左利き研究書~
マイケル・バーズリー『左ききの本』西山浅次郎訳 TBS出版会(発売・産学社)昭和48(1973)年4月25日 第一刷発行

約30年前に発行された本で、原著は1966年発行(翻訳の底本は1969年のペーパーバック)で、38年前という時代もの。
著者は左利きのイギリス人で、当然のことながら、イギリスの話題が多くなっています。
カバーの折り返しに、〈十四年間の研究をもとに書き下ろした左きき問題研究の決定版〉とあり、なるほど労作ではあります。
しかし残念ながら、月日というものはかなしいもの、現代日本の左利きの人が読んで役立つ内容のものとは言いがたいものになっています。

ただ、欧米(特に、イギリス)における左利きの人が置かれていた歴史的状況を知る資料としては大いに価値があるといえるでしょう。特に、英語における「左利き」を表す言葉にある偏見に満ちた悪い意味、またキリスト教における「左」に対する偏見、ギリシャ・ローマ神話における左利きの話題、占いや魔術における「左」の意味といったことについて興味のある方にはおもしろい本でしょう。

私が興味を持ったのは、なじみのある名も出てくる、おしまいの方の数章。
ここには実際の左利きの人達の左利きゆえの生活上の困難の数々、偏見から来る差別の実態(特に教育の面での)が紹介されています。

過去の差別の実態を知ることにより、今を生きる左利きの人の「少しは恵まれた状況」がいかに貴重なものであるかがわかってきます。社会の変遷が見えてきます。
脳神経科学の研究の成果が左利きの成因を少しずつ解明してきたことで、迷信や偏見を払拭し、左利きの人権を考えられるようになって来たという歴史が明らかにされています。

左利き文化史を考える際の貴重な資料のひとつです。


―読書ノートの感想から―

 それにしても、「専門家列伝」中のエイブラム・ブローという精神医学教授の考えはひどい。1946年の論文とはいえ、左利きを遺伝的な生来のものではなく、〈左ききは伝統的な右ききの習得の失敗の現われ〉で原因は三つ、〈生来の欠陥、誤った教育、または反抗的感情〉だという。(313p)
そして三番目の原因がもっともふつうの左利きのタイプで、〈幼児期の精神神経症の徴候〉で〈反抗的左利き〉という。〈右ききの習得に対する反対の感情から生れる〉という。
 左利きは〈幼児の反抗的態度〉で、〈不十分なはけ口しかもたない幼児が表現することができるに置いての全般的な強情〉のようなものだという。
 このように、偏った考えが発表されるのは非常に厄介である。
 法廷での反対尋問で、不適切な発言で記録から抹消するように、と判事が答えるような場面がドラマなどでよく見られる。ところが、結局はその発言が人の心に残り、印象を変えてしまうことになるのだ。
 まさにそのように、このような偏った、誤った考えが社会をミスリードし、偏見を助長する結果になってゆくのだと思うと、やりきれないものがある。
 とはいえ、これは今だから言えることであって、当時は納得するにたる最新の学説であったのかも知れないが…。


時代を経たものを読むときには注意が必要である。当時の常識が現代でも通用すると勘違いしてはいけない。それはわかっている。
また現代の基準で昔のことを裁くのも良くない。当時は当時なりの知識や考え方、倫理観や価値観、世界観といったものがあり、それを現代人が今の感覚であれこれ言うのは間違いである。
科学的事実というのも、そういうものだ。当時の科学の水準では事実とされたことが、その後の科学の進歩で覆されることはままあることである。
だからこそ常に最新の情報に基づいた判断をしてゆかねばならないのである。


26章 筆跡―左ききの字
276p〈書くことが労苦となる〉
(マーガレット・クラーク博士)

