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2013.06.30

近代の匂い~ローマの悲劇詩人~セネカ 悲劇集から

―第107号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2013(平成25)年6月30日号(No.107)-130630-  
ローマの悲劇詩人~セネカ 悲劇集から
http://archive.mag2.com/0000257388/20130630120000000.html


本誌では、ギリシア悲劇よりも近代の演劇に影響を与えたと言われるセネカの悲劇を取り上げました。

劇としての出来では、ギリシア悲劇の方が優れているように感じます。
少なくとも読んだ感じでは。

なぜかと言いますと、ストーリーの展開はもちろんですが、台詞の割り振りがギリシア悲劇の方がすっきりとして、掛け合いがスムーズに展開するように思うからです。

セネカの場合、一人のセリフが延々と続く場面があり、ストーリーによどみができるように感じます。
もちろん、内面の描写という点では、独白のようなセネカのセリフはなかなか力があります。

しかし、ストーリーの展開という点では、舞台上の演者が互いに掛け合いながら、進めていく方がスマートです。

ギリシア悲劇が人間関係の生みだす悲劇というよりは、運命の悲劇である点にもよるのかもしれません。

人間の自由意志を持て遊ぶ神々の悪戯とも言うべき悲劇、それがギリシア悲劇ではないでしょうか。
一方、セネカの悲劇では、個人の感情や意思、思惑というものが大きく関わって来る、ように感じます。

それの分だけ、より人間的な、個人的な近代的ともいうべき匂い―近代の匂いがすると言えるのかもしれません。


『セネカ 悲劇集 1 西洋古典叢書』小川正廣・高橋宏幸・大西英文・小林標/訳 京都大学学術出版会 1997.7
『セネカ 悲劇集 2 西洋古典叢書』岩崎務・大西英文・宮城徳也・竹中康雄・木村健治/訳 京都大学学術出版会 1997.9

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2013.06.26

小学書写教科書左手例PJ-3-東京書籍~左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii369号

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(資料画像:左手書字例
 左:某大手通信教育会社のパンフレットから―多分反転画像でしょう(?)けれど…
 右:ある小学校の教室の掲示板から―小さいが左手書字例が示されている)

先週の無料左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第369号のお知らせです。

 ・・・

第369号(No.369) 2013/6/22「≪教科書プロジェクト≫【小学書写教科書に左手書字例を!】プロジェクト・3」は、
≪教科書プロジェクト≫【小学書写教科書に左手書字例を!】プロジェクトの3回目、6社教科書をのぞいてみる (1) 東京書籍「新しい書写」です。

前回は小学校書写教科書を発行している教科書会社を調べてみました。

今回は、小学校書写教科書出版社6社の各教科書をサイトの情報を基にのぞいてみることにしました。


┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
 【小学書写教科書に左手書字例を!】プロジェクト・3
  6社教科書をのぞいてみる (1) 東京書籍「新しい書写」
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛

 ●編集趣意書から気になる点を拾ってみると
 ●基本方針―子どもたちが主体的に学習できる
 ●右手に鉛筆を持って書く子には…
 ●左利きの子はどうするの?
 ●具体的に見ると
 ●児童の健康管理の観点から
 ●左利きの子にも知る権利がある

詳細は本誌で。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

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※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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2013.06.19

左利きだった!“怪童”尾崎行雄氏亡くなる

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6月13日、プロ野球の東映フライヤーズ(のち日拓)で投手として活躍、“怪童”と呼ばれた尾崎行雄さんが68歳で亡くなられたという、新聞記事を見ました。

のちに巨人に入団した柴田勲氏と高校一年の時、夏の甲子園で対戦、敗れるが二年の時に優勝。
高校を中退し、昭和37年、東映に入団。
いきなり20勝、3年目から3年連続20勝以上、40年には27勝で最多勝、入団5年で98勝をあげる。
しかし、160キロを超えるとも言われた剛速球も、酷使のせいか、故障には勝てず、29歳で引退、通算107勝で終わる。

産経新聞の小松幹幸氏の記事によりますと―

元は左利き。まわりの右利きから冷やかされるのが嫌で小学5年で右投げにかえ必死に習得した。剛球一途の野球人生の原点だったかもしれない。
とあります。(産経新聞6月14日朝刊スポーツ面より)

ネットの情報(尾崎行雄さん秘話 )によりますと―

近藤唯之さん著『背番号の消えた人生』より/尾崎さんは元々左利きだったそうです。しかし,小学生の時に右利きに治されます。/「左利きだったら咢堂の名が泣くわ」/という理不尽な理由で。

