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2012.02.29

なぜギリシア悲劇を読むのか

―第76号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

古典から始める レフティやすおの楽しい読書
2012(平成24)年2月29日号(No.76)-120229-
ギリシア悲劇:"ギリシャ悲劇の創造者"アイスキュロス


なぜ今「ギリシア悲劇」を読むのか、について書いておきます。

本誌本文にも書いていますように、
「ギリシア悲劇」は、西洋演劇・文学の源流であり、
ということは、現代日本においても、近代以降、演劇・文学の源流の一つであるということです。

それは「人間のドラマ」であり、古今東西を問わず、人間としての普遍的な生き方を反映したものだ、ということです。

2500年前のギリシアのアテナイという一都市における演劇が、実は現代にもつながるものである、という事実。
ここに芸術・文学の持つ力が示されています。

読書には、こういう人間の生き方・在り方を考えさせるものもあれば、単に知識や技術を伝えるもの、ものの見方・考え方を教えるものなど色々もあります。

一般に「名著」と言われるものは、これらをリアルな形―現実の枠組みの中で論文とか随筆の形で取り扱うものです。
一方、「名作」と呼ばれるものは、創作、フィクション・虚構―詩や歌も含め、お話・物語・小説という作り話(疑似現実/仮想現実)の形で提供されるものです。

「ギリシア悲劇」の「名作」も、やはりこの人間の生き方・在り方を問うものであり、「悲劇」的な枠組みの中で、人間が神がどのように勇気を持って自己の意志を貫くか、といった姿が描かれています。

本誌本文のラストにも書いていますように、3.11東日本大震災とその後の原発事故という悲劇を経験した私たちも、彼らと同様に、どのように生きるべきか、何を求めて生きるべきか、そして、悲しいことではありますが、どのように死すべきかという問題を抱えて生きています。

「ギリシア悲劇」は神話の形を借りていても、遠い世界の遠い昔話ではなく、実は今も生きているお話なのです。
その辺を読みとっていただければ、という気がします。

※本誌で取り上げた本:
『ギリシア悲劇 I アイスキュロス』高津春繁[ほか]/訳 ちくま文庫 1985.12
『ギリシア悲劇入門』中村善也/著 岩波書店・同時代ライブラリー 1994.5


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※本稿は、『レフティやすおの作文工房』より
2011.12.31「なぜ「ギリシア悲劇」を読むのか」を転載したものです。
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2012.02.26

克服ではなく付き合う姿勢で:渡瀬謙『「あがり症営業マン」がラクに売るための6つの習慣』

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左利き仲間で内向型人間仲間の友人でもある<サイレントセールス・トレーナー>渡瀬謙氏の今年の一冊目の本が出ました。

渡瀬謙/著『「あがり症営業マン」がラクに売るための6つの習慣』同文館出版DO BOOKS 2012.2.7


 ●「あがり症営業マン」ための「あがり症」と“付き合う”指南書

一言で言えば、営業の本です。
営業成績を上げるにはどうしたらいいのか、という本。

ただし、よくあるごく普通の万人向けの営業本ではなく、あくまでも、従来のイメージでは営業に不向きとされていた人たち
人前に出るのが苦手で、声が小さく内気で口下手で内向的な性格で、実際に人前で話そうとすると上がってしまう―
そういう「あがり症」の人向けに、そんな人でも営業で実績を出すための方法を述べた本です。

で、「方法」と書きましたが、営業のテクニックについての本というのではなく
(もちろん、そういうテクニックについても、当然営業の本ですので書かれています。)
精神的な面を取り上げています。

私は、これまで10冊以上の営業関連本を書いてきましたが、本書ほど「心」の部分にフォーカスしたものはありません。
本書「おわりに」p.218より

「いかにあがり症を克服するか」についてです。

でも、本当はそうではないのです。

「克服するのではなく、いかに付き合うか」が説かれています。

自分の欠点であるあがり症を、「治す」という意識から「付き合う」というように変えました。「あがり症も含めて、自分自身なのだ」と思い込むようにしたのです。
本書「1章 あがってしまう自分のタイプを知れば恐くない」p.50より

さらに別の場所では、こう書いています。

人に勝てない部分を、がんばって克服するのもけっこうですが、まずは人に勝てそうな部分に時間と労力を使うべきです。上手にしゃべる練習よりも、誰にも負けない知識を習得する習慣をつけましょう。
本書「6章 習慣(5)道具 モノを見せるだけであとは黙って待つ」p.179より

あのドラッカーも言っています。

不得手なことの改善にあまり時間を使ってはならない。自らの強みに集中すべきである。無能を並みの水準にするには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーと努力を必要とする」
(『明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命』P.F.ドラッカー/著 上田惇生/訳 ダイヤモンド社 1999.3)

 ●なぜ「あがり症営業マン」を読者対象とするのか?

