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2004.06.29

本の開きと左利き仕様

日本文芸社の『左利き用ボールペン字練習帳』に関連して、左利き仕様の本の開き(綴じ方)について考えてみよう。

この本は、左手で書きやすいように、和本のように右側で綴じ右に開く「右綴じ右開き」の本になっている。元になったという右手用ではその逆で、「左綴じ左開き」―すなわち洋本、西洋式の横書きの本と同じ、左側で綴じ左側に開くものになっている。

この一連の練習帳は本来は縦書きの本である。縦書きの本は、本来は「右綴じ右開き」である。それが和本(日本の本)の伝統であった。
然るにこのシリーズではその約束をあえて破った本に仕上げている。
右手書き右利きの人用には、「左綴じ左開き」のものを。左手書き左利きの人用には、「右綴じ右開き」のものを、という具合である。

あくまで練習する人が文字を書く時に便利なように本の開きを考えて作っている。そこがこの本の画期的な点であり、工夫である。

この「練習帳」の登場で、「左利き仕様」の本が存在するということに初めて気付いた人も多いのではないだろうか。
そういう意味でもこの本の登場は、日本における左利きの文化史上で画期的なことであったといえるのではないか。

日本語というのは、幕末より西洋の人とその文化の流入により左横書きが導入されて以来、右縦書きと左横書きとが併用されている。(一時期、右横書きという異分子が現れ混乱を起こすが、次第に淘汰されていった。決して、戦後になって統一されたというものではない。それ以前から技術屋の世界ではひとつの書式として成立していた。一般化が遅れていただけである。*屋名池誠『横書き登場』参照)

右縦書きは左手筆記の左利きには非常に都合のよいものである。しかし左横書きは左手書きの左利きにははなはだ不便な要素を持つ。
これは、右手書き右利きの人が右縦書きに持つ苦情と同じ種類のものである。
すなわち書いた文字の上を手がなぞることになり、字がにじみ手や紙が汚れるというものであり、先に書いた文字が手で隠れてしまうということである。

右縦書きは、字は下へ縦方向に書かれ、一番下につくと左隣の行に移りまた上から、と右から左へ行が移ってゆく。改行が右から左へと進んでゆく。段組がある場合は上から下へ移ってゆく。そしてページもまた行の流れにそって右から左へと進んでゆく。
そのため本の綴じは右側になっている。本のページを開くときは「右開き」となる。

逆に左横書きは、字は横に綴られ、改行は下へ下へと進み、段組があるときは左から右へと移り、ページが変わるときはその流れで左から右へと進んでゆく。
そこで本の綴じは左側に来て、ページを開くときは「左開き」となる。

では「右開き」と「左開き」ではどちらが「右手仕様」でどちらが「左手仕様」となるのかを考えてみよう。

本を手に取り読む時に人はどうするか。
片手で読める場合(文庫本。新書本などのペーパーバックの場合)、右利きの人は右手で取り、右手で丸めるように持ち、親指をずらすようにしてパラパラとめくってみる。
この場合は、「左綴じ左開き」の本(横書きの本)が便利だ。これなら表紙からページを追って順に見てゆける。

「右開き」の本(縦書きの本、日本語の大部分の本・雑誌・新聞など)はそういう観点から見て左手に優しいものである。
(新聞や雑誌、ハードカヴァーの本となると、また別の考え方が生れてくる。これはどう考えても開きの方向と手は同じ方が有利である。すなわち「右開き」では右手が、「左開き」では左手が、というふうに。)

字を書く場合どうか。
最初に書いたように、右手書きに都合のよい方向は左から右へである。「左綴じ左開き」のものがよい。
逆に左書きの場合は、右から左への方向が都合が良い。「右綴じ右開き」のものがよい。

前にも一度書いたことがあるが、十年ほど前、イギリスのレフトハンダーズ・クラブLEFT-HANDERS CLUBという左利きの友の会に参加していたときに、日本語は縦にも横にも書ける便利な言語であり、縦書きは右から左へと改行するので左手書きにはすこぶる優しい言葉だと手紙に書いて送り、大いに感心された経験がある。

この会の会報は、左利きの人に優しい「右綴じ右開き」の小冊子になっている(ページ内の段落は通常の左から右へ移ってゆく形)。
さらに、アメリカのレフトハンダーズ・インターナショナルLEFTHANDERS INTERNATIONALの出している、左利きの人のための雑誌「レフトハンダー・マガジン」LEFTHANDER MAGAZINEも「右綴じ右開き」の製本になっている。ただしこちらは、ページ内の段落もまた右から左へと移行するようになっており、完全に「左利き仕様」の本になっている。