昔の左利きの人の“悲劇”の一つでしょうか。


プロ野球選手には、左利きでも右投げの人や、右利きでも左投げの人が結構いるようです。

理由はそれぞれですけれど、おおむね二種類に分けられそうです。

一つは、その方が有利だから、という「転向」派―例:江夏豊氏。
もう一つは、気が付いたらそうだった、という「自然」派―例:岩隈久志氏。

ほかにも、張本勲氏のように、ケガといった理由もあるようですが。

そういう中にあって、やはり尾崎氏のような例はちょっと考えさせられますね。


ところで、右肩を痛めたのなら『巨人の星』の星飛雄馬ばりに、投げる腕を変えて元々の左利きで投げていたら…、と考えるのは、マンガの見過ぎでしょうか。

 ・・・

ご冥福をお祈りいたします。


*『背番号の消えた人生―栄光の名選手はいま……』近藤 唯之 (新潮文庫)


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2013.06.18

名作~推理編17~山村美紗『京都殺人地図』~左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii368号

先週の無料左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第367号のお知らせです。

 ・・・

第368号(No.368) 2013/6/15「名作の中の左利き ~推理小説編17~検視官の見る左利きの特徴・山村美紗」は、
■名作の中の左利き■~推理小説編の17回目です。

今回は、テレビドラマ等でおなじみ、山村美紗氏の<京都府警捜査一課検視官・江夏冬子 シリーズ>の初登場、第一短編集『京都殺人地図』から、犯人が左利きである「第二話 偽装の殺人現場」「第三話 消えた配偶者」を紹介しています。

犯人が左利きと判定させる要素にはどんなものがあり、検視官という立場でどのような見立てをするのでしょうか。
それは、なかなか興味深いものでした。

 ●検視官・江夏冬子の見立て
 ●容疑者の利き手
 ●左利きを示す証拠
 ●腕時計―本田圭佑選手の場合
 ●右側の胸ポケット
 ●カップの向き
 ●本性を示すファクター

詳細は本誌で。


『京都殺人地図』文春文庫(1988.3.10)収録
『京都殺人地図』文春文庫 Kindle
 

初出単行本:『京都殺人地図―女検視官江夏冬子』 徳間書店 Tokuma novels(昭和55(1980)年10月)

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

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2013.06.15

<私のおススメ古典50選>齋藤孝『古典力』を読む(4)私の読書論-46-

―第106号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

古典から始める レフティやすおの楽しい読書
2013(平成25)年6月15日号(No.106)-130615-  
私の読書論-46- 齋藤孝『古典力』を読む(4)

http://archive.mag2.com/0000257388/20130615120000000.html


当初一回で簡単にすますはずだったのですが、結構手をとられてしましました。
もうちょっと書いておいた方がいいかなあという感じで、ズルズルと来てしまいました。

次回からようやく「第三章 マイ古典にしたい名著五〇選」に触れることができます。

私のマイ古典50選もお楽しみに!

ただ今潜航中―いえいえ、選考中です。
(最近は某国の潜水艦が日本領海近辺に出没する、潜航通過すると聞いていますが。)

前回は、「私のおススメ古典50選」として、敢えて近代以降の作品は除外して、<古代から近代以前まで>の作品から一つのリストを私なりに選んでみよう、ということでは始めてみました。

本誌のバックナンバーから19本―

1 『論語』
2 『老子』
3 空海『三教指帰』
4 『歎異抄』
5,6 ホメロス『イリアス』『オデュッセイア』
7,8 プラトン『ソクラテスの弁明』(*『クリトン』とセットでおススメ)『饗宴』
9 『イソップ寓話』
10 "ギリシャ三大悲劇詩人"アイスキュロス『縛られたプロメテウス』(*他に<オレステイア三部作>『アガメムノン』『供養する女たち』『慈みの女神たち』等)
11 "ギリシャ三大悲劇詩人"ソポクレス『オイディプス王』(*他に『アイアス』『アンティゴネ』『コロノスのオイディプス』等)
12 "ギリシャ三大悲劇詩人"エウリピデス『バッコスの信女(バッカイ)』(*他に『メディア』『ヒッポリュトス』等)
13 "ギリシャ喜劇詩人"アリストパネス『女の平和』
14 アリストテレス『哲学のすすめ』
15,6 キケロ『老年について』『友情について』
17 ユリウス・カエサル『ガリア戦記』
18 ウェルギリウス『アエネーイス』
19 ロンゴス『ダフニスとクロエー』

これに先月のセネカ『生の短さについて』を付け加えて、まずは最初の20本を挙げておきましょう。

2013(平成25)年5月31日号(No.105)-130531-  
ローマの哲人~セネカ『生の短さについて』
http://archive.mag2.com/0000257388/20130531120000000.html

※注=(*):確定していないものを含む


次に、
本誌バックナンバーから<近代以降>の作品を挙げてみます。

2008(平成20)年2月号(No.2)-080229-大人も楽しい『トム・ソーヤーの冒険』
http://archive.mag2.com/0000257388/20080229074500001.html

2008(平成20)年4月号(No.4)-080430-星になった少年『星の王子さま』
http://archive.mag2.com/0000257388/20080430074500001.html

2008(平成20)年6月号(No.6)-080630-『宝島』海賊ゴッコの聖典
http://archive.mag2.com/0000257388/20080630074500000.html