でも、そもそもどうして「あがり症営業マン」を対象とするのか?を説明しておきましょう。

それは、営業部門で働く人が増えているから、というのです。

私なりに解説しますと―

昨今では、製造業も海外移転が進み、否応なく、製造部門から他の部門への配置転換が行われます。
従来人前に出るのが嫌で製造業を選んだ人も、外へ出て他人と接触する職場に配置されかねません。

新たに就職する人たちでも、営業職を選ばなければならないケースも増えています。
自分はあがり症だし、内向的な性格なので、できれば他人と接触する営業職は避けたい、接客業も避けたいという思いの人でも、選ばざるを得なくなっているのです。

そういう現実を前にして、従来のような「陽気で明るく元気なしゃべくり上手の“饒舌派”の営業マンのイメージは不要なんです、内気であがり症で口下手な“寡黙派”の人でもいいんですよ」と言うのが本書です。


 ●本書の内容

「いかにあがり症を克服するか」、いえ「いかにあがり症と付き合うか」についての方法を、著者は長年の自らの体験に基づき、解説しています。

簡単に要約すれば、
「1(あらかじめの)準備、2(意識を変える)思考、3(相手に寄り添いつつ、自分の得意領域で)行動、4(内容のある)言葉、5(ツールに語らせる)道具、6(自分の弱点を宣言する)認知、
これら6つの習慣を身に付ければ、毎日の仕事が気分的にラクになり、結果として成績にも反映する
ということなんでしょうね。


「目次」を掲げておきます。

序章 あがり症の私が、なぜトップ営業になれたのか?
1章 あがってしまう自分のタイプを知れば恐くない
2章 習慣 1 準備 万全の準備をすれば客先で緊張しない
3章 習慣 2 思考 ミスや失敗は売上アップの原動力になる
4章 習慣 3 行動 相手と「打ち解ける」必勝パターンをつくろう
5章 習慣 4 言葉 大勢の前でも平常心でプレゼンできる方法
6章 習慣 5 道具 モノを見せるだけであとは黙って待つ
7章 習慣 6 認知 自分の本当の姿を自他ともに認める
終章 あがり症でも、楽に売れる営業マンをめざそう


各章末に、その章のまとめ箇条書きに掲げられています。
これを読むだけでもヒントになるでしょう。

始めのうちは、メモに書き出し毎日チェックしてもいいかもしれません。


とにかく「自分の本当の姿を知り、自分にふさわしい方法を見つけよう」というのが、一番のポイントです。

渡瀬氏は、例を挙げてアドバイスはしますが、決してこういう方法でやりなさい、と押しつけません。

(基本的な部分でこれだけは、というポイントではこうしなさいと述べてはいますが。
 例えば、「自己開示しなさい」(本書「おわりに」p.220)というように。)

具体的なやり方を押し付けないのは、人は一人一人で違う、という認識を持っているから。

その証拠にこんなふうに書いています。

他の営業マンと同じことをする必要はありません。自分なりのベストな方法で切り抜ければ、しっかりと結果はついてくるはずです。
本書「6章 習慣(5)道具 モノを見せるだけであとは黙って待つ」p.163より


本書を読んだからと言ってそれだけでどうなるというものでもありません。
こういう問題は本を読むだけではダメで、実行が伴わなければ役に立ちません。

最終的に大事なことは、自分があがり症であるとか営業に不向きな性格であるとかどうかではなく、自分の営業活動はお客様にとってどうか、ということです。

「相手から見た自分」ではなく、「自分から見た相手」に意識をシフトする習慣をつけるようにしてください。
本書「終章 あがり症でも、楽に売れる営業マンをめざそう」p.209より
そして
目指すのは、ただひとつ。売れる営業マンになることです。
本書・同p.215より

結論が出たようです。

 ・・・

さてここからは、私流の読み方―。

本の読み方には三通りある、と私は考えています。

(1)著者は何を言おうとしているのか、を読みとる内容確認の読み方
(2)著書のどこまでが真実か、を読みとる懐疑的な読み方
(3)自分の興味に引き寄せて情報を集める、自論強化のための読み方

この(3)番目の読み方です。


 ●「克服」ではなく「付き合う」姿勢で―左利きの場合

本書で、渡瀬氏が書いているように、「いかにあがり症を克服するか」ではなく、「いかにあがり症と付き合うか」(本書「おわりに」p.219)が問題だとしますと、これはそのまま私の専門である左利きの問題に通じます。

左利きもまた、「いかに克服するか」ではなく、「いかに付き合うか」が問題と言えるのではないでしょうか。

そして、これもまた人より劣る部分を補強するより、得意を伸ばす方が時間も労力も有効に使えるというものでしょう。

考えれば、渡瀬氏も左利きで苦労されている部分があります。

渡瀬けん/著『左利きの人々』(中経の文庫 2009)

その辺のところ、気が付かないうちに反映されているのかもしれません。

私が内向型の人のための営業本を書き続ける渡瀬氏に「付き合い」続け、応援し続ける理由もその辺にあるのかもしれません。

 ・・・

ついでにもう一つ書いておきます。


 ●『週刊SPA!2/28号』の渡瀬記事とこれからの“営業スタイル”

