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2004.06.03

『左利き用ボールペン字練習帳』岡田崇花

『左利き用ボールペン字練習帳』岡田崇花/著 日本文芸社 2004年5月刊 819円(税込)

本の内容:右手で書く人が練習しやすいようにと工夫して作った『きれいな字が書ける。ボールペン字練習帳』(2004年3月刊)の左利き用。内容は同じですが、右ページがお手本、左ページが練習帳と、左利きの人が使いやすくなっています。

以前、左利きの検索中、ネット本屋さんで「予約受付中」となっていたのを見た事がありました。5月末に出たようです。楽しみにしていたはずなのに忘れていました。

先日、Max115さんのホームページMAX115'S ROOM で拝見しました。

その後、3軒ほど本屋をのぞいてみたのですが、実物にはお目にかかれませんでした。
元になったという右用のものがあったのでそれを見たところ、これの左右を入れ替えたものなら、使い手が右左異なるだけで右手使いと同じ筆使いをする人なら(特別な左手の筆使いをする人でないかぎり)十分使えると思いました。

とにかくこういう発想の本が企画され、企画が通り、実際に本として出版されたことがすばらしいと思います。画期的なことです!
「字は右手で書くものだ」という人がいますが、この本を見せてどう言うか反応を見たいものです。

左利きの人が左手で字を書くことをこれだけはっきりと肯定する本が出るのは、日本では初めてではないでしょうか。(左利き友の会のものがありましたか? 少なくとも一般向けでは初の快挙?!)
外国には左利きの子どものための手書き綴り方handwritingの本が出ています。練習帳はあるかどうか知りませんが。
日本でもこういう本を出すことが当たり前になればいいですね。


 私は「字は右手で書くようにできている」という人にいつも反論するのですが、文字が最初に発明されたときは右手で書くか左手で書くかなどは問題にされていなかったはずです。それが長い年月の間に、ひとつの技術として確立されるなかで、右利きが多いために右手で書きやすいように改造されてきたものだと考えています。

何しろ字を書くということは、今でこそ誰でもが身に付けている平均的な技術ですが、日本で言えば寺子屋が発達する江戸時代以前は、一部の人たちだけが身に付けられる、限られた人だけの知的な技術だったのです。
当然、ひとつの流儀や作法として右手を使うというルールが作られたのでしょう。
そこでは、左利きだから左手で書く、というのは作法から外れる行為として、許されないことだったとしても不思議ではありません。(ここから、右手使いを強要することを正しいことのように言う「左利きの矯正」といった発想が生れた来たのでしょう。)

しかし時代は変わって、万民が使う技術になったのですから、誰でもが使いやすい方法に変わってゆくのは当然でしょう。

本来右手で書こうが左手で書こうが自由なのです。

左手では書きにくい、というのも右利きの人の思い込みでしかないのです。実際に自分も「非利き手」で書いてみればわかるはず。その方がよっぽど書きにくいのです。
また英語の筆記体では、綴りの方向は右へ向かうので書きづらい点はありますが、個々の字を見ると左回りの回転が多いので意外に書きやすいものです。


 この『左利き用ボールペン字練習帳』について、私からひとつだけ注文するとすれば、将来的には「左利き用」ではなく「左手書き/左手筆記用」とする方がよいのではと思います。

これからは右利きの人も左手で字を書く人が増えてくると思います。

これは単に左利きにあこがれる人が増えるとか、事故などで右手が使えない人が増えるということでなく、右手で扱う機械や道具が多いため、より効率的に仕事を進めるためには利き手の右手に頼らず、左手でメモする必要を感じる人が増えてくるのではないかと思うからです。

実際にそういう場面に出会うことがあります。きれいな字を書くというのではないですが、あいている方の手でちょちょっとメモを取ることは誰でもあります。

そういう場合「左利き」と書いてしまうと現実には「右利き」の人は素通りしてしまうと思うのです。私には関係ないや、と。
これはふつうの「左利き用品」でも同じです。
左利きの存在を顕示するにはいいのですが、この辺の兼ね合いがむずかしいところです。

*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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