実は私が当時出していた「LL」という小冊子もこれをまねて作り、「右綴じ右開き」の横書きという「左利き仕様」の体裁であった。
しかし、日本人は縦書きの本で「右綴じ右開き」に慣れているから、あまり戸惑うこともないようで、この「左利き仕様」の本という仕掛けに気付かない人も少なくなかった。なんかへんだと思う人もいたが、手作りであったため単に綴じの方向を間違えているのだろうと考えていたようだ。
イギリスでの反響を紹介した号でこの点も説明したところ、綴じ方にも「右利き用」と「左利き用」があり、本にも「左利き仕様」があるのだということを初めて知った、という意見が私のもとに届いたものだ。

イギリスの銀行では左利きの人のために「右綴じ」の小切手帳が作られているというのは、結構有名な話だと思うのだがどうだろう。
こういうふうに諸外国では「左利き仕様」のものがあれこれと多く作られているという。

一方、日本ではまだまだ浸透していないように思われる。
各方面でのこれからの取り組みに期待したい。

つけたし
特に、字を書くという行為に関しては、その意識が欧米に比べて大きく遅れているのではないか。
欧米と違い、漢字を使うためか「字は右手で書くもの」という意識がまだまだ根強く浸透していて、この傾向はかなり改善されては来たものの、一部の人たち並びに地方では依然その勢力は衰えないようである。

左利きの「矯正」などという時代遅れの思想を現す言葉を無頓着に使い、いまだに正しいことのように、こだわっている人が(右利きの人のみならず、左利きの人にも)少なくないのが、非常にさびしい。
特に女の子の場合にはその圧力がさらに強まる傾向が残っており、かなしい事だ。

早く、この『左利き用ボールペン字練習帳』の改良版が出て、また他社からも同様の仕掛けの本が出版され、左手書き(左手筆記)が特別な行為でないという状況が一般化する世の中になってほしいものだ。

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2004.06.26

『左利き用ボールペン字練習帳』「レフティサーブ」で紹介

この「お茶でっせ」でも二回紹介させていただきました、日本文芸社の『左利き用ボールペン字練習帳』が左利きのためのメールマガジン「レフティサーブ」 6/22発行の「41号」で紹介されました。
さらに6/25発行の号外「No.041 2004年06月22日分号外2」では、版元の編集者からのお便りが紹介されています。
こちらの内容は、以前この「お茶でっせ」でもお知らせしたもの同様、

「一字ずつ練習するページでは左から右へと練習を進めてゆくような構成になっています。 その点が、使いにくいものになっていた」・・・「なので、宣伝できずにいた」

というもので、「この本の欠点もご紹介いただきたいから」連絡したとのことです。

そして、

「多分、難しいとは思いますが、もし、万が一、再版ということになったら、練習欄はかならず改訂します。そして、改訂版が出たことをみなさんにお知らせします。申し訳ありませんでした。」

と、結んでおられます。

「レフティサーブ」の発行人渡瀬氏も「好感を持ちました」と書いておられるように、問題があるという指摘を受け宣伝できずにいた、欠点も紹介して欲しい、という編集者のY氏、今時ではめずらしい良心的な方だと思います。
(でも、社内ではきっと大変なんだろうなぁ、と想像します。)

それだけに、多少の問題はあるにしても、ある程度は売れて欲しいな、と思います。
そして版元さんへひとりでも多くの読者の皆さんからご意見を寄せていただいて、再版・改訂版発行に持って行けたらいいな、と思います。

*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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2004.06.25

第4回アンケート結果報告「~左利きの呼び名~?」

第4回アンケート「貴方の好きな左利きの呼び名は何ですか?」の結果を報告します。

実施期間2004.5.23-6.19(28日間)
投票総数:40 (右:6 左:34)
 左利き(の人):27 (左)ぎっちょ:2 サウスポー:2 レフティ(ー):7 その他:2

1 右利きの人・・左利き(の人)・・・・5
2  〃 ・・・・・・・(左)ぎっちょ ・・・・0
3  〃 ・・・・・・・サウスポー・・・・・0
4  〃 ・・・・・・・レフティ(ー)・・・・・1
5 左利きの人・・左利き(の人)・・・22
6  〃 ・・・・・・(左)ぎっちょ ・・・・・2
7  〃 ・・・・・・サウスポー・・・・・・2
8  〃 ・・・・・・レフティ(ー)・・・・・・6
9 その他(具体的にお書きください
 ―例:レフトハンダー      ・・・2

圧倒的に「左利き(の人)」が多数を占めました。
当然の結果といえば、そうですが、ご意見欄にもありましたように、右利きと対になっている言葉であり、最もふつうの言い方である、この言葉が支持されました。

私としては、もっと他の言い方が支持されるかもしれない、という思いがありました。
平凡を嫌い、特別な存在としての左利きをアピールする言葉を支持する人があるのではないか、と考えたのですが…。