2月21日発売の『週刊SPA! 2012-02-28号
』(扶桑社)に「営業偏差値検定付き [最強の営業力]養成講座」という記事が出ています。
その1ページに渡瀬氏が登場します。

その記事のなかで私の目についたのは、営業マンとお客様は対等の関係である、という点でした。

まず第一歩は、需要の「問い合わせ」であるから、この時点では上下の関係はない。
その後も契約であるから、「卑屈になる必要はないのだ」、といった内容だったかと思います。


以前、私は渡瀬氏に対して、営業のイメージを変える、これからの営業のスタイルを紹介する本を出して欲しい、とお願いしたことがありました。

私自身もそうですが、どうも一般の人は、営業マンに対してあまり良いイメージを持っていません。
口先だけで丸め込まれるんじゃないか、といった先入観がどこかにあります。


製造業の人の中には、商人や営業担当者などは、人様が汗水たらして作ったものを口先一つであっちからこっちに移すだけで儲けている、という人もいます。

まあ、そこまで言わないまでも、どこかしら他人のふんどしで相撲を取るような業種という思いがあるのは事実です。
良い製品を作っているから売れてるのに、オレが売ってやったんだと自分の手柄のように言う人もいる…、と。


買う方にとっても、どこか押し売り的な印象を持っている人もいます。
他人の都合も考えず、いきなり電話して来てグダグダ言う、といったように。

「イメージだけで実際は違いますよ」と言われるかもしれませんが、そういう旧態依然の営業スタイルのイメージがあるのは事実です。

そういうものをこの際、変えてもらいたい。
もっと明朗で健全なイメージの分かりやすい売り方・営業の仕方があると思うのです。

それが実は、渡瀬氏の営業スタイルそのものだ、と私は思っています。

それを是非、本にして世間に訴えて欲しいのです。

 ・・・

話を本書に戻しますと、この本はそういう新しい営業スタイルを勧める本でもあるとも言えるでしょう。

そういう読み方もしていただけるといいかな、と思っています。


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左利きの仲間で友人・渡瀬謙の著書についての記事
(◆印:ビジネス書/□印:口ベタ・あがり症の“内向型”営業マンのための営業本)
◆2013.3.7 渡瀬謙『元リクルートNo.1の 日本で一番"効率"のよい営業法 このムダをなくすだけで、グングン売上が伸びる!』
◆2012.5.23 小さな努力で大きな効果:渡瀬謙『あなたの評価をガラッと変える たった3秒の声がけ習慣』
◆□2012.2.26 克服ではなく付き合う姿勢で:渡瀬謙『「あがり症営業マン」がラクに売るための6つの習慣』
・2011.12.31 雑学文庫フェアで『左利きの人々』が…
◆2011.7.13 渡瀬謙の新刊『相手が思わず本音をしゃべりだす「3つの質問」』届く
◆2011.6.10 流れ星に願い事…渡瀬謙『たった5秒のあいさつでお客様をザクザク集める法』
◆【渡瀬謙/監修『毎日役立つ!もう悩まない!!即効ビジネスマナー』日本文芸社2011.1】
・2011.5.19 週刊ヒッキイhikkii260左利き教本について考える(2)おさらい
◆2011.3.4 新社会人奮闘記ラノベ 渡瀬謙『新入社員ヒロと謎の育成メールの12ヵ月』
◆□2010.6.28 実践で学ぶ本、渡瀬謙『営業は口ベタ・あがり症だからうまくいく』
◆□2010.6.18 渡瀬謙の新著『“内向型”のための雑談術』届く
◆□【『内向型人間の人づきあいにはコツがある』大和出版】
・2009.12.12 今週の週刊ヒッキイ―第201号「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ<特別編>」
 ★左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
第201号(No.201) 2009/12/12「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ<特別編>」
 <特別編>原点に戻って―最初につまずかないこと または、左利き人間の生き方にはコツがある
◆□2009.3.4 お知らせ:友人渡瀬謙の新著「内向型営業マンの売り方にはコツがある」
2008.12.29 左利き本の新刊『左利きの人々』渡瀬けん著

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※本稿は、レフティやすおの他のブログに転載しています。
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2012.02.24

創刊300号:メルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」のお知らせ

先週の無料左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』創刊300号の告知です。

 ・・・

第300号(No.300) 2012/2/18
「創刊300号記念放談」は、
「創刊300号のご挨拶」と「創刊300号記念放談」です。

創刊以来300号の本誌で掲載してきた各コーナーとその内容を簡単に紹介しています。

()内は現在連載中

▲左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ▲(―その19― 左利きとマナー)
━<左利きムーヴメント>宣言!━(レフティ・グッズ・プロジェクト<左手・左利き用品を考える>)
≪左利き学入門≫(■名作の中の左利き■~推理小説編)
<LYグランプリ>
<左利きプチ・アンケート>
―等々。

左利きと「利き(手/側)」についての単なる雑学的な情報ではなく、もう少し中身のあるものを目指してきました。
実際にどの程度のものをお送りできてきたかは、読書の皆様のご判断にお任せします。 