2008(平成20)年9月号(No.10)-080930-『黄金虫』海賊ゴッコから探偵ゴッコへ
http://archive.mag2.com/0000257388/20080930074500000.html

2008(平成20)年12月クリスマス号(No.11)-081206-『クリスマス・キャロル』善意の季節
http://archive.mag2.com/0000257388/20081206074500000.html

2009(平成21)年1月号(No.13)-090131-『失われた世界』英雄的行為としての秘境探検
http://archive.mag2.com/0000257388/20090131074500000.html

2009(平成21)年2月号(No.14)-090228-『学問のすゝめ』新時代の国民教科書
http://archive.mag2.com/0000257388/20090228074500000.html

2009(平成21)年3月号(No.15)-090331-『地底旅行』ジュール・ヴェルヌ<驚異の旅>
http://archive.mag2.com/0000257388/20090331074500000.html

2009(平成21)年5月31日号(No.18)-090531-『自助論』=『西国立志編』元祖自己啓発書
http://archive.mag2.com/0000257388/20090531075000000.html

2009(平成21)年6月30日号(No.20)-090630-『怪談』ラフカディオ・ハーン/小泉八雲
http://archive.mag2.com/0000257388/20090630075000000.html

2009(平成21)年7月31日号(No.22)-090731-『十五少年漂流記』夏の文庫100冊から
http://archive.mag2.com/0000257388/20090731074000000.html

2009(平成21)年8月31日号(No.24)-090831-『武士道』新渡戸稲造・太平洋の橋
http://archive.mag2.com/0000257388/20090831074000000.html

2009(平成21)年9月30日号(No.26)-090930-『白い牙』ジャック・ロンドン―犬と狼と人と
http://archive.mag2.com/0000257388/20090930074000000.html

2009(平成21)年12月31号(No.29)-091231-『代表的日本人』内村鑑三―I for Japan
http://archive.mag2.com/0000257388/20091231074000000.html

2010(平成22)年3月31号(No.31)-100331- H・G・ウェルズ『タイムマシン』―暗い未来   
http://archive.mag2.com/0000257388/20100331074000000.html 

2010(平成22)年4月30号(No.33)-100430- ダーウィン『種の起源』―進化理論を確立   
http://archive.mag2.com/0000257388/20100430074000000.html

2010(平成22)年5月31日号(No.35)-100531- コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの冒険』―名探偵の代名詞   
http://archive.mag2.com/0000257388/20100531074000000.html

2010(平成22)年6月30号(No.37)-100630-アラン『幸福論』―幸せとは何か
http://archive.mag2.com/0000257388/20100630120000000.html

2010(平成22)年8月15日号(No.40)-100815- 夏特・夏の文庫100冊から『ジーキル博士とハイド氏』
http://archive.mag2.com/0000257388/20100815120000000.html

2010(平成22)年8月31号(No.41)-100831-モーリス・ルブラン『813』―怪盗アルセーヌ・ルパン
http://archive.mag2.com/0000257388/20100831120000000.html

2010(平成22)年9月30号(No.43)-100930-幸田露伴『努力論』―“努力”日本人の好きな言葉
http://archive.mag2.com/0000257388/20100930120000000.html

2010(平成22)年10月31日号(No.45)-101031-幸田露伴『五重塔』―職人魂
http://archive.mag2.com/0000257388/20101031120000000.html

2010(平成22)年12月31日号(No.49)-101231- 大人への階段「たけくらべ」樋口一葉
http://archive.mag2.com/0000257388/20101231120000000.html

2011(平成23)年1月31日号(No.51)-110131-東洋から西洋へ『茶の本』岡倉天心
http://archive.mag2.com/0000257388/20110131120000000.html

2011(平成23)年2月28日号(No.53)-110228-人知らぬ恨「舞姫」森[鴎おう]外
http://archive.mag2.com/0000257388/20110228120000000.html


2011年3月31日号(No.54)-110331-特別編 宮沢賢治の詩「永訣の朝」
http://archive.mag2.com/0000257388/20110331120000000.html

2011(平成23)年4月30日号(No.56)-110430-簡素で高貴な生活『ウォールデン 森の生活』H・D・ソロー
http://archive.mag2.com/0000257388/20110430120000000.html

2011(平成23)年5月31日号(No.58)-110531-非暴力抵抗主義『市民的不服従(市民の反抗)』H・D・ソロー
http://archive.mag2.com/0000257388/20110531120000000.html

2011(平成23)年6月30日号(No.60)-110630-二つの愛の形『赤と黒』スタンダール
http://archive.mag2.com/0000257388/20110630120000000.html


これらのものは、「私のおススメ古典50選」<近代以降>編としておきましょう。

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2013.06.12

左利きの悩みと“卒業”(3)~左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii367号

先週の無料左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第367号のお知らせです。

 ・・・

第367号(No.367) 2013/6/8「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その20― 左利きの悩みと“卒業”(3)」は、
「左利きの悩みと“卒業”」について考える三回目です。

