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2004.11.30

すべってしまった第10回左利きアンケート

今『レフティやすおの左組通信』で第10回左利きプチ・アンケート「過去のアンケートで最も興味深いのは何ですか」を実施しています。

今回は、第10回記念として今までに実施してアンケートの中で最も興味深かったもの、あるいは興味深いものということで、投票をお願いしています。

ところが、これがまったくの空振り状態です。過去のアンケートでは、少なくても20人前後の投票をいただいていましたが、今回は3週間をすぎてもまだ7件です。

自分ではけっこうおもしろいものになるかと期待していたのですが、意外にも大空振りでした。

常に目新しいことをやれということでしょうか。

期間は4週間と決めていますので、一応、今週末で締切になります。
残り少なくなりましたが、最後のお願いをしてみようと思います。


=第10回左利きプチアンケート:過去のアンケートで最も興味深いのは何ですか

以下にあげる9回のアンケートの中で最も興味深かったものはどれでしょうか。
過去のアンケートの詳細をご存じでない方は、題名を見てこれはと思うものをひとつ選んでください。
(今回は利き手別投票ではありません。)

1 左利きのイメージ調査 (左右利き手別投票)投票総数:43(右利き10/左利き33)
2 左利きで困ったこと(物理的バリア編)  *(左右利き手別投票)投票総数:41 
3 左利きの子に右手使いを試みるべきか否か (左右利き手別投票)投票総数:54(右:8/左:44) 
4 貴方の好きな左利きの呼び名は何ですか? (左右利き手別投票)投票総数:40(右:6/左:34)
5 左利き?と思うのはどんな仕草ですか            投票総数:31  
6 生まれ変わってくる時は右利きor左利き? (左右利き手別投票)投票総数:25(右:3/左:22)
7 左利きでも字は右手で書くべきか?    (左右利き手別投票)投票総数:17(右:3/左:14) 
8 左と右を間違うことがありますか     (左右利き手別投票)投票総数:22(右:7/左:15)
9 左手(左利き)用ハサミを知っていますか (左右利き手別投票)投票総数:23(右:5/左:18)

投票はこちらで↓
『レフティやすおの左組通信』第10回左利きプチ・アンケート「過去のアンケートで最も興味深いのは何ですか」

*** 過去に実施したアンケートについて *** 
(アンケート内容、結果報告、投票者のご意見へのコメント等々の詳細は「レフティやすおの左組通信」内のそれぞれの「左組通信」1~4のページをご覧ください。)
・「表紙」>「目次」>「左組通信」1~4、
・「表紙」内アンケート下欄/過去に実施したアンケートの「左組通信」1~4 >「左組通信」1~4

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2004.11.28

ほのぼの児童文学『元気なモファットきょうだい』

『元気なモファットきょうだい』エレナー・エスティス THE MOFFATS(1941,1969) 渡辺茂男訳 岩波少年文庫115 1988.11.18第一刷、2004.5.18新版第一刷 小学5・6年以上

以前紹介した『すえっ子のルーファス』(11.5記事「左利きの本だなぁ:児童文学編『すえっ子のルーファス』は左利き」)のシリーズ、"モファットきょうだい物語"三部作の最初の一冊。

ニューダラー通りの黄色い家に住んでいた時代の物語。二女ジェーン9歳を中心に、すえっ子ルーファス5歳、長男ジョーイ12歳、長女シルビー15歳、洋服の仕立てで一家の生計を立てる未亡人のママ、飼い猫キャサリンの一家の明るく愉快な日々を描いた物語。ちょっと貧しい生活かもしれないけれど、負けずに元気に育つ子供たちの生き生きとした暮らしぶりが12のエピソードからなる楽しい読み物になっています。

『ハリー・ポッター』のような、現実離れした夢あふれるファンタジーも楽しいけれど、日常のありふれた出来事に一喜一憂する家族の物語はとても心打つものがあります。

貧しさも昔語りになればそれはそれで楽しめるものです。
ランプや馬車や石炭ストーブなど、一昔前の風俗が出てきます。
発表当時既に昔話として語られているお話です。

でも変わらぬもの、それはやはり人の心、子供の心です。
そして、子供たちのちょっとした遊びです。遊びの本質は変わりません。

おまわりさんが怖かったことはありませんか? 初めてゆく学校は? お使いのお金をなくしたことは? いじめっ子をぎゃふんといわせたかったのでは? 電車に乗るときは一番前で運転士さんの仕草を見ていたのでは? 引越しの楽しみと寂しさは?

そんな普遍性に満ちた、元気な子供たちのなんということもない、ほのぼのとした生活物語です。


モファットきょうだい物語シリーズは、「レフティやすおの本屋」支店「こどもたちの世界」本棚「アメリカのこどもたち」で紹介しています。
第一作・2004.11.28 ほのぼの児童文学『元気なモファットきょうだい』
第二作・『ジェーンはまんなかさん』
第三作・2004.11.05 左利きの本だなぁ:児童文学編『すえっ子のルーファス』は左利き
第四作・2005.02.22 エレナー・エスティス『モファット博物館』


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2004.11.26

「利き手(左利き)の矯正」という言葉の使用について

以前、4.2 「(左利きの)矯正」を死語にしよう
4.7 再び「(左利きの)矯正」を死語にしよう―生きた言葉として使わないようにしよう等で書いていますが、既に半年がすぎているので改めて引用を中心に書いておきます。

まず左利きに関する研究書から科学者の意見を抜書してみましょう。
7.26 朝日新聞7.24「疑問解決モンジロー/左利きは生活しにくい?」
でも登場された八田先生の著書から―