自分としてはまずまずという気持ちでいます。

最高傑作は? と問われて「Next one(次回作)」と答えたというチャップリンのように、私も自信作は次の一号と言いたいところです。

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※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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2012.02.23

学習塾の新聞折込チラシに見る左手書字例-part4

過去に三度同様のものを取り上げて来ました。
さらに求人広告チラシの左手箸を入れますと、同じテーマのものは四度となります。

それぞれの画像と最新画像です。

2008.4.10 学習塾のチラシに見る左手書字の子供
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2009.3.26 学習塾のチラシに見る左手書字の子供-part2
Jukutirasihidariteshoji2009


2011.6.20 塾の新聞折り込みチラシに見る左手書字例
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2009.3.1 求人広告チラシのイラストに見る左利き
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最後に、最新版
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手前の子の左手に黄色いペンが握られています。
向こうの女の子の右手のペンと、まるで「人」という字のようになって見えます。

毎年のように、こういう風景が見られるのです。
昔(私の子供の頃―昭和30年代以前)に比べて、それだけ左手書きの子供が増えている、ということでしょう。

この現実に対して、世の文字を書くことを教えている人たちはどのように見ているのでしょうか。

実際にネットの、習字や書道といった「きれいな字の書き方を教えるサイト」の中には、残念なことに、未だの「きれいな字を書きたかったら字は右手で!」などといった文句を書き連ねているところがあります。
とても残念に思います。

現実から目をそらした事業に明日はない、と思うのですが…。


教師生活23年の経験をもとに親が子供のためにできることを具体的に紹介した、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」の発行で人気を集めた、親野智可等先生の先日出版された著書『うちの子は勉強ができません。どうしたらいいですか?』宝島SUGOI文庫(2006年刊『「親力(おやりょく)」365日! <伸びる子>の土台をつくる毎日の習慣』を改題改訂し文庫化)の第一章には、
「左利きの子に自信を持たせよう」という項目があります。


大いに賛成です。
生きてゆく上で「自信を持つ」というのは大事なことです。

左利きの子供に自信を持たせるには、左利きであることを肯定的に受け入れ、左利きの“力”を伸ばしてやるのが一番だと私は思っています。


勉強に関して言いますと、学問は、まず字を書くことから始まります。

左利きでもきれいな字は書けます。

要は、
(1)「いかに上手く手指を動かせるか」であり、
(2)「きれいな文字の具体的なイメージを持っているか」
(3)「それを再現する努力をしているか」
です。

私が思うに、勉強ができる、何でもできるという自信にあふれた子供への第一歩は、やはり自分らしく生きることです。

字を書くことも含めて、自然の摂理に従って、左利きの子供には左利きの生き方をさせてあげてください。
右利きの子供が右利きのままで暮らしているように。

【追記】2.23 23:05
こうして並べてみて初めて気が付きました。
今年の画像は、「昨年の画像の裏焼き」―もしくは、昨年が「今年の画像の裏焼き」だということです!

チラシ自体を保存していませんので、加工前の元画像を探してみる必要がありますが。
女の子の服装、それぞれのペンの色・デザインから間違いないでしょう。

どういう理由でこういうチラシが製作されたのかは、私にはわかりません。
しかし、どちらにしろ片方の子が「左手書き」であることは事実です。

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※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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2012.02.15

読書の意義を考えさせる短編小説:「クリスマスの教え」トマス・H・クック

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私の読書論-27-初心者のための読書の仕方を考える(12)
最初の一冊の選び方(9) 本選び(選書)の方法 IV
―第75号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2012(平成24)年2月15日号(No.75)-120215-
私の読書論-27-初心者のための読書の仕方を考える(12)
最初の一冊の選び方(9) 本選び(選書)の方法 IV ~


読書の意義、効用については、以前から何度か書いてきたと思います。

今回は、そういう話題にピッタリな小説を紹介しましょう。

一見低俗で何の取り柄もない、単なる時間つぶしの娯楽作品と思われているシリーズもののアクション小説。
しかし、それを読む人も、一見高級そうな人生を考えさせる、深い意味合いを持つ文学作品を愛好する人とも共通する、人生における“何か”を求めているのかもしれません。

そんなことを考えさせる、しっとりとしたクリスマス・ストーリイです。


『ミステリマガジン2011年12月号』No.670(早川書房)掲載の


「クリスマスの教え」The Lesson of the Season トマス・H・クック 府川由美恵/訳
―が、それです。


雪のクリスマスイブに、ひとりでミステリ専門書店<ミステリアス・ブックショップ>の店番をする女性店員ヴェロニカ・クロスの物語です。

彼女は、たった一人の肉親である父を看取った経験のある、恋愛は半ばあきらめ気味の、人生に深みを与えてくれる高級な文学書の読書を好み、本を友とするような趣味の人。
そこに現れた灰色の髪のややくたびれた感じの常連客ハリー・ベンサム。
彼は、いつもペーパーバックの低俗な都会のギャングと刑事の戦いを描いたシリーズもののような、アクション小説本ばかり買う客。

