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2014.06.01

目前の出来事・現在の事実『遠野物語』NHK100分de名著2014年6月

久しぶりに「NHK100分de名著」について書いてみます。

「NHKテレビ100分de名著」2014年6月は、『遠野物語』です。

名著34「遠野物語」
第1回 6月4日放送 民話の里・遠野
第2回 6月11日放送 神とつながる者たち
第3回 6月18日放送 生と死 魂の行方
第4回 6月25日放送 自然との共生

○NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
「遠野物語」2014年6月
2014年 5月24日発売

「プロデューサーNのおもわく。」に、日本人の死生観や自然観が凝縮されている『遠野物語』を読み解くことで、日本人の原点を探っていく、とあります。

確かに『遠野物語』を読んでいますと、明治時代の東北の地方の一小城下町とその周辺の村に残る言い伝えや噂話の中に、町や村の人たちが何を見て何を感じ何を考えて生きてきたのか、という日々の現実が息づいているように思います。

ゲスト講師である石井正己氏の著作を読んでいますと、柳田国男が「初版序文」で『今昔物語』とは違い、遠野出身の佐々木喜善から聞いた不可思議な話を「目前の出来事」「現在の事実」として出版したものであると書いている、とあります。

私自身は今まで、日本中にある昔話の一つの集成として、もっぱらラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の再話による怪談奇談の類や、あるいは宮沢賢治の「ざしき童子(ぼっこ)のはなし」の童話と同様な興味で読んでいました。


今回改めていくつかの本を読み、少し感じ方が変わりました。

私が今回読んだのは、『口語訳 遠野物語』、京極夏彦『遠野物語remix』、関連書としては、講師の石井正己さんの『『遠野物語』を読み解く』『図説 遠野物語の世界』、それと『いま、柳田国男を読む』ぐらいです。

当時、文明開化が都会から少しずつ地方へと浸透していく中で、田舎の文化も様変わりしてゆきます。
そういう残された最後の“昔”の文化―言い伝えによる文化―との接点のようなものが、この『遠野物語』でなのです。

それらの言い伝え文化が、まだ目の前の現実として存在した時点での聞き書きによる物語集、それが『遠野物語』である、と。

あの時代の人々の自然との接し方、人生観・死生観を、彼らの処世訓を読みとれる文化資料、文学作品として。

 ・・・

実際に番組ではどのような読み解きがなされるか、楽しみにしたいものです。


*原典:
『遠野物語―付・遠野物語拾遺』柳田国男/著 角川ソフィア文庫 新版 2004/5/26
―増補版『遠野物語』。初版『遠野物語』+『遠野物語拾遺』。
『口語訳 遠野物語』 柳田國男/著 後藤総一郎/監修 佐藤誠輔/訳 笹村栄一/挿画 小田富英/注釈 河出書房新社 改訂新版 2013/2/15
―遠野の出身の研究者による口語訳、詳細な注と地元の画家による挿絵付。
『遠野物語』 柳田 国男 (2013/10/21) Kindle版
  


【新釈版】
『遠野物語remix』京極夏彦/著 角川学芸出版 (2013/4/18)
―初版『遠野物語』119話を京極 夏彦が再構成し、語り直した著作。


(予約受付中)
『遠野物語remix 付・遠野物語 (角川ソフィア文庫 (2014/6/20)
―原典付き、読み比べができる
『遠野物語remix』京極夏彦、 柳田國男 (角川ソフィア文庫 2014/6/20)
―文庫版。
『遠野物語拾遺retold』京極夏彦、 柳田國男 KADOKAWA/角川学芸出版 (2014/6/10)
―増補版『遠野物語拾遺』二百九十九の物語を京極夏彦がその感性を生かして語り直す。
  


【ゲスト講師・石井正己氏の著作】
(私が読んだ本)
『『遠野物語』を読み解く』石井正己/著 平凡社新書460 2009/5/16
―柳田国男と『遠野物語』をめぐり人々と『遠野物語』を読み解く。
『図説 遠野物語の世界』石井正己/著 浦田 穂一/写真 河出書房新社 ふくろうの本 2000/8
―遠野の風景や関連事物の写真とともに解説する。
『いま、柳田国男を読む』石井正己/著 河出書房新社 河出ブックス 2012/12/11
  


【入門書】
『図説 地図とあらすじでわかる! 遠野物語』志村有弘/監修 青春出版社 青春新書インテリジェンス 2013/9/3


*他のNHKテレビ「100分 de 名著」の記事:
2011年11月放送:2011.10.31
アラン『幸福論』喜びは、行動とともにある!
2011年12月放送:2011.12.6
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』悲しみを、乗り越えよ-「100分 de 名著」NHK
2012年1月放送:2012.1.5
吉田兼好『徒然草』両面から物事を見よ!-「100分 de 名著」NHK
2012年2月放送:2012.1.29
新渡戸稲造『武士道』日本的思考の根源を見る-「100分 de 名著」NHK
2012年3月放送:2012.3.6
仏教は「心の病院」である!NHKテレビ「100分 de 名著」ブッダ『真理のことば』2012年3月
同:2012.4.2
NHKテレビ「100分 de 名著」ブッダ『真理のことば』を見て本を読んで
2012年4月放送:2012.4.3
紫式部『源氏物語』NHKテレビ100分de名著
2012年5月放送:2012.5.2
確かな場所など、どこにもない―100分 de 名著 カフカ『変身』2012年5月
2012年6月放送:2012.6.6
<考える葦>パスカル『パンセ』NHK100分 de 名著2012年6月
2012年10月放送:2012.10.2
鴨長明『方丈記』NHK100分 de 名著2012年10月
2012年12月放送:2012.12.5
<心で見る努力>サン=テグジュペリ『星の王子さま』NHK100分de名著2012年12月
2013年1月放送:2013.1.11
呪文に頼るのもよし?~100分de名著『般若心経』2013年1月
2013年2月放送:2013.2.5
待て、そして希望せよ~NHK100分de名著『モンテクリスト伯』2013年2月
2013年3月放送:2013.3.28
どんな時も、人生には、意味がある。フランクル『夜と霧』~NHK100分de名著2013年3月(再放送)
2013年4月放送:2013.4.11
真面目な私とあなた―夏目漱石『こころ』~NHK100分de名著2013年4月
2013年5月放送:2013.5.20
水のように生きる『老子』NHK100分de名著2013年5月
2013年6月放送:2013.6.5
生きる喜びは、どこにあるのか?『戦争と平和』トルストイ~NHK100分de名著2013年6月
2013年7月放送:2013.7.9
哲学とは、愛である『饗宴』プラトン~NHK100分de名著2013年7月
2013年11月放送:2013.11.10
「物語」に終わりはない『アラビアンナイト』~NHK100分de名著2013年11月
2013年12月放送:2013.12.11
切り離された者たちへ~ドストエフスキー『罪と罰』~NHK100分de名著2013年12月
2014年1月放送:2014.1.21
花とは何か~『風姿花伝』世阿弥~NHK100分de名著2014年1月
2014年3月放送:2014.3.4
戦わずして勝つ『孫子』~NHK100分de名著2014年3月

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