 前回は、左利きの本人の場合の悩みから卒業できない人を、私を例に眺めて見ました。

 今回は、もう一度卒業する左利きの人の場合を考えてみました。

 ●卒業する人とはどういう人か?
 ●気にならなくなるだけ
 ●右手使いに馴染めた人の場合
 ●内的な身体の変化
 ●年々「右利き」になって行く変化


詳細は本誌で。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

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※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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2013.06.06

左手・左利き用品を考える14カッターナイフ4~左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii366号

先週の無料左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第366号のお知らせです。

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第366号(No.366) 2013/6/1「レフティ・グッズ・プロジェクト <左手・左利き用品を考える>第14回 カッターナイフ<4>」は、
<左手・左利き用品を考える>第14回 カッターナイフ<4>です。
今回は前回取り上げた「ロータリーカッター」についての使用例ブログの紹介と、「カッターの用途から考える」カッターの在り方を検討しました(多少腰砕けですが…)。

 ●ロータリーカッターと左利き

・ブログで紹介されていた商品:
【クロバー】ロータリーカッター45mm
 パッチワーク・キルト用品・ソーイング用品


 ●カッターの用途から考える
 ●鉛筆を削るような作業の場合

詳細は本誌で。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
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2013.06.05

生きる喜びは、どこにあるのか?『戦争と平和』トルストイ~NHK100分de名著2013年6月

「NHKテレビ100分de名著」2013年6月は、トルストイ『戦争と平和』です。

第1回 6月5日放送 人生に迷う若者たち
第2回 6月12日放送 生きる喜びとは何か
第3回 6月19日放送 心がひとつになる時
第4回 6月26日放送 本当の幸福を知る 

○NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
トルストイ『戦争と平和』2013年6月
川端 香男里 NHK出版 (2013/5/24)
人はいかに生きるべきか
個人は無力である――他者なしに世界は創りえない。


 ●『戦争と平和』の印象

本書の著者トルストイは、ドストエフスキーとならぶロシアの文豪であり、世界的な大作家と呼ばれています。
本書は、そのトルストイの大作であり、代表作の一つで、世界文学の最高峰とも言われます。

私自身、過去に読んだトルストイは、『イワン・イリイチの死」ぐらいで、大長編を読むのは本書が初めてです。
この番組のおかげで読んでみようと思い立ちました。

まさに《一度は読みたいと思いながらもなかなか手に取ることが出来なかった》作品です。

以前から気にはなっていたものの、大長編ゆえ二の足を踏んでいました。
なにしろ世界的な名作です。
しかも戦争と平和という大テーマを取り上げているようで、これは遊び半分では読めないぞ、といった気持もありました。

(そういう意味ではタイトルが足を引っ張っている、題名で損をしている本の一つかもしれません。
もちろん、他に適当なタイトルが浮かばないという面もあるのでしょう。
また、このタイトルだからこそ、の世界名作とも言えるのかもしれませんけれど…。)


新潮文庫版で読み始めました。
まだ途中までしか読んでいませんが、思っていた以上に読みやすく、だんだんと惹き込まれ、読む手を休める暇も与えない展開となってゆきます。

第一巻第一部冒頭の夜会のシーンなど始めは、人名と言い爵位と言い、何かと読みにくく感じたものですが、ある程度当時の状況や人名などに慣れますと、あとはまさに名作家の手にいざなわれ、次々とページを繰ってゆくようになります。
さすがに世界文学の最高峰という代名詞もうなづける、見事な展開です。

登場人物は多いのですが、その書き分けが巧みなのでしょう、まったく気になりません。
スイスイと頭に入ってきます。
(とはいえ、ファーストネームと家名の違いもあり、出来れば、主要登場人物の一覧は欲しいところです。
―その後手にした岩波文庫版にはちゃんと一巻ごとに進行するストーリーに合わせた人物紹介の一覧があります。これは親切! 
ただし、ロシア人の正式な名前というのは日本人には理解が難しいようです。)


ドストエフスキーが情念の作家なら、トルストイは理性の作家という気がします。
“憑かれたように読みふけるのがドストエフスキー”なら、“惹かれて読むのがトルストイ”という気がします。


 ●高揚と恐怖―戦争を巡る二つの感情

戦後日本では、この小説は反戦の小説として、戦争の恐ろしさを伝える小説というふうに解釈され、大いに受け入れられた、とものの本にありました。
しかし本来、本書は必ずしもそういうものとも言い切れない、とも。


まだ途中までしか読んでいないのに、何か書くのはどうか、という気もします。
それでもなお、書いておきたいことがあります。

とりあえず第二部まで読んだ印象を述べておきましょう。

本書は、総勢500人を超えるといわれる登場人物の生き方を通して、いいとか悪いとかを作者自らが判断することなく、戦争と平和を対比しながら人の生きる道を描いている小説だ、と感じました。