変に目立つよりは、平凡が一番。
異端視されるのは嫌、蔑視されるのはもっと嫌、でも変に持ち上げられるのも困る、ごくごくふつうの存在として見て欲しい、―という気持ちの表れか、という解釈は考えすぎでしょうか。


 今回は、質問が簡単すぎたのか、これといったご意見はありませんでした。
 話題性としては失敗だったかもしれません。
 「好きな」ではなく、「嫌な」「言われたくない」といった設問にしていれば、また違ったものになっていたかもしれません。

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2004.06.23

『最期の声』ピーター・ラヴゼイ

私の好きなイギリスのミステリ作家ピーター・ラヴゼイには、1991年刊の『最後の刑事』に始まるピーター・ダイヤモンド警視を主人公とする人気シリーズがあります。

最新第7作である本書『最期の声』では、19年連れ添った警視の糟糠の妻、愛妻ステフが殺されるという悲劇が起こります。しかも、その殺人現場に職務として訪れた警視が自らその遺体を確認することになります。

当然、夫である警視は捜査に加われません。それでも悲嘆の日々ののち、彼は単独で捜査を始めます。今まで彼が持つ唯一の実用的な技術―捜査術―の恩恵に浴することのなかった妻ステフのため、彼は問題が起きることも省みず、昔の同僚を頼りに独自の捜査を進めます。

「あの男は好き勝手に飛んでく砲弾だけど、かならず標的に命中する。優秀な刑事だわ。最高の刑事。」(ジョージナ・ダリモア副本部長)

そして、ついに単身犯人を追い詰めます。しかし警視は…。
ラスト、病院のベッドの上、混濁した意識のなかで警視は、愛妻ステフの声を聞きます。
(これがタイトルとなっている『最期の声』。)


私とほぼ同年齢で、私同様生き方のへたな、50歳を迎える警視(ただし、私との違いは、彼は仕事に関しては優秀であり、素敵な妻との幸せな結婚生活を営んでいることだ!)とこのステフとの日々のやり取りは、シリーズ第一作からとても好ましく、作品上もいい息抜きとなっていました。
とてもかなしい気分です。

警視のかんしゃくから職を追われた時、ロンドンでのつましい生活の日々。子供好きなのに子供のいない警視が身元不明の迷子のために事件を追うお話など、いろいろな場面が思い出されます。不遇なときも、常に彼のそばにはステフがいました。

「家内への気持ちは、初めて会った日からずっと変わっていなかった」
「その気になれば、手をつないだだろうな」

* ピーター・ラヴゼイ『最期の声』DIAMOND DUST (C)2002 山本やよい訳 早川書房 2004年刊

最期の声 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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2004.06.20

第5回アンケート「左利き?と思うのはどんな仕草ですか」のお知らせ

サイドバーでもお知らせしていますように、<プチアンケート>第5回「左利き?と思うのはどんな仕草ですか」の受付が始まりました。
今回は、左利きを判別するときにどんな仕草や動きを見てそう思うのか、という点を考えてみたいと思います。


日常生活のなかでいろんな出会いがあります。
左利きの人との出会いも少なくありません。
街でお店で、あるいは学校で職場で、ある人の仕草や動き、身ごなしなどを目にして「あれ、この人左利き?」と思う瞬間ってありますよね。
たとえばお昼の時間に偶然席がいっしょになった人が左手でお箸を使いだしたとか、お店の店員さんが左手で字を書いていたとか、キャッチボールを始めたら相手が左投げだったとか、ハサミを貸してといったら、左手用だから…と言われてエッと思ったとか、絞った雑巾が変だったりとか、etc…。

貴方はどんな仕草や動作、身ごなしで「この人は左利き?」と思いますか。次のなかからこれが一番目に付く、わかりやすい、確かだ、と思うものを選んでください。

今回は利き手には関係なくご投票をお願いいたします。

*一言言わせて、というお方は投票後に表示されます一番下の「ご意見ボード」をご利用ください。もっと言わせて、というお方は掲示板もご利用ください。貴方のご意見ご感想をお聞かせください。

1 字を書く
2 箸を使う
3 ハサミ、ナイフや包丁などの刃物類を使う
4 (ものを)手渡す、差し出す、(ボールなどを)投げる
5 (ものを)取る、受け取る、拾う
6 (ラケット・棒などを)振る、(かなづちなどを)打つ、叩く
7 (タオルや雑巾などを)絞る、(紐などを)よる、(針金などを)ひねる、ねじる
8 その他(具体的にお書きください)

「レフティやすおの左組通信」でただ今実施中です。ぜひ、ご協力をお願いいたします。


―過去に実施したアンケート―
第1回 左利きイメージ調査
第2回 左利きで困ったこと(物理的バリア編)
第3回 左利きの子に右手使いを試みるか否か
第4回 貴方の好きな左利きの呼び名は何ですか?