ヴェロニカは、店番をしながら読んでいた本『人間の尺度』の中の“人は誰しも痛みのこだまのなかで生きている”という文章に目をとめる。
不意に、父親を看取った時の記憶がよみがえる…。

そして、ハリーがペーパーバックの棚に自分の人生の答えを求めるかのごとく目をやる姿に思わず声をかける。
だけどペーパーバック小説にいったいどんな答えが期待できるというのかしら》(p.139)という疑問から。

あそこにある俗悪な本のページから、痛みのこだまが立ちのぼってきたり、そのこだまがなぜいまの自分があるのかという大きな謎を解き明かし、自分がいかに前に進むべきか、短い人生のなかに何を求めるべきか、何を捨てるべきかを知らせてくれるなんて、あり得ない。謎(ミステリ)にまつわる本だらけのこの店内で、ヴェロニカにはその謎がほかのどれよりも深いものに思え、答えを求めてみようと思い立った。》(p.139)
そんな彼女の問いに、
「おれにとってはスコッチみたいなもんだ」》(p.139)
と答えたハリーは、若かりし頃のヴェトナム戦争の思い出を語り始める―。

悲惨な戦争体験の中で、彼はヴェトコンの兵士を尋問中思わず射殺してしまうという過去を持っていたのだ。
その時に、上官が渡してくれたのが、そういう一冊のペーパーバックだった。

『こいつを読めば嫌なことも忘れちまうさ』》(p.140)
と。
「自分はこういう人間だと思っていたものが、突然、ちがうものになっていった」...「どんな人間にも忘れたいことはある、そうじゃないか?」》(p.142)
と問いかけるハリー。

一方、彼女も過去に思いをはせる…。
「自分がしたことを」、「取り返しのつかない何か」》(p.143)についてを。

「そうね」ヴェロニカは言った。「確かにそうよ」/ハリーはうなずいた。「とにかく、その本は助けになった」彼は言った。「それ以来ずっと読んでる」》(p.143)

それ以来、彼は、一人毎週土曜日にペーパーバックを買い続けるような客になったということだろう。

彼女は、新しいアクションシリーズものの第一作を彼にすすめる。
帰りの電車の中で、彼女は思う。

みんな同じなんだ、...自分にできる方法でなぐさめを見出そうとしてきてるんだ。》(p.144)
と。
そして、この街や地球に住む人間のことを考える―。
クリスマスが教えてくれたのかもしれない、とヴェロニカは思った。そこにいるすべての人間……それは自分の姿でもあるのだと。》(p.144)


本編は、アメリカのミステリ専門書店<ミステリアス・ブックショップ>のオーナーで、ミステリ研究家オットー・ペンズラーが、毎年クリスマスに顧客にプレゼントするため、ミステリ作家に依頼して書いてもらったクリスマス・ストーリイ、1993年から2009年までの17編を一冊にまとめたアンソロジー"Christmas at he Mysterious Bookshop“から、2003年の一編。
執筆条件は、三つ。「クリスマス・シーズンの話」「ミステリの要素が入っている」「<ミステリアス・ブックショップ>が関係するもの」だという。
(―以上、日暮雅通「解説」より)

トマス・H・クックは、現代アメリカの代表的なミステリ作家のひとり。
1947年にアラバマ州フォート・ペインに生まれ、『緋色の記憶』(1996年)でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長篇賞を受賞。『緋色の迷宮』(2005年)でマルティン・ベック賞とバリー賞を受賞。
 


最新邦訳作品には、『ローラ・フェイとの最後の会話』(ハヤカワ・ミステリ 2011.10.7)があります。

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※本稿は、『レフティやすおの作文工房』より
2011.12.31「読書の意義を考えさせる短編小説:「クリスマスの教え」トマス・H・クック」を転載したものです。
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2012.02.10

2月10日「左利きグッズの日」記念<LYGP>第6回2012:メルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」299号予告

昨日も2月10日は「左利きグッズの日」ですが… で書きましたように、いよいよ本日2月10日「左利きグッズの日」です。

ネットでも「今日は何の日?」といった書き込みであちこちで取り上げていただいています。
左利きを応援するものとしましては、嬉しいの一言です。

右利きの人に便利な道具・機械・システムは、基本的に(右手)右利き用です。

同じように、左利きの人にとって便利なものも、やっぱり(左手)左利き用なんですね。

「(世の中右利きが多数だから)右利き用に慣れるほうがいいのだ」という意見もありますが、当事者の立場で言いますと「慣れる」より「自然」がいいと私は思うのです。

もちろん、「自然に慣れる」ことのできる人はそれでいいと思います。
でも、がんばっても思うように「慣れる」ことのできない人もいるのですから。

「右利きは右利き用、左利きは左利き用の…」という考えは、当たり前と言えば当たり前のはずなのですが、その辺がうまく理解されていないように思います。
この機会にもう一度見直していただければ、考え直していただければ、幸いです。

今週末発行の無料左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』では、2月10日「左利きグッズの日」を記念した<LYグランプリ>の6年目、<第6回 2012>の発表です。

 ・・・

第299号(No.299) 2012/2/11
「第6回<LYグランプリ>2012発表」は、
「第6回<LYグランプリ>2012」読者大賞の投票結果と大賞の発表です。

お楽しみに!