第二部8章で、戦場の真っただ中にあって登場人物(ニコライ・ロストフ)が、空の美しさ、ドナウ河の流れのやさしさに、山並みの中にたたずむであろう幸福に気付き、「あそこに行ければ何も望まない」と心の中で思いつつ、戦争によってそれらもむなしく失われるのだと死を思い、神に救いを求めます。

ニコライ・ロストフは顔をそむけて、まるで何かをさがしもとめるように、遠くを、ドナウ河の流れを、空を、太陽をながめはじめた。空のなんと美しく見えたことか、なんと淡青く澄んで、しずかで、そして深い空だろう! 沈みゆく太陽のなんと赤く、そして荘厳なことだろう! 遠いドナウの流れのなんとやさしくつややかに輝いていることだろう! 
(第二部8)p.345-6

また別の人物(アンドレイ公爵)は、戦場の銃弾飛び交う中で今まで感じたこともないような大きな生の喜びを感じる、という夢を見ます。

... 彼は胸におののきをおぼえながら、シュミット将軍と並んで馬を進める、銃弾がにぎやかに身辺を唸り飛ぶ、そして彼は生まれてこのかたまだ味わったことのないような、十倍にもふくらんだ大きな性の喜びにみたされる。/彼は目がさめた……/『そうだ、これはみなあったことなのだ!……』彼は幸福につつまれて、子供のように自分で自分に笑いかけながら、こう言い聞かせると、若々しい、深い眠りに落ちた。
(第二部11章)p.366-7

そして実際に戦場の真っただ中で生の高揚を感じます。

『はじまったぞ! これが待望の戦争なのだ!』という表情が、寝足りぬような濁った目をなかば閉じたバグラチオン公爵の、浅黒く日やけしたたくましい顔にまであらわれていた。...
(第二部17章)p.414
... アンドレイ公爵は、何か抗しえぬ力によって前へ引寄せられるのを感じた。そして大きな幸福に胸をみたされていた。
(第二部18章)p.427

他の兵士たちも同様です。

... トゥーシンはすこしの不快な恐怖感も感じているひまはなかったし、戦死か、あるいは重傷を負うかもしれぬという考えも、ちっとも彼の頭に浮かばなかったそれどころか、彼はますます陽気な気分になっていった。... 彼は熱病患者に似た状態か、あるいは酒に酔った人のような状態にあった。
(第二部20章)p.444


戦時における高揚もまた、人間の生の喜びであり、生の証です。
一方、戦時下の恐怖もまた人間の感情であり、それは生を希求する本能でもあります。

戦争を巡るこの二つの感情も、一つの人生の争点です。

第一巻第一部で描かれる老貴族の死とその前後の嫡子と庶子との遺産を巡る争いなども、人生の大きな争点です。

(以上は新潮文庫版「第二巻」―岩波版では「第二部」まで読了時。)


『戦争と平和(一)』トルストイ/著 工藤精一郎/訳 新潮文庫(改版 2005/08)―全4巻
『戦争と平和〈1〉』トルストイ/著 藤沼 貴/訳 岩波文庫(2006/1/17)
 


新潮文庫版は全4巻、一冊一冊がかなり分厚く、1ページ18行立てでかなり密な感じ。
途中で戦場を示す地図は出て来ますが、主な登場人物表がないので、自分で簡単なメモを取ると読みやすくなるでしょう。

ただし、各「巻」(岩波文庫版では「部」)ごとに区分されているので、「巻」の途中で切れることはない。


岩波文庫版は、新訳で全6巻、1ページ16行立て。
主な登場人物一覧・地図・年表など、読書の手助けになる資料が整っており、読みやすく理解しやすい印象がある。

全4部(新潮文庫版では「巻」)立ての小説を6分冊しているので、「部」の途中で切れている。
(まとめて所持して続けて読めば、それで不便だどうだ、ということは別にないですが。)

【全巻セット】
『戦争と平和(全6巻)』トルストイ 藤沼 貴/訳 岩波文庫

 ●読み終えて思うこと

さて、読み終えて言えることは、やはり相当に難しい部分があるということ。
簡単に私の印象を言えば、<司馬遼太郎に恋愛と宗教的な要素を付け加えたような小説>です。


まず全体から言いますと、主人公を戦場に送りだして具体的な戦闘を体験させる戦争のパートと、貴族の社交界での恋物語などの平和のパートの緩急をつける組み立て。
そこで、人が生きるとはどういうことか、を考えさせてくれます。

主人公の一人ピエールは、庶子であったにもかかわらず、遺言により、父の爵位とともに莫大な遺産を手にし、しかも美人の妻まで手にします。
しかし、すべてを手に入れたはずの彼は「人はなんのために生きるのか」と悩み、精神的に彷徨します。
その彼が戦場を体験し、捕虜となり、死と隣り合わせの日々をすごしたのち、パルチザンに解放され、平和の世界に戻るや、生きている間こそ幸福である、と悟るのです。