それぞれの詳細、結果は「レフティやすおの左組通信」でご覧ください~サイドバーからどうぞ~

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2004.06.18

『左利き用ボールペン字練習帳』再び

6/3の『左利き用ボールペン字練習帳』(日本文芸社)の記事で、実物を見ずに、元になった「右手で書く人が練習しやすいようにと工夫して作った『きれいな字が書ける。ボールペン字練習帳』岡田崇花(日本文芸社 2004年3月刊)」を見て、それぞれのページが「右ページがお手本、左ページが練習帳」と入れ替えたものを想像した上で、当て推量で「十分使えると思う」と書きました。

先日、実際にこの本を手に入れました。
実物を見たところ、やはり左手書き練習帳としては問題となる部分がある、と感じました。
それは、練習帳の部分で、特に一字ずつ練習するページです。
ここでは、「左から順に3段階に練習を進めてゆく」ようになっています。
bpji3.jpg
それぞれ、薄くお手本の字が印刷された行、字のバランスがわかるように真ん中に破線の入った行、白紙の升目の行です。

右手で書く場合は、「左から右へ」書き進める方が自然で便利です。先に書いた文字が見えるし、手も汚れません。
元本では、その点を押さえて、あえて通常の縦書きの本とは異なる「左綴じ」の横書きの本と同じ製本になっています。
しかし左手書きの場合は、その逆で「右綴じ」の方が良いのです。そしてページを入れ替えることでその形は守られています。
bpji1.jpg

ところがページ内は「左から右へ」のままです。ここも「右から左へ」の方が良いわけです。
この点がマイナス・ポイントです。
bpji2.jpg
例=上段:問題のあるページ、下段:気にならないページ

欲を言えば、全体の流れも、通常の縦書きと同じ「右から左へ」の方向で進んでゆく方が、左手書きには自然で良いと思います。

さらに、前回書きましたように、将来的には書名を「左利き用」でなく、汎用の「左手用」に改めて欲しいものです。

そして、以上のことを、私は日本文芸社に連絡してみました。
すると、企画提案をした書籍編集部のY氏からお返事をいただきました。

要約すると―

・最初は『左手用』というタイトルで企画を出した。
・最初から、左利きの方がきれいに書くためのコツなどを指南した本ではない。
・別に利き手がどちらであろうが、左手で書くための本として出した。左利きだけど、字は右手で書く、という人もいる。

・元になった本が、(利き手に関係なく)右手で書くときに練習しやすいということを「売り」にした。
・このメリットは(利き手に関係なく)左手で書く人にも享受してもらわなければ、と思った。

・会議でタイトルは「左利き用」に。その方が、ストレートに伝わるのではないか、と右利きの人の発言で。

・この本は、元本がなければ存在しなかった企画で、元本を再利用する、ということで低コストに。
・低コストでなければ、企画として成立しなかった。

・指摘の箇所は、刊行早々に著者の知り合いの左利きの方に指摘された。
・左右を入れ替えるときに、もう少し配慮があればみなさんに自信を持ってお勧めできた。

・このままだと版を重ねることはない。
・この本が売れなければ「やはり左利き用は需要がないのだ」ということになり、当社で左利きの企画が通ることはないだろう。
・そして、この本が実績となり、他社でも企画は通りにくくなる。

―という、悲観的な内容で、さびしく思いました。

しかし、「一部使いづらい面があり、改良すべき点はある」というだけで、決して致命傷ではないと思います。
M自動車ではありませんが、欠陥を隠すのはマイナスになります。
失敗を逆手に取るというのはなんですが、正直に欠点を認めた宣伝をされてはいかがでしょうか。
「日本初の試み」なのですから、失敗があってもおかしくないでしょう。

皆さん、「ベスト」ではないかも知れないけれど、この画期的な企画にエールを送りましょう!

ぜひ一冊買って、一度試して見てください。

頭で考えるだけではわかりません。
私の意見が本当かどうか、ぜひご自分の目と手で確かめてください。
私一人の意見が、すべての左手書き(左利き)の人を代表する意見ではないでしょう!

各自のご意見を日本文芸社までお送りください。ぜひお願いいたします。

*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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2004.06.16

改良版「UD百マス計算」が紹介されました

以前「現役小学校教師がメルマガで取り組む左利き問題」と言う記事で、現役小学校教師の出すメルマガ、親野智可等さんの「親力で決まる子供の将来 」
で「左利きを右利きにする必要は、一切ない」と言う記事が掲載されている話を書きました。

この「親力で決まる子供の将来 」No227 (2004.6.13発行分)で、"教師必読の問題提起"として「左手書き(左利き)に優しい改良版「ユニバーサル百マス計算」のすすめ」を引用した、改良版「ユニバーサルデザイン(UD)百マス計算」が紹介されました。

