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2004.06.23

『最期の声』ピーター・ラヴゼイ

私の好きなイギリスのミステリ作家ピーター・ラヴゼイには、1991年刊の『最後の刑事』に始まるピーター・ダイヤモンド警視を主人公とする人気シリーズがあります。

最新第7作である本書『最期の声』では、19年連れ添った警視の糟糠の妻、愛妻ステフが殺されるという悲劇が起こります。しかも、その殺人現場に職務として訪れた警視が自らその遺体を確認することになります。

当然、夫である警視は捜査に加われません。それでも悲嘆の日々ののち、彼は単独で捜査を始めます。今まで彼が持つ唯一の実用的な技術―捜査術―の恩恵に浴することのなかった妻ステフのため、彼は問題が起きることも省みず、昔の同僚を頼りに独自の捜査を進めます。

「あの男は好き勝手に飛んでく砲弾だけど、かならず標的に命中する。優秀な刑事だわ。最高の刑事。」(ジョージナ・ダリモア副本部長)

そして、ついに単身犯人を追い詰めます。しかし警視は…。
ラスト、病院のベッドの上、混濁した意識のなかで警視は、愛妻ステフの声を聞きます。
(これがタイトルとなっている『最期の声』。)


私とほぼ同年齢で、私同様生き方のへたな、50歳を迎える警視(ただし、私との違いは、彼は仕事に関しては優秀であり、素敵な妻との幸せな結婚生活を営んでいることだ!)とこのステフとの日々のやり取りは、シリーズ第一作からとても好ましく、作品上もいい息抜きとなっていました。
とてもかなしい気分です。

警視のかんしゃくから職を追われた時、ロンドンでのつましい生活の日々。子供好きなのに子供のいない警視が身元不明の迷子のために事件を追うお話など、いろいろな場面が思い出されます。不遇なときも、常に彼のそばにはステフがいました。

「家内への気持ちは、初めて会った日からずっと変わっていなかった」
「その気になれば、手をつないだだろうな」

* ピーター・ラヴゼイ『最期の声』DIAMOND DUST (C)2002 山本やよい訳 早川書房 2004年刊

最期の声 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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