〈「左手で書くことは右手で書くのをただ手を代えて書くということと同じではない……多くの学校では左手で書くのを教えるのではなく、ただ黙認しているだけである。」〉
〈右手で書こうと自分から努力してみても、失敗すると、左手で書くのは汚名のように考えてしまうのである。左ききの子どもが字を書くにはゆっくりしか書けないし、手の疲労も大きいことは確かであろう。これは字を書くという肉体的行為のせいだけではなさそうでもある。E・L・トラヴィスが指摘するように、他の人の書き方と違うというひそかな恥辱感と社会的不安があるのである。ウィリアム・ブレイクは黒人の少年について、

なぜ僕はみんなと違う顔に生れたのか?
他の人と同じようになぜ生れなかったのか?
と歌っているが、「顔」を「手」に置きかえれば、その思いはまったく同じことになる。〉
(当然だが、ここでは漢字を含む日本の字ではなく、英語のアルファベットの字の書き方のことを言っている。筆記体では左から右に横に綴らなければならないので、左手では押してゆく形になり書くスピードは落ちるだろう。)

280p(コール女史、左利きの子どもの教育)

〈右ききの子どものために適した習字のやり方で教えられる〉
〈「不適当な教育法の罪のない犠牲者」〉
〈左ききの子どものもつ特殊な条件を認めるだけで、このような結果を大いに避けることができる。ペンの持ち方にもさまざまある。〉

(左手用の万年筆ができ、ボールペン、フェルトペンが出現し、左手で書く状況が大きく変わった。インクつぼもペン先も不要になった。速乾性のインクとペン先のやわらかい筆記具のおかげで、紙を汚すこともダメにすることも少なくなった。)

*参照―『レフティやすおの左組通信』「左利きphoto gallery〈HPG2〉左利きの本だなぁ」

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2004.06.26

『左利き用ボールペン字練習帳』「レフティサーブ」で紹介

この「お茶でっせ」でも二回紹介させていただきました、日本文芸社の『左利き用ボールペン字練習帳』が左利きのためのメールマガジン「レフティサーブ」 6/22発行の「41号」で紹介されました。
さらに6/25発行の号外「No.041 2004年06月22日分号外2」では、版元の編集者からのお便りが紹介されています。
こちらの内容は、以前この「お茶でっせ」でもお知らせしたもの同様、

「一字ずつ練習するページでは左から右へと練習を進めてゆくような構成になっています。 その点が、使いにくいものになっていた」・・・「なので、宣伝できずにいた」

というもので、「この本の欠点もご紹介いただきたいから」連絡したとのことです。

そして、

「多分、難しいとは思いますが、もし、万が一、再版ということになったら、練習欄はかならず改訂します。そして、改訂版が出たことをみなさんにお知らせします。申し訳ありませんでした。」

と、結んでおられます。

「レフティサーブ」の発行人渡瀬氏も「好感を持ちました」と書いておられるように、問題があるという指摘を受け宣伝できずにいた、欠点も紹介して欲しい、という編集者のY氏、今時ではめずらしい良心的な方だと思います。
(でも、社内ではきっと大変なんだろうなぁ、と想像します。)

それだけに、多少の問題はあるにしても、ある程度は売れて欲しいな、と思います。
そして版元さんへひとりでも多くの読者の皆さんからご意見を寄せていただいて、再版・改訂版発行に持って行けたらいいな、と思います。

*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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2004.06.18

『左利き用ボールペン字練習帳』再び

6/3の『左利き用ボールペン字練習帳』(日本文芸社)の記事で、実物を見ずに、元になった「右手で書く人が練習しやすいようにと工夫して作った『きれいな字が書ける。ボールペン字練習帳』岡田崇花(日本文芸社 2004年3月刊)」を見て、それぞれのページが「右ページがお手本、左ページが練習帳」と入れ替えたものを想像した上で、当て推量で「十分使えると思う」と書きました。

先日、実際にこの本を手に入れました。
実物を見たところ、やはり左手書き練習帳としては問題となる部分がある、と感じました。
それは、練習帳の部分で、特に一字ずつ練習するページです。
ここでは、「左から順に3段階に練習を進めてゆく」ようになっています。
bpji3.jpg
それぞれ、薄くお手本の字が印刷された行、字のバランスがわかるように真ん中に破線の入った行、白紙の升目の行です。

