« 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii第432、433号のお知らせ | Main | 2014年に読んだ本から(前編) 娯楽(フィクション)編 »

2014.12.29

2014年版利き手テスト:日本語版フランダースFLANDERS利き手テスト

いつも左利き関連の話題を提供してくださるガボちゃんのブログで見た情報から。

2014年版利き手テストだそうです

日本語版FLANDERS利き手テスト
「日本語版FLANDERS 利き手テスト―信頼性と妥当性の検討―」
(大久保 街亜 鈴木 玄 専修大学 Nicholls, Michael E. R. Flinders University)

↑の論文によりますと、なぜ利き手の検査が必要か、といいますと、心理学や神経科学の研究において必要だから、といいます。

それらの研究において、なぜ必要になるのか、その理由は、といいますと、第一に《利き手が脳の機能や構造と関連するため》であり、第二に《利き手は多くの心理機能に関連する》ためでもあります。
また、第三に《手の運動に関わる現象や心理機能(例えば,リーチング)に興味がある場合,実験状況の統制のため》あらかじめ調べる必要がある、といいます。


利き手の検査には様々な種類があり、そのなかで比較的少数の項目からなる質問紙形式のものが最も利用されていて、それは、《相対的に見て,高い正確さと簡便さを兼ね備える》ものだから。

従来最もよく利用され、文献に引用されてきたものとしては、《Oldfield(1971)によるEdinburgh 利き手テスト》がある。
しかし、この利き手テストには、不都合な点が見られる。
たとえば、使われる項目の中に現在はあまり使われない動作があったり、そもそもの利き手因子の解釈に問題があったり、等。

そこで、新たに、このエディンバラEdinburgh 利き手テストの問題点を考慮した、利き手テストが考案された。
それが、Nicholls et al.(2013)による「FLANDERS 利き手テスト」で、今回その日本語版ができたというのです。

字を書く,絵を描くなど片手で行う熟達化した動作を問う項目が含まれてい》て、
FLANDERS 利き手テストの成績はタッピング課題成績の左右差と高い正の相関があ》り、《また,目,足,耳の機能における左右差とも正の相関があった。これらの高い相関が示す左右差の一致は,FLANDERS 利き手テストに高い基準関連妥当性があることを示す》という。

しかしこれはオーストラリアで開発されたものであり、文化の異なる日本人の利き手測定に適切かどうか、という疑問があった。

日本人向けには、八田・中塚(1975)による「H・N 利き手テスト」がよく使用されている。
けれども、このテストは海外での認知度が低く、国際的な比較において問題点がある。

そこで、この新しく開発された「FLANDERS 利き手テスト」の日本語版を作成することにしたという。

この翻訳版を基に現代の日本人大学生を調査対象者に実施。
既存の上記二つのテストと比較する、再テストを実施する等《信頼性と妥当性について新たな検討を行った》結果、日本語版ができ上がったと言います。

難しい話は割愛し、付録として紹介されている「フランダース利き手テスト」の概要を転載しておきます。

フランダース利き手テスト(FLANDERS)

これからさまざまな場面で,あなたが左右どちらの手を使うか質問します。下に示した10 項目のそれぞれについて表の右はしにある選択肢「左」,「どちらも」,「右」の一つにマル(○)をつけて回答してください。「どちらも」の選択肢は,左右の手を全く同じくらい使う場合のみ選択してください。すべての項目に回答してください。10 項目のなかには,あなたにとってほとんど経験がないことがあるかもしれません。たとえ経験がなくとも,その場面や課題を想像し回答してください。
1 文字を書くとき,ペンをどちらの手で持ちますか?
2 食事のとき,スプーンをどちらの手で持ちますか?
3 歯をみがくとき,歯ブラシをどちらの手で持ちますか?
4 マッチをするとき,マッチの軸をどちらの手で持ちますか?
5 消しゴムで文字を消すとき,消しゴムをどちらの手で持って消しますか?
6 縫いものをするとき,針をどちらの手で持って使いますか?
7 パンにバターをぬるとき,ナイフをどちらの手で持ちますか?
8 クギを打つとき,カナヅチをどちらの手で持ちますか?
9 リンゴの皮をむくとき,皮むき器をどちらの手で持ちますか?
10 絵を描くとき,ペンや筆をどちらの手で持ちますか?


一つ弱いと感じるところは、項目の中に《たとえ経験がなくとも,その場面や課題を想像し回答》しろ、というくだりでしょうか。
過去のデータとの比較するために必要なのかもしれませんが、弱点の一つではあるように思います。

まあ、そもそもこの手の質問紙による調査の場合、本人の意識と実際の動作との整合性に疑問が感じられるケースも少なくありません。

特に、弱い左利き傾向を持つ人の場合、意識とのずれが見られることが多々あります。
自分では右利きのつもりでいるため、なんにでも右と答えてしまう傾向が。

もちろん、それらも統計学的な計算の内に入っているのでしょうけれど。

*参照:
「エディンバラEdinburgh 利き手テスト」「H・N 利き手テスト」を紹介している本
『左対右 きき手大研究』八田武志/著 化学同人(DOJIN選書 18) 2008.7.20
―『左ききの神経心理学』以降、世界で研究された成果を一般向けに読み物とした本。


その他の利き手テストについて書かれた本
『左ききの神経心理学』八田武志/著 医歯薬出版 1996.11
―左利き研究の専門書。20年余の左利き・利き手研究を研究をまとめたもの。

『非対称の起源 偶然か、必然か』クリス・マクマナス/著 大貫昌子/訳 講談社ブルーバックス 2006.10
―イギリスの研究者が20年にわたる利き手・左利き研究の成果をまとめた本。原著"Righthand Lefthand"から英語に関する部分等を省いたという抄訳。
『「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎』デイヴィッド ウォルマン/著 梶山 あゆみ/訳 日本経済新聞社 2006.7
―自身左利きの科学ジャーナリストが、左利きの謎に挑み世界を駆けるサイエンス・ノンフィクション。日本での左利きゴルフ大会や日本人研究者も登場。


--
※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
--

|

« 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii第432、433号のお知らせ | Main | 2014年に読んだ本から(前編) 娯楽(フィクション)編 »

左利き」カテゴリの記事

左利きを考える」カテゴリの記事

心と体」カテゴリの記事

Comments

著者の大久保です。質問紙の回答と実際の行動が異なるのではないかという疑問はもっともだと思います。ただし,このテストについては,オリジナル版作成にあたり右手と左手の作業成績の差と質問紙の得点に極めて高い相関がある(統計的なパタンが一致している)ことが分かっています。ですから,その点についてはあまり心配する必要がないかなと思います。作業をつかったテストは手間がかかる割に,緊張や慣れのせいであまり正確にデータが取れないので,質問紙を使うことがおおいです。

Posted by: おおくぼ | 2015.01.21 at 05:01 PM

大久保さま、コメントありがとうございます。

私の言うのは、いわゆる“素人の素朴な疑問”というものです。
当然、研究結果として統計学的に裏付けがあっての上での利き手テストとしての採用だと思います。

新しい項目に改変するのは、都合のいい面と悪い面があるのでしょうね。

それと、完全な片手の所作と両手の連動する所作とでは、実際はどうなんでしょうか。
これもちょっと疑問に感じる部分です。

Posted by: レフティやすお | 2015.01.22 at 12:07 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/9453/60886644

Listed below are links to weblogs that reference 2014年版利き手テスト:日本語版フランダースFLANDERS利き手テスト:

« 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii第432、433号のお知らせ | Main | 2014年に読んだ本から(前編) 娯楽(フィクション)編 »