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2006.06.28

赤ちゃんの利き手―産経新聞・新赤ちゃん学・右利き左利き

Achangakumigihidari
2006年6月27日の産経新聞朝刊<生活>面の「新赤ちゃん学・国際学会、日本へ(12)」「右利き左利き」がテーマになっていました。

以下、記事の紹介です。

 ・・・

米ノースカロライナ大学グリーズボロ校ジョージ・F・ミッシェル教授は、赤ちゃんの利き手を調べている。
教授の研究方法は、「利き手とは、手を使うときの好み」と考え、赤ちゃんがおもちゃで遊ぶ様子を観察し、手の動きを分析する。
7,9,11,13カ月の赤ちゃんにおもちゃで遊んでもらい、どちらの手を頻繁に使うか、どちらの手の方が複雑な動きができるか、といったことを観察する。

57パーセントの赤ちゃんに使う手の好みがあった。
41パーセントが右手、16パーセントが左手。
新生児は潜在的に右利きの傾向が強いという研究結果もあり、やはり、人間には右利きが多い。

「実はこの傾向はヒトに特有のものなのです」と教授はいう。
チンパンジーなどに比べて、ヒトは右利きに偏った分布を示す。

しかし、発達にしたがって利き手は変化している。

「利き手といってもはっきりと右、左、と分けられるものではない。右の傾向が強い、やや右傾向、どちらともいえない、左の傾向が強いなど、その度合いの強弱があります」

成長にともなって右傾向が強まったり弱まったりもする。
そこには社会的、環境的な要因が影響している、と考えられる。

両親の利き手との関係を調べてみた。
母親が右利きだと子供はどう変化するか。

7ヶ月の時に右傾向の強かった赤ちゃんは、11ヶ月の時点ではさらに右傾向が強まっていた。
逆に左傾向の強かった赤ちゃんでは11ヶ月の時点では、その傾向が弱まっていた。
明らかに親の利き手の影響を受けていた。

「右利きがいいとか、左利きがいいとか、そういうことはまったくありません」

どちらかの利き手のほうが、何かの動作をやりやすいということはあるかもしれないし、文化的にどちらかの利き手を重視することがある。
たとえば日本では右手に箸を持たせるようにしつけていた。

「文化的な規範は時代とともに変化します。こだわらずに、赤ちゃんにはやりたいようにやらせてあげてほしい」

みんな、いろいろ。ひとりひとり違っているからこそおもしろい。

 ●産経新聞2006.6.27朝刊<生活>面「新・赤ちゃん学/国際学会、日本へ(12)/右利き左利き 【見出し】個々の好み+周囲の環境」(岸本佳子)より

 ・・・

*
子供の利き手がいつ頃から明らかになるか、あるいは子供の利き手はいつ頃決まるのか、といったことがよく話題になります。

従来よく言われるのは、子供が3歳ぐらいになるとおもちゃやスプーン等のものや道具をどちらかの手でよく使うようになリ、これが利き手に気付く始まりだろう、ということです。

そして、学者の研究でも8歳ぐらいで完全に利き手が固まる、といわれてきました。

もちろん利き手といっても、実態は、この新聞記事の中にもありましたように、実際に使う手の偏りの傾向を表すものです。

右利き左利きといっても、スイッチをオン・オフするような、列車の線路のポイントを右に左に切り替えるような、明確なものではなりません。
中央分離帯のない道路のどの辺を通るかといったようなものでしょう。右に寄る人、左に寄る人、真ん中を行く人…。

以前(2004.09.19)、「ヒトにはなぜ利き手ができたか」 で、 ヒトという種は右利きが標準にできているようだ、といった内容の記事を書きました。

今回の赤ちゃんの利き手の調査でもそれが証明されたように思います。

この教授の調査方法こそ、より実態に近い利き手調査のあり方ではないでしょうか。

従来行われてきた利き手調査の方法としては、自己評価に基づくものや、こういうときにどちらの手を使うかといった一定の質問に答える調査票によるものがあります。
しかし、これでは、外的な要素すなわち学習や訓練による影響が非常に大きくなってきます。

一番ふさわしいのは、日常の行動の中での自然な動作をつぶさに観察し、使用頻度や器用さなどを見るものだろうと考えます。

そういう意味でこの教授の方法は、手間は掛かるけれど、より真実の値に近い結果が得られるのではないでしょうか。

とはいえ、こういう基本的な傾向の上に、人間には環境適応能力のような、利き手という「才能」の枠の中でそれぞれの側の「能力」が発揮される、ということも明らかになったようです。

簡単なことであれば、親(外的な環境)の影響で多少の変化はある、ということでしょう。
これは、左利きの人たちがその生活のなかで自然に右手を使うことを身に付ける、という現実を思い起こせば納得の行くところです。

しかし、これは、あくまでもその傾向が「弱まる」とか「強まる」といったことであって、利き手を「変えられる」といったものではありません。

利き手を変えることはできません。生まれつき決まったものだからです。赤ちゃんのときから芽生えているのですから。くれぐれも勘違いなさらぬように―。

※「新・赤ちゃん学」関連記事:
「お茶でっせ」版 「新生活」版
2005.03.06
左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ―その5・子供の良き味方、心の支えになろう―
・『左組通信』
左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ―レフティやすおの左利き私論 3―

【追記】2012.2.29
*利き手と左利きの研究に関する本:
(日本)
『左対右 きき手大研究』八田武志 化学同人(DOJIN選書 18) 2008.7.20
―1996年11月刊『左ききの神経心理学』以降、世界で研究された成果を一般向けに読み物とした本。
(イギリス)
『非対称の起源 偶然か、必然か』クリス・マクマナス/著 大貫昌子/訳 講談社ブルーバックス 2006.10
―20年にわたる利き手・左利き研究の成果をまとめた本。
(世界)
『「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎』デイヴィッド ウォルマン/著 梶山 あゆみ/訳 日本経済新聞社 2006.7
―自身左利きの科学ジャーナリストが、左利きの謎に挑み世界を駆けるサイエンス・ノンフィクション。
  

*左利きの子供のための本:
『左利きの子 右手社会で暮らしやすくするために』ローレン・ミルソム/著 笹山裕子/訳 東京書籍 2009.4
―今までの日本になかった、イギリスの有名左利き用品専門店オーナーによる、左利きの子供を持つ親・先生へ向けた、左利きの子の生活支援のための手引書。


※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載して、gooブログ・テーマサロン◆左利き同盟◆に参加しています。

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