「レフティやすおさんからの問題提起です。」とされていますが、これは実は「左利きっず」(左利きのお子さんをお持ちのご両親のための情報交換サイト)の掲示板の書き込み文がそもそもの始まりでした。
紹介された引用文中の「ある人曰く―」以下の文章は、その書き込みを私なりに脚色したものです。

このとき「百ます計算」に対する危惧を抱き、以後私なりに調べてみましたが、その後改良版が普及しているという話を聞くことはありませんでした。
それどころか、このような危惧そのものが話題になっている様子もなく、いよいよ不安は高まりました。

そしてこの「左手書き(左利き)に優しい改良版「ユニバーサル百マス計算」のすすめ/左利き児童を落ちこぼれにする?百マス計算の危険性」という文章を書き上げたのですが、私の周りにこの危惧が当たっているものかどうか判断できるような人が見当たりませんでした。
そんな時、親野先生の存在を知り、これ幸いと文章を見ていただくことにしました。
先生からご賛同のお返事をいただき、こうして紹介されることになりました。

以上がこの改良版「ユニバーサルデザイン(UD)百マス計算」の経緯です。

アイディアそのものはどなたが「発明」されたのか私は存じませんが、こんな単純な発想がどうして出てこなかったのか不思議なぐらい簡単です。
今後すみやかに、この左右に問題が配列された、改良版の「左手書き左利き児童対応百マス計算」、いえ「ユニバーサルデザイン(UD)百マス計算」が普及することを願っています。


これは単に「百マス計算」を左手書きの児童に対応させるというだけのものではありません。

少し話が飛躍しますが、これを元に、さまざまな事柄において発想の転換を図るきっかけ、ユニバーサルデザインを考える機会にしていただきたいのです。
将来を担う子供達に新たな思考のチャンネルを開く第一歩として欲しいのです。

*【「100ます計算」に関する記事】
(2004.6.16)左手書き(左利き)に優しい改良版「ユニバーサル百マス計算」のすすめ
(2004.8.3)左利き対応100マス計算ドリル「文字がうかぶ100マス計算プリント 小学( )年生」

(2005.3.10)学研 10マス計算ドリル 左利き用 二種・たし算ひき算/かけ算わり算 発売中
(2005.2.9)10マス計算ドリル 左利き用2種 3月8日発売予定

*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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左手書き(左利き)に優しい改良版「ユニバーサル百マス計算」のすすめ

*左利き児童を落ちこぼれにする?百マス計算の危険性*

左利き児童に新たなバリアが出現か?
右手使い圧力をかわし、何とか左手筆記を容認された子供に新た壁が立ちふさがってきたかもしれません。

以前、2004.02.17付の記事「『横書き登場』屋内池誠」の中でもふれたように、左横書きは左手書き(左利き)の人にとって非常に厄介な面があります。試験などでは、問題と答えの記入欄の位置関係が左手書き(左利き)の人には優しくないのです。左手で隠れてしまって問題が見えない、問題番号が見えない、といった不都合が起きます。いちいち手をどけて確認しなければならないのです。その点右手書きの場合は記入する手で隠れるということはありません。常に問題用紙全体を視野に入れたままで回答してゆけます。

最近、百マス計算という計算練習が小学校で流行っているようです。数をこなして繰り返し練習するのが良いのは事実です。大いに進めて欲しいものです。
しかしこの百マス計算、従来のものでは左手筆記の児童には問題があるのです。

百マス計算自体は昔からあるそうですが、ここで簡単に説明します。

*参照―百マス計算で有名な陰山英男氏のサイト「陰山学級物語」
「確かな学力を育てるポイント ―百ます計算のやり方」

10×10の升目を用意し、その外側に一番上の段一行と左横の縦一列を追加し、そこに任意の数字をいれ(これが問題になります)、左から順にそれぞれの交点に当たる升目にそれぞれの数字を足し算なり引き算なり掛け算なり割り算なりした結果の答を記入して埋めてゆく。これを毎回時間を計っておき、その時間を比べて進歩の具合を見るのです。
計算力と集中力を養うことになるようです。
基本的にはこの作業時間を比べるのはそれぞれの個人の間でだけです。前やり速くなったとか比べてみるだけの相対的な目安です。

そして、こうして出た数字というものは、本来個人の相対的な能力の向上を現すものであり、絶対的能力を現すものではないのです。
ところが、この数字を他の子と比べるとき問題が出てきます。
根本的に人と比べることが間違いだという人もいるでしょう。しかし学校で、一斉授業の中で行われたときにはどうでしょうか。
時間に差が出れば、気になるのは人の常。速い遅いが話題になることも十分予想されます。

単なる「計算+記入の総作業時間」を表すだけの数字が、その子の「計算能力を現す絶対値」となってしまう危険性があります。
現実に氏のサイトの掲示板に「うちの子は○分○秒でできるようになった」云々と誇らしげに実数を明記している親御さんもおられます。