『左ききの神経心理学』八田武志(医歯薬出版)(サイドバー「左利き関連書」参照)
第7章 きき手の変更/2 きき手を変える理由より

きき手を変えることは、普通きき手の矯正といわれる。矯正という語の意味を広辞苑で調べると、「欠点を直し、正しくすること」とある。つまり、この矯正という言葉を使ってきき手の問題を話すときには、すでに左ききはよくないもの正しくないもので、左ききは欠点であるという考え方が前提となっている。単に左手の使用を右手使用に変更するという意味だけではないのである。

*
10月24日の産経新聞の朝刊第一面に「大丈夫?国語力」と題して、「メディア教育開発センター」小野博教授(コミュニケーション科学)の調査が出ていました。「4年制私大生 2割が中学生レベル」だというのです。
「憂える」のみを3人に2人が「喜ぶ」と回答したなど、いくつかの例が挙げられている。
最近の若い人(必ずしも若い人だけに限らぬが)には日本語の意味がわかっていないのではと思われる人が少なくない、と私は感じていたのですがまんざら見当はずれではなかったようです。

かく申す私も漢字に関しては今ではワープロ・ソフトにおんぶに抱っこ状態です。
しかしできる限り辞書機能を使って確認するようにしています。
確かに漢字を書く能力は落ちてはいるとしても、まだまだ漢字の意味を理解する努力は重ねているつもりです。

*
さて、どうしてそのような話題を出してきたのかというと、「矯正」という言葉も、若い人たちにすれば、単に「きょうせい」や「キョーセイ」「kyousei」だったりして、その意味は単純に「変える」という言葉だろうぐらいにしか受け取られていないような気がするからです。

しかしそれは誤りです。

確かに声に出して言うときには漢字の持つ言葉の意味は感じられないかもしれません。しかしひとたび漢字に変換されて「矯正」となれば、それは漢字の持つ意味が付与されてひとつの言葉としての意味がより厳密に明確になります。
もはやそこには、単なる「変える」といった意味はなく、辞書(三省堂大辞林)によると「欠点などを正しく改めさせること。まっすぐに直すこと。」といった意味になります。
用例として普段よく使うのは 「視力矯正」「歯列矯正」だし、他には「非行少年を矯正する」と言う例もあるのです。

その昔は少年院を「矯正院」と呼んだと言います。

矯正の「矯」という字は「た・める」と読みます。「矯める」とは同じく辞書(三省堂大辞林)によると、

(1)木・竹・枝などを、曲げたりまっすぐにしたりして形を整える。
「枝を―・める」「角(つの)を―・めて牛を殺す」
(2)悪い性質やくせなどを直す。矯正(きようせい)する。
「―・め難い不親切や残酷心はまさかにあるまい/行人(漱石)」「クセヲ―・メル/ヘボン(三版)」
(3)目をすえて見る。じっと見る。
「―・めつすがめつ」「清葉の容子(ようす)を最(も)う一度―・めて視て/日本橋(鏡花)」
(4)弓・鉄砲で、ねらいをつける。

という意味です。

(2)の項目にはっきりと、「悪い性質やくせなどを直す。矯正(きようせい)する。」と出ています。

*
そこで、もとに戻って、「利き手(左利き)の矯正」という言葉です。

八田先生の著書にもあるように、明らかにこれはかつての「左利きは行儀の良くない習慣、悪癖である、正すべきものである」という考えに基づいて使用されてきました。
しかし現代では、明らかにその考えが誤りであり、生来の個性であり、尊重されるべきものであると考えられる時代になっています。
それにもかかわらず、理解の十分でない一部の人たちによってこの言葉が何気なく使われています。

私はこの事態を放置しておくのはよろしくないと考えています。
そこで今までにも何度か訴えてきました。言い換えの方法も考えてみました。
なに、そのまま単純に「右手を使う、右手使いに変える」といった言葉を使えば済む問題なのです。
それをわざわざ「矯正」などという言葉を使って、左利きを貶めるような表現をする必要はないのです。

こんなことを言うと、反発されるかもしれませんね。

しかし「私はそういうつもりでは使っていません」と言ってみても、この言葉を少なくとも漢字で使ってしまえば、そういう意味を持って使ったとみなされても仕方ありません。
知らなかったとすれば、そのような批判を受けても甘んじなければならないでしょう。知らなかった自分が悪いのですから。

*
というわけで、この言葉は、かつてそのような意図の下にそのような行為を受けたという人がそのような行為について語る場合をのぞいて、「利き手(左利き)を変える」―これも、より正しくは「使い手を変える」と呼ぶべきでしょう、なぜなら利き手は変えられないものだからです―という意味で使うのは辞めるべきであると考えます。

本日の結論
左利きにおいて「矯正」という言葉は誤用であり、使わないようにしましょう!

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2004.11.23

写真で歩く暗越奈良街道、東大阪市域に入る

私のサイト『レフティやすおの左組通信』内、やすおのページ〈暗亭〉の「写真で歩く暗越奈良街道」もようやく「1・大阪市域」を出て「2・東大阪市域」に入ります。

bunkiten.jpg

写真の現場は、大阪市内から伸びる産業道路が旧街道と分岐するところです。
向かって左側の広い道路が大阪市内の笠灯籠型道標の地点からここまでたどってきた産業道路です。そして、向かって右側の細い道が旧街道です。

これから東大阪市域内を歩くことになります。
この旧街道は、向かって右手(南)側が現東大阪市域で、左手(北)側が現大阪市域にあたり、市境となっています。その昔は、南側が河内の国、北側が攝津の国となっており、国境でありました。

この後近鉄布施駅の歩に続く商店街の通りを渡り、すぐの細い道を北に曲がります。
そして再び産業道路に出ます。
これからの道のりは、幾度となく産業道路を縫って、北に南にくねくねとところどころ残っている旧街道筋を歩きます。

いくつかの古い道標や史跡などをたどりながらいっしょに歩いて見ましょう。
いつ終わる旅になるかはわかりませんが、お付き合いください。

「大阪市域」もさらに細かな情報を付け加えながら、随時周辺散策など史跡を追加し、「写真で歩く」が看板倒れにならぬよう、雰囲気漂う風景をスナップして行くつもりです。

*
「写真で歩く暗越奈良街道」
1・大阪市域
2・東大阪市域

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2004.11.21

クリスティー文庫全100巻完結!