詳細は、明日発行の本誌でどうぞ!

*参照:
第289号(No.289) 2011/12/3
「第6回<LYグランプリ>2012読者大賞候補発表&アンケート」

■「LYグランプリ」とは―
左利きライフ研究家レフティやすおがメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』誌上で、
 2月10日「左利きの日グッズの日」(レフトの日)を記念して、前年最も活躍した、話題になった左利きの人物/左利きに関わる人物、および事物を顕彰するものです。

○●過去の<LYグランプリ>●○
▼第1回<LYグランプリ>2007▼
▼第2回<LYグランプリ>2008▼
▼第3回<LYグランプリ>2009▼
▼第4回<LYグランプリ>2010▼
▼第5回<LYグランプリ>2011▼


※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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2012.02.09

2月10日は「左利きグッズの日」ですが…メルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」298号告知

タイトルにもありますように、2月10日は「左利きグッズの日」です。

日本記念日協会 2月10日・左利きグッズの日

社会生活で左利きの人が感じているさまざまな道具の使いづらさ。それを解消するための左利き用グッズの普及を目指し、左利きグッズを扱う神奈川県相模原市の菊屋浦上商事株式会社が制定。日付は2月10日を0210として「0(レ)2(フ)10(ト)」と読み、レフト=左の発想から。

*参照:
@nifty:デイリーポータルZ:風雲!2月10日は左利きグッズの日になりました
菊屋浦上商事株式会社
2008.12.28 2月10日は左利きグッズの日、日本記念日協会で認定される

左利きの人のために左利き用品の普及をはかる記念日です。

私は36歳のとき、左手・左利き用品を使って初めて、普段右利きの人がいかに楽をしているのか、いい思いをしているのか、の一端がわかりました。

例えば、ハサミ―。

私は「バカとハサミは使いよう」という言葉をそのまんまに受け止めていました。
「バカもハサミもそのままでは使えない。使い方が難しいものである。それでも、うまく使えば、使えるものになる。」という意味に。

でもそうではなく、ハサミというものは、手に合ったものなら「簡単に切れる。切り取り線も見ながら切れる。刃と刃と間に挟んでしまったり(だから「ハサミ」と言う名前のだと思っていました!)しない。便利なものなのだ。」と知りました。

左手・左利き用品は、そういう左利きの人の優しい友だち、強力な味方なのだ、と。


でも、ちょっと待ってください。
中には、勘違いしている人もいるようです。

「左利き用品は、欠陥商品だ」とか、「左利きには使いにくいものだ」という人がいるのです。

また実際に、これで本当にいいのか、と思わせる製品があることも事実です。
一応左利きの人の使用を想定しているらしいのですが、本当のところはどんなんだろうかと思わせるようなものもないわけではありません。

先週の無料左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』では、そういう問題について考えるコーナー<左手・左利き用品を考える>を始めました。

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第298号(No.298) 2012/2/4
「レフティ・グッズ・プロジェクト<左手・左利き用品を考える>第1回」は、
ズバリ先ほども書きました【「左手でも切りやすいハサミ」とは?】です。

この『お茶でっせ』で昨年の末に書きました「スコッチ キッズシザーズ」の場合を手始めに、ある工業大学の学生さんの研究「利き手に合わせて使える文房具の製作」からも、同じようなハサミの問題を取り上げています。

2011.12.23 左手・左利きに優しくない!?学童用はさみ「スコッチ キッズシザーズ」住友スリーエム

詳細は本誌でどうぞ!

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※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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2012.02.08

左利きでも万年筆は使えます。『レフティ生活 万年筆編』―左手書字の研究

しばらくぶりで、左手書字について書いておきましょう。
あまりにもほったらかしですからね。

(前回の【左手書字考】-左手で字を書くために(その3)-の記事)
2011.4.21 左手で(それらしい)字を書く方法(左手書字考)1ペンを持つ手の構え

左手書字研究ファン(?―そんな人おるんかい!? ファンとは呼ばないでしょうけれど、必要とする人は少なくないようです。)の皆様にお役に立つだろうサイトを紹介します。

「左利きでも万年筆は使えます。」という「Mag」さんのサイトです。

『レフティ生活 万年筆編』

左利きで万年筆を快適に使うための情報を掲載中!
というものです。 ブログもあります。 左利きで使う万年筆情報
左利きの管理人が使う万年筆の数々を紹介するブログです