右手で書く場合は、「左から右へ」書き進める方が自然で便利です。先に書いた文字が見えるし、手も汚れません。
元本では、その点を押さえて、あえて通常の縦書きの本とは異なる「左綴じ」の横書きの本と同じ製本になっています。
しかし左手書きの場合は、その逆で「右綴じ」の方が良いのです。そしてページを入れ替えることでその形は守られています。
bpji1.jpg

ところがページ内は「左から右へ」のままです。ここも「右から左へ」の方が良いわけです。
この点がマイナス・ポイントです。
bpji2.jpg
例=上段:問題のあるページ、下段:気にならないページ

欲を言えば、全体の流れも、通常の縦書きと同じ「右から左へ」の方向で進んでゆく方が、左手書きには自然で良いと思います。

さらに、前回書きましたように、将来的には書名を「左利き用」でなく、汎用の「左手用」に改めて欲しいものです。

そして、以上のことを、私は日本文芸社に連絡してみました。
すると、企画提案をした書籍編集部のY氏からお返事をいただきました。

要約すると―

・最初は『左手用』というタイトルで企画を出した。
・最初から、左利きの方がきれいに書くためのコツなどを指南した本ではない。
・別に利き手がどちらであろうが、左手で書くための本として出した。左利きだけど、字は右手で書く、という人もいる。

・元になった本が、(利き手に関係なく)右手で書くときに練習しやすいということを「売り」にした。
・このメリットは(利き手に関係なく)左手で書く人にも享受してもらわなければ、と思った。

・会議でタイトルは「左利き用」に。その方が、ストレートに伝わるのではないか、と右利きの人の発言で。

・この本は、元本がなければ存在しなかった企画で、元本を再利用する、ということで低コストに。
・低コストでなければ、企画として成立しなかった。

・指摘の箇所は、刊行早々に著者の知り合いの左利きの方に指摘された。
・左右を入れ替えるときに、もう少し配慮があればみなさんに自信を持ってお勧めできた。

・このままだと版を重ねることはない。
・この本が売れなければ「やはり左利き用は需要がないのだ」ということになり、当社で左利きの企画が通ることはないだろう。
・そして、この本が実績となり、他社でも企画は通りにくくなる。

―という、悲観的な内容で、さびしく思いました。

しかし、「一部使いづらい面があり、改良すべき点はある」というだけで、決して致命傷ではないと思います。
M自動車ではありませんが、欠陥を隠すのはマイナスになります。
失敗を逆手に取るというのはなんですが、正直に欠点を認めた宣伝をされてはいかがでしょうか。
「日本初の試み」なのですから、失敗があってもおかしくないでしょう。

皆さん、「ベスト」ではないかも知れないけれど、この画期的な企画にエールを送りましょう!

ぜひ一冊買って、一度試して見てください。

頭で考えるだけではわかりません。
私の意見が本当かどうか、ぜひご自分の目と手で確かめてください。
私一人の意見が、すべての左手書き(左利き)の人を代表する意見ではないでしょう!

各自のご意見を日本文芸社までお送りください。ぜひお願いいたします。

*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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2004.06.03

『左利き用ボールペン字練習帳』岡田崇花

『左利き用ボールペン字練習帳』岡田崇花/著 日本文芸社 2004年5月刊 819円(税込)

本の内容:右手で書く人が練習しやすいようにと工夫して作った『きれいな字が書ける。ボールペン字練習帳』(2004年3月刊)の左利き用。内容は同じですが、右ページがお手本、左ページが練習帳と、左利きの人が使いやすくなっています。

以前、左利きの検索中、ネット本屋さんで「予約受付中」となっていたのを見た事がありました。5月末に出たようです。楽しみにしていたはずなのに忘れていました。

先日、Max115さんのホームページMAX115'S ROOM で拝見しました。

その後、3軒ほど本屋をのぞいてみたのですが、実物にはお目にかかれませんでした。
元になったという右用のものがあったのでそれを見たところ、これの左右を入れ替えたものなら、使い手が右左異なるだけで右手使いと同じ筆使いをする人なら(特別な左手の筆使いをする人でないかぎり)十分使えると思いました。