昨年から刊行が開始された早川書房クリスティー文庫全100巻が、11月18日発売分で完結しました。

今月発売分は、クリスティーの生んだ二大探偵の最後の事件2点、ポアロ『カーテン』、ミス・マープル『スリーピング・マーダー』、短編集2点、"神秘の探偵ハーリ・クィンの活躍"『謎のクィン氏』、"本国では慣例の「クリスマスにはクリスティー」"『クリスマス・プディングの冒険』、"クリスティーのビギナーとマニアにおくるハンドブック"2点、早川書房編集部・編『ビジュアル版アガサ・クリスティー99の謎』、われらがアガサ・クリスティー・ファンクラブ会長、数藤康雄・編『アガサ・クリスティー百科事典』、です。

文庫本より少し大きめサイズで、活字も大きめ、新訳も含めて、非常に読みやすいものになりました。従来の真鍋博画伯のイラスト表紙がお気に入りだった方には少しさびしいものになってはいますが、統一されたカバーも雰囲気は上々です。

私の老後は読書三昧で過ごしたいと思い、いくつかの本を大切に保存してきましたが、このクリスティー文庫は格好の的となりました。

過去に読んだものはまだ40冊ぐらいのはずで、半分以上はまったくの手付かずのままです。昔の記憶も薄れていますし、ほとんど白紙の状態で読むことができるでしょう。

縁側に腰掛けて日向ぼっこしながら、番茶にせんべいやおかきも良し。ウッドデッキでロッキングチェア、テーブルには紅茶と何とか言うお菓子でも良し。
寒くなれば掘りごたつに足を突っ込んで、あるいは暖炉の前で…。

かつてイギリスのクリスティーの版元の出版社では「クリスマスにはクリスティーを!」といってクリスマス・プレゼントにクリスティーの本を贈るキャンペーンを実施していました。
そんな出版社に応えるように晩年になってもクリスティーは毎年優れた作品を書き続けていました。

テレビでは今、クリスティー原作のアニメも放映中です。
今年はぜひ貴方も「クリスマスにクリスティー」の本をプレゼントされてはいかが?

*
私のおすすめクリスティー作品
<名作編>
アクロイド殺し(名探偵ポアロ)
オリエント急行の殺人(名探偵ポアロ)
ABC殺人事件(名探偵ポアロ)
ナイルに死す(名探偵ポアロ)
そして誰もいなくなった(ノン・シリーズ)
<最初の事件>
名探偵ポアロ:スタイルズ荘の怪事件
ミス・マープル:火曜クラブ(短編集)牧師館の殺人(初長編)
<最後の事件>
名探偵ポアロ:カーテン
ミス・マープル:スリーピング・マーダー
<マイ・フェイバリット>
茶色の服の男=初期のノン・シリーズの青春冒険ミステリ
親指のうずき=老境に入ったトミーとタペンスの冒険
謎のクィン氏=ミステリアスな探偵クィン氏の推理短編集

*
参考サイト
早川書房
早川書房 アガサ・クリスティー日本オフィシャル・サイトCHRISTIE TIME
アガサ・クリスティ・ファンクラブ

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2004.11.19

goo ブログ 左利き同盟

昨夜(11月18日)知ったのですが、gooのブログ・サービスで、「左利き同盟」なるサロンが開設されています。
10月24日からで、既に32件ほどの記事が出ていました。

最近投稿のあったテーマ ・◆左利き同盟◆(32)

goo ブログ > テーマサロン > その他暮らし > ◆左利き同盟◆

「永遠のマイノリティ、【左利き】について語り合ってみませんか。
■主な話題(例)
・左利きのメリット・デメリット
・左利きが器用ってほんと?
・左利きの矯正について
・左利きの有名人
・ただの酒呑みですが何か
・右利きから見た左利き
・私の彼は左利き
・その他もろもろ
自動改札を通るときは、クールに上半身をひねってみよう! 」

左利きをテーマにした記事を書いてトラックバックしよう、という呼びかけのようです。

gooブログの部外者ですが、左利きをメイン・テーマにしたホームページ「レフティやすおの左組通信」やウェブログ「レフティやすおのお茶でっせ」をやっている私には興味があります。
まだ個々の記事を拝見していませんが、おもしろそうなので紹介しました。
こちらをご覧の方で、実際に参加されている方がいらっしゃるでしょうか?

このgooテーマサロンは、goo ブログ以外からのトラックバックも大歓迎、とのことさっそくトラックバックしてみます。

*
さて、この「―お茶でっせ」で利用しているココログのみならず、各社のブログ・サービスなど見ておりますと、けっこう左利きの話題が出ています。
ホームページよりとっつきやすいこと、日記感覚で色々な話題を書けるということで、左利きもそのテーマのひとつということでしょうか。

十人に一人は左利きということですから、それなりの人数の人びとがいるわけです。
左利きの人なら皆、否応なしに一生に一度は左利きについて考える機会があると思います。
右利きの人でも身内に左利きの人がいる方は、左利きについて考えることがあるでしょう。
テーマとしても話題の種は尽きないと思います。