「不幸だの、苦労だのと言いますが」ピエールは言った。「... 慣れた道から放り出されたら、何もかもおしまいだと僕たちは思う。ところが、そういうときには新しい、いいものがはじまるだけなんです。生命があるあいだは、幸福もあります。先にはたくさんの、たくさんのものがあります。これはあなたに言っているんですよ」彼はナターシャに向かって言った。
(岩波文庫版『戦争と平和(六)』藤沼貴訳「第四部第四編 17」p.228) ナターシャは、自分が裏切った元許嫁が戦死したショックで希望を失っていたのです。 ピエールは彼女への愛に目覚め、このように言葉をかけます。
「まちがいです、まちがいです」ピエールが叫んだ。「僕が生きていて、生きたいと思っているからといって、僕が悪いわけじゃない。あなただってそうです」
(同)


もう一つは、特に歴史哲学と呼ばれる部分ですね。

「第四巻」までは物語に乗っていますが、「エピローグ」後半ともなりますと、歴史哲学の部分ばかりといった感じで、その部分が面白く読める人には楽しめますが、ストーリーと絡まないじゃないかと思うと、興ざめになります。
途中で時折挟まれるくだりでは楽しめても、こうなってくるとどんなんだろう、と言う気持ちになりますね。
トルストイ自身は、この部分こそ書きたかったことなのでしょうけれど。


この点は昔から色々と批判されたり、逆に好評を得たりしてきたようです。

テキストには、実は大きく三つの版があるそうで、それぞれこの歴史哲学の部分の扱いによって異なるそうです。
私のような単なる物語読みには、もう少し削ってもいいような気もします。

と言いますか、小説であるならそのお話の中で描写すべきで、作者が顔を出して語るのは違反でしょう。
だからこそ、「『戦争と平和』という本についての数言」の中で、長編小説ではない云々と書いているのでしょう。

※参照:
『ハリネズミと狐―『戦争と平和』の歴史哲学』バーリン/著 河合秀和/訳(岩波文庫 1997.4.16)

 ●小説としての楽しい面白いエピソード

第二巻第四部(岩波文庫版・第二部第四篇)、1810年9月のニコライ、ナターシャ、ペーチャのロストフ一家による狼・狐猟や、12月のロストフ一家のクリスマスの場面です。
こういう“平和”のシーンで示される人生の楽しさ。

この場面の楽しさは、小説としても楽しめるし、この難解な長編の中であっても非常によく書かれた名場面だと思います。
ナターシャというヒロインの魅力もいっぱいあふれていますし、トロイカで疾走するシーンにしろ、クリスマスで訪問した先の老人も非常にいい感じの人物であり、この交流は非常に心を打ちます。

こういったナターシャを中心にした場面では、なかなか読ませるエピソードが登場し、小説としての楽しさを満喫させてくれます。


他に有名な場面としては、第二巻第五部(同・第二部第五篇)のラストの彗星のシーンでしょう。
これは、ハレー彗星と言われていますが、感動のラストと言えます。


 ●トルストイのこと

トルストイ(1828年8月28日-1910年11月7日)の小伝や岩波文庫版の訳者・藤沼貴/著『トルストイ・クロニクル―生涯と活動』(ユーラシア・ブックレット58 2010.10.20)を読みますと、トルストイという人は、私の敬愛するアメリカの著述家・思想家ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(1817年7月12日-1862年5月6日、1854年『ウォールデン 森の生活』・1849年「市民の抵抗(市民的不服従)」等の著者、ガンディーやキング牧師の精神的バックボーンとなった非暴力抵抗主義の元祖的存在で、シンプルライフ、エコライフの先駆者)に似ているように思いました。

子供の教育に熱心で学校を作ったり、物質的な繁栄よりも心の豊かさを求めたり、奴隷制反対や反戦の考えを表明したり(トルストイはガンディーと文通していた)、西洋の古典だけでなく東洋の古典(孔子や老子―トルストイは老子の翻訳も行った)を愛読していたり、等々です。

伝記によりますと、ソローとの接点はないようですが、ソローは当時アメリカでも無名に近い状態だったことを思いますと、致し方ないのでしょう。
二人に出会いがなかった点は、ちょっと残念な気がします。


【伝記】
・藤沼貴/著『トルストイ・クロニクル―生涯と活動』(ユーラシア・ブックレット58 2010.10.20)
・藤沼貴/著『トルストイ』(第三文明社 2009.7.7)


【映画】
[DVD] 戦争と平和 【完全版】 (初回生産限定特別仕様) リュドミラ・サヴェーリエワ (出演), セルゲイ・ボンダルチュク (監督) IVC,Ltd.(VC)(D)
・[DVD]戦争と平和 オードリー・ヘプバーン (出演), ヘンリー・フォンダ (出演), キング・ビダー (監督) パラマウント ジャパン