とにかくこういう発想の本が企画され、企画が通り、実際に本として出版されたことがすばらしいと思います。画期的なことです!
「字は右手で書くものだ」という人がいますが、この本を見せてどう言うか反応を見たいものです。

左利きの人が左手で字を書くことをこれだけはっきりと肯定する本が出るのは、日本では初めてではないでしょうか。(左利き友の会のものがありましたか? 少なくとも一般向けでは初の快挙?!)
外国には左利きの子どものための手書き綴り方handwritingの本が出ています。練習帳はあるかどうか知りませんが。
日本でもこういう本を出すことが当たり前になればいいですね。


 私は「字は右手で書くようにできている」という人にいつも反論するのですが、文字が最初に発明されたときは右手で書くか左手で書くかなどは問題にされていなかったはずです。それが長い年月の間に、ひとつの技術として確立されるなかで、右利きが多いために右手で書きやすいように改造されてきたものだと考えています。

何しろ字を書くということは、今でこそ誰でもが身に付けている平均的な技術ですが、日本で言えば寺子屋が発達する江戸時代以前は、一部の人たちだけが身に付けられる、限られた人だけの知的な技術だったのです。
当然、ひとつの流儀や作法として右手を使うというルールが作られたのでしょう。
そこでは、左利きだから左手で書く、というのは作法から外れる行為として、許されないことだったとしても不思議ではありません。(ここから、右手使いを強要することを正しいことのように言う「左利きの矯正」といった発想が生れた来たのでしょう。)

しかし時代は変わって、万民が使う技術になったのですから、誰でもが使いやすい方法に変わってゆくのは当然でしょう。

本来右手で書こうが左手で書こうが自由なのです。

左手では書きにくい、というのも右利きの人の思い込みでしかないのです。実際に自分も「非利き手」で書いてみればわかるはず。その方がよっぽど書きにくいのです。
また英語の筆記体では、綴りの方向は右へ向かうので書きづらい点はありますが、個々の字を見ると左回りの回転が多いので意外に書きやすいものです。


 この『左利き用ボールペン字練習帳』について、私からひとつだけ注文するとすれば、将来的には「左利き用」ではなく「左手書き/左手筆記用」とする方がよいのではと思います。

これからは右利きの人も左手で字を書く人が増えてくると思います。

これは単に左利きにあこがれる人が増えるとか、事故などで右手が使えない人が増えるということでなく、右手で扱う機械や道具が多いため、より効率的に仕事を進めるためには利き手の右手に頼らず、左手でメモする必要を感じる人が増えてくるのではないかと思うからです。

実際にそういう場面に出会うことがあります。きれいな字を書くというのではないですが、あいている方の手でちょちょっとメモを取ることは誰でもあります。

そういう場合「左利き」と書いてしまうと現実には「右利き」の人は素通りしてしまうと思うのです。私には関係ないや、と。
これはふつうの「左利き用品」でも同じです。
左利きの存在を顕示するにはいいのですが、この辺の兼ね合いがむずかしいところです。

*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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2004.05.28

左利き用ハサミって?―『とんちんかん道具館』より

『とんちんかん道具館』という本のなかに「左利き用ハサミ」というものが紹介されている。

『とんちんかん道具館』朝日新聞日曜版編集部編 朝日新聞社 1999.11.5刊
朝日新聞日曜版に1998年1月から道具学会員を中心に15ヶ月64回に渡って連載された、消えたもの、残ったもの、新たに生れたものなどをめぐるエッセイ「とんちんかん道具館」から63話を収録。