それらの中から、さらに突っ込んで左利きの問題に建設的に取り組む人が出て来て欲しいな、と私は願っています。

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2004.11.17

左利き文化史年表の試み

前々から「左利き文化史年表」といったものがあればいいなぁ、と思っています。
左利きに関する文献だけでなく、社会現象なども含めたもの。

たとえば、こんな時期にこういう本が出ていたな、とか、この頃に左利き用の道具○○が発売された、といったこと。
あるいは「わたしの彼は左利き」のヒットした年は? とか、どん兵衛の山城新吾さんと川谷拓三さんとの左利きコンビのCMはいつだったか、とか知りたいことがあったりします。

また、自分の体験からこの時期から左利きに対する風当たりが変わったなとか、いろいろ考えることがあります。

そこで、左利きにまつわる様々の事柄を年表式に記載したものがあると便利じゃないか、と思うのです。

まあ自分でできる範囲で、ということで『レフティやすおの左組通信』で「レフティやすおの左利き自分史年表」というものをこしらえて、それらしいものを作っています。

そこではどうしても自分が関与した事柄や出来事が中心になります。
そうではなく、もっと広く社会全体の動きを記録に留めて置けたらなぁ、と考えています。

『クラブレフティ』のサイト管理者、大路直哉さんのお書きになられた本『見えざる左手』(サイドバーの「左利きのサイト」および「左利きの本」参照)には、そういう明治以降の日本の社会的な動きが克明に調査されて描かれていました。

これをもっと広げて、戦後の各企業の左利き用品の取り組みなども付け加えて、左利きの文化史を総合的に鳥瞰できるようなものができればいいな、と思います。

自分の生きている間だけでも、と思い自分なりに年表に手を加え、少しでも多くの社会的な動きを書き加えるように努力しています。
しかしそれだけでは足りません。歴史の一ページにしかすぎません。

もっと広いレンジで歴史全般を扱うものにしたいものです。
私にはかなり手ごわい仕事ですので、どなたかお若い方でわれこそはという方が現れないものかと首を長くしています。

個々の事象においてはそれぞれに研究する人がいるようです。
たとえば利き手についての研究、脳と利き手の関係といった脳神経科学の問題や左利きの全人口に占める割合とか、自動改札機における左利き対策についてとか、あるいは左利き用品のあれこれ、共用品・ユニバーサルデザインと左利き、などなど。

しかし、社会における左利きに対する見方や考え方の変遷とか、それに伴う左利き用品の普及の状況についてなど、具体的な現象や事件を通して時系列の中で総合的に左利きについて考察し、わかりやすく書き表したものは出ていないようです。

こういうものが出てくると、左利きに関する現状認識というものがどの辺にあるかということも明らかになると思います。

そして左利きの問題というものの存在が明瞭になり、誰にも優しい社会の実現に向かっての改善への大きな一歩になると思うのですが…。

*
というわけで私なりに自分史年表の枠で、色々な左利きにまつわる情報を書き記しています。

つきましては、何かこれはという情報をお持ちの方はご連絡ください。
また、メーカーさんや販売店の皆様で左手用・左利き専用品や左右両用・共用製品などに関して、いついつからこういうものを扱っている等の情報がございましたら、ぜひご一報くださいますようお願いいたします。

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2004.11.14

ネットで拾った左利きの話題:マナーの悪いCM

時々いろんな話題を探してネットを「左利き」で検索してみます。
そんな中からちょっと気になるものを取り上げてみようという企画です。

今日はこんな話題―

「マナーの悪いCM」として左利きが取り上げられていました。

マナーが悪いとまでは言いませんが、

と一応のお断りの前振りがあるのですが、こういう話題において、左手で箸を使って食べるCMを取り挙げるという、そういう見方をする人がいること自体が、私にはショックです。

左手でお箸を使うことはそんなに異端視されることでしょうか。
いまだに左手使いに対して、マイナスのイメージや考え方を持つ人がいるというのが、正直たまりません。

真意は、単に左利きの人が多くなったと感じられるという、ご自身の驚きの表明にすぎないのでしょうが、こういう場面で書くというのは、誤解されることになりかねませんから注意された方がいいでしょう。

「そんな言葉は相手よりもむしろ、自分自身をいやしめますよ」というミズ・カークブライドの言葉(江國香織『こうばしい日々』)を思い出します。

「一昔前まではなかった」という発言なのですが、以前は確かにCMではわざと左利きのタレントさんでも右手に箸を持たせるということがあったそうです。
しかし今ではそのタレントさんの自然なままに演技させるようになってきているといいます。
(膨大な左利きの有名人リストを掲げるホームページ「ひでゆきの左利きの小ネタ」やその「別館」ブログで読んだことがあります。―URLはサイドバー「左利きのサイト」等参照)

「レフティやすおの左組通信」の「レフティやすおの左利き自分史年表」 にも書きましたが、1977(昭和52)ごろに日清食品のどん兵衛のテレビCMで、山城新吾と川谷拓三の左利きコンビが左手にお箸を持って麺をすするという画期的とも言うべき場面が放映され、人気を博しました。「きつねうどんからおあげとったら何になると思う」…「ただの素うどん」といった軽妙なやり取りを覚えている方もいるでしょう。

私もこのCMを見て大いに勇気づけられたものでした。
左利きは左手でお箸を持っていいのだ!
考えてみれば当たり前のことかもしれません。
しかしとても印象に残っています。こういう思いを抱かれた方は、きっと私だけではないでしょう。
その後も日清食品は左利きあるいは左手でお箸を使うタレントさんを多く起用したCMを製作して、お茶の間をにぎわしています。

あれから既に四半世紀がすぎています。この方の見方はちょっと遅れているといえるのではないでしょうか。

人は関心がないことがらについては視界に入っていても気付かない―見ていても見えないものです。自分の意識に留まらないから「ない」と考えるのは間違いです。
もっとしっかりと世間を見て欲しいですね。
そして固定観念で物事を考えないようにしましょう。
その上で良い悪いを判断するべきです。