あるとき、左利きの子供をお持ちの親御さんのための情報交換サイトの掲示板で次のような書き込みを見ました。

ある人曰く、「うちの子は計算が得意なはずなのに、百マス計算はいつも遅い。他の子と比べて多少ボーっとしているところはあるが、どうも変だと思ってよくよく観察してみると、左利きで左手書きのうちの子は答えを記入するたびにしょっちゅう左手を用紙の外へ動かしている。問題の数字を見るためすぐに左手をどけているのだ。こうして頻繁に左手を動かして問題に取り組んでいる。これでは時間がかかるのも仕方ない。
先生に話すと、左手書きの子にも対応した両横に縦一列の数字の入った問題用紙に改良してくれた。これでやっと右利きの子とまったく同じ条件でできるようになった。」といいます。

一方、まったく対応していないところもあるようです。先生によって異なった結果になっています。

このような「非左手書き対応問題用紙」を使っている限りは、究極的に見て左手書きの子が不利になるのは自明のことです。
その結果、自分の計算能力に疑問を持つ子が現れないと言い切れるでしょうか。自分は計算は苦手だと、落ちこぼれになってゆくことがないと言えるでしょうか。

私は昔、ハサミがうまく使えず悩んだことがありました。今でも鮮明に記憶として残っています。しかしそれが実は自分の利き手である左手に合っていない右手用の品物だったからと知ったのは、後年左手用のハサミを手に入れてからでした。

*左手書き(左利き)に優しい改良版「ユニバーサル(UD)百マス計算」を!*

先に示したようにちょっとした工夫をするだけで、左手書きの左利きの子も右手書きの右利きの子もまったく同じ条件で取り組むことができます。
何、大層なことではありません。縦列の問題を左だけでなく、右にも用意するだけのことです。

udhyaku.jpg

しかしこれで、利き手(筆記する手)に関わらず、まったく平等に同じ土俵で取り組めるのです。
まさに私の目指す利き手によって差別されることのない左右共存社会の実現です。
もっと簡単に言えば、ユニバーサルデザインというものです。

この「百マス計算」はユニバーサルデザインについての考え方の教材にもなります。一挙両得の勉強が可能になります。

今インターネットではこの百マス計算用の問題作成ソフトがダウンロードできるサイトがたくさんあります。しかし、左手書き児童に対応した形のものがどれほど出ているか大いに疑問です。

あまりにも多くてすべてを見たわけではありませんが、私の目にした見本ではすべて右手書き(右利き)用でした。左手書き(左利き)用の物を見つけることができませんでした。(パソコン上で使う分には、右手左手の使い手の問題はかなり解消されるのでしょうが、手書き用に利用しようとすれば…。)

また先の陰山氏の名を冠した市販の百マス計算問題集『<教育技術MOOK>陰山メソッド 徹底反復「百ます計算」』(小学館)でも非対応です。

それでなくてもさまざまな問題にぶつかるであろう左手書き(左利き)の児童が、こんなことで落ちこぼれになるとすれば、大いに社会の損失です。
そんな危険性を回避できる「左手書き(左利き)児童対応百マス計算」、いや単なる「ユニバーサルデザイン(UD)百マス計算」を、ぜひとも普及させたいものです。

蛇足:こういうことを書くと、「それ見たことか、やっぱり左手書きはよくない、右手使いにしなけりゃ」、と言い出す大人が出ないかと大いに心配になります。

*【「100ます計算」に関する記事】
(2004.6.16)改良版「UD百マス計算」が紹介されました
(2004.8.3)左利き対応100マス計算ドリル「文字がうかぶ100マス計算プリント 小学( )年生」

(2005.3.10)学研 10マス計算ドリル 左利き用 二種・たし算ひき算/かけ算わり算 発売中
(2005.2.9)10マス計算ドリル 左利き用2種 3月8日発売予定

*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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2004.06.13

「―お茶でっせ」半年を前に

最近、血糖値の上昇と反比例するように「-お茶でっせ」の更新ペースが下がっています。
というのは半分冗談ですが(というと半分はホントなんだ、これは困った困った駒・・・)。
「―左組通信」の方の更新に時間を取られている場合もありますので、そちらの方もよろしくお願いします。

元々始める前には、Weblogなど知らなかったのです。このサービスがniftyで始まったというニュースを知り、どんなものかとおっとり刀で始めてみました。
元々2日に1本ぐらいのペースで更新できればいいな、と思っていました。
ここまでは何とかその辺でやってまいりました。

はや、半年を迎えようとしています。
長かったような過ぎてしまえば早かったような、複雑な気分です。
ここまで来れたのも、ひとえに多くの方々のご協力とご声援の賜物と、心より感謝しております。
ありがとうございました。