左利きの妻を持つ、造形大出身の広告プランナー富山祥瑞の担当したエッセイである。

左利き用ハサミなるものを買って妻にプレゼントしたが、「力の入れ加減がわからない、全然使えないわ」と不評であったという。右手用を鏡写しにしたもので、工学的には正しく作られているはずなのに…、と疑問を持ち続けていた。
6年後、文具店でハサミが「大人用」「大人左利き用」「子供用」「子供左利き用」と分類されて売っているのを見たという。「子供左利き用」はまさしく右手用を鏡移しにしたものだが、「大人左利き用」は刃の重なり方は右手用と同じで、ハンドル部分は左手にフィットする形になっている。「これは、相当に考え抜かれた配慮ではないのか」と氏は言う。

これは、私のホームページ『レフティやすおの左組通信』の「左利きphoto gallery〈HPG3〉左手用/左利き用はさみハサミ鋏コレクション」でも紹介しているFISKARSフィスカース製の「右刃左足」(業界ではこういうふうに呼ぶようだ)のハサミのこと。

dsc031208_054.jpg

氏は

ハサミに限らず、子供のころから右利き道具に適応してきた大人にとって、「左利きのあなたのための鏡像構造」という道具たちは思いの外、不親切だったり、使いにくかったりする。」という。「「左利き用」が真に、左利きの人たちの道具となるためには、理屈だけでなく、使う人の立場で深く観察され、開発されなければならない。こうした手順を踏んだからこそ、「大人用左利きハサミ」はすこぶる評判なのである。

と結んでいる。

さてここには、氏の大いなる誤解あるいは錯覚―認識の間違いがある。

それは、最初に買ったという左右が鏡写しになった形状のハサミを「左利き用」と認識していること。
便宜上、私も「左利き用」という表記を併用しているが、以前にもこのWeblogで「「左手用」と表記しよう」でも書いたように、これは「左手用」と呼ぶべきなのだ! 実際にハサミの包装にもそう表記されている。(一部の商品には「左利き用」と表記しているものもあるが、私の場合と同じで、一般の人の中に間違った認識があるから、便宜的にそれに合わせているのが実情だろう。)
利き手に関わらず左手で使うための道具として、左手の自然な動きで機能するように作られているのである。

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正確に言えば、この世には「右手用」「左手用」の2種類のハサミがある、と考えるべきなのだ。

では「左利き用」ハサミとは?
それは、氏がほめているこのフィスカース製のような「右刃左足」という特殊な例外としての「左利き用」である。

あのハサミは確かにそういう意味では「左利き用」である。氏が述べるように、ここにこの左利き用品の問題のむずかしさがある。

左利きを異端として排斥する時代に幼少期を過ごした人たちは、否応なく右利き偏重社会に組み込まれた。右手使いに転向するか、右手(右利き)用品に自分を合わせるしかすべはなかった。「「左利き」表記は左利きに優しいか?」で書いたような左利きであることを恥じる人たちもそういう人たちだ。このような人たちは、近年の子供たちのように〈マイ・ファースト・ハサミ〉が「左手用」だった人たちと違い、いきなり「左手用」を手にしても今までどおり使えるとは限らない。

このような右手(右利き)用に慣れてしまった人たちに対してどのようなアプローチを行うべきか、という問題である。
人間の適応力を信じて全面的に左手用に慣らしてもらうか、あるいは特殊な道具を工夫するか。

本来、理想はあくまでも「左手用」を使うことである。右利きの人が使う場合と同じ発想で、右利きの人が「右手用」を使うように左利きの人は「左手用」を使うべきである。

しかし、問題を解決するということは、より多くの人たちに幸せをもたらすことであろう。とすれば、ただ今現在のような過渡期にあっては、このような奇矯なものが現れてその時代の人に便宜を与えることも考えなければならないのである。

*氏は、左利き道具の人気は1978(昭和53)年にピンクレディー「サウスポー」が大ヒットして以来だという「一説」を紹介しておられるが、最初の左利き用品"ブーム"は(私の関知するところでは)、麻丘めぐみの「わたしの彼は左きき」がヒットした1973(昭和48)年ごろである。当時は精神科医箱崎総一による「左利き友の会」が活動中で、マスコミでも大いに取り上げられ、各百貨店などでも左利き用品売り場ができたという。