左利きの人が左手を使うことは自然なことで、それは右利きの人が右手を使うのと同じことです。

いつまでも前世紀の遺物のような古臭い固定観念で物事を見るのはやめにして、21世紀になったのですからこれからは新しい常識を身につけてエレガントに生きてゆきましょう。

再びミズ・カークブライドの言葉―

「一つのことを、はじめから知っている人もいるし、途中で気がつく人もいる。最後までわからない人もいるのよ」

少なくとも私は3番目の人にはなりたくありません。

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2004.11.13

異色作家の異色長編『観光旅行』デイヴィッド・イーリイ

『観光旅行』THE TOUR(1967) デイヴィッド・イーリイ 一ノ瀬直二訳 ハヤカワミステリ文庫<クラシック・セレクション> 2004年6月刊 (1969.10刊 ハヤカワ・ノヴェルズ版の文庫化)


ながらく幻の長編と化していた作品です。というのはこの作家が日本で注目されたのはもうずいぶん昔、1970年代の話です。
主に短編作家ですが、その短編小説はこのジャンルでは「奇妙な味」といわれる異色作ばかりです。どちらかといえばブラックユーモア系かもしれません。
そしてたまに出す長編小説もまた同様に一口では表現できない、異色の作品です。
邦訳は『憲兵トロットの汚名』『蒸発』そしてこの『観光旅行』。

私はHMM(早川書房発行の海外ミステリ月刊誌『ミステリマガジン』の略称)で70年代にかなりの短編作品を読みました。一番おもしろかったという印象が強いのは最初に読んだ「大尉のいのしし狩り」というもので、ストーリイは忘れましたが、タイトルが忘れられません。

昨年その異色な短編を集めた作品集『ヨットクラブ』が出版され、好評を博しました。
その結果、この長編がハヤカワミステリ文庫の<クラシック・セレクション>の一冊として出版されることになったということでしょう。

*
さてストーリイはというと―
日常生活に飽きたアメリカの実業家を相手にした秘密の観光旅行の行き先は中南米と思しき密林に囲まれたバナナ国。そこではふだん体験することのできない、自分が映画か小説の中のヒーローにでもなったような実体験が味わえる。

主人公フロレンタインもまたそのような旅行を楽しむはずだったが、あるとき現地のアメリカ大使館員からこの旅行に関する調査報告を依頼される。この旅行会社はどうやら革命騒動にからんでいるらしいというのだが…。

かくして、旅行会社の社長に目を付けられた彼は誘拐され、密林の奥に連れ込まれる。
しかし、この秘密旅行で野性の何かに目覚めた彼はこの危機を脱し、現地人の部落に逃げ込むが…。

途中から大いに読者の期待を裏切る展開となり、ラストは怒涛の地獄のような世界に。
ところがこれがやはりどこか、映画のような非現実性を帯ながら進展して、何か爽快な読後感も漂う、まさにイーリイらしい仕上がりになっています。
傑作といえば傑作だし、そうではないといわれればそうかなという気持ちにもなるという、本当に奇妙な味の一冊です。

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2004.11.12

左利きにも優しいオムロン電子体温計『けんおんくん』MC-670

11月12日・@nifty デイリーポータルDaily Portal トピックス
ユニバーサルデザインの電子体温計『けんおんくん』発売 (オムロン ヘルスケア)
使いやすさを徹底追求した新しいデザインの電子体温計。約30秒で測定可能ながらお手ごろ価格で発売。
から―

"左利き(左手使い)に対する配慮も施された優れもの"
オムロン 電子体温計『けんおんくん』・MC-670 オムロン ヘルスケア株式会社

日本初、低価格帯の予測式電子体温計で30秒測定を実現、11月10日発売
ユニバーサルデザインの考えを取り入れ、使いやすさを徹底追求した、まったく新しいデザインの電子体温計です。

「主な特長」を抜粋すると、

1.使いやすさを追求し、ユニバーサルデザインを採用
(1) わき下にぴったりフィットする大きく平らなプローブ
(2) 見やすい大型画面
(3) 長押し電源オフ機能を採用
(4) 測定終了をブザーでお知らせ
2.低価格帯の予測式電子体温計として日本で初めて、30秒での測定を実現

わき専用の体温計で、プローブ(脇にはさむ部分)が大きく平らで脇に密着して正確に測れる、表示部が大型液晶画面で文字が大きく見やすい、スイッチを誤って切ってしまうことがない、短い時間で測れる、予測式体温計ですが継続して実測もできそれぞれ異なる電子音で測定終了をお知らせしてくれる、といった所です。

左利きの私が見ていいなと思うのは、表示部が大きく縦型になっていて、どちらの手に持っても見やすいという点です。
従来の体温計は、表示が棒状にそって横書きで右手に持ったときに正立するようになっていました。そのため左手で使うと、文字が倒立して読み取りにくいという難点がありました。
この製品は表示部が大きな縦型ですので、どちらの手に持っていても一目でわかります。

ユニバーサルデザインといいながら、左利きに対する視点に欠けているのでは、と思われる商品もないわけではないので、こういう左利きに対する配慮も施された優れものは見つけ次第、大いにほめ、持ち上げておきたいものです。

この製品のように、各メーカーさんにはこれからも本当の意味での万人に優しいものづくりに励んでいただけたら、と思います。

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2004.11.11

素敵な光景:野口選手の左利きの始球式

偶然目にした素敵な光景です。

11月10日に大阪ドームで行われた日米野球第5戦の始球式で、アテネオリンピック女子マラソン金メダリストの野口みずき選手が登場しました。

始球式ラインアップ 
日米野球:MLBオールスターチーム メンバー表 
日米野球:NPBオールスターチーム メンバー表 

彼女はよく知られているように左利きで、左手でボールを投げました。
アメリカ選抜チームの一番バッターのデビルレイズのクロフォード選手は左打者で左打席に立っています。
少し右側にそれましたが見事ワンバウンドで古田捕手のミットに。

