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2013.01.11

呪文に頼るのもよし?~100分de名著『般若心経』2013年1月

第一回の放送が9日にありました「NHKテレビ100分de名著」『般若心経』。

この番組、最近は全く見ていないのに書くのもどうかとも思うのですが、『般若心経』を扱うということですので、思うところを書いておきます。


『般若心経』

第1回 最強の262文字
第2回 世界は“空”である
第3回 “無”が教えるやさしさ
第4回 見えない力を信じる

○NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
『般若心経』 2013年1月 (100分 de 名著) 佐々木 閑 (2012/12/24)


皆さまご存知のように、『般若心経』は262文字(玄奘三蔵訳など漢訳の違いで文字数が異なるものもありますが)からなる宗派を問わず(浄土三部経を所依とし他力念仏による浄土宗や浄土真宗、法華経を所依とする日蓮宗などをのぞく)読経されることの多い短いお経で、一般には、写経で有名なお経です。
一般に、般若経の心髄を簡潔に説くものといわれ、『仏説摩訶般若波羅蜜多心経』、『摩訶般若波羅蜜多心経』、『般若波羅蜜多心経』、単に『心経』とも呼ばれます。

--
仏説摩訶般若波羅蜜多心経

観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄
舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識 亦復如是
舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減
是故空中 無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色聲香味觸法 無眼界 乃至無意識界
無無明 亦無無明盡 乃至無老死 亦無老死盡 無苦集滅道 無智亦無得 以無所得故
菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃
三世諸佛 依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅三藐三菩提
故知般若波羅蜜多 是大神咒 是大明咒 是無上咒 是無等等咒 能除一切苦 信實不虚
故説般若波羅蜜多咒 即説咒曰
羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶 般若心経

(奈良・薬師寺 写経の手本より)
--

「般若」とは知恵のことを意味し、最高の知恵を得るための呪文、というのがその「般若心経」と言えるのでしょう。

内容的に言えば、「色即是空」=「色は即ち是れ空なり」で、要するにこの世のすべては「空」だというものだそうです。

この世にあるものは皆、我々が見たり触ったりして絶対の存在と思っているけれど、実はそうではない。
物事は常に変化しているし、絶対不変なものなどない。
みんな心の迷いだ、といったところでしょうか。

心の持ち方が一番大事、という要約は行き過ぎでしょうか。

私は、まあ、そういうものだろうと思っています。


一番最後に紹介している弘法大師・空海『般若心経秘鍵』の冒頭には、こんな文章があります。

夫(そ)れ仏法遥かに非ず、心中(しんじゅう)にして即ち近し。真如(しんにょ)外(ほか)に非ず、身を棄てて何(いず)くんか求めん。迷悟我に在れば、発心すれば即ち至る。... 》
加藤精一/編『空海「般若心経秘鍵」』ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫) 「般若心経秘鍵〔原文訓み下し〕」p.97 より

「仏の教えは遠くにあるのではなく、自分の心の中にある。真実の教えというものは身の外に求めても得られない。迷うのも悟るのも自分自身で、仏心を持てば到達できる。」
―というところでしょうか。

要するに、心の持ち方である、というわけです。

 ・・・

『般若心経』は私も気になり、下に記していないものも含めて、色々な本を読みました。
まさに無数といっていいほどに、解釈書・注釈書、初心者向け入門書が書かれています。

比較的最近のものでは、柳澤桂子『生きて死ぬ智慧』などは、この方の人生を反映して、一読の価値ありと思います。
巻末にリービ英雄による英訳があり、(英語はNHK基礎英語レベルの私にも)興味深いものがあります。

・生きて死ぬ智慧 (2004/9/18)
柳澤 桂子 堀 文子(イラスト)

分かりやすそうなところでは、

・やさしい般若心経―人生を開く二六二字の真理 PHP文庫
瓜生中/著

・一休さんの般若心経 (小学館文庫)
西村惠信/監修 佐藤健三/著
 


勉強するなら、

・般若心経・金剛般若経 (岩波文庫)
中村元、紀野一義/著 (1960/7/25)
・現代語訳 般若心経 (ちくま新書 615)
玄侑宗久/著
 


ユニークな『般若心経』解説本としては、弘法大師・空海のこれがあります。

・空海「般若心経秘鍵」 ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫)
加藤精一 (2011/5/25)


空海の晩年の書で、密教経典として読み解くというものです。
「十住心論」に基づく宗教の統一というのでしょうか、統合を目指した空海が、誰もが読誦するこの「般若心経」を人類共通の基本的なお経と位置づけるという意図があったのではないか、と解説されています。


『般若心経』は単なる呪文にすぎない、という解釈もあるようです。

たしかに「羯諦羯諦(ぎゃーてーぎゃーてー)」以下は呪文以外の何ものでもない、というところでしょう。
けれど、いつの世にも呪文のような、人知を超えた、理解できないものがあってもいいような気もします。
そして、呪文に頼る人間がいても良いと思うのです。

なぜなら、所詮人間は明日のことも分からないか弱い存在にすぎないのだから。

*他のNHKテレビ「100分 de 名著」の記事:
2011年11月放送:2011.10.31 アラン『幸福論』喜びは、行動とともにある!
2011年12月放送:2011.12.6 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』悲しみを、乗り越えよ-「100分 de 名著」NHK
2012年1月放送:2012.1.5 吉田兼好『徒然草』両面から物事を見よ!-「100分 de 名著」NHK
2012年2月放送:2012.1.29 新渡戸稲造『武士道』日本的思考の根源を見る-「100分 de 名著」NHK
2012年3月放送:2012.3.6 仏教は「心の病院」である!NHKテレビ「100分 de 名著」ブッダ『真理のことば』2012年3月
2012.4.2 「NHKテレビ「100分 de 名著」ブッダ『真理のことば』を見て本を読んで」
2012年4月放送:2012.4.3 紫式部『源氏物語』NHKテレビ100分de名著
2012年5月放送:2012.5.2 確かな場所など、どこにもない―100分 de 名著 カフカ『変身』2012年5月
2012年6月放送:2012.6.6 <考える葦>パスカル『パンセ』NHK100分 de 名著2012年6月
2012年10月放送:2012.10.2 鴨長明『方丈記』NHK100分 de 名著2012年10月
2012年12月放送:2012.12.05 <心で見る努力>サン=テグジュペリ『星の王子さま』NHK100分de名著2012年12月
2013年2月放送:2013.2.5 待て、そして希望せよ~NHK100分de名著『モンテクリスト伯』2013年2月

2013年3月放送:
2013.3.28 どんな時も、人生には、意味がある。フランクル『夜と霧』~NHK100分de名著2013年3月(再放送)
2013年4月放送:
2013.4.11 真面目な私とあなた―夏目漱石『こころ』~NHK100分de名著2013年4月
2013年5月放送:2013.5.20
水のように生きる『老子』NHK100分de名著2013年5月
2013年6月放送:2013.6.5
生きる喜びは、どこにあるのか?『戦争と平和』トルストイ~NHK100分de名著2013年6月
2013年7月放送:2013.7.9
哲学とは、愛である『饗宴』プラトン~NHK100分de名著2013年7月
2013年11月放送:2013.11.10
「物語」に終わりはない『アラビアンナイト』~NHK100分de名著2013年11月
2013年12月放送:2013.12.11
切り離された者たちへ~ドストエフスキー『罪と罰』~NHK100分de名著2013年12月

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