さて今後ですが、若干ペースダウンしてインプットに時間をかけたいと考えています。2日に一度が3日に一度ぐらいになるかもしれません―あるいはもっと?―が、その点はご了承ください。

もう少し気軽に見て楽しめるものにしたいという気持ちもありますが、これはどうなるでしょう。
もともとの性格がそういう気風ではないようで、むずかしいかもしれません。

内容的には、私なりのアプローチでこれからも左利きおよび利き手の問題を取り上げてゆきます。
本の話題はもう少し増やしてみたいと思っています。

では、引き続きこれからも「レフティやすおのお茶でっせ」(ならびに「レフティやすおの左組通信」)をよろしくお願いいたします。

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2004.06.09

「サウスポー」は人気薄―アンケート中間発表と意外に感じたこと

第4回の「貴方の好きな左利きの呼び名はなんですか?」についての中間発表と、私が意外に感じたことを―。

15票入ったところまで「サウスポー」が0票でした。

私の子供時代は圧倒的に「ぎっちょ」でした。
私の記憶ではいい意味でも悪い意味でも、この言葉が広く使われていました。
子供が意地悪にはやし立てるときも、友人が年賀状に「今年もぎっちょでがんばろう」とエールを送ってくれたときも。

その後20代ごろには「左利き」が主流になった感じで、他には「サウスポー」と言われました。ピンクレディーなどの影響もあったのか、野球人気のせいでしょうか。男性からこの言葉をきくことが多かったようです。

最近は「左利き」ぐらいで、あまり別の言い方をされることは少ないように思います。

人それぞれ嫌なことば、こう呼ばれる方がいい、という言葉があるでしょう。
以前、ある右利きの人(40代男性)は「ぎっちょ」はあまりいい感じでないので、「サウスポー」あたりが良いのでは、という意見でした。

というわけで、「サウスポー」はもう少し人気があると思っていたので、意外でした。
ピンクレディーが懐メロアイドルになったのか、野球人気の低迷の影響か、はたまた設問の前振りで「サウスポー」もまた差別的な言葉であると言う意見を紹介したせいでしょうか?

6/9 現在
1(右利きの人)「左利き(の人)」・・・ 5
2( 〃 )「(左)ぎっちょ」・・・・・ 0
3( 〃 )「サウスポー」・・・・・・ 0
4( 〃 )「レフティ(ー)」・・・・・ 1
5(左利きの人)「左利き(の人)」・・・14
6( 〃 )「(左)ぎっちょ」・・・・・ 2
7( 〃 )「サウスポー」・・・・・・ 1
8( 〃 )「レフティ(ー)」・・・・・ 6
9その他(例:レフトハンダー)・・・・ 1

―引き続き、アンケート「貴方の好きな左利きの呼び名は何ですか?」は「レフティやすおの左組通信」で実施中です。

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2004.06.05

第3回アンケート結果報告「左利きの子に右手使いを試みるべきか否か」

遅くなりましたが、第3回プチアンケート「左利きの子に右手使いを試みるべきか否か」結果報告です。

実施期間:4月25日~5月22日(4週間) 
投票総数:54(右:8/左:44) 絶対賛成:0、積極的賛成:5、消極的賛成:28、絶対反対:21

1 (右利きの人)絶対賛成―必ず成功する、やるべきだ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0
2 (  〃  )積極的賛成―積極的に試みるべき、ダメでもともとできればプラスになる・・・・・・・・・・ 1
3 (  〃  )消極的賛成―基本的には反対だが、現状では試みるだけなら否定はしない・・・・・・・ 6
4 (  〃  )絶対反対―プラスにならない、成功しても失敗しても問題が残る、自然に任せるべき・ 1
5 (左利きの人)絶対賛成―必ず成功する、やるべきだ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0
6 (  〃  )積極的賛成―積極的に試みるべき、ダメでもともとできればプラスになる・・・・・・・・・・ 4
7 (  〃  )消極的賛成―基本的には反対だが、現状では試みるだけなら否定はしない・・・・・・・22
8 (  〃  )絶対反対―プラスにならない、もし万一成功しても問題が残る、自然に任せるべき・・・20

回答別では「消極的賛成」が最多です。

利き手別に見ると、右利きの人では「消極的賛成」が多いのに対し、左利きの人では「絶対反対」とほぼ同数になっています。

左利きの人の意見によると、右手使いに成功しても、弊害を感じる人が少なくありません。中途半端は両手使いになり、新しいことを始めるときにどちらの手を使うべきか迷う、とっさに右左の区別がつかないなど。無理な「矯正」は心身ともに弊害があると訴える方もいました。