野口選手がホームベースに向かうとき、向こう側ではバットをペンに持ち替えたクロフォード選手が左手でボールにサインしているところが映し出されていました。

実はテレビで試合の中継中に紹介されたビデオ映像で見ただけです。
選手名に関してはその場で確認したのではなく、スターティングメンバー表からそうだろうと推定して書いています。

左投げの女性と左手でサインする打者。

こういう場面を見るだけで、左利きで泣かされた経験を持つ私はうれしくなってしまいます。
とてもすがすがしい気分になりました。
左利きであることに、胸を張りたくなります。

これからも左利きの人の活躍を、そしてその左利きらしい所作を捉えた映像がより多くより広く流れる事を期待しています。

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2004.11.08

「左利き関連本」@niftyBOOKSアフィリエイトを付けてみる

「ココログアフィリエイト」というのをやっているというので、案内にそって「@niftyBOOKS」のアフィリエイトを設定してみました。
ISBN 番号を調べて「クイック追加」すればいいだけなので、簡単に紹介してゆけます。

せっかく左利き関係の本について書いているので、自分がいいと思う本については紹介の機会を増やしたいと思います。
金儲けはさておき、お気に入りの本の書影も入るので殺風景なわがココログも少しは見栄えが増すように思います。その分表示に多少余計な時間がかかるかもしれませんが…。

「左利き関連本」として、「左利きの本」としてサイドバーで紹介していた『左ききでいこう』『見えざる左手』『左ききの神経心理学』、11.5の「左利きの本だなぁ:児童文学編『すえっ子のルーファス』は左利き」、何度も記事で取り上げた『左利き用ボールペン字練習帳』(6.18)、8.3の「左利き対応100マス計算ドリル「文字がうかぶ100マス計算プリント 小学( )年生」」の本等を掲げてみました。

「ジュール・ヴェルヌが好き!」もつけて見ました。
10.18の記事「偕成社文庫版ジュール・ヴェルヌ『神秘の島』と映画『80デイズ』」で紹介した本と映画の原作本等です。

元街の本屋さんで働いていた身としては、本を買う時は、ちょっとした質問なら即座に答えられるようにちゃんと勉強している店員さんがいる本屋さんに直接行って、実物を見てから買って欲しいものです。
街の本屋さんだってちゃんと勉強している人はいます。都会の大きな本屋さんだけでなく、地元の街の本屋さんも頼りにしてやってください。

とはいえ諸般の事情で本屋さんに出かけられない人もいますし、そういう時もあります。そんなときはネットの本屋さんは便利です。。

11月9日で読書週間は終わりますが、ふだんは本を読まない人もこの機会に、これらを参考にして何か読んでみて欲しいと思います。

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2004.11.07

第10回アンケート「過去のアンケートで最も興味深いのは何ですか」のお知らせ

サイドバーでお知らせしています「レフティやすおの左組通信」で実施している左利きに関するアンケートが、今年3月から始めて早いもので第10回目を迎えました。

そこで今回は、第十回記念として今まで実施したアンケートを振り返って見ようと思います。
過去のアンケートの中で一番興味深かった(あるいは興味深い)と思われるものは何かをおたずねします。


=第10回左利きプチアンケート:過去のアンケートで最も興味深いのは何ですか=

以下にあげる9回のアンケートの中で最も興味深かったものはどれでしょうか。
過去のアンケートの詳細をご存じでない方は、題名を見てこれはと思うものをひとつ選んでください。
(今回は利き手別投票ではありません。)

1 左利きのイメージ調査 (左右利き手別投票)
2 左利きで困ったこと(物理的バリア編)   (左右利き手別投票) 
3 左利きの子に右手使いを試みるべきか否か (左右利き手別投票)
4 貴方の好きな左利きの呼び名は何ですか? (左右利き手別投票)
5 左利き?と思うのはどんな仕草ですか
6 生まれ変わってくる時は右利きor左利き? (左右利き手別投票)
7 左利きでも字は右手で書くべきか?    (左右利き手別投票) 
8 左と右を間違うことがありますか     (左右利き手別投票)
9 左手(左利き)用ハサミを知っていますか (左右利き手別投票)


*** 過去に実施したアンケート *** 
(結果報告、投票者のご意見へのコメントなどは「レフティやすおの左組通信」http://homepage3.nifty.com/lefty-yasuo/内のそれぞれの「左組通信」1~4のページをご覧ください。)

第1回 左利きイメージ調査 *〈左組〉「左組通信」〈2004年3月〉
第2回 左利きで困ったこと(物理的バリア編) 「左組通信2」〈2004年4月〉
第3回 左利きの子に右手使いを試みるか否か 「左組通信2」〈2004年5月〉
第4回 貴方の好きな左利きの呼び名は何ですか? 「左組通信3」〈2004年6月〉
第5回 左利き?と思うのはどんな仕草ですか 「左組通信3」〈2004年7月〉
第6回 生まれ変わってくる時は右利きor左利き? 「左組通信3」〈2004年7-8月〉
第7回 左利きでも字は右手で書くべきか? 「左組通信4」〈2004年8月〉
第8回 左と右を間違うことがありますか 「左組通信4」〈2004年9月〉
第9回 左手(左利き)用ハサミを知っていますか 「左組通信4」〈2004年10月〉