*他のNHKテレビ「100分 de 名著」の記事:
2011年11月放送:2011.10.31 アラン『幸福論』喜びは、行動とともにある!
2011年12月放送:2011.12.6 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』悲しみを、乗り越えよ-「100分 de 名著」NHK
2012年1月放送:2012.1.5 吉田兼好『徒然草』両面から物事を見よ!-「100分 de 名著」NHK
2012年2月放送:2012.1.29 新渡戸稲造『武士道』日本的思考の根源を見る-「100分 de 名著」NHK
2012年3月放送:2012.3.6 仏教は「心の病院」である!NHKテレビ「100分 de 名著」ブッダ『真理のことば』2012年3月
2012.4.2 「NHKテレビ「100分 de 名著」ブッダ『真理のことば』を見て本を読んで」
2012年4月放送:2012.4.3 紫式部『源氏物語』NHKテレビ100分de名著
2012年5月放送:2012.5.2 確かな場所など、どこにもない―100分 de 名著 カフカ『変身』2012年5月
2012年6月放送:2012.6.6 <考える葦>パスカル『パンセ』NHK100分 de 名著2012年6月
2012年10月放送:2012.10.2 鴨長明『方丈記』NHK100分 de 名著2012年10月
2012年12月放送:2012.12.5 <心で見る努力>サン=テグジュペリ『星の王子さま』NHK100分de名著2012年12月
2013年1月放送:2013.1.11 呪文に頼るのもよし?~100分de名著『般若心経』2013年1月
2013年2月放送:2013.2.5 待て、そして希望せよ~NHK100分de名著『モンテクリスト伯』2013年2月
2013年3月放送:2013.3.28 どんな時も、人生には、意味がある。フランクル『夜と霧』~NHK100分de名著2013年3月(再放送)
2013年4月放送:2013.4.11 真面目な私とあなた―夏目漱石『こころ』~NHK100分de名著2013年4月
2013年5月放送:2013.5.20 水のように生きる『老子』NHK100分de名著2013年5月
2013年7月放送:2013.7.9
哲学とは、愛である『饗宴』プラトン~NHK100分de名著2013年7月
2013年11月放送:2013.11.10
「物語」に終わりはない『アラビアンナイト』~NHK100分de名著2013年11月
2013年12月放送:2013.12.11
切り離された者たちへ~ドストエフスキー『罪と罰』~NHK100分de名著2013年12月

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2013.06.02

ジュール・ヴェルヌの本2点『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』『永遠のアダム』

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私の大好きな作家ジュール・ヴェルヌを巡る二冊の本が、出版されています。

一つは、3月に出版された石橋正孝氏の著作
『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険 ジュール・ヴェルヌとピエール=ジュール・エッツェル(流動する人文学)』左右社 (2013/3/25)。


もう一つは、文遊社から5月31日発売(?)の短編集『永遠のアダム』。

『永遠のアダム』 ジュール・ヴェルヌ/著 江口清/訳(文遊社)

前者は、博士論文を基にしたものらしいのですが、産経新聞の読書欄で知りました。
(私は、ヴェルヌのファンですが、学問的に研究するというほどでもありませんし、第一、フランス語も読めません。ですから、ジュール・ヴェルヌ研究会には所属していませんし、特に熱心に新刊情報など集めていませんので。)

かなり難しい内容の本のようですが、ヴェルヌの創作における編集者エッツェルの関わり等興味深いものがあり、どういうものか一度のぞいてみたいという気持ちがあります。

産経新聞の書評(2013年5月19日)、永江朗「システム化された本づくり」によれば、本作りにおける編集者の仕事、出版事業というものを考える上でも重要な示唆に富んでいる本のようです。
目次↓を見ただけでも「すごいな」という気がします。

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第一部
 第1章 ピエール=ジュール・エッツェルとロマン主義時代の出版界 ―デビューから『教育と娯楽誌』の創刊まで
   1 編集者とはなにか ―「文学的存在性」または近代文学の両義性
   2 挿絵はいかにして編集者を編集者たらしめたか
   3 エッツェルのデビュー
   4 〈人間喜劇〉の編集者エッツェル
   5 政治の季節
   6 『教育と娯楽誌』の創刊(一八六四年)

 第2章 ヴェルヌとエッツェルの共同作業のメカニズム
   1 ヴェルヌとエッツェルの共同作業における「分冊」の役割の変化 ―ある編集システムの成立
   2 「システム」の成立
   2?1 〈驚異の旅〉の刊行開始まで
   2?2 「システム」の成立(その二)―挿絵は誰のものか
   2?3 「システム」の成立(その三)―困難な離陸
   2?4 「システム」の成立(その四)―テクストとイメージの統一性を求めて

 第3章 〈驚異の旅〉の舞台裏
   1 執筆方法と介入様態の変化(一)―普仏戦争以前
   2 執筆方法と介入様態の変化(二)―普仏戦争以後
   3 往復書簡―共同作業のための距離