賛成意見は、両手が使えることは便利で、挑戦してみる価値がある、というもの。

―まとめ―
・基本的には、右利きであれ左利きであれ、自然に任せてそれぞれの利き手を生かすべきである。
・左利きといっても、両利き的な要素を持つ人もあり、利き手を判別する意味で右手使いを試してみても良いのではないか。
・現状の右利き偏重社会ではもし右手が使えればそれに越したことはないし、両手が使えれば便利である。
・試す場合は訓練ではなく、遊びの一環としてみんなで楽しんでやるのが良い。もし、本人が嫌がる場合は即座に止める。
・右手使いができるようになっても、それなりに悩みの種がある。

何かのお役に立てれば幸いです。

*アンケートの詳細ならびに私の意見は「レフティやすおの左組通信」〈左組〉「左組通信2」をご覧ください。

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2004.06.03

『左利き用ボールペン字練習帳』岡田崇花

『左利き用ボールペン字練習帳』岡田崇花/著 日本文芸社 2004年5月刊 819円(税込)

本の内容:右手で書く人が練習しやすいようにと工夫して作った『きれいな字が書ける。ボールペン字練習帳』(2004年3月刊)の左利き用。内容は同じですが、右ページがお手本、左ページが練習帳と、左利きの人が使いやすくなっています。

以前、左利きの検索中、ネット本屋さんで「予約受付中」となっていたのを見た事がありました。5月末に出たようです。楽しみにしていたはずなのに忘れていました。

先日、Max115さんのホームページMAX115'S ROOM で拝見しました。

その後、3軒ほど本屋をのぞいてみたのですが、実物にはお目にかかれませんでした。
元になったという右用のものがあったのでそれを見たところ、これの左右を入れ替えたものなら、使い手が右左異なるだけで右手使いと同じ筆使いをする人なら(特別な左手の筆使いをする人でないかぎり)十分使えると思いました。

とにかくこういう発想の本が企画され、企画が通り、実際に本として出版されたことがすばらしいと思います。画期的なことです!
「字は右手で書くものだ」という人がいますが、この本を見せてどう言うか反応を見たいものです。

左利きの人が左手で字を書くことをこれだけはっきりと肯定する本が出るのは、日本では初めてではないでしょうか。(左利き友の会のものがありましたか? 少なくとも一般向けでは初の快挙?!)
外国には左利きの子どものための手書き綴り方handwritingの本が出ています。練習帳はあるかどうか知りませんが。
日本でもこういう本を出すことが当たり前になればいいですね。


 私は「字は右手で書くようにできている」という人にいつも反論するのですが、文字が最初に発明されたときは右手で書くか左手で書くかなどは問題にされていなかったはずです。それが長い年月の間に、ひとつの技術として確立されるなかで、右利きが多いために右手で書きやすいように改造されてきたものだと考えています。

何しろ字を書くということは、今でこそ誰でもが身に付けている平均的な技術ですが、日本で言えば寺子屋が発達する江戸時代以前は、一部の人たちだけが身に付けられる、限られた人だけの知的な技術だったのです。
当然、ひとつの流儀や作法として右手を使うというルールが作られたのでしょう。
そこでは、左利きだから左手で書く、というのは作法から外れる行為として、許されないことだったとしても不思議ではありません。(ここから、右手使いを強要することを正しいことのように言う「左利きの矯正」といった発想が生れた来たのでしょう。)

しかし時代は変わって、万民が使う技術になったのですから、誰でもが使いやすい方法に変わってゆくのは当然でしょう。

本来右手で書こうが左手で書こうが自由なのです。

左手では書きにくい、というのも右利きの人の思い込みでしかないのです。実際に自分も「非利き手」で書いてみればわかるはず。その方がよっぽど書きにくいのです。
また英語の筆記体では、綴りの方向は右へ向かうので書きづらい点はありますが、個々の字を見ると左回りの回転が多いので意外に書きやすいものです。


 この『左利き用ボールペン字練習帳』について、私からひとつだけ注文するとすれば、将来的には「左利き用」ではなく「左手書き/左手筆記用」とする方がよいのではと思います。

これからは右利きの人も左手で字を書く人が増えてくると思います。

これは単に左利きにあこがれる人が増えるとか、事故などで右手が使えない人が増えるということでなく、右手で扱う機械や道具が多いため、より効率的に仕事を進めるためには利き手の右手に頼らず、左手でメモする必要を感じる人が増えてくるのではないかと思うからです。

実際にそういう場面に出会うことがあります。きれいな字を書くというのではないですが、あいている方の手でちょちょっとメモを取ることは誰でもあります。

そういう場合「左利き」と書いてしまうと現実には「右利き」の人は素通りしてしまうと思うのです。私には関係ないや、と。
これはふつうの「左利き用品」でも同じです。
左利きの存在を顕示するにはいいのですが、この辺の兼ね合いがむずかしいところです。

*2008.4.30追記* 左手書字について―
・『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「左手書字の研究―実技編」(2008年より第三土曜日発行分に掲載)

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