新渡戸稲造『武士道』日本的思考の根源を見る-「100分 de 名著」NHK
ゲスト講師のプレゼンを受けて、古今東西の“名著”を25分の番組4回100分で読み解く番組、
「NHKテレビ100分de名著」2012年2月の放送は、新渡戸稲造『武士道』です。
ゲスト講師は、『現代語訳 武士道』(ちくま新書 2010.8.6)の訳書を手掛けた山本博文氏。
『武士道』は、岡倉覚三(天心)『茶の本』と並ぶ、,明治を代表する知的エリートで国際的に活躍した日本人の手になる、英語で書かれ、1899年にアメリカで出版された日本人論、日本文化論の名著です。
新興国日本への関心と共に、ヨーロッパ各国語に翻訳され、反響を呼んだと言われています。
・岡倉天心『新訳・茶の本―ビギナーズ日本の思想』大久保喬樹/訳 角川ソフィア文庫 2005.1
アメリカで病気療養中の新渡戸稲造が、十年ほど前にベルギー人の法学者ド・ラヴレー氏やアメリカ人の妻からの質問に答えるべく、自らの心のよりどころ、道徳の基本が何であったかを、英文でまとめたものです。
武士の子として生まれ、刀を差していた子供時代の経験を持つ著者が、刀を取り上げられ武士がいなくなった時代に生きる元武士の子である一人の日本人として、刀と武士の関係、武士の子として何を教えられてきたのか、武士の精神的なバックボーンについて、西洋の例と比較して、欧米人に分かるように説明したものです。
ヨーロッパに騎士道あれば、日本には武士道がある、と。
私の発行しているメルマガ『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』でも取り上げています。
2009(平成21)年8月31日号(No.24)-090831-『武士道』新渡戸稲造・太平洋の橋
そちらに引用した文章を紹介しておきます。
《有数の国際通で、のちに国際連盟事務次長をつとめることになる新渡戸稲造は、封建道徳の権化、「サムライ、ハラキリ」で知られる「武士」をテーマにして、ズバリ『武士道』を英文で著し出版した。多数の国で翻訳されたが、表題を読むだけで眉をひそめ、批判の筆を執った人も多数出た。日本においても同様であった。/しかし、新渡戸は「武士道」こそ西欧の騎士道と重なる日本の歴史精華であり、日本人の良き知性と品性がそこから生まれた母体である、と諄々と説く。つまり武士こそ「ノーブル・オブリジェ」(高い身分に伴う義務)を担った身分であり、日本人が見習い従うべきモラルとマナーを示すスタンダードである、としたのである。》谷沢永一/著『人間通になる読書術・実践編』PHP新書(1999)
「第I部 読書の快楽/第二章 この一冊の読みどころ・箴言集/武士道は日本国民に道徳的標準を供給した『武士道』新渡戸稲造/矢内原忠雄訳」p.179
・『人間通になる読書術・実践編』谷沢永一/著 PHP新書(1999)
―新渡戸「武士道」を含む古典名作案内+谷沢読書論。
邦訳でいいので、日本人ならぜひ一度は読んでいただきたい名著だと思います。
さらに、英語版にもチャレンジできるといいですね。
【放送予定】
第1回 2月1日放送 正義・日本人の美徳
第2回 2月8日放送 名誉・日本人の責任の取り方
第3回 2月15日放送 忍耐・謎のほほ笑み
第4回 2月22日放送 武士道・その光と影
○NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
新渡戸稲造『武士道』2012年2月
2012年1月25日発売
定価550円(本体524円)
※主な新渡戸稲造『武士道』訳書:
『武士道』矢内原忠雄/訳 岩波文庫 1984.10改版
―格調高い文語文の翻訳。最近の人にはちょっと読みづらい、わかりにくいと感じる人も。
『武士道 いま、拠って立つべき“日本の精神”』岬 龍一郎/訳 PHP文庫 2005.8.2
―完全現代語訳。古典からの引用も分かりやすい現代語で。巻末解説では、新渡戸の本文では比較的簡単な説明に終わっている「義」について補足解説しています。
『武士道―人に勝ち、自分に克つ強靭な精神力を鍛える』奈良本辰也/訳 知的生きかた文庫 1993.1
―古典からの引用部分が原典からで現代語になっていない分、人によりわかりづらいと感じるかも。
『英語と日本語で読む「武士道」』新渡戸稲造博士と武士道に学ぶ会/編 奈良本辰也/訳 知的生きかた文庫 2009.2
―《『武士道』の英語原文と奈良本辰也の名訳を掲載(抄訳)》
『武士道』須知徳平/訳 講談社バイリンガル・ブックス 1998.6.10
―英語原文と邦訳のセット版。
*他のNHKテレビ「100分 de 名著」の記事:
2011年11月放送:2011.10.31 アラン『幸福論』喜びは、行動とともにある!
2011年12月放送:2011.12.6 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』悲しみを、乗り越えよ-「100分 de 名著」NHK
2012年1月放送:2012.1.5 吉田兼好『徒然草』両面から物事を見よ!-「100分 de 名著」NHK
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※本稿は、レフティやすおの他のブログに転載しています。
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