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2004.05.10

左利きの本だなぁ『左利きの本―右利き社会への挑戦状』ブリス、モレラ

ジェームス・ブリス/ジョセフ・モレラ『左利きの本―右利き社会への挑戦状』 草壁焔太訳 講談社 1980 昭和55年12月20日 第一刷発行 The Left-Handers’ Handbook

~左利きが恥かしかった頃~ 
 この本は約23年前に出版されたものです(前回の〈左利きの本だなぁ〉で紹介した箱崎総一著『左利きの秘密』の翌年)。
 私は当時(20代後半)、一度本屋で立ち読みした記憶があります。四六版のペーパーバック本で980円、決して高くはなかったようですが、当時は小遣いに余裕のない「文庫派」だったこともあり、結局買っていません。
 また、当時はまだ私自身、完全に左利きに目覚めてはおらず、どこかに左利きに対するコンプレックスがあり、かつ反発心があり、興味はあるものの素直に本を楽しめる気分ではなかったのだとも思われます。
 さらに言えば、以前の記事「「左利き」表記は左利きに優しいか?」で書いたように、左利きに対する隠したい気持ちが心のどこかにあって、レジにこの本を運べなかったのかもしれません。ハードカバーでもっと学術書的な装丁ならばインテリぶって買っていたかもしれませんが…。

 もうひとつ、内容的にちょっと「ちゃっちい」感じがあったのも否めません。今思えばそれなりに親しみの持てるイラストの表紙と感じますが、あの頃はもう少し格調のあるものであって欲しいという願望があったようです。
 巻末の左利きの有名人のリストでも、プロ野球や、ボクシングの人といったスポーツ系が多く、「やわな」イメージで、「正統」かつ「本格的」な左利きの本でないような気がしたものでした。たとえば、左利きに関する脳神経科や心理学者といった、その道の何々博士といった権威のある人の著作でないのが気に入らなかったのかもしれません。

~戦え闘え、左利き~
 本書は、左利きに関する初心者向けの入門書であり、左利きの著者による左利き応援本でもあります。
 第一部外国編は左利きのアメリカ人によるもので、言葉の中にひそむ右利き社会の左利きに対する偏見から書き起こし、アメリカの左利きの会の紹介で締めくくられています。
 第二部は、元は左利きだったらしいが幼児期に左腕を負傷し、その後完全に右利きとなったという訳者の調査による日本編。

 第一部では、まずことば(主に英語)における左利き差別、男尊女卑ならぬ「右尊左卑」ともいうべき実態から説き起こし、歴史をたどりながら不当に扱われてきた左利きの立場を紹介しています。その節々に左利きの著者らしい左利きの優越性を誇るような言説を交えて語っています。もちろん左利きには快い部分でもあり、時に右利きの人からはそんなことで喜ぶなよ、という声も聞こえそうですが…。
 それにしても英語における左利き差別の実態には改めて驚かされました。rightに「正しい/権利」といった意味があることは英語の時間に習ってはいたものの、leftとの間の落差はひどい。常日頃これらの言葉を使って生活していれば、左利きの人の意識に大いに影響が出てくると思われます。幸い日本語の場合は、一部の中国に由来する漢語に左軽視の意味合いのある言葉がありますが、英語の場合のような極端な偏向はないので、よい国に生れたのかも、と考えてしまいます。
 また日本の旧「左利きの会」のことや「わたしの彼は左利き」「サウスポー」といったヒット曲の話題にふれて、日本の方が左利きに希望が持てる社会であるような記述も見られ、ちょっと自慢したくなるような気にさせてくれます。
 昔、テレビなどで左手で字を書いている「西洋人」を見て、欧米の社会では左利きが容認され、うらやましいものだと思っていたのですが、向こうの世界でもさまざまな問題があったのです。
 第三章「左利きの生活と仕事」で、左利きの人と会食するときの心得や左利きでの家事の方法、左利きの子どもへの教育などちょっと役に立つアドバイスが見られます。