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2004.11.05

左利きの本だなぁ:児童文学編『すえっ子のルーファス』は左利き

エレナー・エスティス『すえっ子のルーファス』(1943年・1971年) 渡辺茂男訳 岩波少年文庫117 1995.6.8 第1刷発行 2004.7.16 新版第1刷発行 (小学5・6年以上)さし絵:ルイス・スロボドキン

[岩波ブックサーチャー]

『元気なモファットきょうだい』『ジェーンはまんなかさん』に続く"モファットきょうだい物語"三部作の末尾を飾る一冊。


第一次世界大戦(1914-1918)下のアメリカ、コネティカット州クランブリーに住むモファット家の四人きょうだい(シルビー、ジョーイ、ジェール、ルーファス)とお母さんの一家の13のエピソードからなる物語。
今回の中心人物は末っ子のルーファス。
rufusm.jpg

モファット家のすえっ子ルーファスは、いつも元気いっぱい。左利きなので草野球で思いがけない大活躍をしたり、腹話術の練習をしてみんなをびっくりさせたり……。無邪気でいちずな男の子の奮闘ぶりをあたたかく描きます。

家庭でも学校のクラスでもただ一人左利きのルーファス。
家では誰も彼の左利きを右利きに変えさせようとしませんでした。家で食事するときは母親と向かい合ってテーブルの端に座って食べました。そうすれば右利きの人と肘をぶつけることがないからです。
しかし学校では、受け持ちの先生たちがルーファスの扱い方をはっきり決めることができず、ルーファスは自分が左利きか右利きかよくわかりませんでした。

彼は右手でも左手でも字を書くことができます。
一年生のときの先生は彼を左利きと考えて直そうとはしませんでした。二年生の時の受け持ちの先生は、ルーファスの左手で字を書く習慣をやめさせることが教師の義務だと考えました。
先生は彼の右手で書いたへたなペン習字に金星をつけてくれました。なにしろ彼は大変な努力をしているのですからその価値があるというわけです。ただその金星の上には「ルーファスはこのペン習字を右手で書きました」と書き加えられていました。他の生徒が不思議がらないように。
三年生になったときの受け持ちの先生は、彼はまちがいなく左利きなのだから、ルーファス自身もまわりの人もそれに慣れたほうがいいと考えました。
やっと問題が解決したルーファスはとてもしあわせでした。
先生は編み物を二度教えます。一度は右利きの生徒のために、二度目は左利きのルーファスのために―。

ルーファスは左利きであろうがなかろうが、普段はまったく何の差しさわりもありません。それに今では受け持ちの先生がルーファスの動作は左利きと認めているので、左利きで不便なのは誰かが握手しようとするときだけです。いつか左利きの人と合って、左手で握手してみたいものだと、ルーファスは思いました。

そんなルーファスの左利きが長所になるときが来ました。ジェーンの女の子だけの野球チーム「運命の四」のキャッチャーの"外野"に参加できることになったのです。そして初めての試合で彼は無事ピッチャーの暴投を左手にはめたグローブで好捕します。さらにホームランまで!

*
第一次大戦下の生活を描いたエピソードがいくつかあります。この作品が発表されたのも1943年、第二次大戦の真っ只中です。そういうことを考慮して読めばまた違った印象があります。

しかし、それ以前に子供たちのいかにも子供らしい日々の冒険があたたかく描かれていて楽しい読み物になっています。
種をまいたその夜にさっそく芽が出ていないかと掘り出して見る兄弟たちの姿や、先生の家を訪問しながら何も話せないで帰ってくるジョーイとジェーン、土管の中に光る動物の目に想像力を広げるジョーイとルーファスなどなど…。

なかでも私は、巻頭のエピソード、まだ学校に上る前のルーファスが図書館で本を借り出すまでのエピソードを描いた「ルーファス・モ」や、次のエピソード、戦場に向かう兵隊さんに自分で編んだ手編みの洗顔タオルをプレゼントして、御礼のハガキをもらう「列車いっぱいの兵隊さんたち」がお気に入りです。
特にこの「列車いっぱいの兵隊さんたち」は、感動しました。この話を私は昔どこかで見るか聞くかしたことがあるのです。記憶が定かではありませんが。そのときもいいお話だなぁと思ったものでした。

ルーファスもこのときに兵隊さんのアルからもらったハガキをいつもポケットに入れて持ち歩いています。もうひとつ「運命の四」でホームランを打ったときに氷屋のおじさんからもらったきざみタバコのからぶくろといっしょに。ルーファスの宝物であり、お守りとして。

ラスト「やっといい日がくるわ」では11月11日、やっと戦争が終わります。町中に鐘が鳴り渡り、新聞は号外を発行します。
一番上のシルビーの結婚が決まり、一家の新しい未来が始まる予感。
それぞれの思いを胸に、たきつけに使った号外の見出しの「平和」の文字が炎の中に浮かぶストーブを見つめあう家族…。
ママが言います。「そうね、みんな、あのことばが何を意味するか、わかるわね? やっと、みんなにいい日がきます、ということよ。」

それでは、左ききのルーファスの活躍をお楽しみください。


モファットきょうだい物語シリーズは、「レフティやすおの本屋」支店「こどもたちの世界」本棚「アメリカのこどもたち」で紹介しています。
第一作・2004.11.28 ほのぼの児童文学『元気なモファットきょうだい』
第二作・『ジェーンはまんなかさん』
第三作・2004.11.05 左利きの本だなぁ:児童文学編『すえっ子のルーファス』は左利き
第四作・2005.02.22 エレナー・エスティス『モファット博物館』


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2004.11.03

『サンセット・ヒート』ジョー・R・ランズデール

最近好きな作家の一人(といってもまだ読んだのは4作目)アメリカの作家ジョー・R・ランズデールの最新作『サンセット・ヒート』 SUNSET AND SAWDUST(2004)北野寿美枝訳 早川書房 ハヤカワ・ノヴェルズ 2004年。