この「Mag」さんのサイト『レフティ生活 万年筆編』を見てゆきますと、
左手で万年筆を使って字を書く方法には、二つの方法があることがわかりました。

【左手で万年筆を使って字を書く方法】

(A)(左手で書くために作られた)左利き用万年筆を使う
(B)(左手で書くのに不都合が起きないような)持ち方を工夫する

これは、万年筆に限らず、どんな筆記用具でも言えることではないか、という気がします。

要するに、次の二つの方法でしょう。

【左手で字を書く方法】

(a)左手でも書きやすい筆記具を選ぶ
(b)持ち方を工夫する

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では、サイトのほうを見てゆきましょう。

まずはご自分で使っておられる万年筆の紹介から。

「左利き用」としては、「プロフィット21レフティ」をお持ちのようです。

・セーラー万年筆 レフティ(左き用) プロフィット21 細字(F) 11-2023-220

でも、今ではどんなものでもそれなりに使えるようになられたご様子。

それには一つの秘訣があります。

それはご自身が苦心の末に“開発”し、身に付けられた方法です。
それは「持ち方を工夫する」方法です。

ブログでも書かれていますが、私なりにまとめますと、従来の左利きの人の場合の代表的な持ち方としましては、

(1)右手の持ち方のオーソドックスな持ち方の裏返し―鏡像である持ち方。
(2)横方向から押し書きするような持ち方
(3)手首を曲げ、巻き込むような鉤型の持ち方

があります。

それぞれ、時計の針に見立ててだいたいの目安として、右手標準型を「5時」、その反転した鏡像である(1)を「7時」(2)を「9時」(3)を「11時」といったふうに呼ぶことにしましょう。

管理人のMagさんの研究によりますと、ペンを持つ軸方向が(ペン先を中心にして)、
数学用語で言いますと、第一象限(時計の針の位置で、0時(12時)から3時)から左回り(時計と逆回り)に、第二(9-12時)・第三(6-9時)・第四象限(3-6時)へと進むにつれて、「文字は書きやすくなる」というのです。

左利きの人の持ち方で言いますと、(3)「11時」より(2)「9時」、(2)「9時」より(1)「7時」、(1)「7時」より右手標準型の「5時」となります。

これが重要なポイントでしょう。

この「最も書きやすい位置」というのが、「右手でペンを持つ位置」だという事実です。

これが「文字は右手で書きやすくできている」と言われる所以でしょう。


そして、Magさんはこれを発見し、この方向にペンを持つ持ち方を訓練し自分のものにされた、というわけです。

左手で自然にペンを持ちますと、「/」こういう角度になります。
逆に右手で持ちますと、「\」こういう角度になります。
そうではなく、左手でペンを「\」こういう角度に持つということです。

この持ち方は、単に万年筆での書字に有効というだけでなく、ボールペンといった他の筆記具でも効果がある、ということです。
これは知っておくとよいでしょう。

ただし、この方法は通常の持ち方とは大きく異なりますので、身に付けるまでにかなりの訓練が必要とのこと。
その点はお含み置き願いたいものです。

 ・・・

私の推奨するものとの一番の違いは、指先の動きで書くのではなく、「手」で書くのだ、という点でしょう。

私なりに説明しますと、「ペンを持つ手の指を動かすのではなく、ペンは手に固定したまま腕を動かす」書き方です。
ゲームセンターのUFOキャッチャーの位置を変えるように、手を腕ごと移動させるイメージでしょうか?

私が従来おススメしているものは、
時計で言いますと、「6時」に近い方向―正確には「6時から7時までの間で、限りなく6時に近い位置」にペン先を持ってゆきましょう、ということです。

そして、基本的には指の屈伸を使って書く
(もちろん大きく見れば、身体全身・肩から先・肘から先・手指を総合的に使って、ということですが。)

横画は、ペン先を右横に押すのではなく、横に滑らせる感覚で書く、ということです。

図示しますと―

 ⇒ ⇒ ⇒(横に滑らせる感じ)
↑ ↑ ↑(ペン先の方向:「6時」)

*参照:『レフティやすおの左組通信』
左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論 4―
左手で字を書くために(その2)実技編―レフティやすおの左利き私論 4―

因みに私が愛用している万年筆は、「PARKER 45 CT」の左手用。

普通のものは、ペン先の紙に接する部分が「点(・)」です。
これはペン先が(/)のように左側に斜めにカットされている(left-handed nib)ため、左手でペンを左斜め「/」(「7時から8時ぐらい」)の角度で持つと、接する部分が「横線(-)」になります。
「横線(-)」の状態で接しているため、左から右へ押すように書く横画でも、そのまま横に滑るようにスムーズに書き進めることができます。

ただし、接する部分が「横線(-)」のため、縦画は「横線(-)」の幅だけ太くなります。
ちょうど「明朝体」の文字のように、横画は細く、縦画は太いものになります。


他にも、ペリカンのLタイプ(左手用)やその他のメーカーの廉価版の、多分子供の練習用と思われるものを持っています。
これは、左手の親指・人差し指・中指の三本指で保持するときの位置が自然と身に付くように、くぼみがつけられています。
ペン先も微妙に傾いているように思います。