 第二部で日本は本来「左尊右卑」の国と訳者は述べています。しかし、中国から漢字が輸入され、その書字、さらに農業における集団作業の中で、左利きは疎外されて、忌み嫌われてきたと続けます。そして左利きの有利さを生かす道の一つとして、スポーツ界の左利きについて述べています。
 さらに左利きの商品やお店の紹介、左利きの有名人のリストなどを載せ、左利き読者の便宜をはかっています。

 訳者は「矯正」を「矯悪」と言い換えて、再三この行為を戒めているのが印象的です。左利きに対する理解の不足、右利き社会の持つ圧力に対する怒り、憤りといったものが伝わってきます。それは副題の「右利き社会への挑戦状」という表現にも感じます。今なら、もう少し穏やかなことばが使われるのではないでしょうか。当時いかにまだ左利きの問題が理解されていなかったかを表しているのでしょう。もちろん、二十年後の今日も依然この問題は根深く生き残っており、右利き社会の圧力とその歴史の重みを感じさせます。

 昨今出版される左利きの本はみな穏やかな内容のものになってきています。それだけ左利きを取り巻く状況に切迫したものが感じられなくなっているのかもしれません。しかし本当の実態はどうでしょうか。まだまだ左利きに対する理解が進んでいるとはいいがたい面があります。
 新しい情報を載せたこういう一般向けの“やや過激な左利きの本”が、今の時代にも必要なのではないでしょうか。

*参照―『レフティやすおの左組通信』「左利きphoto gallery〈HPG2〉左利きの本だなぁ」

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2004.04.04

左利きの本だなぁ『左利きの秘密』箱崎総一

「お茶でっせ」版<左利きの本だなぁ>の第1回ということで、私が初めて読んだ左利きの本を当時の読書録より紹介しましょう。

箱崎総一著『左利きの秘密』立風書房マンボウブックス 昭和54(1979)年6月発行

 著者は、アメリカ留学から帰国後、精神医学クリニックを開業、左利きの人の悩みを知り、“左利き友の会”を組織した(四年半の活動の後、赤字で解散)。
「この本はこうした“左利き友の会”の活動の一つのしめくくりとしてまとめてみた。それがこの会の事務総長として最後の義務であるように私には思えるからである。」―「筆者まえがき」より
 左利きの人、左利きの子を持つ両親はもちろんだが、広く世の人々に読んでもらい、左利きに対する偏見を一掃し、真に左右平等の世になってほしい、とつくづく思った。
 読んでいて、こういう本を世に出さねばならないこと自体に、なんともいえぬ強い憤りを感じた。
 ぼくもこの会のことは新聞の記事で知っていた。設立当時は大いに話題になり、新聞などマスコミに取り上げられ、ぼくも入りたいと思ったことがあったが、残念ながら連絡先がわからず、入会できなかったのである。解散したというのはさびしい。
 非常に勇気づけられる本。希望が見えてくる。少なくとも自分の苦しみを理解してくれる人がいると感じられるのは、うれしい。
 欧米では、左利きの存在は常識で、左利き専門店があり、そこでは左利き用品が販売され、価格差もないというのはうらやましい限り。
 日本でも、「筆者まえがき」にあるように、左利きの問題は明るい方向に向かってはいるが、左利きとして生きてゆくのは、まだまだいろいろと精神的な苦痛、不快なことが多すぎる。
 多くの人がこの本を読んで、右利き偏重社会を改めていけたらいいと思う。

(目次紹介)
筆者まえがき
第一章 左利きの文化史
第二章 理不尽な偏見と迫害
第三章 左利きのメカニズム
第四章 左利きよ、立ち上がれ!
第五章 左利きの子を持つ親に
第六章 スポーツと左利き
第七章 自然界の左利き現象
第八章 左利きのための書道教室
巻末資料 左利き便利帳