大恐慌に見舞われた1930年代のテキサス州東部の製材所のある町キャンプ・ラプチャーを舞台に、ひょんなことから治安官に任命された女性サンセット・ジョーンズが正義のために法執行者として奮闘する物語。

今でこそ自由と民主主義の国といわれるアメリカですが、1930年代のテキサス州東部、そこはアラバマ州に隣接するいわゆる黒人差別が有名なアメリカ南部に近い所、やはりそこでも黒人差別がまかり通っています。
さらに女性もまた黒人に負けず劣らず差別されています。
MWA賞受賞作『ボトムズ』や前作『ダークライン』では黒人差別の問題をバックにしていましたが、今回はプラス女性差別の問題を扱っています。

「おれが黒人だから嫌うのと同じように、あんたが女だからという理由であんたを嫌ってる連中がいる。まったく筋の通らないことだ。あなたとおれには身のほどってやつがあるらしいけど、おたがい、それをわきまえる気がないし、そのことを快く思わない連中が大勢いる。ある意味では、連中はものごとが自分たちの思いどおりに動くのが好きなんだ。黒人はこうあるべき、女はこうあるべきって具合に。おれはそうする気がなく、それは受け入れられない。あんたを襲うとしたら――襲うはずだとおれは思ってるけど――クランだ。ちがうかもしれないけれど、たぶんそうだ。」

―クランから一目置かれている森の黒人の大男ブル

1951年生まれのほぼ同世代の作家ですが、男性作家の描く女性像ですから、女性の方からはまた違った見方があるかもしれません。

主人公サンセット(燃えるような赤毛から付けられたあだ名)は、夫に殴られ強姦されそうになったとき隙を見て夫の銃で彼の頭を撃ち抜きます。そして義母の応援を受けて夫の任期を継いで治安官に就任します。

暴力をふるい妻を自分の意に従わせるような男に息子をさせたのは、自分がその見本になっていた、夫の暴力を受容して言いなりになっていたからだという義母。

「ピートは人が犬にすらしないような口のきき方を父親がわたしに向かってするのを見ながら育ち、父親がわたしを"矯正"するのを目にするようになった。ジョーンズは"矯正"と言いたがったのよ」

―夫の暴力に耐えた義母マリリン

息子を殺したサンセットを憎みながらも、女性として当然のことをしたと認め、孫娘の事もあり、職を必要とするサンセットを夫に代わる治安官に押す。
そして夫をたたき出す義母。夫は自分の製材所の大のこに身を投げ出して死を選ぶ。
治安官としての仕事を始めるに当たって助手に雇った男二人は美人のサンセットに好意を寄せる。一人はよそ者のギターを失くしたギター弾き。その男前に好意を寄せるサンセットだが、なんと娘も…。

黒人の畑から見つかった赤ちゃんの死体と夫の愛人でもあった売春婦の死体。
ここから事件は転がり始めます。

さらに、昔サンセットの母を捨てた男―サンセットを身ごもっていたことを知らず、女を捨てて消えた当時伝道師だったが道を踏み外した、サンセットの父親―が戻ってくる…。

大竜巻のなかでの暴行から始まり、イナゴの襲来のなかでの大立ち回りで一件落着、かと思われるのですが…。

「法執行者」という言葉が何度も登場するのが印象的です。法の執行というものがまだまだ人々に行き渡らない時代と地域を背景に、正義とは何か、男と女の心と身体の微妙な関係、人として生きることのむずかしさと大切さ、などなど色々感じさせられました。

途中幾度も腹を立てながら読み進んだお話でした。
それだけうまく物語に載せられたということでしょう。
ランズデール、また一段と好きになってしまいました。

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2004.11.01

書きたいことは山ほどあるが…

とうとう今年も11月になりました。残り2ヶ月です。
そして、この「お茶でっせ」も10ヶ月がすぎました。われながら良く続いたものと感心してしまいます。
これもひとえに見てくださる方がいたからです。ありがとうございました。
アクセス数も2万を超えた計算になります。

さて、6月にインプットを増やす時間を取りたいと更新のペースダウンを宣言してから、ぼちぼちマイペースでやってきました。

幸いインプットを増やすことができ、少しずつでも書きたいことがたまってきました。
単純に時間を取ったからといって、私個人の思考能力と文章能力の問題があり、内容の充実度は大いに疑問ですが、アウトプットの数は増えています。
まだまだ書きたいことは山ほどあるのですが、処理能力が伴わず、最大でもせいぜい週に3、4本が限度のようです。

それでも10月はかなり走った週がありました。毎日一本ずつでも書いた日が何日か続きました。
これからもできるだけ書いてゆこうと思います。

ただ単純なミスも続いています。ミスのない文章をと心がけていますが、まだ足りない部分がたくさんあります。
論理の展開に破綻があるとか言うのは、思考能力の問題ですから論外ですが、ちょっとしたミスだけは避けたいものです。
なお、お気づきの点がございましたら、なんなりとその都度ご連絡いただければ幸いです。

***
10月は月一予定の「左利きの本だなぁ」を書けませんでした。
現在「お茶でっせ」版では、時代を経た左利きについての研究本(脳・神経科学系、文化・社会学系)を紹介しています。まだ他にもあるのですが、私自身未読であったり未入手であったりで、紹介できません。
サイドバーに書名と一言コメントのみ掲載している二冊の本を紹介して、以後別のパターンに切り替えてゆこうかと考えていました。ところが、こちらも再読が進まず、滞っています。

11月からは、いろんなパターンの左利きもしくは左右についての本を紹介してゆくつもりです。
たとえば、古今東西の小説編、左右の科学・雑学編など、新たに手に入れた本も随時紹介してゆきます。
お楽しみに。

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