ヨーロッパはやはり万年筆の文化のお国柄のせいか、子供の練習用に廉価(1500円程度でしょうか)な万年筆が売られています。
そして、当然のごとく左手用も用意されています。
この辺はやはり文化の違いを感じさせます。

(画像:左からPelikano、Platignum、愛用のパーカー万年筆とそのペン先拡大図)
Lh_fpen_2


*参照:『レフティやすおの左組通信』
左利きphoto gallery〈HPG6〉左手/左利き用文房具(筆記具・定規・その他)

・NewペリカノJr.Lタイプ(左利き用) ブルー
・NewペリカノJr.Lタイプ(左利き用) レッド
 


 ・・・

私の方法とは若干の違いはありますが、方向性としましては、ペン(筆記具)の方向を右手で書く時の方向に近付けよう、ということです。
そのために具体的に採る行動には違いが出ています。

今のところ、左手書きに「この書き方が正しい」というものはない、と思います。

みな試行錯誤しながら、ふさわしいと思われる方法を模索している、というのが現状です。

なぜ未だにそういう段階かと言いますと、「書」や「習字」といった字の書き方に関するお偉い先生方が「字は右手で書くものだ」という固定観念にとらわれて、右手で書く方法しか研究して来なかったからです。

仕方なく、私のような素人がない知恵を絞って考えたり、あるいは、この方のように独力で工夫して自分なりの方法を編み出したりしている最中なのです。

ぜひ、専門家であるお偉い先生方のお知恵を拝借したいものです。


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※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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2012.02.02

最良の処世訓『イソップ寓話』―または古典の価値

―第74号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2012(平成24)年1月31日号(No.74)-120131-最良の処世訓『イソップ寓話』

今回は、古代ギリシアの文学から、<イソップ寓話>を取り上げました。

古代ギリシアの文学と言いましても、フランスでは17世紀にラ・フォンテーヌ『寓話』の中に取り込まれたり、日本でも16世紀、安土桃山時代に天草のキリシタンによって「イソポのハブラス」として日本語に翻訳され、江戸時代も幾つもの読み本となったり、明治以降も教科書に取り入れられたり、と様々な形で知らず知らずに社会に受け入れられてきました。

今回改めて読むほどに、人間というものは、相も変らぬ存在だということを認識させられました。
多分皆様の印象も同じでしょう。

ここに古典の価値があるとも言えるのです。

古典を読む価値がある、と。


「現代の問題は、現代のものを読まなければわからない」というのは、一つの真理ではあります。
しかし、主役の人間が相も変らぬ存在であれば、舞台背景や時代背景だけが変わっても、結局演じる内容はさほど変わらないのではないでしょうか?

観客もまた同じでしょう。
同じネタに笑い、同じ場面で泣く。

古典と呼ばれる著作は、長い年月を越えて伝えられてきたもので、各世代を超えて多くの人の心に訴えるものを持っていたからです。

それは人の心の根底にひそむ根源的な思いというものが、大なり小なり表現されていたからこそでしょう。


野球で言えば、実績を残した偉大なプレーヤーだということです。

記録を残した人、記録よりも記憶に残る人などなど。
いつの時代にも各世代が支持する代表的な選手がいるでしょう。

そして、それらの選手の中でもさらにひと際この人はスゴイと言われる選手がいるはず。
そういう選手こそ、<古典>と呼ぶに匹敵する選手だということなんですね。

本の場合は、そういう選手ならぬそういう著作を指して<古典>と呼ぶのです。


*本誌で取り上げた本:
● 原典【現代訳】
『イソップ寓話集』中務哲郎/訳 岩波文庫 1999.3.16
―第11部まで471編を収録。ベン・エドウィン・ペリー『アエソピカ』のうちギリシア語の寓話を全訳したもの。シャンブリ版、その他の版、邦訳本との対照表が巻末に付されている。

【旧訳】
『吉利支丹文学集2』新村出・柊源一/校註 東洋文庫570 1993.10
―後半に「イソポのハブラス」を収録。「イソポが生涯の物語略」というイソポ伝の略から始まり、「イソポが作り物語の抜き書」として70編が収録されている。外国人宣教師の日本語の教科書として用いられたといわれ、当時の口語文をローマ字筆記したもの。
『絵入り伊曽保物語を読む』武藤禎夫/著 東京堂出版 1997.9.30
―万治二年刊『伊曽保物語』天保十五年刊『絵入教訓近道』明治二十年刊『密画挿入 伊曽保物語』から、絵入りイソップ物語を。

●<イソップ寓話>について書いた本
『人間力(にんげんりき)』谷沢永一/著 潮出版社 2001.4.5
―「人間力」としか呼べないような存在感を持つ人がいる!―そんな人間力の秘密に迫るエッセイ集。

ラ・フォンテーヌ『寓話』〈上〉 (岩波文庫)


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※本稿は、『レフティやすおの作文工房』より
2011.12.31「最良の処世訓『イソップ寓話』―または古典の価値」を転載したものです。
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