―1979年12月10日 記 (2003年3月19日 一部加筆修正)

<左利きの本だなぁ>とは、私が以前出していた季刊誌「Lefties' Lifeレティーズ・ライフ(LL)」のコラムのひとつで、左利きに関する本―科学的研究書・啓蒙書、左利きの人を応援する激励本といったノンフィクションから、左利きが主人公、あるいは重要なポイントとなっている小説、左利きとは直接関係はないけれど左利きについて考える一助となりそうな小説まで―を紹介するコーナーです。

*参照―『レフティやすおの左組通信』「左利きphoto gallery〈HPG2〉左利きの本だなぁ」
「Lefties' Lifeレティーズ・ライフ(LL)再録」

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2004.02.17

『横書き登場』屋内池誠

『横書き登場―日本語表記の近代―』屋内池誠 岩波新書

もう何年前のことになるのか、私は英国の左利きの会に出した手紙で、日本語について説明し大いに感心されたことがある。
日本語は縦にも横にも書ける使い勝手のよい便利なことばであり、特に縦書きの場合は右から左へと筆記してゆくので、左手書きにはすこぶる都合がよい。書いた文字の上をこすって汚すこともなく、書き終えた部分が見えているので、誠に便利である。

ところがこの縦書きと横書きが併用されるようになったのはつい最近(?)のことだという。なんと幕末以降、明治にかけて始まったものでまだ200年も経っていないのだ。

幕末に欧米の文化が大量に流入し、欧米の横文字文化に触れた人々が、知識階級が横文字のスタイルをそのまま取り入れて左から書く左横書きを、一般大衆は横書きのスタイルのみを真似て日本古来の一行一字の縦書きを踏襲した右横書きを始めた。

これらがその後の国粋主義などと絡み合い、複雑に主導権争いを続けながら、今日の左横書きと縦書きの併用に移行してきたと言う。

本書に科学的に見てどちらが便利か検証したページがあるが、人間の視界が横に広いといってもえんえんと続く横書きは読みづらく、縦書きも同様で、大差はない。手書きの際、手首をつけて書くとき横書きが有利と言うだけで、手を体から離して使う場合はどちらも同じで、ここでも大差はない。結局は慣れによるところが大きく、有意差はないという結論であった。

しかし今日では、国語辞書にも横書き版が登場するぐらいに横書きが大勢を占めてきた。
読む方においては、活字の分野では小説やエッセイなどの書籍や新聞雑誌でもまだまだ縦書きが重宝されているが、技術系のものでは当然ながら横書きが主流となっている。
一方、書く方では圧倒的に横書きが主流となりつつある。特に手書きでは、右利きの人が多いせいもあり、手が汚れないあるいは字を汚さない、書いた後が見えるという点から横書きが便利であり、外国語やアラビア数字をそのまま使える点でも優れており、用紙の点でも横書きが一般化してきている。またワープロパソコンの発達普及により、一般書類でも横書き全盛となりつつある。

最初にあげたように、縦書きと言うのは手書きの際左利きには非常に優しいものである。これが廃る傾向にあると言うのは、非常にさびしいものを感じる。
左利きとしては機会がある限り縦書きを取り入れたいと思いつつ、ここでは横書きに甘んじている…。

最後にひとつ―
横書きで左利きの人が困ること。
それは書類やテストで、用紙の右側に記入欄があるもの。マークシート方式などで問題番号が手で隠れて記入欄を間違えることがある。

伝表などの書類でもチェック欄が右に寄っていると行を間違うことが少なくない。常に上から順番に消化していかないと、保留項目があったり途中に行があいていたりすると、ついうっかり間違うことになる。(今小学校で流行っているらしい百マス計算というものでも、配慮が足りないと、左手書きの子には不利になる―これは別ネタで書きたかったなあ。)

私も何度か、このような間違いをしでかしている。これは単に私がうっかり八兵衛であるせいばかりではないのである。(ホントにこれは、いいわけではないのだ!)

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