 インタルード 〈驚異の旅〉という運動

第二部
 第4章 物語と過剰
   1 カニバリズム―『チャンセラー号』における現在形の描写と書くことの現場
   2 カニバリズムと恋愛―『グラント船長の子供たち』
   3 恋愛と政治―『ミシェル・ストロゴフ』
   4 恋愛と読者―『燃える多島海』または「組み合わせ小説」とはなにか
   5 未来文明への不安―『黒いインド』
   6 否定されたオリジナリティとしての未来都市―『ベガンの五億フラン』

 第5章 進歩に対する不安と日常の除外
   1 科学の不安―『チャンセラー号』
   2 知の世俗化
   2-1 知の世俗化(一)―アクチュアリティと禁断の知(『地球の中心への旅』)
   2-2 知の世俗化(二)―『地球の中心への旅』
   3 日常の除外
   3-1 日常の除外(一)―時空的近接の危険性、あるいは全員と意見を一致させること(『マチアス・サンドルフ』)
   3-2 日常の除外(二)―『ミシェル・ストロゴフ』とロシアの政治的圧力
   3-3 日常の除外(三)―誰でもない人の国籍

 第6章 全体化と局所性 ―〈驚異の旅〉における超越性と偶然
   1 十九世紀西欧文学におけるイデオロギー装置としての気球
   2 失効する局所性と摂理の方法的世俗化―『グラント船長の子供たち』
   3 小説の主人公としての編集者―『マチアス・サンドルフ』とそれ自体局所的な地域の局所的要素

エピローグ

あとがき
年譜/書誌/註/人名索引

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『永遠のアダム』のほうは、昔パシフィカから出た本の復刊といったところだそうです。

SFの始祖、ヴェルヌの傑作初期短篇三篇と、 歿後発表された「永劫回帰」に向かう中篇を収録した短篇集。初版発行当時のイラストを多数収録し、見た目にも楽しい作品集です。
という紹介文ですので、短編集ですね。


【追記】2013.7.9
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収録作品は、表題作(「永遠のアダム」は、パシフィカ版『永遠のアダム・エーゲ海燃ゆ (1979年) (海と空の大ロマン)』収録)の他、「空中の悲劇」「ザカリウス」「マルティン・パス」
この三篇は、パシフィカ版『洋上都市 (1979年) (海と空の大ロマン)』に収録されていた作品のようです。

*『Jules Verne Page』「パシフィカ 海と空の大ロマン 1979」より
--


でも挿絵付のようで、楽しみです。

ヴェルヌと言えば、短編よりもやはり長編が有名ですが、その辺はどうでしょうか。

私は昔、集英社から出たコンパクト・ブックス版<ヴェルヌ全集>の短編集『ドクター・オクス』(収録作:ドクター・オクス 1873 /ザカリウス師 1854 /ラトン一家の冒険 1891 /永遠のアダム、古屋健三 訳 1969年6月1日初版発行)というのを読んだことがあります。
他にも、初期のものとされる「氷海越冬譚」(1855)という作品を角川文庫版『悪魔の発明』で、他にヴェルヌ特集の雑誌で二本(『ユリイカ』 1977年5月号「詐欺師―アメリカの風習」、『水声通信』no.27 2008年11/12月合併号「ごごおっ・ざざあっ」)を読んでいます。

人生の一コマを切り取る、と言われるのが短編ですが、そういう意味では“切れ”で勝負する短編というより、“短いお話”という感じでしょうか。
中編のようなものが多いかもしれません。

内容はほとんど忘れてしまいましたが、それぞれ冒険ものあり遠未来のものありと多彩で、<驚異の旅>の作家を彷彿させるものもあれば、それらとは異なる結構“重い”作家なのだ、と思わせる印象のものもあった、と記憶しています。

表題となっている「永遠のアダム」は、ヴェルヌの死後息子ミシェルによって発表されたものと言われています。


お値段がの高いのが気になります。
昨今の翻訳ものが売れないと言われる時代を反映しているのか、ヴェルヌが売れない作家と思われているのか、あるいはそれ以上にきれいな本作りを目指した結果なのか、たぶんそれら全てが理由なのでしょうけれど。

先の学術的な著作はともかく、とにかく最近出るヴェルヌ関係の本がみな結構なお値段なのは、いかにファンとは言え、ちょっと大変です。
きれいな本作りの結果なのでしょうけれど、ちょっと気になる傾向です。

昨年出版された新潮社の新訳『海底二万里』は、老舗の文庫ということもあり、挿絵たっぷり注たっぷりのよくできた作りにもかかわらず、押さえた価格で出来の良い本でした。

『海底二万里』(上・下) 村松潔/訳 (新潮文庫 2012/8/27)―挿絵112点完全収録の決定版
 


このような形で色んな未訳小説を出していただければ、気軽に読めていいのですけれど、ないものねだりなんでしょうか。

*参照:
・『レフティやすおの左組通信』
「ジュール・ヴェルヌ Jules Verne コレクション」
・『レフティやすおのお茶でっせ』2012.10.25
テレビの威力か?HPジュール・ヴェルヌ・コレクションにアクセス急増!

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